自作ラッパー



最近感じているロッドビルディングの問題といえば、「グリップ加工」。これにつきます。

グリップ加工のために旋盤YH100を導入したはいいが、相変わらず出る、

こーゆー、不具合。EVAだとナンボかマシなんだけど、問題はコルク。

コルクは柔軟性がないため、丸棒に突っ込んだ際に斜めになって固定され易い。一方、EVAはフニョフニョなるきん、少々内径があってなくても突っ込んだらガッツリ固定できる。

コルクは無理して突っ込んだら割れるきん、それが出来ん。

というわけで、グリップ加工での難点はコルクの加工。この1点に集約されます。

そんなわけで、いつもの駆け込み寺(ホライズン)で聞き込みをしてみると、テーパーのかかった棒に突っ込むのがキモらしく、ラッパーを使って成形をしている模様です。この時使われるのが釣竿で、釣竿をチャックで固定し、ミシンモーターで回転数を調整しながら成形しているみたいです。

ラッパーというのは、自動回転台とでも言いましょうか。自動ラッピングマシンです。サバロなんかで写真つきのが紹介されていますが、他にもアングルという名前で、国内に流通しています。アングルはロットロットで取り扱いがあります。

このラッパーですが、おおもとはアメリカのパシフィックベイの商品で、

「ロッドラッパー」



「ロッドラッパーデラックス」

というものです。

違いはチャック。

ロッドラッパーのほうはプラスチックのちゃちげなチャックの商品。

デラックスはアルミのガッシリしたラッパー。

問い合わせをしてみましたが、デラックスのほうがセンターの精度が出やすく、固定のパワーが強いといったものでした。

http://fishstory1091.blog.fc2.com/blog-entry-7.html
また、タクランケさんの検証では、廉価版のチャックは駆動中に緩んだり、センター出しが甘かったりして、バンド止めによる工夫で改善できるようですが、ここらを煮詰めないといけないと思います。


他にもフレックスコートからも出ていますが、チャックがトイレガッポンと同じような感じでちゃちく見えました。


あと、最近出たのはアルプスのツールで、これはパシフィックベイのチャックと同じようにアルミ+ゴムのチャックみたいです。

各メーカー、チャックこそ違いますが、メカニズムは全部同じ。

動力はミシンモーターと足フミコントローラー。ミシンモーターからプーリーでチャックに連結し、速度を調整しながら回転させられるというシロモノです。

さらに動力はミシンモーターのほかにも低速のシンクロナスモーターがあり、プーリーベルトを付け替えることでドライモーターにもなるというスグレモノ。

早い話が、このラッピングマシンを自作してやれというのが今回のテーマとなっております。

この課題に既に人柱的に取り組み、良い結果を残しているのがタクランケさんです。大変参考になる記事が多く、頭が下がります。

http://fishstory1091.blog.fc2.com/blog-entry-6.html

ただし、ラッパーとはいえ、使うのは総巻きをする時くらいで、ガイドラッピングなんて、指で20周くらいすれば終わってしまいます。雷魚ロッドなんてせいぜいダブルラッピングの下巻きで活用できるかどうかというところ。

5周ほど化粧巻きをして、次に色を変えて・・・なんてことをラッパーでやってるとかえって手間がかかってしまい、はっきりいって、雷魚マンにとっては、ラッパー作ってもあまり使い道がありません。

そのため、ボビン製作は無駄ですので、ラッパーの中でも、簡易旋盤だけを抜き出したツールの自作を目指すことにします。低速モーターも使えたほうが便利なような気もしますが、UVコーティングをする上ではラッパーの台座にレールがついているため、照射できないため必要ありません。

そこで早速部品調達ですが、ミシンモーターを調べてみました。

一般的なのは、YM43/YC480というビクターのモーターセットです。

値段は7000円ほどで、送料が無料です。思ったほど高くないですが、続いてチャック。チャックはパシフィックベイかアルプスでキマリだと思います。

で、パシフィックベイのチャックですが、ざっとみたところ、

アメリカから取り寄せるとして、119ドル(10948円)

イギリスから取り寄せるとして、76ポンド(11400円)

アルプスのを選択するとしても、130ドル。(11960円)

となっております。

受け側の台座は30ドル(2760円)。

私が探した中では

http://www.squidcofishing.com/ROD-WRAPPING-MACHINE-REPLACEMENT-PARTS_c503.htm

ここが一番安かったです。※国際発送対応かどうかは調べていません。

ということはですね、

パシフィックベイのデラックスチャック 11000円
受け側ローラー:2760円
送料を仮に30jとして2700円。
ミシンモーターセット:7000円で、

23460円で自作が出来るというわけです。

国内調達だと、7万くらいするので安そうに思えますが、実は大きな落とし穴がありまして、

ラッパーの完成品自体が安いという不条理な事実があるんです。

http://www.donartrods.com/miva/merchant.mvc?Screen=PROD&Store_Code=D&Product_Code=RW3&Category_Code=SP

パシフィックベイのデラックスチャックラッパーが驚きの305ドル。アメリカは220Vと110V規格がありますが、110V規格だと日本でそのまま使えるようです。

つまり、完成品を買ったって、3万チョイで買えちゃうというわけなんです。これには参ります(汗)

そのため、24000円でパーツ集めて自作するメリットというのがありません(汗)

UVハードナーもそうですが、加工の手間とリスクを考えると踏み切るのはリスクが高いですね〜。

つまり、自作ラッパーの課題は、「いかに安く作るか?」この一点に集約されると思います。

そして、まずミシンモーターですが、これに7000円も出したらアシが出るので、これをいかに安く手に入れるかです。

とりあえず、近所のリサイクルショップでジャンク品を探しましたが、あるのはせいぜい電動ドリルくらいで、ミシン置いてるところがありませんね〜。

ミシン屋、手芸店もまわってみましたが、新品しか置いておらず、中古はおろかジャンク品なんてありゃしません。

となると頼みの綱はヤフオクなんですが、出品されているミシンモーターはほとんどが工業用のでかいやつばかりで、小型のがありません。

粘り強く待ってみても、小型のミシンモーターのみなのに結構高く、値段は3000円以上で取引されるものばかりです。さらに不思議なことに、ミシンモーターのみなのに、送料が1500円位するものが多く、結局、5000円近くかかってしまいます。

そこで視点を変えて、ミシン本体のジャンク品を探してみたところ、意外にも安く、ミシンモーターと送料がそんなに変わらない(なんで???)ので、ジャンクミシンを丸ごとかって、バラしてフットスイッチとモーターだけ取り出したほうが合理的といえるかもしれません。

そんなこんなで100円落札送料1000円の破格値でジャンクミシンを仕入れましたw

これをバラして、モーター、フットスイッチ、プーリー、ベルトを入手。これで動力を手に入れましたw

詳しくは、

http://fukusukeraigyo.digi2.jp/misinmo-ta-/misinmo-ta-.html

これを参照してください。

続いて問題となるのがチャックです。

まずはライバルを知ることとして、市販のロッドビルド用チャックがどれくらいで手に入るのかを調べました。

私の調べたところ、

販売店 値段 送料 税金 円換算 合計
パシフィックベイアルミデラックスチャック Mudhole 149.95$ 30$ 17005円
パシフィックベイアルミデラックスチャック Anglersworkshop 138.56$ 46.95$ 19908円
パシフィックベイアルミデラックスチャック Squid 119.99$ ? ? 問い合わせた結果、合計200ドル以上になるらしく、オススメしないとのこと
パシフィックベイアルミデラックスチャック Guidesnblanks 76.60ポンド 13.33ポンド 17.99ポンド 15433円
アルプスアルミチャック Acid Rod .com 129.9$ ??? ???


となっており、デラックスチャックを手に入れるためのコストがおおむね15000円として、を自作で進むか退くかの一つの指標にします。

で、早速チャックの情報収集をしました。

しかし、これがかなりの曲者で、一般的なチャックといえば、ドリルチャックで、

これなんですが、これは、マックス10mm程度。雷魚の場合、20mmサイズのパイプをつかむため、つかむこと自体ができず、お話になりません。

そうなると次なるチャックはというと、旋盤用チャックですが、デカスギ!小さくても直径が10cmくらいある大型旋盤のものばかりで、とてもじゃないけど、ミシンモーターに連結してとはなりません。

汎用の小型チャックで使えそうなのは、プロクソンのユニバーサルチャックで、

No.27024と

No.27026です。

ただし、27024は4ツ爪チャックで、独立型ツメなので、センターが出ません。釣竿使用で使うなら、セルフセンタリングの3ツ爪チャックの27026です。

正爪/φ25mm、逆爪/φ50mmなので、釣竿でもガッツリ固定できます。ボディは亜鉛合金みたいで、しっかりと固定できそうですw

キソパワーツールに問い合わせて、裏側の写真を見せてもらいました。

センターのネジがM16、ピッチ1.0mm規格のメネジ(正ネジ)が切られており、プロクソンの旋盤側のオスネジに連結して使うもののようです。

M16規格のネジがあれば、これにプーリーを連結し、ミシンモーターからベルトで駆動すればいけそうな気がします。

台座は、ピロー型のベアリングユニット。

図解すればこんな感じでしょうか。

というわけで、ベアリングユニットを探してみると、まさかのエラーで、内径15mmもしくは内径17mm規格のベアリングしかないんです。

となると、プロクソンのチャックを使うならば、加工をしなければならず、それがややこしいです。というか、チャック自体の値段が6100円。ベアリングユニットが1つ1000円としてもすでに8000円かかる上にプーリーまで買って自分で加工していると足が出るのは確実です。

汎用ドリルチャックは小さくてダメ。大型チャックはデカすぎてダメ。

ロッドビルディング用チャックくらいしか思いつきません。

そんなわけで、ネックなのはチャックです。

そして、次にチャックを自作できないか?と思って調べてみたんですが、そもそも、このチャック、クルクル回すと、ツメがセンターに均一に移動するんですが、スクロールチャックと呼ばれており、

構造はというと、

特殊なネジきりを使用しており、

とてもじゃないけど、汎用品の組み合わせで作れるようなシロモノではありません。

ブランクをセンターにしっかりと固定できる方法を考えること、

これを解決しないことには、完成品を買ったほうがマシです。いかに安く簡単に仕上げるか、ラッパーの自作は釣り人のテーマなのかもしれませんね。テプラに似ていますw

そんなこんなで散々考えて、コレなら!と思ったのがコレ。

早い話が、マタギのチャックを使ってやろうというわけです。ドリルチャックの裏側にタップを立て、半ねじボルトに固定。ボルトはピロー型のベアリングユニット2つで水平を出し、ケツにプーリーを持ってきて、それをミシンのプーリーと連結し、動かします。

http://fukusukeraigyo.digi2.jp/burankutosoukaitendai/burankutosoukaitendai.html
マタギのチャックは以前、ブランク塗装回転台でテストしたことがあり、なかなか良かったのと、ビルダーなら誰もが持っているチャックなので、テスト費がタダというわけ。

で、鬼門なのがシャフトのセンター出しですが、これをドリル用の小口径チャックでやってしまおうと思います。

つまり、チャックにチャックをつけるというわけw

で、ドリルチャックも以前、ドリルを使ったグリップ成形機でテストし、あまっているのでコレもタダw

まさに廃材利用のテストですw

ンデ、まずはドリルチャックの分解。シャフトが邪魔なので抜きます。

まず、チャックを限界まで広げると中央にネジが入っております。このネジを取ります。なお、逆ネジですので要注意。

そして、裏側にメガネレンチを入れて半時計周りにまわすとシャフトが抜けます。なお、これは六角レンチをチャックではさみ、それをバイスで固定し、メガネで抜いています。

これでOKw

で、早速このネジを調べてみましたが、M9.3くらいの特殊サイズのネジで、頭が痛くなります(汗)

で、これにボルトを入れるんですが、ベアリングユニットの最小サイズがM10なので、M10のタップを立てます。

で、タップを立てるときは下穴の径が大事で、

M10の場合、下穴は8.5mmじゃないといけないんですが、既に穴が空いているため、無理矢理タップを立てることにします。

下穴が既に8.5mm以上あいているため、そのままタップを取り、半ねじのM10規格にチャックをセットしました。

お次は台座です。FYH製ピロー型ユニット軸径10mmサイズを2つ用意。モノタロで700円ほどで、2個で1400円でした。

続いて台座。百均で直方体のブロックを購入。

これにビス止めで、このようにします。

ここまできたらあとはプーリーです。ミシンについていたプーリーにタップを立て、ネジ部でくっつけようかと思い、タップを立てることにしました。

しかし、これが大失敗。センターはズレるわ、ねじ山は割れるわで

大失敗。

こーゆー加工は難しいね〜。

こうなると材料がなくなってしまったため、次なる作戦は木材加工。なんせ、木工旋盤があるからねw

百均で円柱を買ってきて、これを旋盤で加工し、エポキシで引っ付けることにします。

というわけで、旋盤にて加工が必要となったため、ドリルチャックが必要になりました。

運良く、YH100用のドリルチャックが発売されており、3500円ほどで、そんなに高くなかったので購入。

これが純正ドリルチャックです。結構ゴツイです。

ねじ山がきられており、これを回転部に固定します。

プーリー側にもつけられますし、

受け側にもつけられます。

回転の様子はこんな感じです。

お次は加工する丸棒ですが、百均に売っているためかってきました。

ついでに彫刻刀では不便を感じていたため、ホムセンにて大型のノミをかってきました。意外にやすく、3本で1000円でした。一番奥のが一番高くて1本1500円。これはツメのようになっていて、これでベルト部を削ることにします。

続いて丸棒をチャックに固定します。ビス止めします。

このようにセットし、削っていきます。がしかし、結局、最後にはドリルで穴を開けるので、これではドリルがセットできません。

そこで、丸棒を真っ二つに切り取ることにしました。

こんな感じで削っていきましたが、案の定、バイトが中央に行くほど、

削りにくくなってきて、しまいにゃ削れなくなったんで、

ノコギリで切り落としました。

続いてドリルで加工していきます。受け側にドリルをセットし、プーリー側に寄せていきますが、結構ブレてしまって、芯ぶれしております(汗)

加工の様子はこんな感じ。

おまけに受け側がちょっとしか動かないため効率が悪く、よく見てみると、ドリルチャックが逆回転してしまっており、緩んでいました(汗)

ドリルチャックをつけるのはプーリー側のほうがいい!と思ったので、閑話休題。

気分転換にノコギリで切り取った面をノミで整えることにしました。

すると今度は、バキッ!と音がして、

丸棒が落ちました。ビスが短すぎたようです(汗)

なんせ初めての作業なんで勝手が分からず苦労しますが、ノミにも当て方があって、

面で加工すると引っかかって、バキッとなるので、

なるべくカドの尖った部分でやったほうがいいです。

ちょっと長いビスを買ってきてやり直します。

そんなこんなで、ビスを長いものに変更し、回転盤に取り付けました。

そして再び回しながら外径の平坦出しを行い、

穴あけ。

で、このプーリーが曲者で、反対側が回ってしまうので適当なドライバーをプーリーに突っ込み、固定した状態で回し、チャックを取り付けます。

んで、段々穴を広げていきます。それにしてもコレ、2cmずつしかドリルが平行移動しないのでスゴイめんどいです。

んで、とりあえず、10mmまで穴を広げました。

んで、あまりデカ過ぎるのも使い勝手が悪いので、直径を絞っていきました。

そんで、あとはある程度幅を持たしてプーリーを切断するのですが、バイトが太い上に削っているモノが太いので歯が届かず、切断が出来ないため、バイトを変更。細いヤツにしました。

そして切り取りまして、

一応、こんな感じのプーリーもどきが出来上がりましたが、百均のマテリアルがかなりボロくて、木材の内面は「す」が多くて、ササクレだらけ。やっぱちゃんとした木材のほうがいいと思いました。

しかし、とりあえず部品は揃ったので、今度はベアリングユニットとミシンモーターで組んでいくことにしますw

そしてまずはプーリーをボルトにつけることにします。

ボルトは良い感じにプーリーに入り、

5分型エポキシで接着します。

続いてベアリングユニットのセットですが、このようにしてみたところ、プーリーがでかすぎてつっかえてしまいました。

しょうがないので百均の木材パーツを使い、

90度アングルを使い、ビス止めしました。

その後、モーターを手で固定しておき、ベルトをかけたらそれらしくなりましたwそして、チャックを取り付けて、モーターを回してみたところ、

一応、回りましたw

が、精度が大問題。

プーリーがぶれるぶれる!センターが全然あっていません!回転させてたら台ごとガタガタと動いてますがな(汗)

しかし、方向性としては間違っていないようです。

ちょっとプーリーの再加工を考えます。














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