ソークチューニング




もったいないな

と思うのが、コイツら。成形に失敗したフロッグたち。自作フロッグの痛いところで、技術不足による皮のバラつきってのがあるんですよね〜。

薄すぎるのはなんとかなるけども、厚すぎ硬すぎだけはどうしようもありません。フルボトムに200g程度の力が必要な皮ならOKだけども、400gオーバーとなると、硬すぎて使い物にならないのがホンネです。

しかし、厚いフロッグにもメリットがあり、それはディップ成形のお約束、離型後の腹の張り合わせ時に厚い皮のほうが接着面が広く、うまくいくんですw

逆に薄いと多くの場合、中央が凹んだ状態で接着されてしまい、格好が悪いのですw性能だけで見ると、薄いフロッグのほうが凹んだ時の針の露出がいいので、フッキング性能はいいんですけどね〜。

ここで注目したのがソークチューニング。硬いフロッグはソークでやりこくしてしまおうというのが作戦ですw

ソークチューニングというのは、フロッグの皮を肥大させ、デカくするというチューニングで、チューニング上級者の人がたまにやっています。

このソークチューニング、どうも昔の香川で活躍していたらしく、香川はフル護岸遠投勝負みたいなフィールドばかりですが、黄金時代当時はでかいフロッグがなく、飛距離を出すために開発された苦肉の策のようで、昔、香川に「トラップ」というバリバリの雷魚系釣具屋があったらしく、そこに集っていたライギョ師たちが考案したようで、私が雷魚を始めた年には、すでに廃業しており、ウワサでしか聞いたことがない店なのですが、もっと早く始めていれば是非行きたかったなぁと思う次第です。

ンデ、本題ですが、ソークオイルにフロッグをドブ漬けすればOKのようです。

使うケミカルはコレ。マルキューのエコギアパワーオイル(ワーム用)の緑にドブ漬けするみたいですwちなみにソークとは「Soak」で、液体に浸すという意味です。

んで、不思議に思ったのは、どうしてコレに漬けるとフロッグがデカくなるのか?です。

んで、マルキューの技術部に質問をして見ました。

その結果、どうやら塩ビ樹脂というのは物性として、「可塑剤」というプラスチックを柔らかくする添加剤を沢山吸収するという特徴を持っているようです。

可塑剤は「油脂」なので、樹脂が油を吸収することによって大きくなり、またブヨブヨとやりこくなるようです。

このパワーオイルは、本来、ワームオイルとして売っていますが、ワームの素材も塩ビなため、フロッグの皮と同じような効果が出るようです。

なお、さすがエサ屋らしく、製品の素材は食品包装資材にも多用されており人や環境に対して極めて安全性の高い物だけを使用して製造されているようです。

なお、油なので、シンナーにより脱脂が可能で、シンナーに漬けておくと油が全部抜けて小さくなるようです。

そこで、早速、検証実験をして見ました!

瓶にラッカーシンナーをいれ、その中に半分に切ったアマガエルをドブ漬け。

1日待って取り出してみると、少しシワ気味に変形していました。

さらに1日乾燥させると、こんなになりました!上側のがシンナーにつけた皮です。カチカチです!やはりフロッグの皮の特性は油が握っているようです!

で、早速本題のソーク実験に移ります。

まずは、代表的なフロッグを用意しました。

ハネクラのカエル中、ラッティのジェリービーンjr、ロデオのC−POP、ウィプラのアマガエルです。これらを二つ切りにしました。

2つの皮のうち一方をマルキューオイルを入れた瓶の中に長時間ドブ漬けして、大きさの変化を見ることにします。

加えて追加実験で、ウィプラのXOSRを用意しました。

これもオイルの中に漬けます。この皮は、「何時間でマックスか?」を調べるための経時変化を調べるための実験用です。

サンプル写真は上がソーク後。下がソーク前となっています。

2時間後
変化なし。

4時間後
変化なし。

6時間後
気持ち大きくなったように思えます。

15時間後
明らかに大きくなりました。

22時間後
15時間後の観察時よりもわずかに大きくなっています。

37時間後
どんどん大きくなっりょります。

2日後
37時間の時とくらべるとわずかに大きくなっています。

3日後
2日後に比べるとわずかに大きくなっています。形状もデブ化しております。

4日後
3日後とあまりかわらないように思えます。

5日後
あまり変わりません。

6日後
あまり変わりません。

7日後
あまり変わりません。

結果
経時変化を追ったところ、およそ3日でマックスサイズに達すると思われます。


各メーカーの皮の大きさの変化
忙しくて、ソークの実験の時間が確保できず、漬けっぱなしで17日間もソークし続けちゃいました(汗)んで、各メーカーの皮の変化を見てみます。

ウィップラッシュ

ラッティ

ハネクラ

ロデオ

全てのメーカーフロッグで皮の肥大が観察できました。以上の結果より、塩ビ製品ならば、問題なく皮の肥大が可能だということがわかります。

さらに形状ですが、見るからに大きくなっているのがハネクラで、そんなに変わってないと思われるのがラッティです。

これは形状によるもので、なるべく上下の容積が大きいフロッグほど変化が出やすいんじゃないでしょうか。

例えば、アマガエルとXOSRでは、アマガエルのほうがボリューミーに見えます。同じだけ大きくなるのだったら、上下にボリュームアップしたほうが凹んだ時の針の露出が良くなるので戦略的には効果的です。ボディの長さが長くなると凹んだときに針が出にくくなりますから、ソークやるなら短くてデブのフロッグです。



強度について
一般的にはフロッグはソークをすると敗れ易くなるといわれていますが、ためしにちぎってみようと思い、ひねってみましたが、敗れるような気配は全くありません。強度的にはまずまずだと思います。



ベタつき、臭さについて
全フロッグに共通して言えることなんですが、表面が油まみれでギトギトです(汗)分かり易く例えると、昔メチャイケに出ていた油谷さんのようです。で、匂いも臭くて、パワーワームのようです。指に付くとヌルヌルで、臭いし、すごく気持ち悪いです。また、一度手に付いたらなかなか取れません。フロッグの場合、フロッグケースに入れていたら強烈な匂いになりそうですし、また使っていくうちに水抜きで皮を触ることが多々あるため、不便です。


なんとかしてヌルヌルが取れないか?と思い、シンナーで脱脂してみたんですが、

ラッカーシンナーで2時間くらい脱脂してみると、なんと可塑剤全部抜けで、小さくなってしまいました。。。

こんな感じで、カッチカチで柔軟性ゼロ。ダメです。

続いて試してみたのは、ティッシュで拭き取ること。キムワイプでもみつつ、油分を取っていきましたが、取った直後はベタツキはなくなるんですが、1時間も経つと、また匂いとベタツキが復活します。ラチがあきません。

続いて試したのは中性洗剤で洗うこと。

これは洗った直後は匂いもベタツキも消えたのでOK!と思ったんですが、1時間もするとまたベタツキが復活しました。

ダメです。

中性洗剤入りの瓶に入れっぱなしにしておいたら、ジワジワと油が出て行くためか、瓶が白濁化していきました。しかし、しばらくすると、またギトギトになります。ダメです。

では次。脱脂をやめ、シーラーで封をしてはどうか?と思いました。

ソークされた皮にパンドーを付けてみると、一応付きました。シーリングしたところだけはヌルヌルがなく、また付着力もまずまずで、実用性はありそうです。

そんなわけで中性洗剤で洗った直後に、皮丸ごとシーリングして見ました。

乾いてみるとこれがなかなかいい感じで、匂いもさほど気にならないし、表面はツルツルしていて、乾いた感じです。

ただし、パンドーだと硬くなるので、やるならゴールデンミーンのシーラーのほうが良いと思います。

これでソークチューニングのアタリが付きました。

ソーク時間3日。中性洗剤で洗った後、ゴールデンミーンのシーラーを塗りたくる。

これで行こうと思います。

本番
実戦スタート。硬すぎる大関を取り出し、ソーク。

ところが液が少なすぎて全部浸かりません。

そこでビニール袋を出し、この中にソークオイルを入れ、ボディが全部浸かるような角度で放置。※一般的にはジップロックですが、これは普通のPE袋。ジップロックじゃないとダメというわけではないようです。

その後、なかなか時間が取れず、かれこれ長いことソークしてました。

そんで、取り出してみたんですが、くっせ〜くっせ〜!配合飼料の匂いがします!

そんで、洗剤つけて水洗いしてみて大きさを確認したんですが、

デカイ!

横に置いてあるのが横綱なんですが、横綱よりも3回り大きいです(汗)

これは合うフックがあるのか!?

そして、やりこい!プニョンプニョンです!!!

こりゃ、ちょっとした水鳥襲う雷魚じゃないと食えんかもしれんの〜(汗)
ケンケン2号か1号でフィッティングしてでけんかったらクビやの。

そんで、30分くらいしたら油が染み出してきてまた臭くなってきたので、再び洗剤で水洗い。

ティッシュで拭きとって直後、シーラーを塗りたくりました。シーラーは柔軟性確保のため、ゴールデンミーンのシーラーです。

んで、一晩乾燥させてみたんですが、

表面がヌルヌル。そして臭い!相性が悪いのか、染みこんだ油をキッチリと止められてない感じです。これならパンドーのほうが良いと思います。

なお、乾燥させている間にフロッグからは芳醇な匂いがかもし出されており、部屋の中は、家畜の飼料の匂いがします(汗)

そんなわけで予定変更。先に裏返しにして、パンドーをコーティングしていきます。※一晩乾燥させている間に油が抜けてヌルヌルで臭くなっているので、当然洗剤で一度洗ってティッシュで拭き取った直後にコーティングをしています。

そして一晩乾燥させてみるとこんな感じ。

表面の油の流出は抑えられた感じですがところどころシーラーの塗り残しがあり、そこから若干油がでてベタベタします。

しかし、パンドーをコーティングした関係でやりこさがなくなってしまい、フルボトムに500gオーバーもかかってしまっています。

やりこくするつもりが、これでは本末転倒です。

しかし、上下の幅が大きくなっている分、へこました感じは悪くなく、フッキングに影響はなさそうですが、皮が分厚くなっている分、針の露出が悪くなるのは確実で、戦力的には大関のほうが断然良いと思います。

この時点でちょっとやりたくないんですが、乗りかかった船。チューニング時の留意点も探るべく、チューニングに入ります。

まず、腹の張り合わせですが、ソークにより、切れ目が反りが入っており、

腹を接着するとこんな感じになってしまいました。これでは針よりも下に腹が出てしまうのでアタック時の吸い込みで干渉してミスバイトに繋がる可能性大です。

で、ここから塗装に入ります。

で、いつもは筆なんですけど、刷毛目がついてきたなくなるのと、どうしても厚くなりすぎてしまって、、硬くなっちゃうので、今回は久々のエアブラシでやることにしました。

フロッグの塗装の項で説明していますが、シンナーをかなり多めに入れ、ガン口を思いっきり近づけて、一発厚塗りでうまいこと行きました♪

出来栄えはこんな感じw

で、今まで油でネチョネチョしていたんですが、塗装をすると、ボディの肌がスベスベにw

そういえば、フロッグの塗装の研究をした時に、軟質エンビに塗装が出来ないのは、可塑剤が染み出してくるからで、塩ビ塗料は、その可塑剤を抑え込むとか書いたような記憶があります。

今回のフロッグのソークも結局は可塑剤の追加であって、その可塑剤が染み出してくるのを抑える必要があるとのことですから、塩ビ塗料が可塑剤の流出を抑えているのかもしれませんね!匂いも消えました♪というか、ソークオイルの匂いよりも塩ビ塗料のニオイのほうが勝っている感じです!塩ビ塗料は兎に角臭い・・・。

で、さぁ、骨組み組んでやったろかね〜!って思ってたら、まさかの不具合発生!

ネバネバが復活しています(汗)

ティッシュでこそいだら、塗装まではがれる始末で、じょんならん!

とりあえず、ためしにこのままシーリングして組んでみますが、メソッドとしてはNGですな〜。

一旦皮に染みこんで肥大化した皮は、パンドーをコーティングしても、塩ビ塗料を塗っても、可塑剤が流出します。

この可塑剤流出の対策を打てない限り、ソークチューニングは失うものが多すぎるような気がします。

とりあえず、チューニングはして見ました。

結果、問題なく接着剤が付いてくれて、エポキシも無事つきました。完成です。

ウェイトは62gで垂直浮き。

おそらく、これ以上のデカフロッグは無理なんじゃないかというくらいデカイです!

しかし、硬さはというと、パンドーでコーティングした関係でイマイチ。

そして、ウェイトを背負わせすぎたため、凹んだ時の針の露出がイマイチ。

一応、フィールドテストもしてみましたが、重すぎて雷魚ロッドでは勢いよく振り抜けず飛距離もイマイチ。

結局スグに一軍ケースから撤去してしまいました(汗)フロッグのマックス重量は、雷魚ロッドとの相性もあって、45g程度が限界だと思います。

というか、ソークされたフロッグは、表面がベッタベタで、エア抜きしたら手はヌルヌルになるし、使うのをためらう一品です。フロッグケースに入れていたら、ケースにヌルヌルはつくし、エサのニオイが他のフロッグにも付いていやだし、いいことないですね。

「大きさはデカイままで、ヌルヌルとニオイを取る。」これが出来なければソークチューニングはダメだと思います。



アルコールによる脱脂

次なる実験はアルコールによる脱脂です。何としても、ヌルヌルとニオイを取るために、今度はアルコールで脱脂することにしました。

前回、シンナーで撃沈したので、シンナーよりは弱いアルコールで試してみることにします。

テストで使うフロッグはウィプラのCOR。これを3日間ソークし、モルモットとして使います。

アルコールをためたケースにドブ漬けして様子を見てみましたが、

結果がコレ。

シンナーと同じ運命を辿ってしまいました(汗)

小さくなって、硬くなって凹みません。

アルコールも失敗。というか、油を吸ってデカくなった皮から油を抜くと、もとの大きさに戻らないか?って思いますけど・・・・(爆)




中性洗剤で手洗い
最後の手段は、最初の頃にやった中性洗剤で手洗いすることです。油が出なくなるまで手洗い。コレでダメだったらソークチューニングはサヨウナラです!
※ 熱湯は脱脂効果があるので、沸騰したお湯で脱脂するというのも一つの手段ですが、これをやるとボディが変形してしまうので、却下しています。詳しくはフロッグの釜茹で参照。

サンプルで使うのはウィプラのアマガエル。これを3日間ソークします。

純正と比べると一回りデカくなりました。

で、放置していたら、油が染み出してきて、ボディがヌルヌルしてくるので、

洗剤を付けて水洗い。コツとしては、ギュー!と握りつぶすような感じで行います。水洗い直後は油がのいて、キュキュッ!と音がしますw

そして、純正のボディと大きさ比較。

で、ちょっとやそっとじゃ、ヌルヌルは出続けるので、ヌルヌルが完全になくなるまで続けます。

1日1回、水洗いを心がけ、時に忘れることもあり、約1ヵ月後、ようやく、ヌルヌルがマシになってくれましたwニオイはゼロにはなっていませんが、我慢できるレベルに落ちてくれましたw

ただ、写真じゃ分かりにくいんですが、大きさが若干縮んでいるように思います。

皮の重量は、純正が6gなのに対し、ソーク後が7g。

やりこさは結構効果があって、純正がフルボトム181gなのに対し、145g程度。

一応、成功?と思いますw

以上、ソークチューニングのまとめをすると、


・マルキューの緑オイルをビニール袋に入れて、3日間放置でマックスサイズになる。
・大きくなる理由は塩ビ樹脂がオイル内の可塑剤を吸収するため。
・ソーク後は、ヌルヌルがすごくて、触ったらベタベタ。ニオイも配合飼料のようなにおいがしていて、そのままじゃ使うのをためらう一品に変化。塗装、パンドーコーティングは無意味。ただし、パンドー接着は可能。
・ヌルヌル、ニオイは中性洗剤で1日1回もみ洗いし、脱脂すべし。約1ヶ月後、ニオイとヌルヌルがマシになる。ただし、脱脂=吸収した油を吐き出すため、脱脂とともにボディは小型化する。なお、ベタツキとニオイは完全にはゼロにはならない。



こんな感じです。

個人的には、大きさがでかくなる、やりこくなる代償として、ヌルヌルベタベタ、臭さが負の遺産として残るって感じです。

個人的には重量級フロッグが簡単に買える時代に手間かけてするチューニングではないと思います。


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