明治 MP3 修理&フルオーバーホール
(プッシュプル式ダブルアクションのエアブラシのOH)
明治のMP3。以前、対アルミのエポキシプライマーで
エポキシが残って、ガッチガチになって、じょんならんことなったんす!ニードルですが、若干、ほんの若干エポキシが残っていて、ツルツルします(汗)本体に入れるときはいつもかなり引っかかるような感じです。
塗料カップのテールキャップ側。白くなってて、ここが怪しすぎます。
エアキャップはエポキシがガチガチにひっついて、びくともせんとです(汗)
だもんで、完全オーバーホールをやって、全部バラバラにして、ラッカーシンナードブ漬け+超音波洗浄でこびりついたエポキシをはぎとったります。以前、MP3OHで記事を載せたんですが、あんなもん、使用後の分解洗浄レベルなので、今回はホンマにホンマに完全OHです。
なお、トータルTから、ダブルアクションタイプのOH方法が詳細に説明されたDVDが発売されており、エアブラシ虎の巻その2のディスクに収録されています。3枚で3500円で、内容は濃すぎるくらい充実していますので、これは買って見たほうがいいです。ホント。
で、OHですが、
まずは、テールキャップ、ニードル、塗料カップフタ、ニードルストップネジを外します。こんなもんは手で回したら全部外れます。
リールのOHと同じく、外した部品を分けて入れます。ニードルは曲がらないようにティッシュにくるみます。
で、続けて、エアバルブを外します。プラスチックがついたプライヤーで外します。
ここにゴムパッキンが付いており、シンナー厳禁です。侵されるから。
続いてスプリングストップとニードルスプリングを外します。ひねりゃ外れます。
ニードルチャックが出てきます。
押しボタンとレバープッシュメタルを外します。ナナメにしたら外れます。
で、精密マイナスドライバ(百均ツール)でセットボルトを外します。
いらなくなったニードルの先を使ってピストンOリングを外します。この際、Oリングの内壁に突き刺さらないように気をつけます。
エアバルブ側からニードルのケツを突っ込んで、ピストンを外します。
こういう感じでピストンがエアバルブの封をしてるんですな。このOリングがゴムなため、シンナードブ漬けがでけんのです。このOHの目的は、本体をラッカーシンナーにドブヅケしてこびりついたエポキシをキレイにすることですから、ゴムパッキンはオール排除せんといけんのんです!
で、ノズルを外します。純正のハコの中に入っていたノズルレンチ。これを使って外します。
ノズルが外れると、赤いパテがついています。これはレッドパテと呼ばれるもので、固まらない、溶剤に侵されないパテです。ノズルがやりこい金属で出来ているため、トルクをかけて本体に締め付けるとねじ山がなめるので強いトルクで締め付けることが出来ず、結果、弱い締め付けでもペンキやエアをシーリング出来る特殊液体ガスケットみたいなモンと思っていてください。
でもって、ニードルチャックを外した後の画像なんですが、金属のブッシュが入っているんですが、こいつは、ニードルチャックが動く時にをセンターからずれないようにするためにはめられているブッシュで、外れません。だきんほっといて次いきます。この奥には、ニードルパッキンが入っています。だもんで、外す必要があるのですが、専用工具があったほうがやりよいみたいなんで、専用工具を買うことにします。
というわけで、特殊工具到着!ニードルパッキンガイドドライバー!モチロン、トータルTで仕入れてきましたwケツのほうは、エアバルブのバルブダウンピンガイドを外すための工具になっておりますw
オリンポス製で、中身は、はずし方についての詳しいレクチャーがかかれていますwここらが、他のエアブラシ屋とは違うとこなんですよね。どうやったら工具が壊れるかまで詳しくフローチャートで説明されており、至れり尽くせりですw
簡単に説明すると精密マイナスドライバの先にポールがくっついている工具です。
こいつをニードルパッキンに差しこみ、外すだけ!
ただし、最初にネジを緩める時は特殊工具のドライバーの先がなめやすいので、市販のドライバーで緩めてくださいとのことでした。このあたり、トータルTでは、失敗例として、かけたドライバーまで写真で説明してあって、すごく分かりやすいです。普通の道具通販屋だったらば、メーカーのうたい文句をそのままコピペしてあって、実際に使ってもない道具を売っているのですが、トータルTの場合は、売る前に使っているので、詳細ボタンを押すと、店長のインプレが出てくるので、すごく説得力があって良いですwこういう道具は買った後が大事です。トータルT、オススメの通販屋ですw
でもって、一発緩んだので、あとは、ニードルパッキンにガイドシャフトを突っ込んで、
まわして取ると、こんな感じに取れますwwwサキッチョに白いのが見えるのは、テフロンパッキンです。たまに安いエアブラシイなんかは、このテフロンパッキンのところが、ゴムで出来てあるのもあるようで、溶剤で一撃でやられるんと違うか?なんて思ったりもしますが。。。
しかし、これで全バラ終了wこれから洗浄&オイルアップで組みつけていきます。
でもって、洗浄も一筋縄ではいかず。相手はただのペンキじゃない。最強と詠われるエポキシ樹脂です。だもんで、2日間ラッカーシンナーにつけっぱなし。瓶は百均の瓶です。ただし!ラッカーシンナーに入れるのは、ゴムパッキン以外です!黒のゴムパッキンをラッカーシンナーにドブヅケしたら、一発でやられますので厳禁です。
それから超音波洗浄。1500円の激安品なので3分で電源が切れてしまうのがすごく不便です。が、
性能的には十分。以前、リールパーツの超音波洗浄(OH記事)では、おおかた10分で完全洗浄できたので、今回は3回スイッチを入れなおして合計9分超音波洗浄にかけました。
なんせエアブラシ、小さいですから、洗浄用のブラシが入らないんですよね。だもんで、超音波洗浄は必要な工程だと思います。リールパーツの超音波洗浄でピニオンギアの汚れの落ち方を見る限り、ダイジョウブダイジョブです。ただし、水では油汚れはびくともしないので、溶剤必須です。リールパーツはアセトンでやりましたが、これはラッカーシンナー。どっちでもダイジョウブダイジョブですね。
なお、超音波洗浄器を持ってない人は、ノズルの洗浄が出来ません。が、トリガータイプのメンテナンスDVDの中にはその裏技が解説してあるので、買って勉強すべしです。これほどメンテナンスを詳しく解説しているDVDもないと思うので、すごくオススメです。曲がったニードルの直し方、サキッチョを抑えずにうがいさせる裏技、その他、グリスアップの使い分けや、やってはいけない作業の解説、ドブヅケしてはいけない部品、などなど、ご臨終となったエアブラシを再生するんを実戦で解説してあって、すごーく良いです!
で、本題に戻りますが、100均のステンレス網ナベにシンナーごと移して、部品を取り出します。ピカピカですwwwで、1日ほど乾燥させてシンナーを完全に揮発させて、
で、今から組み付け。
まずは使用するグリス。今回は家に転がっていたAZシリコングリスを使うことにしました。昔バイクのクラッチの油圧シリンダーのOリングをOHした際に使用したグリスです。
オイル挿しに移し変えて入れて、ナンボか出します。
まずはニードルパッキンの取り付け。サキッチョのほうに、ちょっとだけグリスアップ。テフロンパッキンに当たらないように気をつけます。
で、差し込みます。なるほど。ニードルパッキンガイドドライバーがないと、フラフラとニードルパッキンが動くのでやりにくくてしょうがないですね。そんなに高くはないし、ニードルパッキンガイドドライバーは買っておいたほうが良いです。
仕上げにちょっとだけマイナスドライバで増し締め。まわしていても、かなりやりこい感じが伝わってきて、締めすぎ厳禁というのが分かります。
次にエアバルブのOリング。これもグリスアップ。
ピンセットで差し込みましたが、ツルツル滑って全然入りません。
だもんで、ニードルのケツで押し込みながらかたいっぽを押し込んで、
もういっちょも押し込んだら入りました。
で、次、ピストンにもグリスアップして、ピンセットで入れます。
次、セットボルトにもグリスアップして入れます。
なぜこいつを先に入れるかというと、
後々入れるニードルチャックにミゾがきってあり、このミゾにセットボルトがはまる形になるんで、チャックを入れる前にセットボルトを入れておかないと、チャックの角度がわかんなくて入らないんです。
で、次は、ボタン関係。
で、これはニードルを後ろに引くためのレバープッシュメタルと言われる部品ですが、こいつは向きがあります。「半オメコのカタチにする」と覚えると良いです。アブのオメコワッシャーと同じです。金属ブッシュはオメコがキホンですね!
で、半オメコプッシュメタルをピンセットで入れて、次はボタン。
で、ボディ側には、すごく分かりにくいですが、シャフトが入るミゾが切ってあり、
このミゾにボタンのシャフトがはまるようになっています。
でもって、ハメます。
で、ミゾにミシンオイルを1滴たらすと、動きがスムーヅになるとのことなんで、オイルアップします。
次はニードルチャック。こいつもグリスアップ。
ボディ下側から飛び出たセットボルトに下側のミゾが入るようにハメます。
グリスアップした理由は、
本体に取り付けられたブッシュとこすれあうため、グリスアップが必要なのです。グリスがなくなると、動きが硬くなって扱いづらくなります。ちなみに、新品購入時は何もグリスがついてなかったので、硬いです。
その後、ニードルチャックにバネを入れます。
続いて、スプリングストップをねじ込みます。これもねじ切りの部分には要グリスです。
で、次はノズル。
バラした段階では、レッドパテがついてたんですが、
ラッカーシンナー+超音波洗浄で、レッドパテはキレーに取れました!
レッドパテ!?売ってねーよ!
と、
言うあなたに朗報。
トータルTで売っているんです。オリンポス製で、オリンポスの社長のOH解説書付きですw自力でエアブラシのOHをするとなると、必ず必要なパテですので、買っておいたほうが良いです。
で、爪楊枝でちょっとだけ付けて、
本体につけるわけですが、ここでも特殊工具。ノズルマウンティングドライバー!ノズルを取り付けるための工具、ノズルがねじ切れた時に、取り外すための工具を兼用しております。ノズルは純正付属のレンチを使っても取り付けられるんですが、こっちのほうが取り付けやすいみたいなんで、そんなに高くないし買っておきました。
ノズルがスポンと入るプラの溝が切ってあり、そこにノズルをはめて、
まわして終わりwノズルはすんごくやりこい金属で出来ており、少しでも締めすぎると一発でなめるみたいです。よくなめるので、取り外すための特殊工具がこのノズルマウンティングドライバーということです。レッドパテを使う理由も、弱い締め付けトルクでもエア&塗料を漏れさせないようにする必要があるため、そのための液体シール剤というわけです。
なお、なんでノズルがやりこいんな?ということなんですが、詳しくは知らないんですが、
本来、ニードルはノズルから飛び出る形になっています。
ということは、ニードルとノズルは接触していることで、ペンキをシーリングしているということです。がしかし、ニードルはステンレス。硬い金属です。一方、ノズルはプラチナ。シーリングするためには、パッキンのように、やりこい物体がないと、キチンと密閉できません。ニードルが硬いんなら・・・・・ノズルをやりこくしないとシーリングできないってわけじゃないでしょうか。
プラチナがやりこいかどうかは何かは詳しく知りませんが、やりこいやりこいといわれている理由はこんな理由ではないかと考えます。
で、脱線しましたが、次。
ノズルキャップを取り付けるんですが、レッドパテをつけます!なぜか!?ワタシ、1回、落っことしたからです(汗)以来、ノズルキャップの付け根からエア&ペンキ漏れがあったとです。だもんで、レッドパテでシーリングっと!(エアブラシは1回落とすと、芯がずれて、使い物にならなくなることもあるらしいので、落とすん厳禁です。実際、ずれているのかもしれないんですが、ワタシ、その微妙なズレが分かるほどのウデは持ち合わせておりませんので気にしません(爆))
これでOKOKw
なお、エポキシが固着してびくともしなかったニードルキャップは、ラッカーシンナードブヅケ&超音波洗浄で無事外すことが出来ましたw
で、ニードルキャップもつけます。ニードルキャップの先端にキズが見えますかね?あれが落とした跡です(汗)
で、エアバルブですが、エアバルブにもグリスアップ。ねじ山とパッキンめがけてすこーしだけグリスを塗ります。
で、取り付け完了。
あとはニードルですが、ニードルは変えます。ER−Bのニードルにコンバート!というのも、このMP3でエアブラシアートを描くことはマズないと考えるからです。ベタヌリオンリーだったらば、曲がりやすいニードルよりも曲がりにくいニードルだよね!っつーわけで、ER−Bのニードルに。オリンポスのニードル流用実験により、ERBは先端部分が急激に絞られている二段階構造をとっており、純正のMP3ニードルよりも曲がりにくいということが分かったのでER−Bのニードルをチョイスしましたです。
データによると1cmほど短いのでフンヅマリ状態ですが、MP3は、ニードルアジャスターがないので関係ありません。
サキッチョはちょっとだけ出ていますが、問題なしw
で、動きチェック。各部問題なし。エアブラシがペンキを霧状に出せるメカニズムとしては
ボタンを押す→ピストンが下に下がる→エアバルブピンが下に移動。エアバルブのOリングの隙間から圧縮空気が入り、ノズルの回りから噴出される→ボタンを引く→レバープッシュメタルが後退する→ニードルチャックが後退する→ニードルストップネジによって、ニードルチャックに連結されたニードルが後ろへ下がる→ノズルとニードルの間に隙間が生まれる→圧縮空気がノズルの回りから出ているもんで、その部分は負圧となっている(ベルヌーイの定理)→負圧にしたがってペンキがノズルの先に吸い込まれていく→圧縮空気と一緒になって、ペンキは霧状に噴出される→吹き終わったら、ボタンを前へ戻す(ニードルスプリングのバネの力によって手を離すとニードルチャックが前進)→ニードルが前に押し出され、ノズルとの隙間がなくなる→ペンキの通り道は遮断されペンキは出なくなる→ボタンを離すとエアバルブのスプリングによりボタンは上に戻され、エアバルブが閉じ、圧縮空気は遮断される。
こういうメカニズムなもんで、動作チェック的には問題なしです。※ちなみにこの図はHP100Bのものです。構造は全く一緒。
で、最後にテールキャップのネジ部にわずかにグリスアップを施し、
差し込んで、完成〜www
水入れて 霧のチェック。OKOK!ボタン操作も軽快に動くようになってマズマズの出来栄え〜♪
やっぱ自分の道具は自分で整備するんがおもろい!
※ただし、今回グリスをつけすぎたかな〜?と思うのでハジキが心配です!(汗)あと、今回使ったグリスはAZシリコングリスですが、これは硬くて伸びの少ないグリスだもんで、もっとやりこい伸びるグリスの方がよかったかな〜〜〜なんて思いました。
produced by fukusuke