フロッグの釜ゆで


一昔前にはやった、フロッグの釜あげ。これをすると柔らかくなるらしい。だけど、最近、自作フロッグの勉強で塩ビ樹脂を調べていくうちに、

ホンマかいな!?

と思うようになり、確かめてみました。

実験で使うのは、旧型のC−big。皮が柔らかくなる前のモデルで、むっちゃ硬いんですよね。この頃のロデオフロッグは2,3匹釣ると柔らかくなって良く釣れたんですが、柔らかくなるまでが硬くて、ホントよくバレました。こいつは1匹も釣ってないどころか、アタック1回しか取らず二軍入りしたので、無傷。特にケツの周辺がむっちゃ硬いです。

まずは、浮き姿勢調節で使っているアルミなべに水を入れて沸騰させます。

その中にCbigを放り込みます。

釜揚げうどんクロークの出来上がり♪

触ってみると、こりゃすごい!むっちゃ柔らかいです!まるでコン○ームのようです!

しかし、

冷ますと案の定、今までと同じ硬さに。

そもそも塩ビ(PVC)は、VCM(ビニルクロライドモノマー)と呼ばれるガスを触媒在住の炉の中で重合させてできるポリマーです。こうして出来るのが、エスロン管をはじめとする硬質塩ビです。フロッグで使われる軟質塩ビは、炉の中に可塑剤(フタル酸エステル)を加えて反応させることにより、樹脂が軟性になり、プニョプニョした柔らかい樹脂が出来ます。フロッグを柔らかくするなら、この可塑剤を追加しない限り出来ません。釜茹でにしたところで、フタル酸エステルが増えるわけではないので、樹脂が柔らかくなるなんてことは、まず起きません。しかし、ゆでた直後は驚くほど柔らかいです。これは、軟質塩ビが、熱可塑性樹脂(暖かいと柔らかくなる)なためです。

フロッグの原料は塩ビゾルです。熱硬化の塩ビ樹脂にフタル酸エステル等の可塑剤を加えることで弾性樹脂になります。お湯で弾性が増すのは科学的に理解できません。

つまり、釜ゆでにしたら樹脂が柔らかくなるというのは、都市伝説だと思います。ゆでた後に触ったら、むっちゃ柔らかいので、柔らかくなったと勘違いしたために起こる事実無根の情報ではないでしょうか。

その後
アップして間もなく、北海道の雷魚マンから、やっぱり柔らかくなりますよ!とのコメントを頂き、やっぱり、都市伝説ではなく、ホントに柔らかくなるんじゃないの?と思い始めました。どのフロッグでも出来ますが、ハネクラが一番わかりやすいとのことだったのですが持ってない!さらに、未使用のパッケージフロッグが実験する上でいいデータが取れるじゃろうということで、未使用パッケージのボンバーが転がっていたモンだから、ボンバーで再調査することにしました。


再調査
定性的な実験だと、説得力がないので、今回は定量的な方法を考えてやってみます。
モルモットには、ボンジュニをチョイス。

皮だけにしてハカリに乗せます。使うはかりは正確に測りたいので、A&Dのエポキシ配合用天秤です。ボンジュニの皮だけの重さ、9g。

ゼロ設定をして、皮をフルボトムさせて、その時の重量を見る。この時、198.1g。まぁ、一定にはならないですが、190g〜200gの間です。

それを釜ゆでにします。だいたい、30秒くらい釜揚げにしてみました。

で、釜あげ直後に熱いんですが、モミモミ、伸ばし伸ばしします。

水で冷却します。

再測定。皮の重さは変わらず。

ゼロ設定して、もう一度皮をフルボトム。この時の重量、72.2g!

一定にはならないですが、おおかた、70〜80くらいでしょうか。198.1g→72.2gなので、おおかた、
柔らかさは3倍になっています!

やはり、釜ゆでで柔らかくなるみたいです!!!!

北海道の雷魚マンの話では、繰り返しやると、どんどん柔らかくなるそうなので、

2度目のチャレンジ。これも釜ゆで時間は30秒。

重量は変わらず9g。若干目の塗装が禿げました(汗)

次が72.4g。二度目の釜ゆでではあまり柔らかさに変化がありません。

そんで3度目。これも釜ゆで時間は30秒。

相変わらず重量は変わらず。9.0g。

フルボトムの凹み力は、70を切り、60台後半。

これは・・・・・北海道雷魚マンの言うとおり、釜ゆでにすればするほど柔らかくなりますね。



ただし



ボディにある変化が。
分かりますかね?いびつになっているんですよ。左の目の位置が全然違うでしょう?

ゆで汁を冷ましてみてみると、若干黄ばんでいます。何かが溶けているような感じです。

プラスチックのカップに入れて色を確認しても、やはり、若干黄ばんでいます。

極めつけは、この皮のネチャネチャ感。なんか、凹んだら少しくっついているような感じです。表面がネチャネチャしていますね。

推測するに、沸騰したお湯でフロッグを釜ゆでにした場合、フロッグの表面が溶けているんじゃないでしょうか?ついでに、皮を侵すというか、ソークみたいな感じででかね。それと、熱による塩ビ樹脂の変質。100度くらいではびくともしないと思っていましたが、塩ビ配管でも、ネズミ色のヤツと赤錆色のヤツでは耐熱温度が違いますしね。ネズミ色が、50度くらい?赤錆色が80度くらいですよね。

推測するに、フロッグの塩ビ素材は、ねずみ色のヤツで、熱に弱いので、釜ゆでで変質して柔らかくなってしまう。その代償として、ボディがゆがんでしまう。

こんな感じではないでしょうか。

ただ、もう一つ確かめたいことがあります。離型剤を落とすとどうなるか。フロッグを成形する際に、型から取り出すうえで、フロッグの表面にはシリコンなどの離型剤が塗られているはずです。そのため、フロッグを開封したら、ヌルヌルしているでしょう?この離型剤が、フロッグの型さに影響していないとも限りません。それと、100度の熱湯でなしに、45度くらいのお湯でやったら、柔らかくなる効果が出ないかどうか?これも確かめたいです。

再々調査ボンバービック
今度はボンバービックで確かめます。

皮のみは15.8g。ボディにフルボトムかけたらエラー。200gまでしか測れないので、この天秤では無理です。

だもんで、いつものタニタ天秤。皮だけの重さは16g。

ゼロ設定をして、フルベント。この時の力は大方300g。

温度を45度にセット。風呂に入る時のお湯くらいの温度です。

お湯でモミモミ伸ばし伸ばしします。これで離型剤を落として、耐熱温度内でモミモミです。これで変化があるかどうか!?

フルボトム。この時の力は、300g。これは、全く効果が出ていません。つまり、お湯でモミモミしたくらいでは、フロッグの軟化は期待できないということです。

で、これも釜揚げにしてみました。ボディのゆがみが出るのがいやなんで、釜ゆで時間は、ボンジュニの実験よりも短くして、15秒くらいにしてみました。それで冷水で冷やしてみて、チェック。

それでも、若干ゆがんでいますが、これならば、気にならないレベルです。

フルボトムの力は、140gくらい。300から140なので、倍以上柔らかくなっています。

ゆがんだフロッグの修正
ボンジュニがゆがんでしまったので、修正を試みました。

歪んだ方向とは逆方向へ思いっきりつねります。

すると、修正できたか!?

と思いきや、時間が経つと、

歪んだ状態に戻りました。やっぱり一回歪むとダメですね。だけど、まぁ、ウィードレス機能は保てているので、このままチューニングして使ってみようw



総括
フロッグは、釜ゆで&モミモミすることで、皮が柔らかくなってフッキングが上がります。
大体一回の釜ゆでで2倍〜3倍は柔らかくなります。
ところが、2回目以降はあまり効果が出ません。
さらに、ボディがゆがんでいきます。
やるなら、釜ゆで1回。15秒以内です。

おそらく、釜ゆでで、ボディが溶けて、侵されたような感じになり、やわらかくなるんではないでしょうか。

ボディのゆがみがいやなので、私は今後はやらないですが、興味のある方は試してみては!?



改善点
チューニングのたんびに釜ゆでしてるんですが、火つけて、ナベ沸騰させて・・・・めんどい。釜ゆで中に手が熱いし。

これを改善するために、

沸騰水をオケに入れて、箸でつまんでモミモミ。箸で取り出して手でモミモミ。これでいけます。釜ゆでみたいに、ゆですぎてネチャネチャになることもないし、やらこさもセッティングしやすいし、こっちのやり方のほうが優れています。


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