フロッグ概論
フロッグ関係の薀蓄等、色々やってきましたが、兎に角、ワタシの持っているフロッグ知識とか理論なんかをケツの毛まで見せる勢いでまとめてみますです。フロッグ概論です!
雷魚と中空フロッグ
まず、雷魚仕掛けですが、昔は硬いノベ竿にゴツイフック、カエルをくくりつけてオーバーハングのブッシュを歩きながら探り釣るスタイル、「ポカン釣り」が主流だったようです。が、これだと沖の雷魚が仕留められないということで、ルアータックルでキャストするスタイルに移行。
で、基本的に雷魚は、カバーを好むので、カバーを攻められるルアーとして、「引っかからないルアー」が必要になり、ここで登場したのが、ウィードレスルアーです。
初期は、ハリソンスーパーフロッグとかの、針を隠してウィードレス効果を持たせたノン中空ボディのソフトマテリアルが多用されていたようです。
が、これだと飛距離は出んし、よく引っかかるし、よく壊れる等々の問題が出てきて、
飛距離は出る、全く引っかからない、アピール力が高い、壊れない、中空フロッグに移行。以来、ずーっと対雷魚のカバーゲームの主流となっています。中空=中が空洞になっているという意味です。
※ただし中空フロッグは「対カバーゲーム」でのハナシです。一部のガチムチ雷魚マンの間では、エブリタイムエブリフィールドエブリフロッグがルール!だから、オマイラも中空フロッグ使いまい!なんて説法をフィールドで熱心に説く狂信者もいるみたいですが、ひょっと気に障ったら申し訳ないのですが、一言で申し上げて、アポンですね。
こんなフルオープンの水路なんかで中空フロッグを使う意味は全くないし、ワーム使うほうがよっぽど効果的です。引っかからないフィールドでフロッグみたいなフッキングの悪い道具を使う意味がない。
ロクマルフックを使えば、PE8号大久保ノットでも使えるのでラインブレイクしないし、曲がることはあっても、折れることはないですね〜。アイが開くこともありません。
ブレイクすることなく、ちゃんと獲れます。フロッグと比べるとキャッチ率は雲泥の差。オープンでフロッグを使うメリットはありません。
というわけで、カバーゲームならフロッグが一番便利!ってわけなんですが、引っかかりにくいというメリットの裏返し、「フッキングが悪い」ことばかりはどうしようもありません。障害物に引っかかりにくいということは、いわゆる、魚にも引っ掛かりにくいことを意味しており、一般的なプラグやらワームやらに比べると、かなりフッキングが悪いです。
ただ、その悪いフッキング性能をどうやって引き出すかが、フロッグチューニングなんです。
中空フロッグの製造について
自作フロッグ関係のところで色々リサーチしたり、試行錯誤したりしたまとめなのですが、フロッグは基本的に「スラッシュ成形」と呼ばれる方法で作られています。
貯金箱や、怪獣、ボールなど、中空のプラスチック用品を作る際に取られる手法です。特徴として、大きな穴が付いています。
簡単に言うと、
こーゆー金型を使って、
その中に熱硬化の塩ビゾルを投入。塩ビゾルというのは加熱して固まる塩ビで、液体です。
それをオイルバスに入れて加熱。オイルバスの温度はおおかた180度です。
すると、金型の外側から塩ビ樹脂を加熱することになるため、
熱硬化の塩ビゾルは金型に付着している部分が硬化します。
中途半端に硬化したところで、金型中の固まってないゾルを排出します。すると金型側の硬化した樹脂が残ります。
がしかし、
この樹脂は、外側はオイルバスの高温で完全硬化しているんですが、内部はうまく熱が伝わってないため、内部は未硬化の状態です。つまり、外側は固まっているけど、内側は固まってない状態。
そこで再びオイルバスに入れ、加熱します。今度は皮が薄いので、金型から伝わった熱が薄い中空塩ビにシッカリと熱伝導して、内側まで硬化します。こうして、金型内の皮は内側も外側も完全に硬化します。
あとは金型からそれを取り出してフロッグのモトが出来ます。
最後にフックホールの部分のバリを取って終了wこうして継ぎ目のない中空ボディが作られます。ちなみにこーゆー方法で作られるため、アイの部分は最初は穴は開いてなく、後からあけないといけません。また、ゾルを出する穴がないといけないため、
スラッシュ成形品には必ず穴があります。
フロッグの場合はその穴がフックホールというわけです。また、ゾルの排出過程で必ずフックホールにはバリが出来ます。
その様子を観察するには、マーブルカラーをバラすことです。ウィプラのFOD。
背中を切って中身を見ると、フックホールに向かってゾルが流れた跡が残っています。
金型の製造方法
フロッグはプラスチック成形です。そのため、カタがあります。つまり、金型が必要なのです。まず、フロッグの金型を作る際に絶対に必要になるのが原型作りです。2種類ほど方法があり、ロストワックス法とNC旋盤法です。
ロストワックス法
ロストワックス法とは、ギアなどの精密な金属部品や、ネックレスや指輪等の貴金属、小ロットで作る際に用いられる成形方法で、
石粉粘土をこねて造形師が作り上げ、
シリコンで型を取った後に、
ワックスを投入。
シリコンを割り、原型の形をしたワックスを取り出す。これがワックス原型です。
が、その時点では継ぎ目、湯口のバリがありますからペーパーで消します。こうして継ぎ目のないワックス原型が出来上がります。
それを石膏にドブ漬け。固まった後に、
電気炉で加熱すると、石膏よりもワックスのほうが融点が低いため、ワックスが溶けて落ちます。
そうしてできるのがワックス原型をかたちどった1枚もののカタです。
この中に溶かした銀を入れて、硬化した後に石膏を割って取り出す。これがロストワックス法です。
フロッグの場合では、ワックス原型に硝酸銀による還元で銀メッキを施した後、塩化銅の電鋳メッキを施し、タイヤキのカタみたいな金型で成形するとか聞いたことありますが、詳細は、スラッシュ成形のメーカーである、オビツ製作所が製造工程を写真つきで紹介しており、これが大変分かり易いので見ておいたほうが良いと思います。
NC旋盤法
ロストワックスで用いられる方法は、いわゆる鋳造という方法です。鋳造により出来た成形品を鋳物といいます。ロストワックス法が鋳造なら、NC旋盤法は削り出しです。
原型の設計図を起こし、アルミの金型を多軸旋盤で機械に削りこませ、一気にメス型の金型×2を作ります。原型から金型を起こす必要がなく、鋳物のような「す」も入りにくく、現在の金型作りではコチラが一般的なようです。
あとは成形時にそれを引っ付けて、
スラッシュ成形してやれば、中空ボディが出来上がります。
ただし、現在のフロッグの主流は継ぎ目のないゴムですが、NC旋盤で作りこんでいくと、必ず2枚金型を合わせて使う必要があり、この場合だと、紫の丸のところに継ぎ目が出来ます。
ジャクソンのケロッピーや
スナプルなんかの半面バリ有りボディなんかはコレで作られているんじゃないでしょうか?
ちなみに、樹脂を投入して、内側から積層させるため、外側には継ぎ目がありますが、内側には継ぎ目が残りません。
これは息子のニンジンのままごとオモチャ(中空)ですが、これも成形方法はスナプルと一緒だと思います。
おそらく、この穴がゾルのドレン穴だと思うんですが、これも継ぎ目がありますが、一体ものの成形品です。
材料についてのウンチク
金型の次は成形です。ただし、成形を語る上で、原料に対するうんちくもタレます。
フロッグの原料(皮)について
フロッグで使われる素材は「ゴム」です。日常に溢れる化成品なのですが、案外、突っ込んだ話をしているライギョサイトもないので、その紹介でも一発。
そもそも、ゴムというのは、伸びる分子と伸びるのを止める分子が合わさったポリマーです。伸びる分子だけだと、伸びっぱなしで元に戻りません。
例えばナイロン袋がそうです。伸びっぱなしで縮まない。つまり、ゴムの特徴は持っていません。伸びる分子と伸びるのを止める分子2つが合わさって、初めて、「伸びたら縮む弾性体」、つまり「ゴム」になるのです。
一般的にゴムといえば、天然ゴムを指し、成分は、ゴムの木から取れるイソプレンのポリマーで、これをラテックスと呼びます。ただし、ゴムの木から取った時点では、耐久性、耐候性、弾性が悪く、この弱点を改良するために、230度に熱したゴムに硫黄を加えます。これは「加硫」と呼ばれ、加えられた硫黄は、イソプレンとイソプレンの間に入り込み、分子間結合を構成。結果、ゴムの耐久性、耐候性、弾性が一気に向上。こうしてできるのがタイヤを初めとした天然ゴムです。
この天然ゴムですが、イソプレンが「伸びる分子」、硫黄が「伸びるのを止める分子」として働き、ゴムの世界では加硫=架橋、硫黄=架橋点と呼びます。
つまり、ゴムというのは、軟質樹脂同士が架橋点によってつなぎ合わされたポリマーです。以上は、天然ゴムの話ですが、化学合成によって作られたゴムを合成ゴムと呼びます。
つまり、ゴムは天然ゴムと合成ゴムがあるということなんですが、ゴムは、加硫後、分子間結合を形成するため、一度固まったら、分子間結合が破壊されないかぎり、溶けません。
溶けるときは、「焼ける」ときです。自作フロッグの情報収集で、大きいゴムを溶かして再成形すれば、フロッグが作れるというコメントをチラホラ見かけますが、あれは大嘘。200%出来ません。ゴムが焼けた時は表面がこげて、毒々しい煙と共に強烈な匂いが鼻をくすぐりますので、ゴムを溶かす行為は絶対に止めましょう。
ただし、溶かして再成形可能なゴムもあります。それが「熱可塑性エラストマー」と呼ばれるものです。これは軟質樹脂の中に架橋の役割を担う分子を分散させて作られたゴム状弾性体です。サーモプラスチックエラストマーの略で、TPEとか言われますが、プラスチック弾性体のことです。
代表的なのがスチレン系エラストマーと呼ばれるもので、ポリスチレンブロックとスチレンエラストマー2つが分散されて合成されたゴムです。ポリスチレンブロックが架橋点、スチレンエラストマーが伸びる樹脂の役割をして、弾性体の特徴を有しています。
ゴムみたいに、加硫により軟質樹脂と架橋点が分子間で結合してくっつくのではなく、くっついてはいないけど、伸びやすい場所と伸びにくい場所がポリマー内に分散してあるおかげで、弾性体の特徴を持ち合わせるといった便利な樹脂です。くっついていないので軟質樹脂と架橋点を熱により引き離すことが出来、冷えたらまた固まって再びゴムの特徴を維持します。
この「TPE」こそが、溶かして再成形可能なゴムです。ちなみに、こういった特殊なプラスチックゴムのことを、通称、エンジニアプラスチックといいます。エンプラと略されることもあります。じゃぁ、これでフロッグが出来るんと違うか?と、思われがちですが、そんなに甘くありません。熱可塑性エラストマーは、ベタツキのある樹脂なのです。
表面がカラッと乾いた状態にはならず、また、張りも弱いために、とてもフロッグとして使われるシロモノではありません。釣具分野では、ワームで使われています。
ワームって、溶かしてもまたゴムみたいになるでしょ?ワームはインジェクション成形の熱可塑性エラストマーキャストで作られているんじゃないでしょうか。まぁ、ワーム袋に原料が載っていることは少ないですが、百均に行って、対震マットコーナーに行ってください。
「原料:熱可塑性エラストマー」と書かれているものがあります。こいつは、溶かしてもまだゴム状を維持します。
ちなみにウチではアドコンの防振マットになっております。
※ なお、市販の熱可塑性エラストマーは樹脂温度が220度くらいにならないと溶けない上に、230℃付近で発火する物性を持っております。発火する瞬間は、「ボンッ!」という重低音の音とともに、アルコールランプのごとく、炎がエラストマーから燃え上がります。一度発火するとその炎の熱により、炎の下部は常に230度以上をキープすることとなり、自然発火の状態が続きます。フタをしたら炎は消えますが、エラストマーの液温は230度を維持していますので、炎が消えたと思ってフタをあけたら、再びボンッ!という音とともに自然発火。水をかけて液温を一気に下げない限り、消火できません。大変危険で、ワタシ、一回火事になりかけたこともあるので、室内作業は絶対止めましょう。
というわけで、まとめると、ゴムは加硫工程が必要なため、設備が巨大化し、小ロット小生産というフロッグ製造には向かないし、熱可塑性エラストマーもベタつきがあるので無理。
で、何が使われるかというと、長くなりましたが、「塩ビゾル」です。塩ビゾルというのは、
株式会社コバヤシが1958年に開発した、「コバゾール」と呼ばれる液体で、「暖めたら固まる塩ビ」です。それまで、塩ビといえば、塩ビコンパウンドと呼ばれる、プラスチックのドッグフードみたいなものをプラントの中に入れて、ミキサーで撹拌しながら加熱。溶かして冷やして成形という手法が使われていたようですが、設備が高く、敷居が高い分野でした。
ところが、コバゾールの出現により、フライパンでも成形できるようになり、プラスチック成形の可能性が一気に広がったという奇跡の化成品です。2月4日放送のリアルスコープでやってましたが、食玩サンプルはほとんどコレで作られてるみたいですね。
でもってこのコバゾールによる塩ビ成形は、小物の小ロット小生産を得意とし、オモチャの下請けメーカー(東京の下町に多いらしい)に大人気。そのためか、コバゾールの工場は東京都葛飾区にあるようです。
で、この塩ビゾルですが、添加剤により、やりこいのから硬いのまで、種種のラインナップがあります。フロッグで使われるのは、フタル酸エステルと呼ばれる「可塑剤」を添加した塩ビゾルです。可塑剤とは、いわゆる、「やりこくする添加剤」です。
塩ビ樹脂に対する可塑剤の割合が多ければ多いほど、やりこくなります。逆に、可塑剤が少なければ、硬くなります。
で、可塑剤=フタル酸エステルですが、これは俗に言う「環境ホルモン」と言われるもので、昔、子どものおしゃぶりで軟質塩ビが使われていたときに、噛むことによって環境ホルモンを摂取してしまうという都市伝説があり、おしゃぶりの材質がシリコンに移行した経緯があります。コバヤシにいわせればそれはナンセンスだそうですが、一応心配する保護者のために、「アクリルゾル」と呼ばれるゾルを開発し、これだと一切環境ホルモンを使っていないので、安心だそうです。また、焼いても水と二酸化炭素しか出ないそうで、ダイオキシン問題(塩ビは600度以下で焼くとダイオキシンが発生する)対策にもなっているそうです。ただし、価格が塩ビゾルの3倍で、肉付きがイマイチで、問題点もあるとか。
私は、塩ビゾルでしか作ったことないのですが、成形時に失敗すると白い煙と共に塩素系の強烈な匂いが出るのでアクリルゾルのほうが良いなぁとおもう今日この頃です。
話を戻しますが、コバゾールでは、可塑剤の配合スペックを108とか、110とか、115とかいう表記をしており、
108=塩ビ:可塑剤=10:8
110=塩ビ:可塑剤=10:10
115=塩ビ:可塑剤=10:15
といった具合に表されます。
で、どの皮がどのくらいのスペックのゾルなのかですが、実は以前、コバヤシさんに、欲しいゾルの相談をしたことがありまして、その際、サンプルがないとなんとも言えないとのことだったので、送ったのが、
ウィップラッシュのAMGRです。ワタシは皮の中で一番好きなのがウィップラッシュの皮マテリアルで、やりこくて柔軟性に富み、
チューニングの時にアイのところがキッチリ密着するので浮き調整がしやすいのでチューニングがしやすいし、適度な比重があって、飛距離も出る、素晴らしいマテリアルと思っているからです。
このアマガエルを触った担当者さんが、おそらくコレと推測したのが、
このサンプル、RA115Zです。主剤:可塑剤=10:15で、Z=透明の意味です。
触ってみるとなるほど、ボタモチのような蝕感の皮はまさにウィップラッシュの皮そのものです。
他にも、実際にコバゾールを使って成形品を作っているメーカーさんにもかけあったことがあって、その際、108とか、109とか色々なゾルを触らせてもらいました。
その経験からの予想ですが、ウィップラッシュさんの皮が115程度で、やや硬めのハネクラさんの皮が110くらいでしょうか。
ようは、塩ビ樹脂というのは同じで、あとは可塑剤の配合。可塑剤の配合で皮マテリアルはどんなにでも調整できますので、基本的にフロッグの皮というのはみんな同じ。可塑剤がどれだけ入っているかです。
←これがその原料の塩ビゾル。可塑剤が多いほどサラサラになります。
でもって、フロッグの話にもどりますが、じゃぁ、硬い皮がいいんかやりこい皮が良いんかという話ですが、これは二律背反の関係で、どちらがどちらともいえません。
というのも、フロッグというは形状を維持しないといけないという大前提があるからです。
自作フロッグその@で追求しましたが、でかいフロッグをやりこい皮で作ろうとした場合、自重を支えることが出来ずに、初めから凹んでしまうという点がありました。
つまり、
皮のマテリアルがやりこいと→皮の厚みを厚くしないと自重が支えられない。するとフックポイントが出にくくなるわけです。つまり、やりこい皮でフロッグを作ろうとしたら、皮を厚くしないといけません。
例えば、こんな風に、やりこくて皮の厚いフロッグがあったとします。
すると、アタックで凹んだ時は、
こんなふうになります。このとき、雷魚が噛んだ時に針が口に引っかかるレンジは幅Aです。このAが長ければ長いほどフッキングはいいといえます。皮を厚くすると、凹んだ時、シャンク〜フックポイントの距離が短くなり、針が刺さるレンジが狭くなるためフッキングは悪くなる。
その代わりボタモチのようなグニグニ感がフッキング時のスライドの自由度を上げるため、フッキングは良くなる。 こういうわけです。
一方で、
皮が硬かった場合、皮は薄くても形状は維持出来ます。つまり、硬い皮はボディを薄く成形できるんです。
そうなると、凹んだ時に
先ほどの幅Aは広くなり、雷魚が噛んだときの引っかかるレンジは広くなります。つまりフッキングはよくなります。
まとめると、皮のマテリアルが硬いと→皮を薄くしても自重を支えられる。結果、皮を薄く成形できるので凹んだ時にシャンク〜フックポイントの距離が長くなるため、針が刺さるレンジが広くなる。だからフッキングは良くなる。しかし、反面、皮が硬いので針の出が悪くなり、柔軟性も悪くなり、フッキングは悪くなる。
とこういう関係にあります。
ウィップラッシュさんのフロッグはまさに前者です。おそらく大型フロッグになるとどうしても皮を厚くしなければ形状を維持できなくなるため、小型のラインナップに絞っているのかもしれません。
一方、後者に当たるフロッグはハネクラさんだと思います。皮が薄いので、上の皮の凹み方は抜群です。 カメレオンなんかは、でかいくせに皮を薄く成形できるため凹みがガッツリいってくれて、多くの雷魚ファンがいます。
実際、ボディを真っ二つにして厚みを測定してみても、
ウィップラッシュさんのアマガエルは小型ですが、厚みは1.5mm前後なのに対し、
ハネクラさんのゾウでは30gクラスの大型フロッグにも関わらず、皮の厚みはアマガエルよりももういっちょ薄い1mm前後でした。
ただし、素材が硬いと、ちょっとした皮の厚みの違いで凹み方が不自然になる傾向があり、また、スラッシュ成形自体、均一な厚みが出せる成形ではないので、これも課題だと思います。
また、薄く成形しようとすると、薄すぎて形を維持できないというトラブルも起こりかねないため、通常、厚めに成形するのがスラッシュ成形のお約束です。これがフロッグ作りには不利に働きます。
前述のソフトバンク犬なんかは内面ボコボコ。
雷魚デントスでも内部はボコボコです。
スラッシュ成形は均一な厚みを出す成形方法ではないんですね〜。
だもんで、どちらが良いとも悪いとも言えないのですが、私が自作フロッグで求めているのは硬くて薄いフロッグです。
大型フロッグが好きなため、凹んだ時のシャンク上厚みが少なくなるのは魅力で、でかくて薄くて凹みが良いフロッグが良いと思います。また、雷魚針自体、種類が少なく、大型の針はあまりないので、凹んだ時の針のかかるレンジを稼ぎたいという理由もあります。
また、硬いほうが、飛行中にタワんだりしないため、空気抵抗が少なくなるため、飛距離も出ます。飛距離アップを狙ったライギョ師が、パンドーを何度もコーティングして、カッチカチにするチューニングは常套手段です。
ただし、薄く成形すること自体、至難の業(少しでも皮が薄すぎる部分が出来ると、形状が維持できない。また離型時に破損のリスク有り。あまりに薄いと凹みが不自然になる)で、ある程度、やりこさを持たせて、成形時の厚み誤差の範囲内で、ボディ形状が安定して維持できるような素材にも注目しないとななんて思ったりもします。
フロッグの理想的なやりこさについて
一度、コーキング用のシリコンでフロッグを作ってみるとよく分かるのですが、フロッグの皮はやりこすぎてもダメです。硬いとフックポイントが出ず、やりこいとフックポイントが隠れず、引っかかります。
そんなわけで、硬くもなく、やりこくもなく、という品質が要求されます。
私がよくやる判断材料は、ハカリの上にフロッグを置いて指で皮を押し、フルボトムに必要な力が何gなのかを判断材料にします。
私のとったデータでは、最良は200g前後。350g程度がギリギリ許容範囲。
450g越えは使い物になりません。
とはいえ、これもでかいフロッグと小さいフロッグで変わってきます。小さいフロッグだったら、自重を支えるのに必要な硬さも小さくなるため、フルボトムに150g程度でもいけますが、重量級フロッグでフルボトム150gだったら、おそらく自重を支えきりません。フォルムが大型になると、どうしても皮は厚くしなきゃいけません。そのため、大型フロッグがフルボトムに必要な力が300g程度。小型フロッグで200g前後。このように考えておいたら間違いないと思います。
フロッグの色について
通常、塩ビゾルは透明なのが純正ですが、これに色の付いた粉、顔料(色の付いた粉)を入れることで、色が変わります。まずは、フロッグのカラーの説明から。
ソリッドカラー
もともと赤とか黒とか黄色とかの塩ビゾルを成形して作ったフロッグをソリッドカラー。
マーブルカラー
異種の色を混ぜながら成形したフロッグをマーブルカラー。
ラメカラー
クリアにラメを配合して成形されたものをラメカラー。
ペイントカラー
印刷されたフィルムを貼り付けたものをペイントカラーと言います。
この中で、ペイントカラーについては、
雷魚の噛み傷でボロボロになり、剥げるリスクがあるため、あまり良い素材とは言えないと思います。やはりフロッグでいいのはソリッドかマーブルです。ボロボロになっても剥げることがありません。
また、ラメに関しては、フレークが配合されるため、凹みのテイストは若干硬めになります。また、見たところ、フロッグの外側にラメがはみ出てないので、
成形時に透明なゾルを一旦積層させた後、ラメ配合のゾルを入れて成形。さらに内側に透明ゾルで成形しているんじゃないかな?なんて思います。さらに、ラメは光の反射でウロコのように見えるため、魚を捕食している雷魚に効果有り!と言われていますが、
そもそも、色によって釣果に差があるかどうかについてが疑問です。
自作フロッグのテストやら、
ピペットチクビでのテスト、
はては、コイ釣りのパン動かしても釣れたなどなど、ふざけた道具でも普通にアタックしてくる雷魚が多く、基本的に目の前に動く物体が居て、やる気があればガンガンアタックしてきます。だもんで、アタックに持ち込むまでの話であれば色なんぞ関係ないと思います。
ただし、自分の好きな色は自然と出番が多くなり、出番が多いので釣れることが多く、結果実績があるので、色による釣果を確信する雷魚師も多いような気がします。
だもんで、好きな色使えば!?なんですが、色による皮のやりこさの違いには留意する必要があります。「フロッグの色とやりこさ」のところで述べているんですが、
ソリッドカラーでは色によって硬さが違います。一般的に、白は硬く、黒はやりこい傾向があります。
で、ワタシのオススメはというと、断然「黒」です。理由は見えないから。フィールド一面を覆うようなマットカバーにおいて、黒は本当に見えにくい色です。だから、探す手間があります。それが「間」につながります。忍耐勝負の雷魚釣りが多い中、多くの雷魚師はこんな悪循環に陥るはずです。
@ 釣れない
A 暑い。しんどい。
B 集中力が切れてフロッグの動かし方が早くなる。
C もっと釣れない。
D もっと暑い。もっとしんどい。
E もっと早く動かす。
F 早すぎて雷魚追いつけませんwww
一発狙いをやったことのある雷魚師なら思い当たるフシがあるはずwww
これを解消してくれるのが、見えにくい黒です。黒は見えないから探す必要があります。その時、探す間が生まれ、それが「食わせのポーズ」になることが少なからずあります。また、黒は遮光するため、水中から水面を見上げた雷魚にとっては最もシルエットがハッキリした色であるといえます。また、黒は色の中ではやりこいマテリアルのため、フッキングも良い。
ただ、ミスバイトか食ったかがよくわからんのですが、たいてい、一発狙いの雷魚釣りなんてアタックは追い食いなしが定石ですから、アタックがあったら見えんかってもフッキングかましたらいいんです!
というわけで、オススメの色は黒です。
以上が皮についての概論です。
フックの形状について
雷魚で一番大切なのは何よりもフッキングの良さです。もともとがウィードレスルアーを使用するため、水草に引っかかりにくいということは、すなわち魚にも引っかかりにくいというわけで、フロッグ=フッキングが悪いルアーというのは常識です。
また、雷魚自体が食うのがヘタ。さらにルアーの前で水草が邪魔するので、食い込みが悪い。そして、雷魚ロッドが硬いのでフッキングで雷魚が飛んでくることが多々ある。フックがバーブレス。雷魚の口がでかく、また、ヘッドシェイクが激しいので、フックが外れ易い。
などなど、バレる条件がコレだけそろっていると、なかなかに釣り上げるのが難しい魚で、フック選定がフッキングの鍵を握る最重要ファクターです。
で、フックの説明ですが、まずは雷魚用フックの各所の名称から。
まず、針は、アイ、シャンク、ゲイブ、ベント、フックポイントの5つからなっています。
ベントの角度のことをネムリといいます。
で、雷魚で求められる部分というのはまさにネムリとゲイブ、フックポイントです。
まず、ネムリについてですが、ネムリの深い針というのは、ベントからフックポイントにかけて、シャンクに向かって角度が付いている針のことです。ちなみに左の針はデッドスティングUです。
逆にネムリの浅い針というのは、ベントからシャンクに対して水平もしくは上向きになっている針のことです。ちなみに左の針は雷神RH1です。
2つのフックの特徴は以下の通りです。
・ネムリの深い針:ウィードレス効果が高い。フックアップしにくい。一度かかったら外れにくい。小さいフロッグにあわせ易い。
・ネムリの浅い針:ウィードレス効果が低い。フックアップしやすい。ただし、外れ易い。
などなど、これも二律背反です。
で、雷魚において、何が良くて何が悪いかですが、まず、ネムリ針はNGです。
例えば、これはアマガエルとデッドスティングをあわせたものです。
で、これがへこました時の状態の写真。ネムリ針はボディが凹んだ時にフックが出にくいです。これだとフッキング時にフックアップできるのは、赤い矢印で表した部分しか有効なレンジがありません。
一方これは、同じアマガエルにネムリの浅い雷神RH1をフィッティングさせた画像です。
へこました時の写真です。フックアップできるレンジは赤い矢印のところです。
2者を比べて見ましょう。
どう考えても右のほうがフッキングに持ち込みやすいですよね?
そもそもフロッグという、針がかりが悪い道具を使うのに、針自体がフックアップしにくい形状を選ぶのはNG。また、皮が凹んだときにシャンクとフックポイントの間が狭いので、フックがかかるレンジが短いというのも致命的。かかったらバレにくいというメリットがありますが、「すっぽ抜け」という言葉が定着している雷魚のカバーゲームで、フックアップ自体がしにくい形状のフックを選んではダメだと思います。つまり、フロッグチューニングで良いのは、ネムリの浅い針です。 フロッグのフッキングの良し悪しは、皮が凹んだ時にフックポイントがどれだけ露出するかなんです。
しかし、フックアップ後は、今度は強烈なヘッドシェイクが待っていて、これでラインスラッグが出やすく、ネムリの浅い針は、一発目のヘッドシェイクでフックアウトになることが多々あります。
だもんで、フックポイントはなるべく上向きでフックアップしやすく、それでいて、かかったら外れにくい、ベントが下向き(ネムリの深い)の針がベストということになります。
いわゆる、ネムリが浅くてネムリが深い針ですが、そういう中途半端な針が一番良いです。で、そんなモノがあるのかというと、あるんです。
ポパイの強靭フック。
ハネクラのマッスル上向きといった針はベントから下向きにいった後、上向きに抜けています。そういう針は、フックアップもし易いし、その上、外れにくいのです。 ベントの形状がネムリが深く入って浅く抜けている。そういう形状です。
強靭フックが分かりやすいのですが、雷魚の口の中からフックを外すとき、なかなか外れません。ということは、魚がかかった後でも外れにくいのです。
まとめると、フロッグでベストなのは、ネムリが深く入って、浅く抜ける針です。
で、続いて話は変わりますが、フックを語る上で、フィッティングさせるボディとのバランスも考えないといけません。
フックとフロッグのボディバランス、
一般的に、ボディが小さいフロッグに大きいフックをあわすとフッキングが良くなり、ウィードレス性能が悪くなる。
逆に大きいボディに小さいフックをあわすと、ウィードレス性能が上がる代わりにフッキングが悪くなる関係があります。
フックが大きいほど、ボディに対してのフックの割合が大きくなるため、フックがかかるレンジが大きくなりフッキングが上がるからです。当然といえば当然なんですが、
前回ダメといったネムリ針も、これを応用して使える場面も出てきます。
というのも、ネムリ針は針先がシャンク側に向いているため、小さいボディでも針先を隠すことができるからです。マンズのラットなんかが良い例なんですが、
本来、ラットにデッドスティング級の針は大きすぎてウィードレス性能を確保できないはずなんですが、
ネムリを利用して針先を隠すことが出来ています。
デッドスティングは、深いネムリが入っていてフッキングは悪いはずなんですが、ボディに対しての大型針を使うことでフッキングは良くなり、トータルバランスが出てフッキング性能を確保できています。
で、肝心のまとめなんですが、フロッグで何より重要なのはフッキングです。そのため、フロッグのボディに対して、ギリギリまで大きい針を合わせて、フックポイントを隠すのは二の次くらいに考えてチューニングしたほうがいいと思います。少々フックが出ていてカバーを拾っても、回収した時に針から外したらいいだけですし、少々フックポイントが出ていてもヒシとかのカバーだったらそんなに引っかからないです。
最後の手段は、
ドテを作って無理やりフックポイントを隠す手なんかもアリですw
針のダメなセット方法
これね。よくチューニング紹介で見かけるんですが、小さいフックを上向きにボディに這わすようにしてセットしているもの。これ、ダメです。針を小さくしたら、ウィードレス機能が上がるんですが、フックポイントが出にくくなる。それを回避するため、フックポイントを上向きにセットするわけです。
すると、フックポイントは刺さりやすくなるんですが、皮が邪魔になり、ゲイブの奥まで刺さるのを邪魔するわけです。結果、ヘッドシェイク一発でサヨウナラ。
フッキングを考えた場合、フックポイントが刺さった後、奥まで刺さるようにゲイブ付近はスカスカにしておきましょう。フロッグのフックはスカチューンオススメです。
フックポイントの形状について
で、続いて、フックポイントの形状についてですが、ハネクラのフロッグ紹介のところのコピペになるのですが、フロッグのフックというのは、何より「耐久性」が求められます。というのも、フック交換が出来ないからです。フロッグの場合、チューニングで針をボディに固定してしまいますから、フックを交換しようと思っても針が外れないのです。だもんで、フック交換はリチューニングをしないかぎり不可能です。
しかし、ヘビーカバーゲームで使おうと思うと、耐久性が必要なわけで、アイが解けないように、シンカーがズレないように、雷魚マンはあの手この手で耐久性の高いフロッグをチューニングします。
すると、リチューニングするときにバラしにくくて困るという事態が待っています。だもんで、フックは耐久性の良いものが求められます。
この、耐久性に関しても、二律背反で、カカリの良いフックは耐久性が悪く、カカリの悪いフックは耐久性が良いです。
カカリの良いフックというのは、フックポイントの後ろの方からだんだん絞って行って、最終的に細く尖らせている形状のもの。
カカリの悪いフックというのは、フックポイントの前のほうから急激に絞って尖らせている形状のものです。
カカリが良くて、耐久性が悪いフックは、ハネクラさんのカスタムLトライアングルポイントです。
フロッグで使われるものでは、このタイプの針はフック中心から上部に向かって先を尖らせているタイプ(偏芯ポイントと呼ぶ)で、確かに最初のささりは抜群なんですが、
2、3匹釣ると必ずポイントが曲がるという弱点を持っています。
同じく、ハネクラのマッスル上向きカスタムLのノーマルですが、コイツも必ず曲がります。
曲がったら、ダイヤモンドシャープナーで研いで使うのですが、その時曲がったところが元通りに戻るわけではなく、研がれて最初の先が欠けたような状態になるため、刺さりは一気に悪くなります。
一方、フックポイントに抜群に耐久性があるのは、
軸の中央にフックポイントがあるもの。これを重心ポイントと呼びます。
例えば、
夢想転生や
雷神RH1なんかがあります。
これらの重心ポイントにおいては、絶妙の鋭利角度というか、ナンボ釣っても、フックポイントがつぶれるって事がありません。じゃぁ、刺さりが悪いんか?といわれると、決してそんなことはなくて、
30匹は釣ったと思う、使い倒したアマガエルでも、
針先はシャープなまま。すばらしい耐久力です。針先がひん曲がるようなトラブルは皆無。かついちの技術力、スゴイです!
昔、シルシルミシルで、東香川のハガタ屋というプレスカタ屋さんの技術を紹介していましたが、絶妙の角度で刃の角度をつけることで、鋭利で、それでいて耐久性が出るんだということを強調されていました。おそらく、夢想転生や雷神RH1も同じく、絶妙の研ぎ角度というもので作られた名器だと思います。これらのフックは、雷魚の口を貫通するには十分な刺さり性能を持ち続けているといえます。残念がら2つとも廃盤となってしまいましたが、あれの残党がいたら、迷わず買いです。
ところが、現在の雷魚針の主流は偏芯ポイントになっており、その理由はフックポイントの位置にあると思われます。
同じ太さの針だった場合、重心ポイントと偏芯ポイントを比較した場合、当然、上に向いてとがっている偏芯ポイントのほうがフックポイントの位置が高くなります。
上でも説明しましたが、フロッグの場合、凹むことにより、針が露出し、フックアップするため、フックポイントというのは少しでも上にあったほうがフッキング率が高く、合理的といえます。
刺さりがよくて、フックポイントも上にいってくれる。さらにフックポイントの耐久性の悪いほうが次の針を買ってくれるからなのか、現行は、メーカーは偏芯ポイントに偏っていると思います。しかし、チューニングして針交換が出来ないということを考えると、フロッグ用フックとしてのクオリティは重心ポイントに軍配が上がります。
というわけで、フロッグの針で最も良いのは、まず、シャンクがまっすぐになっていて、ゲイブがなるべく大きく湾曲して、そこからネムリがすこーし入り、そこから上へ向いてゆるく傾き、そして、フックポイントは偏芯フックではない、夢想転生や竜神RH1のような絶妙の角度でとがっている重心フックが一番良いということになります。
まとめると、
フックのフォルムはこれで、フックポイントがこれがイチバンいいです。
ほんま、カツイチさんにこういう針作って欲しいわぁ・・・・。実現したら最高の針になるね!
フックポイントの調整について
雷魚用のフックを買っていると結構バラつきがあってびっくりしたりします。大量生産物なのでしょうがないことなんですが、大久保氏がDVDの中で、グロッサのフックポイントをペンチで調整しているところが写っていましたが、バラつきのあるフックはペンチでフックポイントを調整しなければなりません。
バラツキの小さいのは、ハネクラのトライアングルポイント、モーリスの夢想転生、かついちの雷神、デッドスティングなど。
バラツキが大きいのは、ハネクラのマッスル上向きL、がまかつ二本ケンケン、強靭フックなどでしょうか。
例えば、これはハネクラのトライアングルポイントですが、フックポイントの傾斜が左右対称で品質は安定していますが、
マッスル上向きLの場合、
こちらは左右対称で整っていますが、
こちらは左が少しヨレているのがわかるでしょうか?
横から見てみても、奥側がヨレているのが分かります。
これがフロッグの針のバラツキです。
バラつきのなかで、フックがやや下向きにバラついている場合は、あまり影響が出ませんが、問題となるのはフックが上向きに偏っているフックで、ヒシカバーなんかでは藻を拾いまくりで釣りになりません。
そんなわけで、フック調整というのは、上向きのフックをネムらせることが多いです。
私が使っているのが大型のプライヤーですが、このように挟んで、ボディ側に押しつぶしたら、
フックポイントが下向きになり、ウィードレス機能が良くなります。
ただ、これをやると菱の綱引きをした時に高確率で針が伸びます。
そのためプライヤーをもって、曲がるたびに戻さなければならないので、手間で、なおかつ強力な力でフックを曲げるため金属疲労も心配です。
針によってはほとんどバラツキのないフックなんかもあるので、針メーカーにはもっと精進して欲しいなと思う次第です。
以上が針についての考察です。
針についてメーカーにもの申す
あとフロッグ界で思うのは、針の選択肢が少ないと思いますね〜。
例えば、ウィプラなんかは毎年何個もフロッグを出しますが、フックは5号と6号のみ。
ラッティもたくさんフロッグを出していますが、フックは4号と5号のみ。
ロデオが針の種類が豊富ですが、ほとんどのメーカーはフックは2,3種類しかないですよね。
フロッグチューニングは、ほとんどが針選定です。
その針が少ないとチューニングしようにも出来ないんです。中途半端な大きさの針はよっけあります。
ないのが大型の針。いわゆるゲイブ幅が広いフックの選択肢がほとんど無いと言って良いと思います。
ハニカムの6号が汎用性があって良いと思いますが、それでもゲイブは狭いです。
ゲイブが広いと凹んだ時のフックアップできるレンジが広くなりますから、有利に働くし、現状でも、ガマガエルとかカメレオン、バスプロテンダートード、スプロキングダディ等の特大フロッグもあるのですから、もっともっと大型の針が欲しいところです。
これだけでかいと文句なし!的なのはやっぱりガマカツの二本ケンケン1号2号でしょうか。上からケンケン1、2、ハニカム6です。ただし二本ケンケンは、あまりに売れないので、ハコ買いするしかなく、そうすると1万円コースです。こいつを3本くらいで小売してくれる釣具屋があればなぁと思う次第です。
マスタッドもでかい針がありますが、あれ、ダブルフックの間は広いんですが、ゲイブ幅は狭いのが難点です。
マスタッドのゲイブの広いタイプがあればそれはそれで使えると思うんですけどね〜〜〜。
兎に角、針もっと出して頂戴!
アイについて
次はアイです。通常、雷魚用フックは短くて、ボディを貫通できないので、ボディを貫通させるためにフックの延長の役割でアイをつけます。アイはステンアイとブレイデッドアイとあります。これも各々のメリットデメリットがあるのでその紹介でも。
ステンアイ
まずはステンアイ。こいつのメリットは劣化がないことです。ただし、セッティングはめんどいです。ピッタリ合う長さのアイを探しながらつけるという感じですが、兎に角たくさん買ってストックしておくことが大事だと思います。
で、ステンアイはチチワのところがロウ付けされており、開かないように加工されています。
が、反対側はロウ付けされていないことが多く、そのときはPEかスレッドで縛って
パンドーつければもうダイジョウブです。
なお、アイの中には、オオノアイのように、両方をロウ付けしているものもありますが、
これもPEで縛って
パンドーで接着したらOKです。兎に角、ステンは接着剤がなかなか乗りにくい材質なので、あらかじめPEをプライマー代わりに巻いておくことで、後後行う塩ビボディとの接着時に役立ちます。
ステンワイヤー曲げてロウ付けして自作という手もありますが、ワタシはやったことがないので、よく分かりません。
また、ステンアイ〜フックまでの長さが長くなると、カクカク曲がり易くなるので、フックアップ後のバレにつながります。
なるべくならアイは短いほうが良いです。
だもんで、まとめると、劣化がなく、耐久性がある代わりに追従性が悪いと、こんな感じです。
ブレイデッドアイ
一方、ブレイデッドアイはというと、ヒモで柔軟性があるため、
あらゆる角度に曲がってくれるという利点と、少々長くても、ビミニツイストを入れる輪が大きくなるだけなので、セッティングが楽です。
ただし、それは長いフロッグにいえることで、
短いフロッグなんかでは、フックからボディ先端までの距離が短すぎて、PEで縛って固定できるほどの距離がないためブレイデッドラインの固定ができません。
そしてデメリットはなんと言っても、劣化です。
ブレイデッドアイの自作のところで 紹介していますが、使っていくうちにフニャフニャになって、最後には折れ曲がります。しかし、強度的には、8号PE以上の強度があれば釣りに影響が出ることはないので、問題はないとは思いますが・・・・。
ブレイデッドアイ製作のところで述べているのですが、芯を抜くのはフニャチン化へ拍車をかけるため厳禁。
また、結束もチチワのコブがフッキングの邪魔になるので厳禁。
現状では折り曲げてPEで縛って瞬接が一番良いと思います。ここらは「ブレイデッドアイ製作」参照です。
兎に角、以上の理由から、長いフロッグはブレイデッドアイ、短いフロッグはステンアイという具合に使い分ければ良いんじゃないでしょうか。
究極はというと、アイレスチューニングです。
アイがなくなると、アイ及びフックの結合部でフラつくことがないため、フックアップ後の安定性が増し、バレにくさにつながります。
がしかし、現実には、シャンクの長さがアイの部分にピッタリと来るはずはなく、また、直にフック先をボディの口に貫通させると、フックの角度を調節できないので、チューニングは難しくなります。
また、アイが入るところのボディは小さい丸状に開いているのに対し、フックの先っちょは平べったい丸状なため、フィッティングできないのが現実です。自作フロッグで、このアイレスを狙ったボディを開発するのも面白いかもしれません。
モデルとしたらこんな感じでしょうか。こんなフロッグ、今までにないモデルなので、面白いです。もしかしたら、市販フロッグよりも戦闘力があるかも?
ただし、アイを水平にしたら、シャンクも水平になってしまうため、フィッティングはかなり難しくなるはずです。チューニングの自由度は激減ですな。やるなら、チューニングレスモデルでしょうね。
自作アイについて(2014年追記)
で、アイについての追記なんですが、結局のところ、自作アイに落ち着きました。
自作アイというと一般的にはステンの硬線を曲げて銀ロウ溶接して作るのが一般的ですが、そこまでする必要はなく、
ペンチ2本とステンの軟線を使って自作するというものです。
こんなふうに曲げて
PEで縛ってアロンアルファで接着。これで大丈夫です。かなり大きな藻団子と戦ったりもしましたが、今のところ開いたりするトラブルはありません。その前に針が曲がります。
銀ロウ溶接は結構開いたりするトラブルが多く、それよりはステン軟線PE固定のほうがトラブルがないアイと言えます。
また、長さが自由に決められるので、ボディにフィッティングする際も、針の選択をかなり幅広くすることが出来ます。
また、もう一つのメリットとして、アイの穴がでかくなるので、フロッグ交換がし易い点があります。
フロッグを交換する時、ナンギするのが大久保ノットのチチワ抜けです。大久保ノットはループノットをダブルでヨリ糸にする関係で、エンドのエイトノットのコブが異様にでかくなってしまいます。
アイ穴が小さいと、ここに引っかかってしまい、交換する時にやりにくいです。
また、PEの10号とかを使うと、市販アイは穴が小さくて、先っちょが入らなかったりすることも多々あるので、アイ穴はでかいほうがいいと思います。
自作アイの場合、市販のアイよりも穴がダイブでかいのでそーゆー理由からフロッグ交換がかなり楽です。
結局、ブレイデッドアイは磨耗が激しく、
市販のステンアイはロウ付けが外れるリスクがあるのと、長さが決められているので針とのフィッティングの自由度が小さい。そしてその都度買い足さないといけないから高い。また、穴が小さくてフロッグ交換がやりにくい。結局、自作アイによるフィッティングがイチバン有効と思います。
詳しい作成手順は、
http://fukusukeraigyo.digi2.jp/jisakuai/jisakuai.html
を参考にしてください。
ウェイトチューニング編
浮き角度について
フロッグチューニングで最も難しいのが浮き角度調整ではないでしょうか。
ザックばらんに言って、水平浮き、垂直浮きと2種類用意しておけば、どの場面でも使えます。一般的に重さが重くなればなるほど、動きは悪くなり、軽くなると動きは良くなります。
これは水の抵抗によるもので、
垂直浮きの場合、フロッグのボディが浸水している部分が多いので、その部分が抵抗になり、ラインを引っ張っても水に入っていない部分、
つまり頭だけがヘッドバンキングするようなアクションになります。
一方、水平浮きならば、ボディが沈んでいる部分が少ないため、水の抵抗がなく、ロッドのティップを動かすことにより伝わるアクションがロスされることなくフロッグに伝わります。結果、ドッグウォーキングになります。
で、実戦での対応なんですが、
水平浮きを使う時
水平浮きは主に、ヒシのマットカバーや、パラヒシで、オープンエリアが多い時に使います。
例えばこんな1枚ヒシベッタリの場合なんかは、水平浮きです。というのも、ヒシのマットカバーやパラヒシなんかではヒシをたくさん揺らせたモン勝ちだからです。
基本的に雷魚釣りは、やる気のある雷魚に当たる確率が高いほうが効率が良く、より広範囲にアピールできたほうが良いです。そうなると、ドッグウォーキングによって、より広範囲に水や藻を押しながらアピールできる水平浮きのほうが良いということになります。
さらに、フロッグチョイスです。水平浮きの場合、デブフロッグとガリフロッグだった場合、デブのほうがより左右にヒシを揺らせてくれるため、アピール力はさらによくなります。しかもデブのほうがウェイトを背負えるので、ヒシに埋まったままドッグウォーキングをするため、水平浮き使用は断然デブフロッグがオススメです。
そのため、マットカバーではデブフロッグの水平浮きが断然良いです。
他にも、こういうパラパラヒシのときなんかは垂直浮きにしたって、前後の首フリアクションしかしませんが、ドックウォーキングしてくれると、前後左右にアピールしてくれるので、より水が揺れてくれてアピール力が高く、釣り易いです。
一方で、2枚ヒシ、3枚ヒシとかのモリモリになってしまうと、水平浮きにした場合、腹の安定が良すぎるため、ヒシの上をコロコロ転がるだけで着水が出来にくいため、水平浮きは苦手です。こういうのは垂直浮きが良いです。
※ただし、これは水平浮きでも藻を十分に揺らせられる重量級フロッグの話であって、軽量フロッグの場合、水平浮きにすると藻の上をすべるだけで、藻を押す力がないので、垂直浮きのほうが良いということになります。
で、続いて、
垂直浮きを使う時ですが、
足場の高い位置からのクリーク見え雷魚狙い、睡蓮・ハス・オニバスの間にねじ込み釣り、縦カバーのちょうちん釣りでは垂直浮きが良いと思います。
クリークについて
クリークは総じて足場の高い位置から見え雷魚を狙うスタイルが多いです。
そんな時水平浮きだったら、シェイクさせたとき、真っ直ぐ寄ってくるだけです。ハッキリ申し上げまして、アクションがつかないんです。
一方で、垂直浮きにした場合、水に埋まっている面積が多くて水圧による抵抗がありますので、なかなか寄らずに、水から出ている頭だけがコッチに寄って来ます。つまりヘッドバンキングになるのです。
つまり、足場が高い場所だったら、垂直浮きでないとアクションがつかないんです。そのため垂直浮きのほうが良いです。
続いて対カバー戦ですが、
ベッタリと張り付いたハスの葉のスキマにねじ込まし、スポット攻撃をする場合、水平浮きだったら、小さな穴にハマってくれないわけです。そのため、垂直浮きでないと攻撃が出来ません。水平浮きだと、ハスの葉の上を転がるだけです。だきん、垂直浮きのほうがグッドです。
対スイレンも同じく、ピンスポット攻撃になるので、垂直浮きです。
対オニバスも同様。
なんて名前か分かりませんが、こーゆーカバーも同様です。水面に張り付くようなカバーは垂直浮きが良いです。
続いてちょうちん釣りですが、
ちょうちん釣りというのは、完全に立ち上がったハスとか、オーバーハングのブッシュにひっかけて吊るしながら着水させる釣りです。
こんなふうに枝に打ち込んで、枝からたらしてチョンチョンする釣りですな。こういう時も、
垂直浮きの方が着水音が小さいわけです。ちょうちん釣りなんかは、無警戒な雷魚にギリギリまでアプローチする釣りなので、なるべく驚かせないほうがいいため、着水音が小さいほうが良いです。そのため、ちょうちんの時は垂直浮きの方がいいと思います。
以上が使い分けです。
一方で45度浮きなんてのもありますが・・・・用途なし。中途半端な浮き角度です。
※ただし、垂直浮きはギリギリ浮力でやってしまうと、アクションによって沈没のリスクがある上に、重くなりすぎて、ボディの大部分が浸水してしまって、水圧だらけで動きが悪くなるという事態に陥り易いです。
そのため、より軽量で垂直浮きに持っていくことをオススメします。それにはシンカーの位置を工夫することで垂直浮きに持って行く必要があり、詳しくは、「コイルウェイトチューニング」を参照です。
例えば、
同じフロッグで同じ垂直浮きでも、
32gと34gでは、動きを比べた場合、
34g。
32g。
断然、32gのほうがキビキビピョコピョコ動くでしょ!?
だもんで、アクション重視で行く場合、なるべくなら軽い重量で目的の浮き角度にもって行くことがコツです。
以上、色々な場面がありますが、代表的なのはこんなところです。
より軽量で垂直浮きに持っていくウェイトのセッティング方法
キビキビとヘッドバンキングで動かしたい時は、より軽量で垂直浮きに持っていくことがベターと説明しましたが、より効果的な方法を紹介します。
コイルウェイトとハンダのあわせ技なんですが、
まずは、ゲイブ付近にコイルを巻いた状態で、ハンダを使って接着します。ハンダは接着剤よりもダイブ比重が重く、通常、接着剤を使った重量増加は1.5g程度ですが、ハンダの場合、4g近く重量が増えます。そのため、後方重心にしたい時は効果的な接着方法です。強度も接着剤の比ではありませんし。
で、その後、コイルを塞ぐように糸オモリをセッティングします。
その後、同じようにハンダ接着。
すると、ゲイブ部分に隙間が生まれます。
その隙間にガンダマや糸オモリの切れ端を入れて、
ハンダで塞ぐのです。
そうすると、重心はゲイブ付近に一極集中になるため、軽量でもかなり立ち気味にセッティングが出来ます。
ウェイトの位置による浮き姿勢の違いについて
ここに同じ、総重量35gのフロッグが2匹おります。
ところが、一方は、
垂直浮き。
もう一方は
水平浮きです。
この違いはどこから来るのかというと、ウェイト位置の違いからくるものです。
垂直浮きのフロッグの中身は、
こーなっております。ウェイトを出来る限り後方へ固まらせているため、浮かせたときに、ゲイブ部分が下のほうへ下のほうへと行こうとするため、後方重心になり、浮き姿勢が立ち上がります。
一方、水平浮きのフロッグの中身は、
こーなっております。ウェイトを下部に集中させずに、中央付近に固まらせ、なおかつ、前方へカウンターウェイトを置いているため、フロント重心になっており、浮き姿勢は水平に近くなります。
※ただし、カウンターウェイトは、雷魚が噛んだ際に一番凹んで欲しいボディ中央部に干渉を作ることになりますので、凹んだときにフックポイントが出にくくなるというリスクがあります。
一方、同じ36gでも、
前方からゲイブにかけて均等にウェイトを置くと、
45度浮きになったりします。
そんなわけで、私がデータとして紹介しているのが、OOg垂直浮きとかありますが、アレはあくまで目安であって、ウェイトの位置で、浮き姿勢というのは変わってきます。
ただ、これもカバーの状態で色々考慮する必要性があり、例えば、ウェイトの重さと水の抵抗という項目で説明しましたが、
カバーゲームの場合、カバーに沈んでいる部分が多いほどアクションに対してカバーを揺らす力というのは大きくなります。
そのため、ヒシのマットカバーなんかでより広範囲のカバーをたくさん動かしたい場合は、より重量を増した状態での水平浮きが効果的となります。
一方で、パラヒシ〜オープンウォーターで使う場合、ウェイトが大きいと沈む面積が大きくなり、アクションが重くなってしまい、キビキビ動きがしにくくなります。
垂直浮きはある程度重量がなければ垂直になりませんが、水平浮きは軽くても重くても水平浮きに出来ます。
そんなわけで、オープンで使うならば、水平浮きはより軽量なウェイトで水平浮きに持っていくこと、カバーで使うならば、より重いウェイトで水平浮きへ持っていくことが効果的といえます。
例えば、同じフロッグでもオープンで使うならば30g水平浮き。カバーで使うならばカウンター気味にウェイトを持っていき、35g水平浮きといったところでしょうか。
こんな風に使い分けるのも一つの戦略です。
メーカーの言う、フロッグの動きのアピールって何なの?
ちょっと物申します。メーカーがフロッグを発売した時、必ず、「動き」とか、「アクション」、「すり抜け」等をアッピールして、売り文句にします。このフロッグは、すり抜け重視でドックウォーキングが得意で・・・・とかなんとか。
が、フロッグのアクションとか動きとかって、一体ナンなんでしょうね???
前述の通り、フロッグのアクションは浮力に対してのウェイトで決まります。浮力に対して軽いとキビキビと躍動感あふれる良いアクション。浮力ギリギリだと、ノタノタと重いアクション。水平浮きだったらドックウォーキング。垂直浮きだったら、首振り。たったこれだけです。どのフロッグも全部一緒。すり抜け性能ってのは、そもそも針が隠れているため、全部すり抜けはいいです。
だもんで、商品のアピールで、アクションの項目があるというのはいかがなものかと思います。基本的にフロッグの動きは全部一緒。アクションも全部一緒。雷魚師のチューニングで全部が決まるため、「このボディだからこのアクション」といってアピールするのは無理があるように思います。結局のところ、フロッグの動きは全部一緒。フロッグの性能の良し悪しというのは、フッキングがいいか悪いか。たったそれだけなのです。
でかいフロッグか、小さいフロッグか?
どんな戦略をやるかで、かなり好みが分かれる問題ですが、私的には断然、デカフロッグが良いと思います。理由は単純に、「扱い易くて楽」だからです。
まず、雷魚タックル自体が、ロッドがゴツくて、しかも、デカリールに極太PEを使うので、重いルアーのほうが投げやすいという点。
スナプルなんかの12g級小型フロッグだと、扱いづらくてしようがありません。キャスト性で選ぶと断然でかいフロッグのほうが正確に扱い易いです。そして飛距離が良い。当然マメよりはデカフロッグのほうが飛ぶので攻撃できるレンジが広がります。そしてカバーを揺らす力。ヒシベットなんかのマットカバーだったら、30g越えの重量フロッグと15gくらいのマメフロッグではカバーの全然揺れが違います。
もちろん、たくさん揺れたほうが広範囲の雷魚にアピールできるため、でかいほうが有利です。バス釣りやってると、でかすぎると怪しんで食わないんじゃないか?なんて錯覚に陥ることもありますが、それは疑心暗鬼というもので、
雷魚自体そんなに神経質な魚ではなく、口もでかい。少々マメの雷魚だろうが、平気ででかいフロッグにアタックしてきます。
ただ、でかいだけにアタック時の吸い込みは悪いような気がしますね〜。
ミスバイトは多いような気もしますが、でかいだけにミスってチョット飛んで行っても、でかいから着水音がでかく、捕食にミスったベイトがどこに行ったか雷魚にアピールされやすくて、追い食いがたくさんあります。また、でかいだけに、思いっきり吸い込んでくるので、マメフロッグよりもアタック音が明らかに良くて気持ち良い。
そしてそして、一番の利点が、「ティップでアクションつける必要が少ない」点です。
重量級のフロッグなんで、カバーを揺らしたり、水面を掻き分ける力が強く、いわゆる、食わせのアクションが、リーリングだけで出来ます。炎天下の中、何の反応もない、沈黙の戦艦と化したフィールドで汗だらだらかいて、クソ重いタックルでフルキャストの連発・・・・・ティップ動かす元気ありますか?って感じで、リーリングだけで食わせのアクションに持っていけるのは最大の利点です。
いってみりゃズル引きで事足りる手軽さwww
だもんで、断然デカフロッグが良いです。
で、どのくらいのでかさかというと、
まず雷魚ロッドで投げれる限界が35gだと思います。それ以上になると重すぎてロッドの振りぬけに陰りが見えてくるため、飛距離は伸びません。
信じられないかもしれないですが、
53gだろうが、35gだろうが、飛距離は・・・・35gのほうが飛んでますね。雷魚ロッドとのバランスってやつでしょうか。
そのためマックス35gくらいでOKだと思います。
で、垂直浮きを使う場面対策で、35gで垂直浮きのフロッグ、水平浮き対策で35g水平浮きのフロッグ、
で、クリーク、マメ雷魚対策で、25g垂直浮きのフロッグ。これだけあればあらゆる雷魚ゲームに対応できると思います。
市販品で言うと、
小型フロッグのMVPはやはりボンジュニです。
ボンジュニが25g垂直浮き。
デカフロッグの35g垂直は、やはりボンビがMVPです。
で、デブフロッグ水平は、やはり圧倒的にバスプロテンダートード(大)です。
で、この3匹が鉄板だと思います。ただ、バスプロは手にはいらん。というわけで、もし、バスプロが手に入らないのなら、
スプロのキングダディが35g水平浮きクラスなのでアレをチョイスする手もあります。
これも、マメ雷魚からいてこませます。
長いフロッグか短いフロッグか
フォルムについての薀蓄が入ってきたので、ついでにこれも。長いフロッグが良いのか、短いフロッグが良いのかという点についてです。これについてはハッキリと言い切ります。短いフロッグのほうが良いです。というのも・・・・若輩者の時代、アルガスやLDムルヨン使ってて、死ぬほどバラしているからです。
そもそもが、長いフロッグだと、雷魚が噛んだ時に針周辺の皮が凹みません。
いわずもがな、フロッグというのは普段は針が隠れていて、雷魚が噛んだ時に針が出るルアーです。
そのフロッグが長いと、1箇所が凹んでも、針が出にくいわけで、長い形状のフロッグというのは不利に働きます。さらに薄いと最悪。薄いと、凹んだ時の上下の皮移動が短くなりますから、フックがかかるレンジが小さくなります。つまり、細長い形状のフロッグはNGです。
LDムルヨンなんかは長細いフロッグですが、
真ん中を凹ましても、フックポイントはほとんど出ません。この状態でフッキングで口の中をスライドさせてもスッポヌケ。LDムルヨン、よくバラしました。
アルガスなんかもひどい。
へこましたって、針はほとんど出ません。すっぽ抜けて当然です。
だもんで、細長いフロッグ、LDムルヨン、アルガスなんかは無茶苦茶バラしました。
また、ボディが長くなると、針〜アイまでの長さも長くなり、雷魚のヘッドシェイクで、フックのぐらつきも大きくなるため、バレやすさにつながります。フックアップしにくく、バレやすい。いいことがありません。
こういう、長くて薄いフロッグは最悪です。
さらに長いと空気抵抗があるため、飛行中にバランスが崩れて、バタついてドッボーンとなるリスクもあります。フロッグは短いほうが良いです。また、雷魚が噛んだ時に、針よりもボディ上部が下に行ったほうが針が出やすいです。そのため、チビデブフロッグが一番です。
※チビデブでもタマゴ型はNG
また、えらいバレるなと思ったのが「卵型」のフロッグ。
クリークでフロッグ使ったときは、バイトの瞬間が見えるんですが、そのときに、ツルン!と口をすべるようにしてミスバイトを誘発していました。食いにくいのか、安定して口の中に入れることが難しいように見えました。
考えてみれば、雷魚には手がないわけで、動いている獲物を追っかけて口だけで捕食するその様は、「パン食い競争」のソレです。
図で表すと、
雷魚がタマゴ型フロッグを追っかけて、吸い込む!
一瞬口の中に入り、
閉じようとすると、タマゴ型のため、ツルン!と滑ってマウスアウト!クリークの見え雷魚戦で、卵型フロッグのアタックの瞬間はコレでした。
人間にしてみても、パン食い競争で、ツルツルのゆで卵が吊るしてあっても、なかなか食べにくいわけで、これを考えた時、パン食い競争で食べにくいものは、ミスバイトが多く、食べ易いものはミスバイトが少ないということが出来ると思います。これを「パン食い競争理論」と呼びます。
そう考えると、市販フロッグにもタマゴ型のフロッグがたくさんあり、これも苦い経験で、
ホントよくバラしたのがセサミです。タマゴ型フロッグは飛行中の姿勢が安定し易く、空気抵抗も少なく、また、カバーの中に埋まってモコモコと動くのでアタックはかなり取ってくれるんですが、チューニングとか色々試してみたんですが、やっぱりダメで、本当に良くバラしました。これもやはりタマゴ形であるが故の食いにくさが原因じゃないでしょうか。
同じような形状でスミスのデントスシリーズがあるんですが、不思議とこれはあまりバラしていません。というのも、デントスの場合、表面がザラザラに加工されているので、これが滑り止めの役割をしているのかな?とも思いました。
良いのは、空気抵抗の少ない砲弾型で、ある程度、角ばっていて、ある程度細長いフォルムのフロッグで、ある程度デブなフロッグが食いやすく、扱いやすく、フッキングも良いと思うわけで、
ベストは、ボンシリーズだと思います。
シンカー調節について
上記の浮き調整をする際に必要なのがシンカー調整ですが、これもなかなか奥が深いです。まずやるべきは、垂直浮きを作ることです。垂直浮きをチューニングする時は、「何gまで背負えるのか?」というのを調べなければなりません。
そうすると、45度浮きならば何gなのか、水平浮きにするには何gなのか、のアタリが付きます。フロッグチューニングはウェイトデータがものを言います。また、いちいち浮き調節をしながらシンカーを調節する手間が省ける上に、浮き調節をして水に濡れたオモリを拭く手間も省けます。結果、データを調べた上でのセッティングのほうが手間がかからないのです。垂直浮きにするためのセッティングデータは必ず調べましょう。
で、シンカーですが、オススメなのは第一精巧の糸オモリです。糸オモリは細さの違いによって、巻き重ねがスムーズにいきます。
細い糸オモリを巻いて、シーリングして、その上から太い糸オモリを巻いていくと、オモリが密着して、小面積にビッシリとオモリを整列させられます。
純正でついているのが板オモリですが、板オモリはペンチでつねって固定させると隙間ができてしまって、その隙間の空洞がウェイトが入らないんで、もったいないのと、ペンチでつねることでフックのバランスが崩れてしまうリスクもあり、また、ゲイブにたくさん巻くのが出来ないのであまりお勧めしません。
また、ハネクラやロデオからスロットシンカーが出ていますが、値段が高いのと、
ゲイブのベント部ギリギリに巻くことが出来ないので、より軽量に垂直浮きをしようと思った時にセッティングしにくいデメリットがあります。
さらに、スロットシンカーの特徴として、
ボディに合わせた時に、
@の部分が広くなるのでボディが凹んだ時のフックがかかるレンジが広くなるのがメリットなんですが、反面、オモリをフックの下にセットするため、Aの部分が広くなってしまうんです。
ということはですね、シンカーがない状態でこういう状態だったら、
スロットシンカーをセットすると、シンカーがボディを押し下げるため、
フックが全体的にボディの上に行ってしまい、ウィードレス機能が死んでしまいます。
このため、スロットシンカーを使う場合は、フックを小さくする必要があり、前述にもありますが、フックが小さくなるとボディが凹んだ時のフックポイント下部の距離が短くなってフッキングが悪くなるので、果たしてどちらがいいのか・・・という感じです。
一方で、最も小さいスロットシンカーはフック下側にシンカーがこないような形状のものもあって、これだとフックを小さくする必要がないため、重宝しそうな感じもしますが、そもそもが小型であるが故、軽量シンカーなため、ほとんど重量の増加がなく、後後コイルオモリを追加しなければならないため、あまり意味がないような気もします。
やっぱり、第一精巧の糸オモリが一番だと思います。
ただし、コイルチューニングは巻きすぎると、ゲイブ下部が出っ張ります。あまりシンカーを出っ張りすぎたら、雷魚の口の中でフッキングをかましたときに、フロッグがスライドする邪魔になりますから、
なるべくなら、ボディ下側は滑らかな曲線を描けるようなシンカー位置にセットしましょう。
※なお、チューニング途中でのウェイト調整を完璧にやっても、シンカーの接着剤、フックホールのシーリングにより、全体重量はウェイト調整時よりも1.5〜2.0gくらいは増えます。そのため、ギリギリに調整していると、シーリングで沈没してしもたということにもつながりますので、ここらは各フロッグをチューニングしながら、後何g増やせばいいかということのアタリをつけるしかありません。最終的な浮き角度の仕上がりは「運」です。
例えば、合計重量が32gのパーツでも、
接着剤で1g増加し、
完成段階で34g。結局2g増加しています。もし、ギリギリ浮きを狙ってチューニングしていたら、沈没フロッグになるところでした(汗)というわけ。
※補足で、やってはいけないウェイトチューニング
ずばりガンダマ入れてウェイト調整。これダメね。オススメする人、結構居るんですが、まぁ、止めたほうが良いと思います。というのも、ガンダマを入れると、中でコロコロと転がるため、多くは垂直浮きとなります。その状態は、ゲイブ周辺にガンダマが山盛りになっています。となると・・・・フック、刺さらないですよね!?物理的にフッキングが悪くなるんですよ。だきん、やめたほうがいいです。
シンカーの接着剤について
上記のシンカー調整の際に考慮しなければならないのがシンカーの接着剤です。大切なのは、動かないこと。
実戦で懸念されるのは、シンカーのアッセンブリがフックから丸ごとズレることです。
つまり、こーゆーふうになっているフロッグが、
ズレてこうなるわけです。
そうなるとフッキングできません。これだけはなんとしても阻止しないといけないので、強力な接着剤が必要となります。接着剤の化学を考えた時に、1液と2液は全然強度が違うので、より強い接着が目的の部分は2液接着剤を使うほうがベターです。ただし、簡単に手に入る接着剤は、5分型のエポキシですが、
こいつは粘性が高すぎて、分厚くなりすぎるため、フック上部での干渉が懸念されるため、オススメしません。
良いのは東邦産業のUVレジンです。粘性が低く、また2液接着剤と同レベルの強度を併せ持つため、作業性は良く、接着も頑丈にいけます。
が、しかし、UV照射機が必要になるため、
東邦純正のペンライト式UV照射機を買うか(1000円)、でもアレは照射面積が狭すぎて使い勝手が悪いので、
ネイル用の照射機を買うか、です。それもチョット・・・・という方は、
セメダインの5分型エポキシをシンカーのハシっこにちょっと塗るだけでも違います。兎に角、2液は導入したほうが良いです。
フックホールシーラーについて
フロッグチューニングで最後の慎重な仕事が、フックホールのシーリングです。ボディとフックをキッチリとバランス良く固定させないと、フックはずれるわ、フッキングは死ぬわで、後々泣きを見ます。色々使いましたが、まず、フロッグの皮である軟質塩ビ自体が重度の難接着物質で、ほとんどの接着剤につきません。軟質塩ビでもOKというのが、大きく分けて、2種類あり、シリコン系接着剤とウレタン系接着剤です。
代表的名シーラーですが、
シリコン系がセメダインスーパーX。
ウレタン系が、コニシのウルトラ多用途SU、パンドー156A、ウィプラッシュのフックホールシーラー、スミスのグロッサシーラーといったところです。
このうち、無溶剤タイプがウルトラ多用途、スーパーX。
溶剤タイプがパンドー、グロッサシーラー、フックホールシーラーです。
で、各シーラーの特徴ですが、溶剤タイプか無溶剤タイプで特徴を分類しやすいので、そちらで分類します。
まず無溶剤タイプですが、無溶剤タイプは痩せがありません。
シーラーを接着する時につけた接着剤が固まると、
つけた時と同じ肉厚で接着が出来ます。
半面、パンドー、フックホールシーラー、グロッサシーラーは溶剤タイプで、接着剤を塗ったときはモリモリなんですが、
硬化するとモリモリだった樹脂は痩せまくり、薄く接着されます。
シーラーの耐水実験
で、シーラーの性能は何と言っても強度。ずれたら終わりです。でもって、水に漬かっていることが多いんで、耐水性が重要となります。そこで実験を行いました。
パンドーを塗ります。
痩せて固まりました。
コニシウルトラSUを塗ります。
痩せずに固まりました。透明です。
セメダインのスーパーXを塗ります。
痩せずに固まりました。
ツメで引っかいてはがれるか実験しました。パンドーはびくともしません。
スーパーXもはがれません。
コニシSUははがれます。したがって、コニシSUは強度が悪いので、シーラーとしては不適です。
そしてシーラーが付いたまま、水の中にしばらく漬けてみます。
すると、スーパーXは白化し、手で簡単にはがれます。
コニシSUは透明なままですが、これもはがれやすくなります。
一方、パンドーはびくともしません。
これは溶剤によるもので、シーラーの接着時に溶剤が軟質塩ビを溶かしながら溶着するため、付着が良いんです。一方、無溶剤タイプはボディが溶かすことがないため、どうしても接着が甘くなってしまい、水中暴露で、剥離に繋がります。
したがって、溶剤タイプと無溶剤タイプだったら、溶剤タイプを使うべきです。
となると、使うべきは、溶剤タイプのパンドー、フックホールシーラー、グロッサシーラーになるんですが、これらは溶剤を使っているので臭いのが難点ですが、ラッカーシンナーだとかの殺人的な臭さではないので、気にはなりません。
しいていうなら、臭さは
臭い グロッサシーラー>パンドー=フックホールシーラー 臭くない
でしょうか。で、シーラーの求められる性能で、速乾性というのがあります。乾くのが遅いとタレてしまって、フック以外のところを固めてしまうからです。そうなると、凹み方が悪くなり、フッキングの悪化につながります。
だもんで、速乾性は必須です。これに関しては、
乾燥速い パンドー>フックホールシーラー>グロッサシーラー 乾燥遅い
だと思います。
実用面で言うと、パンドーは息を吹きかけただけで、白化&表面が固まるので、パンドーが一番使い易いです。一方、グロッサシーラーは固まるのがスゴク遅くて、フロッグをクルクル回転させながらタレ防止をやっても、まだたれるか!?という感じ。フックホールシーラーはその中間ってところ。
だから、パンドーが一番使い易いと思います。
で、強度ですが、これはグロッサシーラーだと思います。硬くて剥がしにくくて、一番優秀。長期間の使用でもピンホールが開かないし、耐水性もバッチリ。
パンドーは塗った時はすごくきれいで性能もいいんですが、
使い倒してくると、経年劣化で、樹脂にピンホールがあいて、長時間の水暴露で、そこからエアが漏れます。実用上問題があるわけではないですが・・・。
※パンドーのピンホール対策で、2液エポキシをあとからコーティングというのがありますが、
これはこれで、割れてくるのでなんとも言えず・・・・
しかし、値段と入り目ちゅうもんがあります。パンドーは150gで680円なのに対し、グロッサシーラーは10mlで700円はしたと思います。フックホールシーラーが50mlで1000円ほど。シンカーの固定とか、アイの補強とかで結構頻繁に使うケミカルですので、値段と性能で考えると、やはりパンドー156Aが一番だと思います。
ブレードチューニング等、小手先は必要か?
ワタクシ自身、初期の頃は全部のフロッグにブレードをつけていました。なんか、手を加えたら釣れそうな気がするんですよね。
がしかし、今、ブレードをつけているカエルはほぼ居ません。なぜかというと、ブレードをつけると、飛んでる時の安定が悪くて、ブレて、飛距離が落ちるんですよね。
でもって、カバーを攻めると、ブレードが引っかかる。
これはトロロで良くあるトラブルですね。こーゆーところでスイベル使うと、
藻が絡まってスイベルが動きにくくなります。また、藻を連れて来るのでアタックされない。
ただし、雷魚自体、フロッグよりは、スピナベみたいな、ヒカリモノ回転系の動きに反応が良いと思うので、ブレードの効果はあると思います。
がしかし、それは食うまでの話です。
アタックに入ると、明らかにブレードは食いにくそうです。またブレードだけ加えて、本体まで行きませんってのも良くあります。だもんで、フッキングのみを考えた時は、ブレードは要らないわけで、またキャストも不具合が出るのでダンゴのほうが良くて、カバー攻略にもブレード不要なわけで、あまりブレードチューニングのメリットはないように思えます。
ただし、オープン、ライトカバー等で使うには、効果ありだと思います。他にもビラビラのスカートチューニング、ゾンカーなど、色々ありますが、基本、雷魚はフッキングが良いか悪いかだと思います。だもんで、オススメは断然ダンゴ。
雷魚は基本はダンゴです。
ただし、ブレードチューニングをやるなら、クレンスイベルチューニングといって、スイベルをブレードの両端にセットする方法が効果的です。キラキラと光るフラッシング効果+ギャリギャリという異音も発生してくれるので広範囲の雷魚にアピール効果ありです。
ゾンカーチューニングについて
ゾンカーというのはラビットファーのことです。
最近見なくなりましたけど、スミスから出ていて、たしか500円くらい
これもフロッグチューニングの初期によくやる、「手を加えたらなんだか釣れそうな気がする」症候群でやりがちなチューニングです。ワタシもかなり良く使っていたんですが、別にゾンカーなんぞなくても全く関係ないですね。
やる気があるヤツはゾンカーなんぞ関係なくアタックしてきて、やる気のないやつはゾンカーだろうがワームだろうが見向きもしません。←雷魚はコレが多い。
となると、ゾンカーをつける意味というのがほとんどなく、むしろつけることによって空気抵抗が増えるので飛距離ダウン。さらに、食ったと思ったらゾンカーのみですっぽ抜け。等々、必要のないチューニングです。
ワームのシッポみたいにウネウネするのが良いと思うんですけどね〜。あんまし関係ないですね。
ポッパーフロッグについて
ポッパータイプはダメです。
ポッパータイプの一番の特徴は、ポーズを取ってその後のワンアクションでポコッ!という音が出ることにありますが、ポーズ後のワンアクションで、出る音や水しぶきは、垂直浮きにチューニングしたフロッグでも出ます。
ヘッドバンキングした時に水面を叩くからです。ポコッではなく、ペチャ!という音ですが、兎に角音は出ます。
ポッパーで出る雷魚は、垂直浮きのフロッグでも出ます。そのため、別にポッパーだから出るというシチュエーションがあまりないのと、ポッパーは垂直浮きにセッティングしたらカップが水面に埋まらないため、ポップ音が出ないので、水平浮き〜45度浮きにする必要があります。
音を出そうと思ったら、ノーマルで水面にカップが入っている状態でないと水をかいだしてくれません。
垂直だと、カップが水に漬かってないのでポッパー特有の音が出にくいのです。
つまり、ポッパーを使う場合、水平浮きにする必要があり、また、ポッパーって小型タイプしかないから、そうなると重量が少なくなって飛距離が出ないです。
ワタシの使った中ではイチバンでかいポッパーはC−POPですが、これも25gってところ。他のデカフロッグと比べるとウェイトが全然背負えません。そのため飛距離が出ないのと、
あと近づいてきたらシェイクでフロッグが浮いてしまうので、ポップ音が出ません。だもんで、足場の高いクリークの近距離戦では使えません。使うなら、野池か足場の低いクリーク。しかし、野池は飛距離がいるけどポッパーは軽くチューニングしないといけないから飛距離が出ない。足場の低いクリークはなかなかない。というわけで、なかなか使える場面がないです。
でもって良いポップ音を出そうと思ったら、シェイクで水平にジャークさせる必要があるため、遠くにあったほうが良い音が出ます。最低でも15mくらいは離れて使ったほうが良いと思います。
近づけてもポップ音を出そうと思ったら、ロッドを下向きにしてシェイクすることですが、なんせアホほどゴツイタックルを下向きにジャークさせるのが体力的に至難の業。
さらに構造的な欠陥があって、カップ形状がカバーを拾うんです。カップがカバーに引っかかるため、フロッグのクセによく引っかかる。ハスの茎やら垂れ下がった枝系のオーバーハングなんかではウィードレス機能は最悪。
おまけにカップが雷魚の閉じた口を開けてフックオフしそうな気もするし、フッキングの邪魔になるような感じがするため、もう全く使っていません。
現状のフロッグの課題
コスト面について
これも、「フロッグについて思うこと」主張していることなんですが、はっきり言って「無駄なコストがたくさんかかりすぎとるんちゃうか?」です。
まず、「メーカー→問屋→釣具屋→通販→客」がムダ。
雷魚みたいなマイナージャンルでは、そこいらの釣具屋でお見かけすることはまずありません。たとえあっても、わずかばかりのフロッグを見るくらい。フロッグの種類はおろか、カラーを選べる選択肢もありませぬ。
だもんで、雷魚師は基本「通販」を利用します。そのため、流通経路で、問屋→釣具屋がムダ。メーカー直売全部通販で良いんですよ。無駄なマージンはヘズレです。
そして、パッケージに入った組み立てられたフロッグがムダ。フロッグなんてものは、基本的には、要チューニング釣具です。
パッケージから出して、バラしてまた組みなおすわけなので、最初から組まれた状態でパッケージに入れる必要がない。
また、多くの場合、針を再チョイスし、針をチョイスするとアイが合わなくなり、
アイをチョイス。だもんで、針もアイも入れる必要はなく、そんでもって、オモリも付いていますが、
基本板オモリで、ウェイト調整を細かく出来るほどのオモリではなく、結局中途半端なチューニングをするための道具でしかないわけです。
それに、結局シーラー、PEが必要なため、パッケージの道具だけでは使用不可。だったら、中途半端な道具で抱き合わせ販売すんなよってのが持論です。
皮なら皮だけ。針なら針だけ、アイならアイだけで発売してしかるべきなんです。ノーチューニングフロッグはブラバスにまかせとけ!雷魚はバラバラで販売せんかい!とこう思います。
コストはもっともっと下げられるはずです。
現状のフロッグの課題について(長いヨ)
色んなところで述べているのでそのまとめになるんですが、現状のフロッグの課題、それは製法にあります。
通常、フロッグは「スラッシュ成形」によって作られます。このスラッシュ成形が良くない。
スラッシュ成形の場合、未硬化のゾルをフックホールから排出する関係で、排出時に未硬化のゾルがタレそうでタレない状態になるため、
フックホール付近がどうしても厚くなります。
さらに、加熱の関係で、
Rのキツイ部分は熱がダブルで伝わりやすく、高温になるため、ゾルの硬化が促され、肉付きがよくなります。
結果、厚くなります。いわゆる、「尖った部分」は厚く成形されます。
これはどのフロッグにもいえることで、ウィプラやロデオ、ラッティなどで顕著に見られます。
アマガエル。ケツと腹が厚いです。
ゾルを排出する時に、まずフックホールよりも前のゾルを落としているんでしょうね。
そのため、腹からフックホールに向かってゾルが落ちる際に硬化し、フックホール手前の腹が厚くなる。その際、ケツの樹脂はまだ排出されないので、金型へ肉付いている。
その後、フックホール後方に溜まったゾルを排出するため、ケツの辺りのゾルは金型への付着時間が長いため、ケツの先端が最も厚くなる。アマガエルの断面図はこういう理由だと思います。
ロデオのクローク。同様にケツと腹が厚いです。
ラッティのセサミ。同様に腹とケツが厚いです。
アルキデスも同様です。
ハネクラのゾウ。これもフックホール周辺が厚いです。
フロッグのフッキングにおいて、この部分が厚くなってしまうと、雷魚が噛んだ時にフックホール周辺が凹みにくくなりますのでフックの根元まで刺さってくれないので致命的です。つまり、フロッグのフッキングに於いては、フックアップまで持ち込んだフックがゲイブの根元まで刺さってくれることが理想的なんですが、ボディ後方のケツの辺りが硬くて柔軟性にかけると、ゲイブの根元までフックが刺さるのを阻害するわけです。
スラッシュ成形とフロッグ製造のミスマッチというのはこの点にあります。
フロッグ全般に言えるこの症状に関しては贅肉カットチューニングが有効なのでそれを実践することで解消できますが、成形の時点で、この部分の厚みを削り取れたほうが有利に働くことは確実です。また、ケツに向かって段々薄くなる。こういう厚みデザインだった場合、フロッグのフッキングは最も良くなります。
結局、フロッグという釣り道具は魚が噛んだ時にどれだけフックをむき出しに出来るかでフッキングの良し悪しが決まる道具です。なので、フックホール周辺の柔軟性が失われることは、フッキング悪化につながります。
スラッシュ成形で出る、ゲイブ付近の致命的な厚み勾配。このゲイブ周辺の肉をいかに減らせられるかがフロッグメーカーの技術力だと私は思います。
各メーカーのフロッグについて、これらの成形のクセを考えた上でフォルムを考察してみます!
アマガエルです。ケツは尖っており、その部分がいびつになっているため、スラッシュ成形の塩ビゾル排出工程時には、未硬化のドロドロしたスラリー状のゾルがフックホール周辺に溜まりやすく、したがって、
このようにゲイブ、フックホール周辺の肉が厚くなっています。この傾向は
ラッティや、
ハネクラ、
ロデオ、などなど、どのフロッグメーカーもこの傾向が見て取れます。
ところが、色々なフロッグを見ていくと、アレ!?というフォルムがあります。
それがスミスのフロッグです。
グロッサシリーズ、アルキデスなんかは他のフロッグと同じで、お話になりませんが、
デントス以降、形状が変わったことに気づいたでしょうか?ケツがでかく、さらに丸みを帯びさせているのです。
Rがゆるいために、塩ビゾルの排出時には、排出スピードが上がり、スラリー状のゾルがフックホール周辺に溜まりにくい形状となっております。
真っ二つに割って、各部分をノギスで厚み計測してみたところ、
なんと思ったとおり、他のフロッグで見られた、ゲイブ付近の厚み誤差が全然違うのです。ケツの周辺の厚みは薄く均一。他のメーカーのフロッグとは根本的に厚み勾配が違っているのです。
さらに内側にはえぐれたようなタレた樹脂があり、これは塩ビゾルを排出する際にどないか回転させているのかも!?と思ったりもしました。
兎に角、スミスは最も柔軟性が必要な、ゲイブ周辺の厚みをうまくコントロールできている高い技術力を持ったメーカーだなと思いました。基本的な設計が他メーカーのフロッグとは全然違うのです。
一方で、長年、雷魚マンの間で、フッキングナンバーワンと詠われるフロッグ、
スナッグプルーフですが、これも他のフロッグとは一味違ったところがあります。
穴が2つ付いているでしょ?通常、スラッシュ成形品の穴は1個です。が、スナプルは違う。中央のフックホールとガンダマの穴、2個あるのです。形状的にはガンダマの穴のほうが大きいので、スラッシュ成形をやる上ではガンダマの穴からゾルを抜いたほうが効率がいいはずですが、
もし、フックホールからゾルを抜く場合だと、ゾル排出時に金型は水平になるわけで、樹脂が溜まるのは中央部。ゲイブ部分はさっさとタレてくれるので、薄く成形できるはずです。
がしかし、穴は膜が張ってあり、排出は出来ないはず。
ガンダマが仕掛けられている場所も同じ。ガンダマの裏には膜が張っていて、排出は出来ません。
こういう点で、他のフロッグとは金型の設計コンセプトが違うことが見て取れます。
じゃぁ、どうやって作ってんの?という疑問が生じます。
ここで、スナプルの謎を確かめるべく、分解して、厚み測定を行いました。
結果、まさかの厚み勾配でした。通常、スラッシュ成形品のフロッグはフックホール周辺がイチバン厚くなるはずなんですが、スナプルは逆。フックホール周辺が一番薄くて、フックホールから一番遠い、アイが厚かったのです。他のフロッグとは全く逆の構造です。
ということは、製造方法に違いがあるはずです。
この厚み勾配にするためには、ゾルを排出するドレンの穴はフックホールではなくアイです。スラッシュ成形は排出口周辺が一番厚くなります。スナプルの場合、アイ周辺が一番厚いため、
実はゾル排出のドレン穴はアイで、頭を下にした状態でゾルを抜いているのではないでしょうか???
昔ナゾだった、スナプルのヒレのところについている穴。これはアイからゾルを排出する時の空気の抜け穴ではないでしょうか?
そう考えると、アイのところが一番厚くて、ゲイブの頂点が一番薄い理由がわかります。なんにせよ、ゲイブの頂点の厚みが、0.3mmですからね。フッキングの良さも納得です。オマケにアイの部分を厚くすることでアイ抜け防止にも繋がるため、合理的です。ただ、あの細いアイの穴でゾルが抜けるのかどうかが疑問点の1つでもあるんですが、何にせよ、この厚み勾配はフロッグの性能をいかに引き出すかを考え抜いて作られた感が否めません。往年の名フロッグは、やはり一味違いました。
で、またスラッシュ成形のハナシに戻しますが、
スミスのフロッグを例にとって、ケツに丸みを帯びさせることでスラッシュ成形時のゾルが排出されやすくなり、結果、薄く成形できる傾向があると思われると推測しましたが、しかし、じゃぁ、丸くしたほうがええんか!?と言われると、これも素直にウンとはうなづけないんです。
それはフックが隠しにくいからです。フロッグは最強のウィードレスルアーですから、なんといっても一番のメリットは「ひっかからないこと」であります。
その上で役に立つのは、フックポイント周辺にドテを作ること。
これはハネクラのフロッグですが、フックが来るところに凸があります。この凸がフックポイントを隠してくれるため、引っかかりにくくなります。
一方で、ゾルの排出を円滑にするために丸みを帯びさした場合、
ドテがなくなるため、フックポイントは隠れにくくなります。
ドテがなくても、フッキング上は全く問題ないですが、ウィードレス性能に問題があります。なかなかどうしてうまくいかないモンです。
※ なお反則技として、ゾルの抜き穴をフックホールではなく、アイの位置から抜くというのも一つの手です。そうすると、ゾルの排出時にはアイ側が厚くなり、ケツ側は薄くなるという効果が得られるはずです。チューニングはめんどうになりますが、戦力としてはコチラの製造方法のほうが確実に上です。
以上、上記の課題はスラッシュ成形を選択する以上、避けられない特徴であり、ウィードレスルアーとして使用する「フロッグ」とミスマッチしているんじゃないか?と常々思っております。
これらの問題を解決するためには、スラッシュ成形以外の成形方法を模索する必要があるのですが、中空成形自体が特殊な成形方法であり、方法がかなり限定されます。
まず中空成形の一つが、「回転成形」
回転成形はメス金型×2をドッキングさせた状態で樹脂を入れ、
それを3次元回転させながら
樹脂を外側に積層していく方法です。
積層後はメス型を離型して中身を取り出します。
農業用のポリタンクやマネキンを作る時に使われる成形方法です。
FRP船を作る時なんかに使われる、「ハンドレイアップ法」の自動化バージョン的な成形方法です。大型の中空成形をする時に良く使われる手段ですが、マメみたいなサイズのフロッグをやるにはいささか設備が大きすぎるので無理があると思います。また、内部で均一に樹脂を積層させなければならないので、投入する樹脂は多くなってしまい、皮の厚みに影響が出るはずです。そのため、フロッグ成形には適したやり方とはいえません。
続いてブロー成形。
ブロー成形もメス金型×2をドッキングさせた状態で使用し、成形時には、パリソンとよばれるチューブ状の樹脂を投入。
パリソンのチューブ内側からエアで樹脂を膨らませて(ブロー)メス型に押し付け、積層させる方法です。
最後はメス型を離型して終了。
ポリ容器、醤油刺し、ペットボトルなんかで使われる成形方法で、パリソンの厚みが一定ですから、厚みは全部一定。ただ問題があって、カドっこは樹脂が厚くなるという欠点があります。そのため、もし段差をつけることで針を隠す金型を使用した場合、最もへこんで欲しいドテといった凸部分が凹みにくいという事態に陥る可能性があります。
また、プラスチック成形屋さんに聞きましたが、特殊で珍しい装置のため、初期投資もバカにならないらしいです。だから、ベストな方法とは言いがたいと思います。
で、残るのが、ディップ成形です。
ディップ成形というのは、
オス型の金型を電気炉で過熱。
熱硬化の塩ビ樹脂(ゾル)にドブ漬け。
金型の蓄熱によってオス型に樹脂が肉付き。
金型を引き上げたら、ゾルの内側は金型の蓄熱で硬化。外側が固まりかけの未硬化の樹脂が出来上がります。
それを再び電気炉に入れ、加熱。これで外側の樹脂は完全に硬化します。金型側、その反対側が硬化するので、中空品のオモテウラ、すべてが硬化します。これで成形終了。
あとはエアブローで硬化した樹脂を飛ばしたら軟質塩ビの成形品が出来上がります。
コイツを応用して、中空成形が可能です。
ワタシがフロッグに良いと思うのが、このディップ成形による製造です。
ディップ成形フロッグの特徴について
まずはメリットについてです。
@厚み勾配を容易にコントロール可能
ディップ成形の特徴は、まず、内側には金型がいるので、内形寸法が正確に出ること、半面、外形寸法が正確に出ないこと、角度の付いている部分は放熱し易いため、蓄熱をゾルに伝えるのに条件が悪く、肉付きは悪くなることです。
図説すると、金型の中でも、Rのきつい部分は放熱しやすいため、熱が逃げやすく、
放熱しやすいカドが薄くなります。
しかし、この成形方法がフロッグの新しい未来を切り開くと思っております。まず、Rのついた部分が薄く、弱くなるという点。
これだと、ウィードレス機能を確保するために、フックポイント周辺に凹凸をつけたって、樹脂が薄くなるから、凹みに不具合が出ることがありません。
いってみれば、バイト時にフックポイントを露出させるのに必要な部分が薄く成形されやりこくなるというわけです。
そもそもがフロッグは全体的に見て、フックを隠すためにあれこれ造形を加えているためフック周辺は凹凸だらけです。その部分が薄くなってくれると、凹んだときにフック周辺が空きやすくなり、フッキング向上へつながるはずです。
最も良い部分は、ケツの尖がり部分で、ここが薄くなってくれると、フックが奥まで入りやすくなるため、スラッシュ成形では得られないフッキング性能になるはずです。
以上は成形時のカドの樹脂厚みについてなんですが、
続いてディップ方向についての樹脂厚みです。
ディップ成形は、ディップの仕方によってゾルの厚みが変わります。
ディップ成形は、ヒタヒタにたまったゾルの中に金型をドブ漬けするわけです。そのため、肉付きするときに厚みの誤差が出ます。それは、ゾルに最初に浸かった部分と最後に浸かった部分に、浸漬時間の差が生まれるからです。
言い換えれば、金型をどこに吊るすかで厚みをいじれるのです。これをフロッグに応用すると、どういうことが出来るかというと、
腹筋強化チューニングのように、腹を厚くしたければ、上から吊るせばいいんです。腹の方が浸漬時間が長いので厚くなります。
フックホール周辺の肉付きを薄くしたければ、ケツから吊るせば良いんです。浸漬時間はアイ側の方が長いので、アイからケツに向かって薄くなる厚み勾配が可能です。
こういう具合に、樹脂の厚みをいじろうと思えば、どうとでも出来る。これはディップ成形の強みです。
以上のように、フロッグの使用状況を考えた際、Rの付きかたと樹脂のベストの肉付きが、フロッグとディップ成形はマッチしております。また、ドブ漬け方向も厚みのコントロールに応用が利きます。以上のメリットはスラッシュ成形では出来ない、ディップ成形のみのメリットといえます。
例えばこれは係長フロッグですが、真っ二つにしてみると、
みてんこの薄さ!フッキングで最も重要なゲイブの頂点に当たるところが一番薄く成形できています。
真っ二つに割って計測したところ、厚みの勾配はこんなところ。なんと35g級のフロッグでゲイブ部分のカドっこのところが、スナプルに迫る勢いの0.3mm厚み。いわずもがな、最強のフロッグだと思います。
以上、凸部分が薄く成形できるメリットです。
A試行錯誤のし易さ
さらに、ディップ成形のメリットは、試行錯誤とフィードバックにも関わってきます。通常、金型を作ってしまったら、あとから加工が出来ず、最初からやり直しとなりますが、ディップ成形の場合、オス型の1個なので、コイツを小さくしたり、不具合が出た部分を除去しようと思ったら出来てしまうわけです。
例えば、成形してテストしたプロトモデルで不具合発生。もう少しRをつけたほうが良いなとか、もう少し小型のほうが・・・と思ったら、金型を削ってしまえば良いわけです。金型を削ることは出来ても、大きくすることは出来ませんが、小さくすることが出来るだけでもかなりの強みです。
で、改良した金型はもう一回成形したら別のフロッグが出来ます。つまり、「釣れなかった時、改良を加えたい時のフィードバックが簡単に出来てしまう」こと。これがかなりの強みです。というか、釣り道具の研究はそれがないと使い物にならないゴミが出来てしまうので、フィールドテスト→試行錯誤→フィールドテストが出来るというのは何よりの強みです。また、金型一つ一つが独立しているので、小数作って、出来が良いものに関しては、同じ金型を増やせば、量産効果(1つあたりの製造原価が安くなる)が得られます。だもんで、試作品を安く作れる上、量産体制へ持って行き易いのでこれも便利。
B値段の安さ
さらに、ディップ成形品、とっても安いです。ディップ成形の代表選手といえば、電工部品の絶縁カバーです。これ、100個100円とかですからね。激安!
工程が単純で、しかも使用ゾルにロスがないんで安いんでしょうね。
これがスラッシュ成形の場合だと、内部の未硬化のゾルは、ロスとして排出されてしまいますから、1個作るにしても、皮+金型内の体積分のゾルが必要となります。
例えば、スラッシュ成形の場合、金型中にゾルををヒタヒタに満たさないといけないので、金型の内形体積分のゾルを使用しますが、
結局、ゾルはほとんど排出するので、中空品なのに、必要な原料は中の詰まった製品と同等の量を必要とします。取り出せる成形品以上のゾルがロスとなります。つまり、歩留りが悪い。
一方で、ディップ成形の場合は、皮の樹脂分の原料だけで済むので、歩留まりはほぼ100%。
これが価格の違いとなって表れるんでしょうか。近年、インフレ化の道を進んでいるフロッグ界で、安いのは武器です。
とまぁ、ディップ成形のメリットばかりを語ってきましたが、当然、デメリットもあります。
続いてデメリットです。
Cゾルの選択肢が少ない
まずディップ成形であかんのが、ゾルの選択が狭いことです。
前述にもありましたが、ソフビ成形で使われるゾルは、可塑剤と塩ビ樹脂のバランスでやりこさが決まります。
可塑剤というのは油ですから、こいつが多くなると、ゾルはサラサラになります。つまり、105はねばいけども、115はサラサラなのです。
で、何が問題かというと、サラサラだった場合、金型を一旦ディッピングした後、ゾルから引き上げた際に全部落ちてしまうんです。
そうなると、成形品の厚みはコンドーム並みになってしまい、フロッグとしての使用は100%不可能です。つまり、やりこいマテリアルはサラサラなため、肉付きが悪く、フロッグの形状を維持できるほどの厚みまでもっていけないわけです。
言い換えると、「ディップ成形で、やりこいマテリアルは使えない」という点です。ディップ成形の標準的なゾルが108。一方、スラッシュ成形のウィプラのゾルが115です。ワタシは何度も115でディップ成形を試みましたが、もうサッパリだめ。無理。不可能です。
肉付きを良くするには、金型の温度を上げて蓄熱量を増やすと良いんですが、これもやりすぎるとダメで、ある一定の温度を超えたら、ディップした瞬間にゾルが沸騰し、金型に付着して固形化したゾルが溶け落ちてしまい、
フロッグ表面は無数の沸騰跡に覆われます。沸騰部は皮の厚みが分厚いため、凹んだときに不自然な凹み方をしてしまい、モノになりません。
一方で、スラッシュ成形の場合、オイルバスにより、断続的に金型に熱を加えられます。そのため、ずーっと熱し続けたら、中空ではなく、中身の詰まった成形品にもできます。そのため、どんな種類のゾルでも使えます。
この点でディップ成形フロッグの皮の自由度の低さはデメリットとなります。
ちなみにどれくらいかという話なんですが、110はもうアカンですね。108〜109.5くらいでしょうか。
このレンジでの選択肢になります。ただし、戦闘力としては、ハネクラが110くらいだと思うので、実践での不具合はないと思います。
ベストチョイスとしては109でしょうか。あとは金型温度の蓄熱によります。デカフロッグだと蓄熱量が多いので110くらいのゾルでも肉付きが可能かもしれません。小型フロッグだったら、109が限界です。
どうしてもというなら、金型にサーモスタッドを仕込んでおいて、一定量の熱を金型に流し続けたらどんなゾルでも成形は可能だと思いますが、そもそもディップ成形はそんな方法は使わないので、実現可能かどうかは疑問点です。
D品質の安定具合(バラツキ)について
また、量産した時のことを考えると、フロッグの場合、品質のバラツキは、皮の厚みが同じかどうかが焦点になると思います。
スラッシュ成形の場合は、1バッチ(1回で10個作れるとか、そういう製造単位をバッチと言います)終わった時点では、金型温度は最後の後乾燥工程のため、高温になっていることが考えられます。そこへ2バッチ目のゾルを投入した場合、金型の予熱により、ゾル温度は高くなるはずです。それをオイルバスに入れて加熱した場合、たとえ同じ浸漬時間でも、前回製造バッチの金型の予熱が加わりますから、1バッチ目よりも、2バッチ目のほうがフロッグの厚みは厚くなるはずです。で、製造スタッフが昼休憩に入った場合、昼一の金型は昼食時間の間の放熱で冷えているはずですから、条件は1バッチ目と同じで、2バッチ目とは違うといった、こういうバラツキがあると思います。
一方でディップ成形は、1バッチ終わったら、ディッピングした金型の放熱により、ドブ漬けするゾルの温度は高くなります。そして2バッチ目のディッピングでさらに金型による加熱が加わると、金型への樹脂の肉付きは1バッチ目よりも良くなり、厚くなっているはずです。これが3バッチ4バッチと続いた場合、バッチ数が多くなれば多くなるほど、ゾルの温度は上がっていき、それに伴い、フロッグの皮も厚くなっていくことが懸念されます。つまり「バッチ数が多くなると、最後の製造品のほうが皮が分厚くなる」はずです。
また、熱対流も考えないといけません。ある程度、ゾルの温度が高くなると対流が起こります。
暖かいゾルは上へ。冷たいゾルは下へ行くのです。そうなると、同じディッピングでも、上側のゾルのほうが暖かいので肉付きが良く、下側の肉付きが悪くなるというわけです。そうなると、1バッチ目と最終バッチで、ボディ上下の厚みが変わってきます。
そうなると、メリットのところで述べた、ディップの向きで、厚みをコントロールできる強みが逆転してしまい、逆のコントロールになってしまいます。これがバラツキにつながるんじゃないでしょうか。
改良点としては、冷却装置等で、ディッピングさせるゾルの層を冷やしながら一定の温度で保つことが必要となるはずです。
Eアイの弱さについて
続いてアイに関しての弱点です。ディップ成形はRがきつい部分が薄く成形されます。それはフック側ではメリットに働くんですが、逆にアイではデメリットに働きます。アイ付近が薄くなってしまうのです。アイ側はフッキングで最も負荷がかかる部分です。そのため、抜けたり、千切れたりしやすくなります。
この対策として、アイ付近は2液エポキシで硬い樹脂を積層しています。
がやはり、これも磨耗していくので、この部分の弱さはデメリットですね〜。
F離型について
プラスチック成形は金型を使って行うため、成形後に離型することで製品になります。これはスラッシュ成形もディップ成形も同じ。
ただし、スラッシュ成形は、一つの抜き穴から、やりこい中空ボディを引っこ抜くため、離型時に変形が起こります。
顕著に現れているのがマンズで、1個1個のボディが斜めになっています。そのため、針を隠しにくく(ダブルフックなので、一方が隠れても一方が隠れない)、ウィードレス効果が悪くなります。また、成形前の金型に離型剤(シリコンなど)を塗って、ヌルッと抜き易くすることも行っていますが、マンズの場合、その離型剤を拭き取らずに出荷していると思われます。パッケージ内のマンズはヌルヌルですから。とにかく、離型時の変形はスラッシュ成形の弱点で、これがバラツキの一つでもあります。
一方で、ディップ成形も離型剤を使っていますが、問題点はそもそも抜けるのか!?という点です。
メス型ではなく、オス型の金型を使うため、いびつな形とか、テーパーが逆だと、抜くことが出来ません。
そのため、
一旦、腹を切って離型し、
切った腹をくっつけるという、相当な手間が必要になります。また、うまく腹がついてくれれば良いんですが、ずれることもあって、なかなか厄介です。
しかし、ディップ成形では、「無理抜き」という技術があり、エアガンを使って少々無理な角度のある型から製品を抜く方法らしいのですが、これがフロッグに活用できるかどうかについては未知数です。一応、プロに相談もしてみましたが、
こういう金型を使ったら、「多分可能」だそうですwがしかし、これもスラッシュ同様、離型で変形のトラブルが出るかどうかも未知数です。
以上、ディップ成形における、メリットとデメリットについてです。
☆フロッグの断面図から導く理想的なフロッグの考察(まとめ的考察)☆
このコンテンツでかなり登場してきた「フロッグの断面図」。色々なフロッグを使っていると、フロッグをモミモミしただけで、そのフロッグがいいか悪いか判断できるようになります。というのも、雷魚が噛んで、ボディが凹んだ時に針の露出が大きいフロッグほど性能が良いからです。雷魚が噛んだ時を想定して、フロッグをへこませ、針がどういう風に露出するか。
そのモミモミを定量化したものが、断面図です。
往年の名フロッグスナプル。フッキング最強といわれるこのフロッグ。なぜフッキングがいいのか?それは、皮の厚みが他メーカーのフロッグと逆の勾配になっているからです。他のフロッグメーカーはゲイブの弓頂点のところのボディ厚みが最も厚いですが、スナプルは最も薄くて、しかも0.3mm。ここが薄くてやりこいと、ゲイブの一番奥までフックが刺さりやすいので、刺さりやすく、バレにくい。そんな理由が長年雷魚師に支持されてきた理由です。
ウィプラのアマガエル。これも長年雷魚師から指示されてきたフロッグです。がしかし、断面図を見る限り、小さい割りに、ボディの厚みは厚く、しかも、最も薄さとやりこさが求められるケツの頂点の厚みが2.45mmもあります。がしかし、その厚みをカバーしているのは、マテリアルだと思います。ブヨブヨしていて、ボタモチのようなマテリアルは柔軟性にとみ、また粘るように伸びる。ボタモチボディと小型フォルムはウィップラッシュの良い特徴であり、その皮の材質こそが、長年支持されている理由だと思います。
ハネクラのゾウ。ハネクラのボディの特徴は、材質の硬さにあります。硬いがゆえに、薄くても形状を維持できる。上のアマガエルと比べても、ボディは断然ゾウのほうがでかいんですが、厚みに関してはアマガエルよりも断然薄い。これは硬いマテリアルだからこそ出来ることです。ボディが薄いというのは、
凹んだ時のフック上の幅が広くなるので、フッキングがよくなります。硬くて薄いボディ。これがハネクラファンが多い所以だと思います。
雷魚デントスは、従来のフロッグの特徴「ケツのトンガリが一番皮が厚い」という特徴を打ち破った金型設計のボディデザインです。ケツ部分のボディ厚みが均一。この特徴は雷魚デントスだけです。スミスは現状の国産フロッグの中では、スラッシュ成形のクセを掴んでの金型設計を行っている、最もフロッグの製造技術力が高いメーカーだと思います。
続いてワタシの自作フロッグ。係長。従来のフロッグ製造方法、「スラッシュ」に背をむけ、ディップ成形を選択。その特徴である、Rのきつい部分が薄く成形される。この特徴を最大限に活かす金型設計を行っています。ケツのトンガリに向かって皮が段々薄くなっていっており、頂点部分の厚みはスナプルと同じく0.3mm。この、「キツイ凹凸がありながら、ゲイブ付近が一番薄い」という特徴は、雷魚釣りのフッキングにおいて合理的なデザインです。ただし、尖がったところが薄く成形できるというのはアイの部分にも当てはまることで、アイ部分のボディ厚みが0.4mmしかありません。この部分が薄いと、アイが抜けやすくなり、この点がデメリットであるといえます。
これ様々なフロッグの断面図を紹介しましたが、結局、どのフロッグが一番いいのでしょう?
どう考えても、
そりゃ、俺の作った係長が一番良いじゃろ!?
マックス35クラス。この大型ボディで、ケツの尖がった部分は、マックス12gのスナプルボディと同一の0.3mm。ンなボディ、他にありますか?ちゅうハナシです。
とがった部分や凹凸部分、フックホール周辺が厚く成形されるスラッシュ成形。
市販フロッグがスラッシュ成形を選択している限り、俺のフロッグの領域に到達することは100%無理。
フロッグの合理性を考えた時、最も性能が高いのは、私の作ったディップ成形フロッグです。
性能で考えてみても、コスト面で考えてみても、進化という点で考えてみても、
ディップ成形がフロッグに最も適した成形方法であると確信しています。
雷魚が噛んでボディが凹んだ後、フッキングでフロッグは雷魚の口の中をスライド。その瞬間、いかにストレスなく奥までフックアップできるか。ボディが凹んだ時に、どれだけ針が露出してくれて、
フックアップ時にどれだけゲイブの頂点まで深く刺さってくれるか、これがフロッグの良し悪しなんです。フックポイントが奥まで刺さるための条件は、ずばりいって、ケツのトンガリが薄く、弱いことです。ディップ成形フロッグはそれを可能にします。
この断面図が表す意味を考えて見ましょう。
現在の史上最強のフロッグは、ディップ成形で作られたオレのフロッグじゃ〜!
このクオリティのフロッグなら、、メーカーフロッグに負ける気がせんわ〜
まとめ
というわけで、長々とウンチクを語ってきましたが、つまるところ、このコンテンツでの主張は何かというと、ディップ成形フロッグに次世代フロッグの可能性があるという点です。
ここにたどり着くまでたくさんの失敗がありましたが、いかんせん、試行錯誤が好きなモンで苦労とも思っていないし、むしろ楽しんでいます。
今現在のフロッグに疑問符を投げかけ、誰もやっていない、新考案の戦法で雷魚に挑む!面白いじゃありませんかw
雷魚☆2012、改良を重ねた自作フロッグをメインに使い、釣行に繰り出しています。市販品でないので実績が全くなく、一つのバレでも、フロッグが悪かったのか?チューニングをミスったのか?腕が悪かったのか?運が悪かったのか?季節が悪かったのか?種種の疑問が生じます。
これを考えて、次の改良につなげていく。
コレが面白い!
雷魚ゲームも、いい加減マンネリ化してきましたが、ここに来てまた雷魚熱がまた萌えてきた感じですw
このフィールドテストは、素人の自作ルアーのテストにあらず。いわば、ディップ成形がスラッシュ成形にたたきつけた挑戦状です。
負けないッスよ〜〜〜!!!
最後に・・・
各メーカーのフロッグ開発に言いたい放題
毎年どこかしらから新しいフロッグというのが出ます。
良く思うんですが、
それって、ホントに新商品なん?
って思います。
毎年出てくるようなフロッグは、似たようなフロッグを手を変え品を変えという感じが否めないんですよね〜。
チョット小さくしました!
ちょっとデカくしました!
似たようなフロッグありますけど、とりあえず。
どこぞのショップのオリカラです!
思うんだけどね、
ホントの「新」商品ってモンをだそ〜よ!
なんていうか、本当の意味での「新しさ」がないんですよね。
例えば、ロデオなんかはボンバーとクロークってウェイトもフォルムも似たようなモンですよね。ウィップラッシュだって、XOSR、XORはほぼ一緒ですよね。ラッティなんかはセサミは大きさが違うのが3つありますが、一番巨大なセサミLなんかは30gチューニングだから現場での使用となると、ボンバーとほとんど一緒です。セサミはボンジュニと一緒。ハネクラのカエルシリーズなんかもアマガエルと良く似たようなもんだし、結局、アイとフックを中空ボディの中に入れるという構造が一緒、製造方法も一緒。大きさも一緒みたいなもん。なんで、ウェイトが一緒だったら使う場面はほとんど一緒なんです。
色々なフロッグを使い込んでくると、ウェイトが一緒だったら、その中で一番好きな実績のあるフロッグばかり使ってしまい、結局使うフロッグはいつも一緒です。そうなってくると、新商品に興味がなくなってきます。
例えば、今年、ウィプラからBULL PUP.DCという1オンスオーバーのフロッグが出るみたいですが、ボンジュニで1オンス背負えるので別にボンジュニでもいっか。
とか、
ハネクラからカエルコロンが出た時は、見た目、ウィプラのPORXと似てるから同じようなモンかな?
とか、
スミスからポトフが出た時はアマガエルと一緒の使い方しかできんかも?とか思ってしまうんですよね。
こういう中で本当の新しさと興味の行く先はというと、「新機構」です。
例えば、デプスのバシリスキハードベリー。これは腹筋強化チューニングの最たるもので、腹に硬いプラを一体成形しているもので、今までのフロッグではどれもなかったものです。「新しく、そして合理的」です。
それから今年ダイワから出た「Dフロッグ」。これはフックをしまう部屋を設けたフロッグで、これも今までどのメーカーもやらなかった新機構です。
トーキングフロッグ!電池で泣くカエル。
あとゼンマイで足が回転するモトフロッグ!※ただし、これはプラグであり、中空ではありません。
それからレジェンド6で紹介され、スミスからナチュラルレッグが出た時は衝撃的でしたね〜。
あとフックですけど、見事にこけたフックでしたが、カエル軍は新機構でしたね。
ロデオのスロットシンカー!これも新しかった。理にかなっている商品です。のちに、ハネクラが似たようなシンカーを出しましたが、やはり良いからマネされたんです。
これらのフロッグやツールなんかは「今までのフロッグとどこが違うんだろう?」と興味を引き立てられます。
新商品っつーのはこーゆーヤツなんですよ!ただ単に形状を変えただけというフロッグはやりこんでくると、もう買うまでの意欲が沸きません。
だもんで、各フロッグメーカーさんに訴えたいのは、あれこれ同じようなフロッグを出すのではなくて、「今までのOOの不具合を改良するために、こういうフロッグを出しました!」とかの「目的と改善策と、その説明」のあるフロッグ開発に邁進して欲しいなと思う次第です。
例えばワタシの作っているフロッグなんかでは、「スラッシュ成形を選択した際に起きる、ゲイブ付近のボディの形の制約と厚み。これを改善するために、スラッシュ成形とは逆の肉付きができるディップ成形を応用して作りました」ってのがソレです。
本当の意味での、「試行錯誤と新しさ、それに伴う進化」、これが今のメーカーのフロッグ開発には足りないと思いますね〜
試行錯誤という点では、本当にちゃんと進化させてるのか?というのも疑問です。OEM先にコンセプトを伝えて試作品を作り、使ってみて釣れたから発売。売るために、「これイイじゃ〜ん!」ってインプレ流して・・・っていうんではいかんのですよ。
まず、人任せにすんじゃねーコノヤロー!
フロッグは雷魚師じゃないと理想的なやりこさ、凹み方は絶対分かりません。己の理想とするフォルムは己のみぞ知ること。「思い描いたフォルムを具現化する」その作業は、自身の手で行うべし。
メーカーで一番の雷魚師、あんたが原型を作りまい。手でこねて、削って、育てて・・・・そーゆー作業にこそ、魂がこもるっちゅうこっちゃ。
そのほうがOEM先に作らせるよりコストも安くなるはずです。
そんでね、出来た試作品は・・・・自分でテストしろ。
フィールドテスターを使ってはいか〜ん!
フィールドテスターは、タダで道具を提供してくれるきん、どうしても辛口コメントがしにくいトコロがあります。それが妥協につながるんです。己の作った造形物に最も辛口に評価できるのは己です。
例えば、ワタシの例で言うと、一昔前に考案した、「エアフックホール構造」これにNG判定を下したのはワタシ自身です。もし、他の友達雷魚師に渡してテストさせていたら、辛口コメントは出来なかったでしょう。やはり、自分に厳しくできるのは自分だけなのです。
辛口評価がないと、試行錯誤と進化に繋がらんけんね。辛口評価は無茶苦茶大切にせんといかん。
自分が原型を作っていると、どうしてダメなのか、どこを改良すればいいのか、それを考えることができる。渡された製品を良いか悪いかだけを判断するフィールドテスターの評価とはまた違ったものになるはずです。そして、自分が原型を作っているから、不具合を修正した新しい試作品が簡単に作れる。
OEMに任せず、自力でもがく。これはメーカーとして必要なことではないでしょうか。その繰り返しが技術力ってモンだと思います。
当然、原型だけでなく、成形もね。フロッグはプラスチックです。原型だけじゃカタチになりません。どの材質の皮をどの厚みにしたい。そのためには、何度で何分、この原型だったらどの条件が一番適しているのか、全部違います。そのベスト条件の模索は成形テストの実験回数がモノを言います。
繰り返しになりますが、試作品は自分で作れっちゅうこっちゃ!
それとね、しっかりとフィールドテストをしまい。
前述にもあるけど、辛口評価のためです。試作品→フィールドテスト→不具合修正→フィールドテストこのPDCAサイクルがフロッグの理想形に向かっていきます。
そのためには、身近に雷魚が釣れる環境。これが必ず必要になる。言い換えると、フィールドテストのために、色々な雷魚フィールドがある地域に本拠地を構えろってことなんです。現状のフロッグメーカーで、雷魚の遠征先に選ばれるような地域にあるメーカーあります?
その会社の住所で、満足行くフィールドテストできますか?
遠征メインの雷魚釣行で、どうやって試作品を使うんじゃい!?
「試作品→フィールドテスト→不具合修正→フィールドテスト」これやるためには、スグに実戦に出られるような環境が必要不可欠です。
今のメーカーフロッグはもっともっと良くなると思います。
もっともっと進化させてちょ〜
以上、フロッグ概論でした〜
ただし、これは2012年時点でのウンチクなので、また何年かしたら、思うことが変わるかもしれません。
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