デカールのシミ対策


デカールとエポキシのテストをしているときに・・・・デカールが黄ばんどる!ことに気づきました。


これがその黄ばみです。デカールの四角い部分だけ黄ばんでるのが分かるかと思います。条件は、WAVEにナガノ熱転写+東邦NTです。

この黄ばみはどこからくるのか?原因を探りました。


WAVEデカールを適当に切って、右半分をデカールスプレー(アクリルクリア)をスプレーで厚塗りし、その他の部分は、コーティングなしで東邦NTコートで再度テストしてみました。


すると、デカールスプレーでコーティングした部分は黄ばみなし。コーティングなしの部分は黄ばみました。つまり、デカールクリアスプレーを塗布することによって、黄ばみが防げました。


ところが、

デカールクリアスプレーを厚塗りして、コーティング(ジャストエース)したものも、

1ヶ月くらいたつと、黄ばんでいます。貼り付けた直後は黄ばんでいないけども、しばらくして黄ばみます。


これもやはり同じでした。

となると、デカールスプレーだけでは黄ばみは防げないことが分かります。


なぜ、こうなるかと考えてみたところ、デカールスプレーでコーティングできるのは表面だけです。そのため、断面部分はノンクリアになるため、この部分にエポキシの溶剤が当たり、結果、溶剤に侵されたカタチで、黄ばむのではないかと思いました。

つまり、この部分が黄ばむのです。コーティング直後は大丈夫だけども、長い間置いていると、その影響がじわりじわりと見えてきて、黄ばむことが考えられます。

そもそもがデカールは、ものっそ薄い樹脂です。薄い樹脂は溶剤に弱いです。そのため、東邦NTに限らず、無溶剤タイプの接着剤以外であれば、全部侵されます。侵された結果が、黄ばみとなって出てきます。

となると、貼り付けた後、デカールスプレーを塗布して、ブランク〜デカールの隙間をスプレー樹脂でシーリングする必要がありますが、

デカールを貼り付けた後、ブランクにラッカーをかけると、ラッカーの溶剤(ジメチルエーテル)が強すぎるので、デカールがシワシワになる可能性もあるし、そもそも、ウレタンにラッカー上塗りは厳禁とされています。(強い塗膜の上にわざわざ弱い塗膜を乗せることに全く意味がないと思うのでやったことありませんが、溶剤系塗料は下地を侵しやすいので厳禁とされているのです。)

こうして、デカールのシミ問題は、案外深く追求する必要が出てきました。通常、黒いブランクに貼り付けたデカールだったら、たとい、黄ばんでいても気づかないのですが、明るい色を多用するワタシは、この問題をクリアしなければ致命的なのです。

そこで、徹底的に対策を練ることにしました。

ついでに市販されているクリアデカール(左がカルトグラフ製、真ん中がファインモールド製、右がWAVE製
※ファインモールドとWAVEは全く一緒のデカールです。WAVEがB5、ファインモールドがA4で、中身は一緒)の選定もあわせて行うことにしました。

で、テプラで印刷しますた。上がカルトグラフ、下がWAVEデカールです。


んで、貼ります。比較しやすいように、カルトグラフとウェイブを交互に貼っていきました。

んで、テスト。今回やるのは4種類。クレオスのマークソフター(デカール軟化剤)。タミヤのビンアクリル。クレオスのビンアクリル。東邦のNTウレタン。そして、ノーコーティング。これら処理した後にエポキシコーティング(フレックスコートのライトフォーミラ)を行い、品質がどう出るかを探ります。ちなみに、全部フデ塗りです。

※上の実験でよく使っていたアクリルクリアラッカーは、ウレタンに吹きつけするのがイヤだし、貼り付け前にコーティングしても黄ばむので、実験から外しました。




デカールに塗布した直後の様子のインプレ

マークソフター
まずは、マークソフター。これ、コーティング剤ではないですね(涙)。ツルツルと弾くばかりで、全然コーティングになりません。マークセッターとセットで使うもんなのかもしれんき。

東邦NTウレタン
続いて、釣具屋で普通に手に入る東邦の2液ウレタン。ひょっとしたら、溶剤にやられるかと思いきや、2つとも全然やられません。NTウレタンはトルエンキシレンを含まないウレタンなので、この弱溶剤性がいいのかもしれません。


タミヤ アクリルクリア(瓶塗料)
ともにエッジがやられて、シワになっています。これは不可。フデヌリだと溶剤で薄いデカールがやられます。


クレオス 瓶アクリルクリア
これは問題なし。あきらかにタミヤよりは溶剤力が弱いので、使うならこっちです。



エポキシ(ライトフォーミラ)コーティング後のシミ結果

マークソフター
ウェイブ、カルトグラフ、ともに黄ばみました。分かりやすいようにコントラストをつけています。

東邦NTウレタン
ともにコントラストをつけています。カルトグラフ、ウェイブ、ともに無黄変。いい感じですw

タミヤ 瓶アクリルクリア
もはやコントラストをつけるまでもなく、両方とも黄変しています。

クレオス 瓶アクリルクリア
これも結局は黄変しています。

ノーコーティング。エポキシじか塗り
分かりにくいけど、これも黄変しています。

以上の実験結果から分かったこと。

東邦NTのウレタンのフデじか塗り。この後にコーティングに入るのがベスト。

ウェイブもカルトグラフも黄変の意味では一緒。



ただし、使うなら、カルトグラフです。

ウェイブは青いダシ汁出現の可能性があるのと、カルトグラフに比べて薄いです。薄いと、水につけてフィルムを移動させるときに転写の時にちぎれる可能性があるので、水に付ける時間を長くする必要がありますが、長くなると、ノリが流れるので、貼り付けた時に浮く可能性が高いです。ゆえに、使うならカルトグラフだと思います。カルトグラフのほうが、水に付ける時間を短くとっても、強く押すと紙からズレるので。

※ちなみに、このWAVEの青いシミは、出たり出なかったりします。プラモマニアに質問してみたところ、ロットによって出る出ないがあるみたいです。対策は、貼った直後に綿棒で、強めに押し出すように脱水すること。水転写の時の水分が多く残っていたら出やすいみたいです。

結論
デカールは、カルトグラフを使って、貼り付けた後、東邦2液ウレタンでコーティング。その後エポキシに入るべし。






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