インクジェットで白印刷


インクジェットで白の印刷は、一般的に出来ないといわれています。


なぜか?その理由は!?


それはインクの原理にあります。

インクを混ぜるとどうなると思いますか???

例えば、水性えのぐ。

ダイソーの水性えのぐです。

赤・黄色・藍色です。インクジェットプリンターで色を表現するときに使われるCMYに似ています。Cがシアンで藍色。Mがマゼンタで朱色。Yがイエローで黄色。

赤と黄色を出します。

混ぜます。ほとんど赤です。黄色はかき消されました。

これに藍色を加えます。すると、黒に近い濃い茶色のような色が出来ます。

インクの基本は、たくさん混ぜると、暗い色になるというわけです。

印刷で使われる顔料インク、染料インクなんかも基本は同じで、色を加えることによって、濃くなります。その度合いを調節して色を表現しています。だとしたら、CMY3色を同じだけ入れると、一番暗い黒になるはずです。しかし、上の写真のように、暗い茶色にしかなりません。結局、CMYで黒は表現できないのです。ところが、印刷で一番使う色は、文字色の黒です。そのため、プリンターは、CMYにブラック(K)を追加して、CMYKのインクを使って、色を表現しています。


色を混ぜた後の暗い明るい
茶色と黄色を出しました。

混ぜると黄土色になります。

黄土色は、黄色よりも暗いです。
黄土色は、茶色よりも明るいです。

明るい色と暗い色を混ぜると、

明るい色は暗く、暗い色は明るくなります。

インクジェットプリンターはCMYKを混ぜて色を表現します。

CMYKの中で一番明るい色は、黄色です。黄色に他の色を混ぜると、黄色よりも暗くなります。

以上の理由から、極端な話、黄色よりも明るい色は、CMYKでは出せないのです。

白は、黄色よりも明るいです。というか、白が色の中で一番明るい色です。

だから、白は一般的なCMYKインクジェットでは印刷できないのです。

そのため、白を印刷しようと思ったら、白のインクを搭載したプリンターが必要になります。

白のインクを搭載したインクジェットは存在します。ローランドとか、デカール製作案で紹介したイスラエルプリンターとかです。しかし、コイツらは、フェラーリが買える値段です。

MDプリンターは白のインクを搭載できて、フィルムにも印刷できる。おまけに10万を切る安さだから、多くのファンがいるのです。しかし、エプソンやキャノンが白インク搭載のインクジェットを発売すると、話は別でしょうね。


インクジェットで白印刷作戦その1
ですが、ここは知恵を使います。CMYKインクジェットでは不可能と言われる白印刷に挑戦します!

紫外線を使った白印刷です。赤色は紫外線に弱いので、十中八九薄く変色します。車でも、古い赤い車は絶対色あせています。ということは、赤色で印刷して、その印字面に紫外線を照射した場合、白にならないか!?

というわけで実験です。

使う紙媒体は、サンワサプライ製透明フィルムラベルにしました。

普通に印刷します。

左から

黄色
水色
紫です。

こいつに紫外線ライトで紫外線を当てます。色あせて白になってくれれば、インクジェットで白デカールの完成です。

おおよそ半日紫外線を当て続けました。

引っ付けていたマスキングテープは、フィルムを張ったところだけがUVカットされており、キレイ。それ以外は紫外線の影響で、黄ばんでいます。

↓結果

黄色
水色
紫色

赤は、紫外線を当てても、完全には色あせず、薄い赤色になりました。黄色は消え去りました。これはもしかしたら、黄色→白に変色しているのかもしれませんw水色は、白には変化していません。紫は黄色同様、消え去りました。これも白に変化しているので見えないだけかもしれませんw

チェックするべきは、黄色と紫色。これが白に変化していたら、成功です!

まずは黄色。色自体が飛んでます(涙)

紫。うっすらと見えますが、到底白とは言えません。

結論
紫外線で白に変色させるのは無理!紫外線を当てると、色素自体が分解されて、色が消え去ってしまう!ことが分かりました。つまり、失敗。



インクジェットで白印刷作戦その2
上で説明したように、CMYKインクジェットに、白インクが搭載できれば、白印刷は可能となります。

だったら、作ってやろうじゃないか!という作戦w

黒色インクのカートリッジを分解し、色素をアセトンですべて洗い落とし、粘性の似た白インクをブチ込む。アクリル塗料でいけるんじゃないかと思います。

モノクロ印刷で、黒印刷の出力をかけたら、黒カートリッジからブチブチブチ込んだ白インクが出てきて、白印刷の完了!

計画実行!
ハードオフでタダ同然でゲット。エプソンPM870Cです。

インク交換ボタンポチッ!

エプソンのインクカートリッジは曲者で、ここにICチップが組み込まれています。パソで印刷すると、どれくらいインクを使ったかがこのカートリッジに入力されます。それで、なくなったら、どうやってもインクが出ないようになっています。そのため、穴あけてリファインインク(詰め替えインク)を入れても、このICチップが邪魔をして、インクは出ないという仕組みです。エプソンはこれのおかげで詰め替えできませんが、キャノンはできるみたいです。

が、こちらの目的はインクを白に換装することですから、そんな機能はどうでも良いのです。まずは、ドリルで穴を開けました。すると、黒インクに染められたスポンジが出てきます。

が、全くインクを抜けそうな気配はないので、インクカートリッジのフタをマイナスドライバで小突きまくって、外すことにしました。

外れました。スポンジが詰められています。

インクスポンジを取り出し、アセトンでキレイにしました。

で、模型屋で見つけてきたガイアホワイト。粘性も低いのでいけそうな気がする〜

インクを充填しました。

そして、何もなかったように元通りに戻します。

この際なんで、カラーインクも一緒に白に換装します。

フタをあけると、黒インク同様、インクの染みたスポンジが入っています。

スポンジを全部出します。

五色インクの豪華なカートリッジでしたが、いまや見る影もありません。

アセトンで洗ってきれいにしました。

ドライヤーで乾かしました。

ガイアホワイトがなくなったので、今度はタミヤアクリル白を充填。

それもなくなったので、今度はエナメル白をぶち込みました。もう滅茶苦茶です。

エナメル塗料はかなりネバイです。

で、全部充填完了。

何もなかったかのように元通りです。

よかった!認識してくれました。

インクジェット用クリアフィルムをセットします。

で、色々なフォントで印刷します。ここでは色が付いていますが、インクカートリッジのインクはすべて白なので、白く印刷されるはずです。













で、印刷ボタンをポチッ!















う、動いた!!!!









どうなるかなドキドキ!








出てきました。何も見えませんが、白なら見えなくて当然!








さぁ、その結果は・・・・













な、な、な、何も写っとらん・・・・・

インクが出なかった模様です・・・・

この実験・・・・

生理的に無理!


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