HP102B オーバーホール
トリガータイプのエアブラシ編


エアブラシの中で一番使っているハンドピース!

HP102B!カップは15mlに変更!操作が簡単なトリガータイプのエアブラシです。オリンポスのトリガータイプのエアブラシは、0.3mmでいうと、HP83CとHP102Bとあるんですが、ワタシの息子がひょっと左利きだった場合、引き継ぐことが出来ないので、わざわざ高い両利き仕様のHP102Bを購入しました。

2マソゴセソエソっすわ!!!

たけっつのこの!

とはいえ、最高峰のトリガータイプのエアブラシなもんで、物欲がなくなって、逆に良かったのかもしれません。他に使いたいエアブラシ、ないですもんw

ですが、リールシートやリールといった超小物のウレタン塗装に、墨汁を使ったエアブラシアートの練習に、酷使しているので、OHでもしてみようかなと思って挑戦。なんせ、ぼっけぇたけエアブラシなもんで、キンチョーしますです!

で、トリガータイプのエアブラシですが、弱点があって、

ローラー部がむき出しになっており、ラッカーシンナーでボディを洗浄しようものなら、一撃でグリスが脱脂されてしまい、あっという間にグリスがのきます。だきん、いつもカサカサなのよね。これはPCジャンボやアリーズも同じ。オリンポスの弱点じゃないでしょうか。ここをクローズドにしたらもっといいのになと思う今日この頃。ここのグリスアップも兼ねてOHを決意しましたwww

なお、トリガーエアブラシ最強のメンテナンスDVDはコレです。ニードルの曲がったのを直す技やら、前をふさがずにうがいをする方法やら、超音波洗浄機なしで、ノズルを修理する方法やら、いたれり尽くせり。もちろん基本OHも、完璧に解説してくれています。ご臨終クラスのボロブラシをキレイに再生していて、さすがプロの仕事はスゴイです。

で、分解開始。まずはテールキャップを外します。手でこねるだけ。

ニードルアジャスターを外します。これも手でこねるだけ。

ニードルストップネジを外します。手でこねるだけ。

ニードルを外します。まだ安かった頃に買った1700円の純正ニードル。3000円になった今もう買えません(汗)

ニードルスプリングストップを外します。タミヤのプラつきプライヤーで傷をつけないように外します。

ニードルスプリングとニードルチャックが外れます。

ニードルチャックは向きがあるので注意です。この凹みのところにセットボルトが来ます。MP3と全く一緒です。

で、ローラースプリングストップがあるんで、こいつを外すんですが、

セットボルトがはめられており、外れないので、まずはセットボルトを外します。百均の精密ドライバで外します。

で、ローラースプリングストップはかなり広いネジなもんで、でかいドライバーを使います。

外れました。セットボルトがはまっていたねじ穴が見えます。

するとローラースプリングが出てきます。オイルでベタベタです。

続いてトリガーを外します。

百均の精密ドライバでトリガー上のシャフトを緩めます。

外れました。

続いてエアバルブを外します。タミヤのプラプライヤーで傷をつけないように外します。

そしてローラーを外します。引っこ抜くだけです。グリスでベタベタ。

ローラーが外れたので、続いてエアバルブのピストンが外せます。ニードルのケツで押し外します。

エアバルブピンOリングを外します。ニードルの先で内側にキズをつけないように外します。

続いて塗料カップを外します。もっと先に外してもよかったかな?

で、皮パッキンを外します。ニードルでほじれば一撃です。

こいつは両利き仕様なのでメクラがついています。メクラキャップを外します。

続いて、ニードルパッキンです。MP3と違って、ごついです!

マイナスドライバーで一旦緩めて、

ニードルパッキンガイドドライバーで外します。シャフトが通っているのでニードルパッキンが落ちることなく真っ直ぐ引きぬけるのですごく便利です。

ただ、驚いたのは、

ゴムパッキンですがな!!!

ここにゴムつこたら、一撃で溶剤にやられるんちがう?

と思ったけれども、

よくよく中身を見てみると、テフロンパッキンが隠れています。

ということは、

ペンキ〜テフロンパッキン〜ゴムパッキン〜ニードルOリングネジという順番になっていて、テフロンがペンキをゴムから遮断させているんですな。で、テフロンは溶剤に負けないので、外さなくても掃除が出来、ボディから外す必要がありませんので外さずに次の作業に移ります。

パーツリスト見ても、テフロンがあるように書かれていないし、外すなちゅうことですな。

兎に角、ゴムパッキンは外します。いらなくなったニードルの先で外しました。

あとはノズルだけ。ノズルキャップとニードルキャップを外します。手でひねりゃ取れます。

で、ノズルは専用レンチで

緩めて取ります。が、レンチがなかなか入らず、また、ノズルの締め付けも硬くて、なめてしまいました(汗)。レンチは必ず奥までちゃんと入れないといけませんな。とはいえ、なめたのは、レンチの入る外側です。本来ならその時点で新しいノズルと交換したほうがいいのですが、ワタシの場合、おそらく、その微妙な誤差は気づかないくらいのウデなので問題なしとして、次行きます(汗)ちなみに、ノズルのねじ山についている赤いのは、レッドパテと呼ばれる液体シールです。ノズルはやりこすぎて強い締め付けをするとネジ山がなめるので、強く締めることが出来ず、それでいて、ペンキが出るのを防がなければならないので、溶剤に侵されないレッドパテと言われる液体パッキンを塗布しているというわけです。

こうして全部外して、

でもって、百均の瓶に入れて超音波洗浄12分しました。注意ですが、ゴムは溶剤につけると一撃で変形するため、ゴムは絶対入れたらいけません。

何度も使っているので、ラッカーシンナーはニゴリまくり(汗)やっぱ、もったいないけど、シンナーは使い捨てのほうがいいねぇ。後悔しました。エアブラシ内部なんかは、洗浄ブラシが入らないので超音波洗浄必須です。

とはいえ、これで洗浄完了。今から組み付けます。

で、今回は色々とグリスを選定してみました。

じゃん!シリコングリス、リチウムグリス、モリブデングリスです!

シリコングリスは、AZのもので、前回MP3のOHで使用しました。が、伸びが少なく、硬くて、あまりいい印象は持ちませんでした。もっと伸びてくれるグリスの方が使いやすいと感じました。

ということで、

一般的なのは、リチウムグリスです。いわゆる汎用グリス。

そして、こいつはモリブデングリス。モリブデングリスというのは、二硫化モリブデンという金属の表面トリートメント剤が配合されており、ミクロのキズを修復してくれるというグリス。

この2つから使うグリスを選定したわけですが、モリブデンは真っ黒なもんで、手についた時に汚れが目立つじゃろと思ってやめました。今回使うのは

リチウムグリス。ちなみにケースは、百均の化粧用品のところにあった、クリームケースです。

で、組み付け。Oリングにグリスを塗り、テフロンパッキンにつけます。

で、ニードルパッキンガイドドライバーに入れて、

はめていきます。普通のマイナスドライバだったら一苦労ですが、特殊工具があれば、一撃で入ります。すごく便利w

仕上げに、マイナスドライバでキュッと締めます。締めすぎ注意。

つきましたw

で、メクラをつけようと思った時に驚き!なんとゴムパッキンがあります!ここにゴム入れていたら、思いっきりペンキに当たるんじゃないだろうか???しかも、ワタシ、ラッカーシンナーに漬けっぱなしで、超音波洗浄したんですが・・・・。大丈夫のようです!?なんで???

兎に角コイツもねじ山にグリス塗って、入れます。基本的に、金属と金属がこすれあうところは全部グリスをつけることにしました。ハジキが心配ですが、おそらく、シンナー入れて吹いたら吹き飛ぶでしょう!というわけでw

次に、エアバルブのOリングを入れます。ニードルのケツでつついて片方入れて、もう片方も入れます。

入りました。

ピストンを入れます。これもグリスアップして入れます。

構造としてはこうです。ローラーにはミゾが切ってあり、

そのミゾにはピストンが当たっており、

トリガーを引くと、ローラーのミゾがピストンを押し、ピストンは下に押される。下にはエアバルブがあり、圧縮空気が出てくる。ほんだきん、MP3みたいなダブルアクションのピストンとは形状が違うんですな。

←これはMP3のエアバルブですが、テンコツの形状が違いますよね。MP3は真上からボタンを押すことで、エアバルブが下に下げられます。

一方、トリガータイプのエアブラシはテンコツが丸みを帯びています。ローラーがスライドすることでピストンを下に下げなきゃいけないもんで、だもんで、テンコツの形状が丸くなっているんですな。

続いて、ローラーです。ここはトリガーが動くと同時に動くところなんで、グリスをベタベタに塗ります。

ほんで差し込みます。

ローラースプリングもグリスを塗り、

ローラーの後ろにやって、

ローラースプリングストップを入れます。

すると、セットボルトの穴から、スプリングが見えますが、ローラースプリングストップを入れていくと、ネジが現れ、

最後にネジ穴が現れます。ここでストップ。

セットボルトを入れて、終わり。セットボルトの位置で、ネジ込みここまで!という目安を示してくれているのでOHが楽です。

続いてトリガー。これもボディと接するところはグリスを付けて、

ネジ止めて終了w

で、ニードルチャックですが、コレもグリスを付けて、ローラースプリングストップの中に押し込みます。

そんで、ニードルスプリングを入れて、

ニードルスプリングストップをはめ込みます。キズをつけたくないので、タミヤのプラスチックプライヤーで締めます。

続いてエアバルブ。エアバルブもOリングにグリスを付けて、はめ込みます。同じく、タミヤのプラスチックプライヤーで締めます。

で、一番緊張するノズル。

特殊工具、ノズルマウンテンドライバにはめて、

レッドパテを付けて、

本体に差し込みます。恐ろしく、やりこい金属(プラチナ合金)なもんで、レンチでしめずに、ノズルマウンティングドライバーでキュッとしめて終わりにします。このノズルはエアブラシで一番取り付けに神経を使うところです。ノズルマウンティングドライバーがないと指で締めることとなりますが、ひょっとすべったら、マメ部品なのでどこいったか分からなくなることがあったり、真っ直ぐ入れたつもりが、なんせ指でノズルがよく見えませんからナナメに入っていてねじ山なめたなんてトラブルになりますが、専用工具があれば一撃で真っ直ぐ入れることが出来ます。自力OHマンには必須アイテムな特殊工具です。全部トータルTで仕入れてきました。

で、ノズルキャップが入るところもシーリングしたほうが良いので、レッドパテを少量つけます。

ちなみに、空気が出ているのは、この穴ですよ〜。ノズルから出るのは、ペンキのみです。ペンキが圧縮空気に
混じって霧状になって噴霧されるのです。

兎に角レッドパテ塗布完了。はみ出たのは、ティッシュで取ります。

で、ニードルキャップも取り付けます。

ラスト、ニードルを入れて、ニードルストップネジで固定。

ニードルアジャスタのネジ部にグリスアップし、

テールキャップに入れて、

OKOK????

じゃないです。OKちゃいます!

ニードルアジャスターがですね、スカスカなんでつよ!

うそでしょ?バラす前と全然違うテンションです。もうゆるゆる。例えるなら、メカニカルがハズレそうな時のキャップみたいな感じです。

これはおかしい。でも組み立て方としては間違ってないので、そのまま組み立てて動作チェックし、ここの不具合処理は後にします。

で、皮パッキンをはめて、

完成〜!

やっぱり自力でOHしたんは良い!愛着が沸きます〜w

動作チェック!OKOK!軽快に動きます!!!

これで、イケます!




と、


言いたいところですが、

よくない。

何が良くないか?

グリスが良くない。

すでに塗ったところはグリスが落ちていて、ボディはグリスまみれ。このリチウムグリス、やりこくて、手に付いたらそのままあっちこっちに付きまくるので、ボディがグリスまみれになり、一番付けたいローラー部は一瞬で落ちてしまうとです。吹いた後は手はグリスでヌルヌル。これだけグリスが落ちると、ハジキも心配です。

組み上げは間違ってないけども、汎用リチウムグリスは完全アウト。エアブラシに適したグリスは、もっともっと、硬くて保持力があるグリスです。MP3みたいなボタン式のダブルアクションならば、スライドカム周辺がクローズドになっているので気にならないですが、ローラーむき出しのトリガータイプのエアブラシはこのアタリのグリスアップがものっそシビアでござるね。

いいと思ったのは、オリンポスの純正グリス。ネチっこくて、なかなかの保持力。また、硬くて保持力が強いので、指で触ってもあんまし指に付かないし、落ちない。リチウムグリスは一撃で落ちるのでダメダメです。

だもんで、次のOHまでには、オリンポスの純正グリスを入手して、グリスの様子をインプレしてみますです。

ニードルアジャスタの不具合修正
リチウムグリスオンリーで整備した結果、

ニードルアジャスタはスッカスカ!外れるんちゃう?

この原因がわがんね!っつーわけで、トータルTに電話して質問してみると、

なんと原因はグリス。ニードルアジャスタはクリアオイルと呼ばれるねばいオイルでオイルアップしてやらないとスカスカになるらしいです。そんなんしらんし!!!

しかし、さすが、トータルTです。これ、そこいらの通販屋とかペンキ屋じゃ、永遠にわかんないですよ。こういう道具は買った後が大事です。少々高くても、買った後安心です。

でもって、グリスもちょっと汎用のグリスじゃ、スグに落ちるのでオリンポスの純正オイルを仕入れてきました。結局、メンテナンスオイル、マシンオイル以外全部かってしもた。こーなるんやったら、初めからセットのヤツ買っておいたほうがよかったなぁ。

で、メンテナンスオイルについていたのが、オリンポス社長のメンテナンス手順書なんですが、これも図が入っていて分かりやすい。エアブラシのグリスアップの使い分けなんて、詳しく解説しているモンなんてないから、こーゆーのもうれしいです。

で、これがクリアオイルなんですが、

ネバイネバイ。水あめのようなネバサです。

で、タップリ付けて本体に入れてみました。

結果、リチウムグリスよりは、抵抗が出てきましたwしかし、純正で新品で買った状態のものとは、全然抵抗が違いますね。新品の時と比べたら圧倒的に軽い。なんでじゃろ?でもま、普通に使えるので、使いますw

で、オリンポス社長のメンテナンス手順書見てたら、今回のOH記事では、オイルの使い分けが、全然紹介できてません。今やってる、PCジャンボのOHの時にでも正しい使い方ってのを紹介しますです。

なお、エアブラシ用グリスっつーと、エアテックスから出ていますが、あれはどんなモンなんでしょうね???




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