エポキシの剥離剤


リビルドの天敵。グリップパイプのエポキシ。ブランクはスレッドの上にコーティングされているから、スレッドを解くと大抵大部分は剥げます。しかし、グリップはそうはいかない。

もしエポキシの剥離が甘いと、デコボコのパイプ表面になってしまい、後々行う塗装でアラが出る。そのため、完璧に剥がなければならないけども、さすが史上最強と呼ばれる2液エポキシはなかなかに手ごわい。ペリペリ剥ぐ方法は、熱をかけてエポキシを軟化させる以外ない。じゃぁ、アルコールランプを使うんかというとNG。まず、アルコールランプは室内限定です。炎が暴れるから。屋外でやると炎が暴れまくって、目的のところに行きません。しかも、暖めた後ペーパーでこする作業が待っているため、粉まみれになるため、室内作業は不可。また、アルコールランプといっても、火の長さなんて、3cmくらいのもの。一方、グリップパイプは70cmくらいはあります。ということは、70cmのパイプを同時に加熱することが出来ず、局所局所で加熱するしかないため、こびりついたエポキシをザッと削り取るワザは不可能。

じゃぁ、ヒートガンか!?これもやってみました。が、加熱をやりすぎるとブランクが溶けてグニャっとなる上に、クルクル回しながら暖めるため、最初に暖めた場所が削る頃には、もう冷えていてエポキシが硬くなっているときたもんだから、効率は良くない。また、エポキシの軟化点が80度くらいですが、80度まで持っていっても、放熱により、あっという間に軟化点以下になります。そのため、ちょっと削ってはまた加熱。ちょっと削ってはまた加熱の連発で、効率は悪いというか、ほぼ出来ないと思ったほうが良いです。

と、まぁ、アルコールランプとヒートガンを使った失敗を語ってみましたが、要するに、熱による軟化でエポキシを落とそうとすると、カーボンパイプ全体を暖める必要があり(ペーパーで広範囲をしごくため)、70cm近くあるパイプを同時に加熱するツールがないってわけです。調べてみると、樹脂にも寄りますが、エポキシの軟化点は80度くらい。1メーター水槽でも用意して、湯煎するならいけそうだけど、ガス代と加熱ツールが、市販品でない。

また、加熱したエポキシはねばくなります。ねばくなったエポキシ相手に、ペーパー剥離をやるとペーパーに軟化したエポキシがこびりついてノリが付いたようになりますので、全く削れなくなります。また、ノリですから、水研ぎしても、詰まった樹脂は落ちません。そのため、効率は最悪。

というわけで、加熱によるグリップパイプのエポキシ剥離は不可能です。せいぜい、スレッドコーティングくらいの小範囲限定の剥離方法です。

目詰まりしないから水研ぎがいいと聞いてやってみたけれど、水研ぎは、水を使うのでエポキシが冷たくなる。冷たくなると硬くなる。硬くなると剥げ難い。ゆえに効率が悪い。

結局一番良かったのが空研ぎ。空研ぎだとこすっているうちに摩擦で温度が上がります。温度が上がるとエポキシが柔らかくなる。熱可塑性樹脂だから。すると効率よく削れる。しかし、空研ぎだとすぐに目詰まりする。目詰まりすると削れなくなる。

この対処として、あらかじめ手のひらサイズに40番くらいの空研ぎペーパーを切っておき、目詰まりしたら即交換。これが一番効率がいい方法だと思います。ところが、空研ぎだと、エポキシの粉がモウモウと舞い上がるので、防塵マスク必須。しかも、サクサク作業は進むとは到底いえず、なかなかにすごい労力を要します。

ただし、100番台くらいのペーパーからやると、削る力が弱すぎて、全くもって削れたモンじゃないです。80番とか、60番、40番くらいから始めるのがベスト。100番台からやると、ブランク塗装のウレタン剥離でも相当な時間がかかります。グリップパイプのエポキシ剥離なんて、40番くらいからやらないとやってられません。でも、40番くらいからやると、

ケレンの跡を消すことが出来ず、のちのち、こういう削った跡の縦線が入るのよねぇ。最初に鋭い深い傷を作るわけで、たとえ1500番まで研ぎ出ししても無駄です。プラサフ重ね塗りで消せないことはないけれど、がいにめんどいわね。

そんなわけで、なんとかしてエポキシの剥離が簡単に出来ないかなぁと思って色々調べてみると、一般的にはエポキシは、溶かす溶剤が存在しないといわれており、あきらめていたけど、ひょうんなことから塗装で使われる剥離剤があるというので、これを中心に調べてみると、

なんと、エポキシ塗料の剥離剤があった!

それが、

やはりロックか。ロックリムーバー!と言われる、剥離剤!

今ばらしている、サザンクロススティックのグリップパイプが最悪なのです。隙間充填材は、タコ糸はまだマシなのですが、最悪なのはコアテープ。こいつは粘着質なので、ペーパーにこびりつき、すぐに目詰まりして、しかも削れるというよりは、粘着材が伸びてエポキシの上にコーティングしてしまうという最悪充填材なのであります。これにてこずっているので、これに使えればいいなぁというわけで。使ってみることに。

しかし、ここで気をつけないといけないのが、カーボンはエポキシだということです。エポキシが溶けるのならカーボンも溶けるはず。カーボンはカーボン繊維を骨材にしたエポキシFRPなのです。

が、

実験してみないと分からないというわけで、

ダイヤモンドラップの練習をしていたエポキシで実験をしてみることに。これはジャストエースのエポキシです。

凄まじい匂いがします。防毒マスク必須。

手に付くと激痛。薬品火傷みたいです。足についてやけどしました。ヒリヒリします。手袋しないと絶対無理。しかも、この手袋、ニトリルゴム手袋なんですが、エポキシも溶かすくらいなので、10分くらい使っていると手袋が溶け始めてピリピリします。10分くらいで手袋を新しくしましょう。

ティッシュにロックリムーバーをつけて、エポキシに塗りたくります。

しばらくは何も起こらなかったですが、10分後。ペリペリいいながら、なんと、エポキシが割れ始めました!!!

エポキシが薬品で割れるなんて想像もしてなかったから、目がテンです!

もう10分たつと、こんな感じ。すごいですよこれ!

割れる様子。割れていくのが目に見えて分かります!

しばらく経ったら、手で剥げるくらいペリペリですわ〜!

モッコリコーティングもペリペリ!

で、肝心のカーボンパイプは・・・・

ノーダメージ!これでいけます!熱可塑性エポキシだけ溶けて、熱硬化エポキシは効かないみたいです!

あと、2液ウレタン塗料は剥げませんね。

んが、これは大発見です!

これでリビルド一番の大敵だったエポキシ剥離術が出来るということです!

で、問題のカーボンパイプのエポキシをラクラク落とします!

ロックリムーバーを塗りたくる。

しばし待つ。

リールシートのエポキシがボコボコwネックだったコアテープのところのエポキシもグズグズになりましたw

コアテープぺりぺり♪エバもペリペリw

あとは軽くペーパーかけて、ラクラク完了です!

もう、

ロックリムーバーなしでは、リメイクは出来ません!

その後、更にレポート
剥離行為ですが、100均のハケ、小さめのヤツを使って、左手でブランクを回転させながら、右手でハケもって塗りたくるのが良いです。この時、絶対ティップからバットに向かってやるべし。なぜなら、バットからやった場合、左手が剥離剤まみれになって、ゴム手がグニャグニャに溶けてしまうから。

ハケは基本、使い捨て。一日取ったら、ボンド!?のようなものがカチカチに固まっており、再利用は不可。少しでも安いものを使い捨て。これ正解。

剥離剤の色ですが、開封後、2ヶ月くらいで、色が濃い青から、薄い水色に変化しました。皮膚についても、そんなに痛くない。あきらかに剥離性能が落ちています。保存瓶が百均の瓶というのもあるけんど、なるべく早めに使い切ったほうがよさそうです。

で百均の瓶に入れて、3ヶ月たったら、固まってました(涙)

というわけで、

使う時は純正の瓶の剥離剤をミキシングカップにいれ、筆でブランクに塗りつけることにしました。だいたい1本20mlあればぬれます!

で、元に戻りますが、
固まりかけの剥離剤は性能も最初よりもダイブ落ちています。ベッタリ塗ること2回繰り返さないとサクサク剥離できませんでした。で、ケレンというと、エポキシ&ウレタンですが、どちらかというと、剥離剤の効果が出やすいのは、エポキシのほうだと思います。同じようにベッタリ塗ったけど、エポキシのほうが剥離が良い感じです。ペリペリ割れます。

ビルダーの中には、剥離剤を使うとカーボンが溶けるとか、ベッタリつけるとNGとかいう報告もあるけれど、その、カーボンエポキシが溶けている写真を見せて欲しいです。私がロックリムーバーでやる限り、全然そんな風には見えません。剥離剤でシートワインディングの熱硬化のカーボンエポキシシートが溶けるなんてことがホントにあるんだろうか???興味あります。

ペーパーで剥離すると、ペーパーの傷跡だらけになるけれど、剥離剤を使うと、ホンマキレイにケレンが可能です。繰り返しですが、ハッキリ言ってリメイクのケレンは剥離剤は絶対使うべきと思います。

物差しで楽勝で前塗装が剥げますw物差しできついと思ったところは、カッターの背で、サックサク剥げますw

隙間埋めのタコ糸も、ペリペリですわ〜wたまらんw

ただし、スレッドはNG。スレッドは、カッターで全部取ってから剥離剤が良いです。剥離できている部分と出来てない部分があって、一気にカッターでサクッといって剥ごうにも、ところどころ溶けているのですんごく効率が悪〜いです。

デコレーションリングは、ライターなしで取り出し再生可能w

ワインディングチェックは無理。熱して取り出さんといけん。

それから、ACSグリップが隙間開いているところから剥離剤がしみこんでいって取れるか!?と思いきや、さっぱりとれん。だけど、今回、初めてリールシートを剥離剤まみれにしましたが、溶けません。プラスチック不可とか言うけれど、十分いけますね。それから、フードナットのカラーが剥げました。ロックリムーバーは、アルマイトは落とせないはずなので、おそらく、フードナットのカラーはおそらく、ペンキですね。不動態ではないと思います。

中途半端な剥離方法
シャドウライズやジョニーライデンのように、純正のバット部分はそのままに前塗装をケレンする場合、ティップからバットに向けて剥離剤を塗りこむ点は同じなんですが、ケレン後にカッターの背で前塗装を削る時は、必ずバットからティップに向けてやるべしです。というのも、ティップからやってしまうと、左手に剥離剤がつき、そのままバットを持ってしまって、バット部分のコーティングが剥離されてしまい、台無しになってしまうからです。


ロックリムーバー廃盤と代用品について
リメイクの必需品ともいわれるロックリムーバーですが、先日、悲しいニュースが舞い込みました。

廃盤です。

700gの小瓶で販売していたヤツが廃盤になり、最小ロット4kg〜となってしまいました。

ビルディングで4kgはナンボなんでも多すぎですし、使っていくうちに気が抜けて能力が落ちるので、小瓶でないといけません。

そんなわけで、代用品を探したのですが、ホムセンに売ってるやつは、アクリル塗料を剥がす為の弱いヤツで、トロミもシャバシャバで、ロックリムーバーのような毒々しいヤツではありませんでした。

そして、カー用品店で見つけました。

板金塗装用のウレタン塗料の剥離剤。これならロックリムーバーと同じちゃう?と思って購入。ホルツの塗装はがしで、1000円ほどでしたw

早速使ってみることにして、粘度を見たところ、ロックリムーバーよりはだいぶ粘性が低く、しゃばいです。

しかし、使ってみたところ、タレるような粘度でもないし、竿の塗装はがしでもギリ使えるレベルです。

で、効果のほどはというと、ロックリムーバーと似たようなモンwいけますw

これからはホルツの塗装剥がしを使おうと思いますw


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