Lネジに50mlカップ取り付け
(銀ロウ溶接初挑戦)
こうして、オリンポス教へと入信したワタクシですが、当初考えていたことがあり、それが0.4mmノズルのガンです。
絵を描くためのガンは、0.2mmのプッシュプル式エアブラシで、HP100B。
また、それをサポートする感じ&初心者の入門用に0.3mmトリガータイプのエアブラシで、HP102B。これはリール塗装用も兼用です。
んでもって、ブランク塗装といった大物の塗装用にPCJUMBO206と考えており、ロッドビルディングで使う塗装はこれだけで良いかと思いきや、後一つあります。
それがリールシート。こいつが曲者で、0.6口径のガンではミストが粗すぎて、塗膜が分厚くなり、特にねじ山でクラックの原因になってしまう。かといって、0.3mmエアブラシだと、塗料が足りない。(大体0.3mmのエアブラシは、塗料カップが7ml。リールシートの塗装に必要な塗料が、おおむね15〜30mlといったところ。)。また、本来、ウレタンプラサフやウレタンクリアを吹くためには、大き目の口径が必要で、それが0.4mm以上といったことがあるのです。
というわけで、大型カップが取り付けられるモデルで、口径が0.4mmのものを探していて、それが、HP84DとアリーズのSGA6104でした。両方とも丸吹きでノズル径が0.4mmで、値段も同じくらいです。若干アリーズのほうが高い上に、ニードルがエアブラシのほうが安い(アリーズが2700円なのに対して、HP84Dが1800円)ので、選ぶならHP84Dだったんですけどね・・・・
アリーズが使ってみたい
わけです。
そもそもオリンポスを知るきっかけとなったマタギが使っている(マタギは、SGA6206です)ので、最初から気にはなっていたガンです。
また、ルアマガのDVDで庄司潤さんがつこてたガンもアリーズで、それはそれはきれいな霧が出ていました。
んでもって、HP84Dは、HP102Bを買う関係で、同じようなガンなんですよね。出来るだけ幅広い機種を使ってみたかったので、
SGA6104をチョイス。
こうして、初めてのアリーズが家に到着したわけですw
ちーとハコが安っぽいのがアレなんですが・・・・
0.7キロからきれいな霧が吹けて、んでもって、必要な空気量は10L/分以上という、いわゆるリニアコンプレッサみたいなプラモコンプレッサでもきれいな霧が出るスプレーガンというのは、アリーズのほかにないんじゃないでしょうか。
これがその名機と言われるアリーズSGA6104ですwwwまず、持った感じ、凄まじく重い!さすがオリンポス。軽量化に背を向け、きれいな霧を出すことに特化した結果の重厚なつくり。どこかのロッドのコンセプトと似ていますw
カップをつけた状態での重さは458g。こりゃ、ますますどっかのロッドに似ていますwww
というわけで、リールシート塗装に使おうと思って買ったアリーズですが、一つ問題点があり、それが塗料カップなんですよね。リールシートの塗装で使う塗料は、15〜30mlといったところ。2液ウレタンを使う時に気をつけておかないといけないのが、ギリギリの必要使用量はアウトという点。
2液混合型塗料なので、
余った塗料は皆固まってしまって使用不可です。というわけで、歩留りを上げるために出来ることなら、ギリギリの使用量で使い切りたいところですが、その考えは大間違い。
こいつは2液なのです。
ひょっと足りなかったら、また主剤を測り、硬化剤を測り、シンナーを測り、混ぜた後カップに追い足しせにゃなりません。そんなことしてたら、ユズ肌食らって撃沈です。
というわけで、2液型塗料を使う時は、絶対に余裕を持った量を準備しておくことが大事かと思います。
全部が全部というわけじゃないですが、雷魚ロッドならば、フジのDPS22シートを塗る可能性もあるため、30mlほど見ておけば間違いないと思います。
んで、アリーズはもともとがスプレーガンですから、エアブラシみたいに、少量のペンキを吹き付けることを想定していません。というわけで、純正のカップは130mlカップです。で、この130mlカップに30mlの塗料を入れて使うと、不具合が起きるわけです。
それが息切れ。
昔、この手のミスをやらかしましたが、ガンを動かしながら塗る関係で、塗装カップに少ししか塗料が入っていない場合、ペンキが波打った時に空気が入り、それが息切れとして出てしまうのです。
そのため、こういった広い径のカップに少量のペンキを入れて使うことは本来やってはいけないことなのです。
かくして、30mlのカップが必要なわけですが、
ご存知の通り、予定量ギリギリのカップだったら、カップに注いだ時にこぼれて掃除がワヤになります。フタも開け閉めしにくいしね。
というわけで、30mlの塗料を使うなら、50mlカップがベストチョイスなわけです。
というわけで、今回やろうとしていることは、
アリーズの130mlカップに50mlのカップをコンバートと、こういうわけです。
と、
言ってしまえば簡単そうですが、これがウルトラC級の難しさがあるのです。
というのも、
アリーズって、Lネジなんですよ。このネジについては、どこかで述べたと思うのですが、配管継ぎ手の世界では、インチ呼称と言うのがあって、ネジ径をインチで表記しているのです。塗装で使われるのは、エア搬送ラインと液体搬送ラインの小型継ぎ手の世界なので、ネジサイズに関しては主にインチで表現しています。
配管継ぎ手あらかると
インチ呼称について
塗装で使われるのは2種類。1/8インチと1/4インチです。1/8インチがエアブラシでSネジ、1/4インチがスプレーガンでLネジと呼ばれています。で、このほかに、3/8インチ、1/2インチ、5/8インチと種類があります。でもって、これらを表現しやすいように、OO分という言い方をします。これは、全部を8分の置き換えて、
1/8=1/8=1分
1/4=2/8=2分
3/8=3/8=3分
1/2=4/8=4分
5/8=5/8=5分
と、こういう風に呼びます。ちなみに、これらのインチ数は、流体が通る部分の外径です。
「おねじ」「めねじ」について
左側が「おねじ」右側が「めねじ」です。おねじのおは雄のお。めねじのめは雌のめ。つまり、チンポコとオメコを連想すれば良いです。
つまり、おねじはネジ山がついてて、はめるほう。めねじはネジが切られていて、はめられるほうです。
エルボ、チーズ、ニップル、ソケット、ブッシング、タケノコについて
これがエルボです。
これがチーズです。Tのカタチをしています。
これがニップルです。
これがソケットです。どちらか一方以上がめねじになっています。
これがブッシングです。
これがタケノコです。タケノコの形をしています。
テーパーおねじ 並行おねじについて
これは両方とも2分のおねじですが、右がテーパーがかかっています。左はテーパーがかかっていません。
テーパーおねじ=PT
並行おねじ=PF
と呼ばれます。
テーパーおねじは、めねじを差し込む際、最後まで入れることが出来ずに、テーパーがかかっていてそれ以上はいらないところで入れることが出来なくなります。そのため、エアの漏れ防止のパッキンやシールテープがいりません。一方で、パイプ内部の流体を止めているのはネジ山一個だけなので、高圧時にブチ飛ぶ可能性があり、高圧配管なんかでは使えません。
一方、並行おねじは、めねじが最後まではいるため、めねじ側にパッキンが必要か、もしくはシールテープが必要です。しかし、ねじ山全部で流体をシーリングできるため、高圧配管でも安定して流体の漏れ防止に役立ちます。
スプレーガンなんかは全部並行おねじを使っており、めねじ側にはパッキンが仕込まれています。
これらおねじ・めねじの領域は、「配管継ぎ手」と呼ばれており、いわゆる、空気ラインのジョイントに使われる部品です。上のことが分かっていれば、選定で困ることはありません。
さて、本題ですが、
一般的に、エアブラシ用の塗料カップは1分のめねじ。
スプレーガンは2分のめねじが使われています。これは、スプレーガンがエアブラシにくらべて大きいので、使う塗料も多いからです。
で、まず考えたのが、
アリーズの塗料ニップルが2分のおねじなので、2分めねじ→1分おねじの異形ソケットをつけ、エアブラシ用の塗料カップがつけられないか?ということ。
で、これがそうなんですが、2分めねじ→1分おねじの異形ソケットです。
で、これをアリーズのニップルに連結。
で、あとは、エアブラシ用のカップをつければOKと思いきや、なんと、エアブラシ用のカップはおねじ(汗)こりゃ付きません。
だったらば、2分めねじー1分めねじの異形ソケットを使い、エアブラシのカップをつけようかと思いきや、
付かないんですね。
エアブラシのねじ山ですけどね、8分配管用のネジ山じゃないんですよ。ホームセンターに行って、ネジ径調査ツールを使って、調べましたが、合うネジがありません。こりゃ特殊ねじです(滝汗)
なお、塗料ニップルを外して、ここにエアブラシのカップをはめられないか?とおもって、
やってみたけど、ダメ!スカスカ!
でもって、よくよく見ると、コイツも特殊ネジ。1分おねじのようで、1分おねじとは全く違う特殊ねじです。ちなみに、左が1分おねじ。ピッチが全然違います。ついでに、アリーズのねじ山には、パテが付いていました。外してよかったんだろうか???
で、一応、プロ本舗にも問い合わせてみましたが、リッチの50mlカップがありますが、あれは特殊形状で、スプレーガンにはどうやっても付きませんとのこと。
というわけで、継ぎ手を応用して、スプレーガンにエアブラシカップという選択肢は完全に消えました(汗)
続いて、他の選択肢を探します。
ボクが持っている塗料カップ。左からアリーズ用130mlカップ、イワタ製150mlカップ、キンキ製150mlカップ。全部小型スプレーガン用のカップです。
余談ですが、イワタのカップは止めたほうが良いです。
イワタカップは重い!
イワタカップ=154g。
オリンポスカップ=99g。
キンキカップ=98g。
で、カップの直径を計って比較しました。
イワタカップPC150S−2LF | 64mm |
オリンポスアリーズカップ | 55mm |
キンキカップ | 52mm |
イワタが断然重くて、カップの直径が広いので、塗料が少ない時に息継ぎもしやすいし、良いことないと思いました。
で、オリンポスとキンキはほぼ一緒の重さなのですが、キンキのほうがカップ直径が小さいため、少量のペンキでも息継ぎしにくいので、キンキクリーミーカップが一番です。
あと、
これはキンキカップとオリンポスカップのフタを比較していますが、オリンポスカップはふたの擦り合わせが深い一方で、キンキカップはすり合わせが浅いです。これは、フタのあけやすさ、締めやすさが関係しており、浅いほうが締めやすく、開けやすいことを表しています。深いほうが緩みにくいですが、塗装していて、塗料カップが緩むことなんて皆無に等しいので、当然作業性が良いのはキンキカップです。
あと、気づいたんですが、
オリンポスカップ、
カップとのつなぎ目に、接着剤がぬってありました。黄変しているので、おそらくエポキシじゃないでしょうか?エポキシだったら、溶剤でもなかなかやられないし、そんなに塗料と触れるわけではないから、かまんのかね???
というわけで、ワタシが今まで使った中では、キンキのクリーミーカップが一番軽くて、少ない塗料でも息継ぎしにくく、また、フタの開け閉めがしやすいというわけで、クリーミーカップが一番優秀だと思います。刻印があって、格好もいいしね!
話がズレましたが、
イワタのカップの継ぎ手部分が、なんかね。分解できそうなんですわ!こいつを部品鳥できれば、可能性が開けるかも?とおもって、
分解してみました。まずは、蝶ネジのスグ横の六角をモンキで空けます。
結構硬かったですが、開きましたwテフロンパッキンが入っています!
続いてニップル。
で、これも外れました!すると、
内部にはなにやらねじ山が!これは、全部分解できそうです!
しかし、全くびくともしません。これはパイプレンチでないと外れないと思いました。
しかし、まぁ、これだけでいけるかも?というわけで、アリーズに色々付けて見る事にしました。
で、問題のカップですが、PCジャンボ206のスペアカップが50mlなので、
こいつが使えないかと、ねじを調べてみたら、1分おねじだったため、1分めねじー1分めねじエルボを使って、流用することにしました。
ところがドッコイ、イワタのネジが、1分じゃないんですわ。なんとコイツもエアブラシ同様、特殊ネジ!ホームセンターのネジ調査でも合う規格がない!
こうして、蝶ネジを連結することが出来ないという、最悪な方向へ進むこととなります。
で、ここで、蝶ネジを使わないでもかまんことない?と思いまして、
2分のニップルに、2分ー1分の異形ソケットをつけ、
こいつに塗料カップつきのエルボを連結したわけです。が、重すぎバランス悪すぎで使えたモンじゃないですハイ。
で、上で使ったソケットはキンキのホームセンターに置いてあるソケットなのですが、ごついので、きゃしゃな、
L−Sチェンジネジでトライしてみることにしました。
これだと、結構使えるくらいのバランスですw
が、
チェンジネジは並行おねじのエア抜け防止対策で、ゴムパッキンが打たれており、これが溶剤にやられるので、テフロンパッキンを自作する必要があると、こういうことです。
難易度高いな・・・・
さて、
しかし、上の方法では、角度をいじれないので、出来ることなら別の方法を模索したいところ。
そこで、考えたのが、タケノコをエルボに溶接してしまおうという作戦w
カップの角度を変える以上、蝶ネジは絶対条件です。ただ、タケノコが長いので、コイツを短くします。短くする部分をマジックでマーキング。
材質が真鍮なのでベンチグラインダーで一撃です。
一瞬で短くなりましたw
こんな感じで付けられたらGOODですwww
でもって、溶接時の台座作り。クランプでエルボを固定。後は、蝶ネジの下にワニグリップでドッキングさせ、2種類の金属の間に銀ロウを入れ溶接することにします。
ホームセンターで粉末銀ロウ+フラックスを買ってきましたw普通なら、雷魚マンであれば、アイの自作で銀ロウ溶接の可能性を開くのですが、まさか50mlカップ取り付けで銀ロウ溶接に行き着くとは思いませんでしたw
やり方としたら、銀ロウの粉末とフラックスを混ぜて溶接したいところに付けて、バーナーで炙るだけ!結構簡単そうですw
これが銀ロウ粉末です。すんごい細かい粉末で、コショウみたいです
で、これがフラックス。銀ロウ1に対して、フラックス3で混ぜます。バーナーで炙るとフラックスが溶け、フラックスにしみこむように溶けた銀ロウが入り込み、溶着するという原理みたいです。
混ぜたら、ドロのようになり、
タケノコとエルボの隙間に置きました。
で、バーナーで炙る!
一体、どこまで炙ればいいか、判断基準が全く分かりません(汗)炙っていくと、綿菓子のようにボコボコ沸騰し、銀ロウはワタのようにふくらみ、エルボとタケノコの間に入っていくように溶けていくではありませんか。
というわけで、銀ロウ追加。
炙ってみても、やはりコレ。綿菓子です。
クランプから取り出したら、即外れました(滝汗)
で、リベンジwまずは台座固定の方法を変えます。蝶ネジを思ったほうが360度炙れるので、上から蝶ネジを固定する方法に変更。
しっかし、状況変わらず。
これ、ワシがしっちゅう銀ロウ溶接と違うちや!ただの綿菓子やがね!
またリベンジ。今度はフラックスを最初から塗ってみました。本来、銀ロウ溶接はフラックスを先に塗り、銀ロウ溶接棒をアセチレンバーナーで炙りながら溶接するのです。フラックスはタップリ塗っておいたほうがいいみたいです。
で、配合は銀ロウ粉末を多くしてみましたw
かなりモチモチに盛りました。
で、バーナーは火を絞りました。
だけど、やっぱりやっぱり状況変わらず。
さらに肉盛りしてみましたが、ダメダメ。指で簡単にもげる。これは溶接ではない!
ぎぶあっぷ。真鍮の相性が悪いのか、隙間に染み込むようなはめこみの溶接に銀ロウが向いていないのか、ワタシがヘタクソだからか、兎に角、
真鍮エルボに真鍮タケノコは、銀ロウ溶接出来ません。
トホホホ。バーナーも含めたら結構な投資したんだけどな。まぁ、道具はあるし、今度自作のステンアイの銀ロウ溶接でもチャレンジしてみまつ。
しかし、まだ別の方法があります。
それが、
タップ立てること。正確に言うと、タケノコにダイスを通して、1分ねじ山を作ってしまい、1分めねじエルボにはめ込んでやろうという作戦です!