モッチリコーティングのやり方


ガンガンとか、シャドウライズとか、エポキシコートがモッコリしてますよね!?あれって、どうやるのか、ホライズンで聞いてみたところ、エポキシを混合して、5
分くらい経って、粘性が上がってから、コーティングするんだぁ!と教えてもらったので、やってはいるんですが、なかなかうまいこといきません。


まず、

DVDとかでよく言われる、

「重ね塗り」で盛る方法は、まず無理と思ったほうがいいです。

マタギのDVDでは、混合してスグのフレックスコートハイビルドを3回重ね塗りして、モッコリコーティングをやっていましたが、3回重ね塗りすれば何でもモッコリなるかというと、そうではないです。ハイビルドはもともとがねばいため、攪拌後スグのモッチリコーティングが出来るかもしれないですが、ライトフォーミラなどの粘性が低いエポキシをいくら、重ねても、肉厚にはなりません。

いい例がこれなんですが、水路の鉄人は攪拌後すぐのライトフォーミラを4回も重ね塗りしています。ですが、甘モッチリ度です。

では、どうやればモッチリコーティングがいけるのか!?いろいろ試しながらやってみました!

で、キモはコーティング前のエポキシの粘度だろうと思い、ライトフォーミラを撹拌して、時間経過と粘性の実験を行いました。

混ぜた直後。一番粘性が低い状態のライトフォーミラがこれです。さらさらなので、1発目のコーティングはすごくやりよいです。ハイビルドに比べて強度が劣るとか言われていますが、そんな印象は全く受けません。完全硬化したら、ハイビルドと変わりません。粘性が低いので平らなコーティング用ではないでしょうかね。逆に、ハイビルドは、一発でコーティングを終わらせるためにわざと粘性を高くしているか。ハイビルドは十中八九、結晶がでますが、ライトフォーミラは出ません。ハイビルドは、UVカット成分が入っていませんが、ライトフォーミラは入っています。ライトフォーミラでも攪拌後時間を置いて粘性を上げると、ハイビルドと同様の粘性を確保できます。だもんで、ハイビルドに出来てライトフォーミラに出来ないことはないので、使うならライトフォーミラだと思って愛用しています。

で、実験開始。
撹拌後、クッキングタイマーで10分にセット。

そのときの粘性がこれです。うーん。これでモッチリがいけそうな気もしますが、もうちょっと粘性があってもいいような気がします。

というわけでさらに10分待ち、再検査。

つまり、攪拌後20分経った粘性がコレ。すでに水あめ状態。フデで塗ろうと思っても、フデにしみこまず、水あめが糸を引くような感じです。

だけど、とりあえず塗ってみました。そのときの動画がこれです。一発目のコーティングはこれも実験なんですが、東邦のUVレジン透明を使ってコーティングしています。水あめをスレッドにこびり付かすような感じで付けます。まず、フデから素直に落ちてくれないし、糸を引きまくりでやりにくいったらないです。

その後、アルコールランプでエア抜き。エポキシは熱が加わると軟化しますから、粘性が上がり、なんとか均一にコーティングが出来ます。ところが、基本的にネバいため、エアがなかなか抜けません。そのため、執拗にランプで熱する必要があります。熱する時間が長くなると、それだけエポキシはサラサラになりますから、モッチリコーティングをしている場合、盛っているエポキシ樹脂自体が多いので自重でタレてきます。このタレが曲者で、粘性が下がったときに均一にスレッドに広がってくれればいいのですが、タレて落ちる寸前になっているコーティングはドライモーターの回転により、落ちそうで落ちない状態が続き、そのまま硬化します。

極端な話、こんなコーティングになるのです。すると、スレッドコーティングは台無し。地獄のペーパー研磨作業が待っており、まぁ、素人の手作業ではこの手の修正はうまく行きません。スレッドごとはいでやり直しになること請け合いです。加えて、ランプを熱しすぎると、もともとがFRP樹脂であるブランク(カーボンブランク=カーボンエポキシ。カーボンを骨材にしてエポキシに練りこみ、シートを作った後、シートワインディング製法でマンドレルに巻きつけ焼き付ける。グラスブランク=ガラスエポキシ。)はダメージを受け、その部分が弱くなります。運が悪いと燃えながら溶けます(エポキシコーティングのアルコールランプを熱しすぎたらを参照)。

すると、ブランク自体がご臨終!になりかねないです。

さらに、上の水あめ状態で乗せたコーティングが硬化したものがこれですが、結局、粘性が上がりすぎており、エアが抜けにくすぎて、結局抜けてないっつーの・・・。エアが残ったまま硬化しています。

水あめになってしまうと、エア抜きは出来んわ、タレながら固まって変になるわ、いいこと無いです。水あめ状態になったら、コーティングはするな!これは鉄則だと思います。

つまり、モッチリコーティングをするためには、「撹拌後、サラサラ〜ちょっとネットリ〜かなりネットリ〜水あめと変わる過程」で、「ちょっとネットリ〜かなりネットリ」の範囲を狙ってエポをスレッドに置く作業が必要となります。

じゃぁ、ライトフォーミラでは、撹拌後何分で「ちょっとネットリ」領域に突入するのでしょうか。上の実験から、20分経つと水あめ状態になるので、撹拌後20分以内なのは確かです。

ここで、今までの経験から、ライトフォーミラは、5分以内では、サラサラのままで一発目のコーティングがやりよかったです。

そのため、5分以上20分以内というわけで、

10分は最初にやっていたので、今度は15分ではどうなるかやってみました。

それがこの粘性です。最初にやった「撹拌後10分」は、若干粘性が低いような印象を受けましたが、15分経つと、ネバサも結構上がってきて、いけそうです。

そのため、これでコーティングしてみました。それがこのコーティング動画です。粘性はネバイ状態に入っていますが、それでも水あめ状態にはなっていません。コーティングで盛ってみましたが、盛りすぎ&エア抜きでタレてきました。

だけど、まだフデによる成形が容易に出来、らくらく修復できましたw

出来上がったコーティングがこれなんですが、エアはいっちょも噛んでません。モッチリコーティング成功です(^^)

つまり、上の実験により、ライトフォーミラを撹拌後、15分前後でコーティングに入り、水あめ状態になったら、コーティング中止し、破棄。ただし、エア抜きでは垂れないように注意というわけですwww

これでいけるんではないでしょうか。今回は、10分15分20分という、5分刻みでやりましたが、15分が目安というわけで、10分を越えたあたりから粘性が上がっているので、13分とか、14分とかでもいけると思いますが、個人によって調節してみてください。ただし、20分になると、水あめになってコーティング不能になるので要注意です。



※ モッチリコーティングは、スレッドの長さを短く!
ホライズンで話していてハッ!と気づいたんですが、ガイドラッピングの長さがありますよね。これが短いほど、モッチリコーティングはやり易いということです。モッチリコーティングは、スレッドにかぶさるエポキシが、球体に近いカーブを描くコーティングです。

ジョニーライデンのコーティング。スレッドが長いので、モッチリは出来ていません。

シャドウライズ。こえrはスレッドが短いので、モッチリになっています。

エポキシは液体ですから、表面張力というのがあります。表面張力は、液体の表面を出来るだけ小さくしようとする力のことで、ハシっこがカーブを描きます。この時、液体が付着する場所が小さいほど、端っこのカーブと端っこのカーブが近づき、球体に近い形となります。逆に長ければ長いほど、カーブとカーブが遠くなり、球体から遠ざかります。

そのため、モッチリコーティングをしようと思ったら、エポキシが付着するスレッドの長さを短くして、コーティングを球体に近づける必要があります。

つまり、フットギリギリからスレッドを巻くと、モッチリコーティングは、やり易くなります。


※盛りすぎ注意!
ただし、盛りすぎると、横から見たときにスレッドの色ではなく、透明な樹脂が強調されるのでやりすぎると美しくなくなります。

ちなみに、ガイドセッティングで紹介しましたが、エポキシの長さが短くなると、それだけ補強している部分が少なくなるので、ブランク本来のベンディングを邪魔する要素が少なくなるので、自然に曲がってくれるロッドになりますw

シャドライズのスレッドですが、ダブルフットガイドの上下のスレッドの長さを同じにしないと、上ばっかり短くてコーティングが球体に近づいてしまい、不恰好になるので要注意です。


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