メバルロッドビルディング(ソリッドティップ)


大学時代のサークル、釣り部の後輩カタダ。彼が入部して、濃いメンバーがさらに濃くなり、ホント楽しい大学釣り生活でした。セコ釣りに関しては天才的で、渡部さんが卒業してからは、彼の右に出るものはいませんでしたね。部内トーナメントいつも上位。投げ釣りキス部門全国3位。皆が釣れない時にキッチリ数をそろえるもんだから、数釣りといえばカタダが一番でしょう。バイト先もレジャックスという気合の入りようでした。

専門は、キス、イカ、メバル、バス。数釣らせたら全部一番。その他にも、フカセとか、カゴとか、全般に手を出してました。でも雷魚には手を出しませんでしたw特にイカが馬杉!サークルのイカ大臣です。

当然、彼を慕う先輩後輩も多く、部長として頑張ってくれたし、大学院まで逝ったから、計6年間も釣り部を牽引してくれました。ちなみに私は飲み会のセッティングが得意だったので、4年間宴会部長として幹事をしてました。

そんな彼も、就職して、「今日から俺東京の人になる!」と言うや、花の都大東京へ。

その後も私が東京に行った時とかに、村田と誘って日本橋に飲みに行ったりもしました。

で、私が釣り部を引退してから3年後。結婚式。彼は東京から岡山まで来てくれました。うれしい限りです。結婚式の次の日、式で再会したメンバーで雷魚へ。急遽広島からハギも参戦。俺・ハギ・村田・カタダ・渡部さん・うっち、の最強メンバーで雷魚も行って、とにかくアタックが多くて、人生で一番思い出深い釣りでした(^^)カタダも人生初雷魚ゲットできたしwww


そんな彼から、こないだ一通のメールがきました。


「結婚します!式は、2月20日1時です!」


じょんならん!


全く同じ日にち・同じ時間に、なんと妹の結婚式!二次会だけでも、東京飛んでいこか!?と思ったりもしましたが、それもかなり無理があるので、断念・・・。


ホントにホントに申し訳ないんだけど、断る以外にありませんでした・・・・。


自分の結婚式は来させといて、後輩の結婚式には行かないという、人間として最低な先輩になってしまいました。

彼をお祝いしたい気持ちはいっぱいなんだけど、行けないこのはがゆさ・・・・

せめて、何か特別なことをして、気持ちを伝えようと思い、



彼のためにロッドを作ることにしました。



一応、色々と専門の釣りは持っているカタダくんでありますが、東京に逝ってからはサッパリで、イカだめ。キスだめ。バス・・・・池がない。どうにもこうにも苦戦している模様です。


ところが、東京でもデカイのが釣れる魚種がある。


それがメバルです。


彼の釣りブログを見ていると、20cmオーバーのデカメバルばんばん。四国でもこんなデカイの釣れないよ!


小物数釣りが大得意ってのもあって、休日になると、メバルタックルとクーラーを持って電車に乗り、横浜界隈の波止場に出没しているそうな。


だったら、



メバルロッドを作ろう!



式場のスタッフに電話して、「サプライズプレゼントということで、披露宴で渡してん。」と交渉してみると、快くOK!

かくして、メバルロッドビルディングが始まったわけです。

で、私は、メバルに関して、というか、雷魚以外サッパリなので、なんも分からん・・・・。

で、釣具屋に行って、メバルロッドを見てみると、「ソリッドティップ!」とアピールしているロッドが多かったので、メバルはソリッドティップが一番いいのか!と思い、ブランク探し。

結婚式のお祝いなので、紅白でキメたかったので、ブランク白、スレッド赤にする予定。だもんで、塗装するしかないかなぁ・・・・と思いきや、始めから白のロッドがある。しかもソリッドティップで!

それが、ジャストエースのMST802です。

ジャストエースは、ブランクを工場で塗装しているらしく、塗装がきれいです。

また、バット部分はドライカーボン柄になっていてカッコイイ!

というわけで、これでビルディングをすることに決定!

ホライズンに行って注文しようとすると、なんと普通にあるじゃないの!?即購入し、ガイドは注文して、ビルディング開始!

で、まずはグリップを先に組みました。2ピースは、讃岐の夢みたいな1ピースと違って、グリップとガイドの位置を見ながらやる必要がないので、楽です。

ホライズンで教えてもらったんですが、エポキシのはみ出た跡はアルコールで拭き取ればきれいに拭き取れるし、接着も問題ないそうです。今まで私はマスキングテープでやってたので、ちょいちょいはみ出ましたが、ホライズンのやり方だと、すごくキレイに行きました。

勿論、セパレートグリップです。30分硬化型のセメダインエポキシでやりました。メタルパーツはフジとマタギオリジナルです。先端部分のワインディングチェックは、メタルパーツをつけると、ブランクに干渉してあまりよくないみたいなので、付けませんでした。


全体はこんな感じ。

で、リールシートとブランクの隙間の充填剤ですが、奮発してハイブリットアーバー(硬質EVA)を使いました。市販のロッドはコアテープか、タコ糸ですが、それだと、あまり硬くないので、ハイブリッドアーバーのほうが硬いので、ブランクの振動がリールシートにモロに伝わります。結果、こっちのほうが感度が良くなるというわけです。ライギョでは、アタリは目で取るので関係ないパーツですが、メバルみたいに微妙なブランクの振動でアタリを取る釣りでは、ハイブリットアーバーのほうが絶対有利です。

そして、次はガイド。結婚式のお祝いで、ケチってたまるか!オールチタンじゃ〜!

トップガイドは、無論ローライダー。普通ローライダートップといえば、MNトップですが、アレは足つきローライダーです。足があると、曲がるのを阻害します。硬いロッドに付けるなら、それもアリですが、メバル用ウルトラライトでは、足がないほうがティップが入りやすいし、曲がりやすいので、足なしローライダーのLGが良いだろうと思って、T−LGSTをチョイス。

そして、1番ガイド〜4番ガイドまでは、傾斜フレームのLDBガイド。これで、先端の糸がらみを阻止します。

バットガイドはウルトラライトスピニング専用のATガイド。きっちりとチタンです。これだけ、ぶっとんで高かったです。SICチタンはガイドサイズが25を超えるとバカみたいに高くなります!

ガイド数は合計9個。ニューガイドコンセプトです。

で、簡単に付けたような感じですが、そんなことはありません。ガイドが一番苦労しました。ハッキリ言って、メバル用ソリッドティップほど難易度が高いロッドビルディングはないと思います。

ソリッドティップについて
私も作るまで知らなかったんですが、ソリッドティップというのは、穂先が詰まった柔らかいブランクをチューブラに連結しているロッドです。穂先がチューブラよりも柔らかいので、思いっきりファーストテーパーになります。ところが、バットはチューブラなので、強い。これがソリッドティップです。左の写真で赤丸がついているところが、連結部分です。ちょっと塗装が盛り上がっていて、ここが連結部なのです。

図解するとこんな感じです。

で、ガイドのセッティングですが、ビルディングの場合は、普通、フジのガイドセッティング表を見ながら位置を出します。しかし、フジのガイドセッティング表は、すべてチューブラです。ソリッドティップは、ロッドによってソリッド部分の長さ、連結部の位置が違います。そのため、参考になる例が出せないのです。実際、ソリッドをチューブラガイド位置でやってみるも、曲がり方がおかしかったです。ソリッドティップは先端が異様に食い込むので、先端に詰めてガイドを置かなければ、きれいに曲がりません。

ということは・・・・・・

ガイド位置は自力で探す以外ないのです。

ところが、そのやり方がどこにも載っていない・・・・。

フジのガイド表はダメ。

マタギのカタログは、すべてフジのガイド表をパクっているので、これもダメ。ジャストエースのカタログも載ってない。

続いてDVD。マタギDVDは、フジガイド見ろ。東邦DVDは附属のCDデータを見ろ。しかし、沖釣りロッドしか載ってねぇ・・・・。

で、ビルディングサイトをウロウロしてみても、これといった参考になるものがなし。

だもんで、考えに考えて、私の理論でガイドセッティングしました。ベンディングテスト、キャスティングテストしてみましたが、問題なしです。きれいな弓なりの曲がり方で、キャスト時の糸ふけもOKです。

ガイドセッティングの出し方は後日アップということで。

で、このガイドセッティングも苦労しました。

メバル用ロッドはものっそ細いです。ティップとか、とてもガイドが巻けないくらいの細さです。シャーペンの芯レベル。だから、ベンディングテストしようにも、1番ガイド、2番ガイドがマスキングテープでくっつかない・・・。テープを巻こうにも、ブランクが細すぎて、テープが密着しません。隙間が出来るから、極小のガイドがポロリと落ちてしまうのです。しかも傾斜ガイドだから、スグに前にずれて外れます。

だから、ベンディングテストするたびに、スレッドで巻いて固定しなければなりませんでした。

しかし、ティップが細すぎて、スレッド巻くだけでも至難の業。今まではマスキングテープで固定して、スレッドを乗せるやり方でしたが、まず、マスキングテープでガイドをきっちりと固定できない上に、スレッドがガイドの足に乗ったときに、テープを外すとガイドも一緒に外れる始末。

何度も何度もやり直して、結局固定できるのに、1個30分くらいかかりました。しかもガイド位置は自分で探すので何度もやり直しです。これがベンディングテストのたびに何度も続くのです。地獄・・・・。

で、どうにもこうにもならなかったので、ホライズンに行って聞いてみると、「ボンドG17使いまい。」

なるほどコリャ楽だわ!マスキングテープはあかんな・・・・。

それでも、1番ガイドはソリッド部分がフニャフニャしすぎな上に、細すぎで、スレッドがかんだ後に位置あわせで動かすと、一気に解けたりで、苦労しました。穂先がグニャリと曲がったまま巻く必要があります。テンションが緩むと一瞬で解けます。メバルソリッド1番ガイドのスレッド止めは、もう職人技レベルです。シャーペンの芯にガイドをスレッド固定するようなモンです。

で、もう何とか、ガイドを止めて、ベンディング&キャスティングテスト。0.4号+3gジグヘッドでしたが、十分使えます。

これでOK。

で、これからエポキシコーティング。

エポキシは、柔らかいブランクには柔らか目のエポキシがいいそうなので、フレックスコートライトフォーミラにしました。柔らかいブランクに硬いエポキシを使うと、曲がったときに弾力がなさ過ぎて、パキッとエポが割れるみたいです。

で、エポキシも自分のロッドだったら、一気にやったりますが、人のロッドだとそんなことは出来ません。

硬化不良だけは絶対に避ける。

エポキシ関係のアップを見ていただけると分かると思いますが、エポは相当研究しました。テストは50回くらいはやったと思います。そのため、ライトフォーミラは、2オンス1本、4オンス2本使いました。

そして、やっとのことで、比重計算によるエポキシ配合が完成しました。これで硬化不良は絶対起こりません。

で、理想的な配合レジン:硬化剤=4g:3gの黄金比でやったりました!

印籠つぎのコーティング
印籠つぎのコーティングも最初は???です。だって、チャックに挟まれて、コーティングできないからです。

これもホライズンで教えてもらったんですが、割り箸でもなんでもいいので、それをブランクに突っ込みます。で、それをチャックに挟んでコーティングです。これなら、印籠部分もコーティングできます。この時は、フレックスコートのフデでやりました。

で、印籠つぎ部分もこだわりです。印籠継の部分は、カーボンむき出しです。このままだと、カーボンのささくれが出ます。そのため、カーボン繊維を束ねるために、ここもスレッドを巻いています。なんせ細いのであまり強く突っ込むと、先割れの可能性もあるので、突っ込むときの目安にもなります。

継いだ場合はこんな感じで、カーボンのささくれをカバーします。

デカール
ここが一番大事です。「結婚御祝」の文字を入れて初めて贈り物になるのです。で、ブランクスがドライカーボン色ですから、なるべく目立つ、白の抜き文字でやるつもりです。

そんで、自分のロッドなら、新たなデカール兵器「太陽精機Tシャツくん」でやったるんですが、人のロッドだと、より確実な方法をチョイスします。多くのビルダーというか、自作デカールマンならすべてコレ、アルプスMD5500です。と言っても、私はアルプスは持ってないので、毎度おなじみ、ホライズンの店長さんに相談して、デカールを作ってもらいました。貼る予定の文字とフォントをインクジェットで印刷し、相談しもって、2週間後に取りに行くと、失敗してはいかんからということで、6個も作ってくれてました。うれしい限りですwありがと〜(^^)

ロッドの名前は、「東京眼張行脚」夜な夜な電車にクーラーかついで乗り込んでウロウロ釣りするカタダにぴったんこw色々名前の候補はあったんですが、夜とか、闇とか、あんまし縁起の良い言葉がなかったので、コレにしましたw

裏側にはスペック。LUREウェイトと書くところを、わざわざ「疑似餌重量」と日本語で刻印です。そんな市販ロッドはないので、オリジナルならでわです。

で、初めてアルプスMDデカールを見たんですが、「すご〜!完璧!」これ、白文字ですよ!さすが、すべての自作デカールファンに支持されているツールです。風前の灯なのが惜しまれるところです。

バランサーシステム
で、あとはキャップ付けて終わりね〜!というところで、まさかのトラブル。バランスが最悪!メバルロッドの重量なんて、雷魚ロッドに比べたらハナクソみたいな軽さなけん、バランサーなんて付けんでも大丈夫じゃろ〜。と思って、バランス関係のチェックを全くせずに組んでしまいました。バランスに注目してチェックしてみると、ずいぶん前のめり。メバルロッドはエンドグリップをかなり短めにしていて、しかもコイツは8ftもあるもんだから、バランスが最悪じゃ〜。

もう組んでしもたで。どうすんな?

考えに考えて思いつきました。

グリップエンドにバランサーを組む。

メバルブランクは細いから、幸いエンドキャップとの間にずいぶん隙間があります。そこに、糸オモリを巻いていって、それをバランサーにします。内部バランサーシステムと名づけました。これをやっている市販ロッドはないでしょうw

で、巻いたのがコレです。1.5mm糸オモリ3重巻き。釣具屋に行き、リールを付けさせてもらい、糸オモリを巻きながらバランスを出しました。カタダは高いリールを嫌っていて、安いリールを何個も持つのが好きなので、アルテグラ大好き人間です。だもんで、リールは09アルテグラC2000を使いました。ちなみに釣具屋に聞いてみると、メバルは1000番〜2000番がメインで、2000番のほうがライントラブルが少ないので、これがいいやろ〜と言うことです。調べてみると、アルテグラは、2000よりも1000のほうが重いんです。不思議じゃ〜。

で、バランサーを入れた関係でデコレーションリングの拡張作業の必要が出てきました。しかし、これが大苦戦。2個買っていて、1個は電動工具でやって、傷もぐれになりました。あとは、1個しか残ってないので、失敗できません。万力で挟むと楕円になりそうな気がしたので、手で支えて永遠と100均ヤスリがけで拡張しました。

1mm拡張するのに3時間かかりました。

それと、エンドキャップ。色々と試してみたんですが、細長メバルロッドにゴツイ長いエンドキャップはかっこ悪かったです。だもんで、成形作業。ボール盤にドリルを付けて、それにエンドキャップ差込、回しながらペーパーがけして成形です。左のキャップを右のキャップまで縮めました。

で、デコレーションリングは5分エポキシ。キャップは30分エポキシで固定。

これで終わった!

最後の最後にテスト。

3gジグヘッドでキャスティングテスト。ライントラブル皆無。木にひっかけてベンディングテスト。ベナベナながらもしっかりと腰のある感触w曲がり方もキレイな弓なりを描いています!逆光に輝くステラが素敵です!

やった・・・・・・。これで完成!素材選定、研究、作業、全部含めると、3ヶ月かかっています。

が、しかし安心するのはまだ早い。梱包と言う重要な作業が残っています。送るときに折れたら今までの苦労がパァ。しかも、結婚式のお祝いで折れたロッドを送ってしまうと、シャレになりません。式場の従業員が空けることを考えて粘着力が弱い細めのマスキングテープでプチプチを巻いていきます。普通なら2本いっぺんですが、安全を取って、2本ばらけさせてプチプチライニングしました。

で、Fボイトと呼ばれる硬い筒型ダンボールを買ってきて、この中に入れて、動かないようにしました。

梱包完了。

そんで、折れたときの保険付きの宅急便で送りました。

梱包からロッドを取り出すのが式場の素人スタッフなので、ケツから取り出すこととか、指示せないかんので、到着したらまずワシに電話たのんますと連絡しました。

苦労して作ったロッドなので、気分はドナドナです。送るときに、ちょっと涙ぐみそうになりましたが、カタダのためによっけ働きまいよ〜と思いながら見送ったのでした・・・・。

で、

式場到着の電話あり。到着が式の10日前。結構ギリギリだったなぁ〜。

で、スタッフに確認してもらうと、折れてなかった!ホッとしました。

あとは司会者とサプライズプレゼントの打ち合わせをして、終了。

で、式の前日、昼ごろに司会者から電話がかかってきて、渡すタイミングとか、新郎との関係とか、手紙の漢字の読み方とか、最後の打ち合わせ。

で、あとは、式を待つのみ!

で、当日。

村田から聞きましたが、実に幸せそうなカタダ夫妻と、メバルロッドだったそうです(^^)

なんと、マサヨシくんも急遽茨城から二次会に参加したようで、本当にいい結婚式だった模様です(^^)

末永くお幸せに!


その後
カタダくんより早速、入魂完了との連絡アリw
すごいわ、この釣り場。さすが大東京。こんなにロマンテックな釣り場は、四国には絶対ない!

で、記念の1匹目。夜釣りは白いロッドが見えやすくていいみたいで、気に入った模様ですwあと、バランスも完璧で持ち重り一切なしで使いやすいようですw8ftという長さも、障害物交わして足元まで引いてくるには使いやすい長さだそうで、重宝するみたいですw

2匹目w彼のお気に入りのシラスミノーで17cmゲッツ!

すんごく喜んでたんで、作った甲斐がありましたw新婚旅行のバラマンディ遠征もがんばってちょ〜!


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