オリンポスのニードル流用実験 その2
ニードルのスペック分析&吹きつけテスト


第二部です。

先日、オリンポスのニードル流用実験などというものをやって紹介しましたが、ちょっと思うことありまして、また別のコンテンツとして薀蓄をタレてみたいと思います。

前回の実験では大事なことが抜けていて、それでもって、またさらにニードルを買い足して調べているうちに、あることに気が付いた故の薀蓄ですハイ。

前回、全く分かってなかったんですが、そもそもエアブラシが塗料ミストを出せるメカニズムなんですが、

エア噴射口は、ノズル外の場所から出ており、

ニードルが引かれて後退すると、ノズル〜ニードルのテーパー部にスキマが生まれ、そのスキマから、ペンキが出るメカニズムとなっております。つまり、エアはエア穴から発射され、ノズルからはペンキのみ発射され、その2つが合わさり、塗料の霧となって出てくる。これがエアブラシのメカニズムです。

つまり、エアブラシに於いては、ノズルよりもニードルの方が必ず太いわけです。じゃないとノズルが密閉できないですから、ペンキ垂れ流しです。

そんなわけで、何が言いたいかというと、

0.3だの0.4だのというのは、ノズル口径であって、ニードルの太さじゃなかったというわけです。前回の実験ではこの部分が分かってなかった(汗)

0.3mmはノズルに空いている穴の径!

それに0.3mmよりも太いニードルが擦り合わされ、ペンキをシーリングしているわけです。

これに気づいたのは、MP3にERBのニードルを移植した時です。

ブカブカなんよね。吹けんことはないんやけど、ぶかぶかということはセンターがずれとるということやろうね。

純正はぴっちりとはまる。

同じ0.3mmなのに、なんで〜?

と思って、手持ちのニードルを色々と調べてみました。

すると、同じ0.3mmなのに、ニードルの太さは、

ERB=1.2パイ

MP3=1.4パイ

だったのよね。

で、太さも違うニードルなんですが、MP3にて吹きつけ可能です。

でね、前回の流用実験でわかったんですが、別にオリンポス純正じゃなくても、おおむね、何のニードルでも吹きつけ出来ます。だもんで、前回重要視していた、「吹きつけ可能かどうか?吹きつけのテイスト」などというものは、あまり意味がなく、むしろ、スペックから理想的な流用ニードルを絞り込んでいったほうが賢いんじゃなかろうかと思った次第です。

今回の実験の「その2」では、データデータ。兎に角、色んなニードルの特徴を調べ上げて羅列してみたいと思います。リールチューニングと同じで、使った感じのインプレほど不確かなものもないと思うので、データ比較で、テイストの比較が出来たらなと思いました。

ちなみに、

鈍角ニードルだとか、鋭角ニードルだとか、そういったニードルの違いによるミストの特徴は

http://fukusukeraigyo.digi2.jp/hpg6oh/hpg6oh.html

こちらに載せておりますので興味がある人は見てみてくださいな。

というわけで、手持ちのニードルのサイズと特徴を改めて書き綴ってみたいと思います。

ちなみに、以下のコンテンツで述べる、ニードルのスペックの内容ですが、
太さはニードル直径。全長は、ニードルの根元から先端までの長さ。テーパー長は、曲がり始めから先端までの長さ。先端部形状は

先端部から2段階で曲がっている、2段鈍角、及び、鋭利な一段鋭角と分類しています。

では参ります。

@ノズル径0.2mmモデルのスペック比較

オリンポス HP100B(0.2mm)
トータルTの竹島さんが絶賛するオススメガン。オリンポスの中では標準的な機種ですが、これが抜群らしいです。

スペックは太さ1.2φ、全長13cm、テーパー長1.4cm、一段鋭角。先端部、非常に鋭く、細長く尖っている。値段は2992円と、とんでもない値段なので、流用情報を探る必要アリです。

先端部はコレ。

クレオス プロコンボーイFWA(0.2mm)
クレオスのダブルアクションタイプのエアブラシ。ノズル径は0.2mmです。

880円と少々高めです。しっかりしたケースに入っております。どこのおもちゃ屋でも注文できます。注文〜2週間で来ました。

ちなみに、キャップは良く見かけるディップ成形品ですな。素材は109だろうか???クレオスのはこういう風にケースにしまいやすい形状で便利です。

ニードル形状は非常に鋭利。オリンポスのHP102Bと良く似ています。

スペックは、太さ1.4Φ。全長14cm。テーパー長1.4cm。1段鋭角。HP102Bの流用ならこれがイチバンいけるかもしれん。けど、値段的にタミヤのニードルかな???

タミヤ HG−S ファイン(0.2mm)
OEM先はオリンポスと同じ扶桑精機。性能的には申し分なしと思われます。

どこのおもちゃ屋でも手に入るモデル。注文〜2週間で到着。激安の620円。HG−スーパーファインエアブラシですが、バーコードを見る限り、HG−Uというエアブラシと共用らしいです。

スペックは太さ1.2Φ、全長12.9cm、テーパー長1.3cm。一段鋭角。非常に鋭利。オリンポスのニードルに良く似ています。

拡大写真はこんな感じ。


Aノズル径0.3mmモデルのスペック比較

オリンポス HP102B(0.3mm)
元祖トリガーエアブラシ。イチバン使っています。

スペックは太さ1.4Φ、全長14cm、テーパー長1.5cm。若干偏芯気味で、一段鋭角。頂点付近はかなり細く鋭く尖っております。値段:2992円とスゴイ値段(汗)。

鋭利さは抜群に細く鋭いです。若干、ほんの若干ですが、センターがずれています。

おおげさに言うとこんな感じ。



イワタ HPーTR1(0.3mm)
イワタのトリガーエアブラシ。オリンポスのHP83Cと構造ほぼ一緒。あえていえば、塗料カップのペンキラインが細くて掃除がしにくいみたいです。スペックは太さ1.4Φ。全長14cm、テーパー長1.5cm。一段鋭角。値段798円。一定のテーパー具合を保ちながら頂点に近づく、バランスの良い尖り方です。HP102Bと比べると鋭利さは欠けます。

明治 MP3(0.3mm)
明治のダブルアクションエアブラシで、見た目、オリンポスのHP100とほぼ一緒。

スペックは太さ1.4Φ。全長14cm、テーパー長1.6cm。一段鋭角。尖り方は若干緩やかなカーブを描きながら尖るという感じです。HP−TR1と良く似ていますが、HP−TR1に比べると尖り方は緩やかです。

ER−B(0.3mm)
扶桑精機のエアブラシ。ボタンを押すと若干塗料が出る。そして、後ろに引くともっと出る。レバープッシュメタルを反転させると通常のダブルアクションにはや代わり。という新構造のガンだそうです。スペックは太さ1.2Φ、全長13cm、テーパー長1.5cm、先端部:2段鋭角。値段682円。


タミヤ スプレーワークスHGトリガーエアブラシ(0.3mm)
タミヤ製だが、製造元は扶桑精機。トリガーエアブラシで、構造的には、HP102Bやガンピスなんかと全く一緒。どこのプラモ屋でも手に入るので入手は非常に楽。


スペックは太さ1.4φ、全長14cm、テーパー長1.4cm、一段鋭角。値段670円。オリンポスと同じ扶桑精機製なので、互換性がありそうと思ってプラモ屋で注文。値段は680円。スペック、ニードルの尖り具合、HP102Bにひじょーに似ています!!!

上がHP102B、下がトリガーワークスHGです。見た目、ほぼ一緒。現段階では、HP102Bの流用先として最有力だと思います。

オリンポス PCジャンボ203(0.3mm)
非常に珍しい0.3mmという小口径のスプレーガン。ボディはおそらくPC206と共通なんじゃないかな〜なんて思います。

スペックは太さ1.6φ、全長13cm、テーパー長1cm、1段鋭角です。いわゆる、1分ネジ仕様の小型エアブラシとはニードルのゴツさが全然違います。ニードル太さは2分ネジ仕様のスプレーガンと全く一緒。テーパー長1cmと短く、それでいて太さが1.6φもあって太いので、1段鋭角とはいえ、同じ0.3mm1分ネジエアブラシとくらべると鋭利さは全く違っていて、尖り方は鈍いです。

上がPC203、下がHP102B。ごつさは全然違います。

そのため、同じ0.3mmエアブラシと比較しても、ニードルを舐めるリスクは低いと思われます。反面、霧は少しずつスーッと出るという感じではなく、ドバーと出るような感じになるため、トリガー操作が難しくなります。


Bノズル径0.4mmモデルのスペック比較
目的はズバリ、アリーズSGA6104のニードル探しです。で、この0.4mmというサイズが曲者で、0.4mmのラインナップが豊富なのがオリンポスのみで、他メーカーノエアブラシでは、0.4mmサイズは絶滅危惧種です。

イワタのエアブラシで言うと、HPーBC2Pのみ。LPH80が0.4mmですが、スプレーガンタイプなので、ブッシュが付いている可能性があり(通常、スプレーガンはニードルチャックがないため。ブッシュ一体式かセットボルトでブッシュを固定するタイプ。流用可能なのはセットボルトタイプですが、HPG6がブッシュ一体型なので、LPHもおそらく一体式じゃないでしょうか。ちなみにキンキKX3も一体式)、さらに値段が2300円もするので候補から外しました。また、グラフォ、コラーニ、ハンザは0.4mmありますが、1500円もするので却下。消耗品です。1000円でオツリが来る安さでないと見向きもしません。

で、続いて、タミヤのエアブラシ。タミヤには0.4mmのラインナップがない。0.3の次は0.5です。扶桑精機も0.4mmはありません。

で、クレオスのエアブラシでは、0.4mmはあるこたあるんですが・・・・オリンポスで言うと、ヤンパチみたいなシングルアクションのエアブラシ、プロコンBOYSQのみです。

というわけで、候補として上がったのが、クレオスのプロコンBOYSQとHP−BC2Pです。

で、クレオスはプラモ屋で注文できました。納期は2週間。でも、送料要りません。HP−BC2PはトータルTより仕入れてきました。

では行きます。

オリンポス アリーズSGA6104(0.4mm)
オリンポスのアリーズ。0.4mmで超小型のコンプレッサでも作動可能のスーパースプレーガン。値段は、昔はPCジャンボよりも高かったんですが、大幅値上げされた今となってはイチバン安いオリンポススプレーガンではないでしょうか。しかし、PCジャンボに比べると使い勝手は悪いです。

スペックは太さ1.6φ、全長13.7cm、テーパー長1cm、1段鋭角。ニードル太さはエアブラシとは別物。1.6φもあります。とがり方はエアブラシに比べて緩い。少々先が当たってもなめない。けど、鋭利ですよ。値段はびっくりの3491円!!!消費者バカにしとんかと言いたくなります。 流用情報はなんとしても探す必要アリです。

イワタ HP-BC2P(0.4mm)
イワタの吸い上げ式エアブラシのニードル。

スペックは太さ1.4φ、全長13.95cm、テーパー長1.1cm、2段鈍角ニードルで、なおかつ、先端が丸みを帯びており、指に立てても余り痛くない(特殊形状)。

先端が丸くなっているので、なめるリスクは非常に低いと思われる。777円。ベタぬりだったらそこそこ鋭利だし、舐めるリスクもないし、一番いいかもw

扶桑精機 GP−2 (0.4mm)
扶桑精機のトリガーエアブラシ。いわゆるガンピスというやつ。値段は735円。

太さ1.4φ、全長14cm、テーパー長1.2cm、二段鈍角ニードルで、形状はER−Bのニードルに良く似ている。

先端部はこんな感じの2段鈍角で、ERBに良く似ています。

クレオス プロコンボーイSQ(シングルアクション0.4)
クレオスのガンですが、製造元はイワタ?扶桑精機?。オリンポスでいう、いわゆるヤング8に当たるシングルエアブラシ。

スペックは太さ1.4φ、全長9.9cm、テーパー長1cm、二段鈍角。値段はたしか700円くらい。

ガンが短いため、ニードルはかなり短め。ただ、2段鈍角なため、先端をなめる心配はなさそう。タミヤ同様、どこのオモチャ屋でも手に入る上、安価なため、ボタン式ダブルアクションで、高粘度の塗料を吹き付けるベタ塗りでは流用で重宝しそう。専用のケースに入っているので、ある意味良心的ですw

Cノズル径0.5mmモデルのスペック比較
キンキ KX−3(0.5mm)
キンキ製作所製ということだが、シールが貼ってあるだけで、カタログにも載っていないし、ホントに日本製かどうか疑わしい。

他に類を見ないくらい複雑な構造のニードルで、ステンニードルに真鍮ブッシュが付いており、その真鍮ブッシュにテフロンパッキンが付いている。とどめは、ニードルスプリングのところにステンのブッシュがカシメられている。見た感じ、恐ろしい値段の気がします。スペックは太さ1.6φ。全長12.6cm、テーパー長0.3cm。

Dノズル径0.6mmモデルのスペック比較
PCジャンボ206(0.6mm)
センターカップの0.6mm。史上最高に使いやすくて、性能がいい。これ以上のガンある?ってくらいブランク塗装にぴったりwww

スペックは太さ1.6φ、全長13cm、テーパー長0.5cm、先端部形状:円錐台(特殊形状)。

一段鋭角でもないし、2段鈍角でもない。この手のニードルは特殊です。曲がることはまずないくらいごついし、鈍角なので、スペアの心配をする必要はなし。むしろ、ノズルのスペアがあったほうがいいかもしれん。

HP−G6(0.6mm)
イワタのスプレーガンタイプのエアブラシ。

真鍮ブッシュと一体化されており、値段は2800円とかなり高め。先端部非常に鋭く、また、ボディから、むき出しになっているため、非常に良く舐める。スペックは太さ1.6φ、全長12.6cm、テーパー長1.0cm、1段鋭角。

鬼のように尖っています。1.6Φのニードルでこれだけ尖っているのは稀です。

RS507N(0.6mm)
扶桑精機のリッチエイトスプレーガンRS507N(丸吹き)のニードルです。同じ0.6mmニードルでRS508N(丸吹き)というのがありますが、ニードルが鋭角か鈍角かの違いで、507Nは鋭角ニードルのようです。値段は735円です。安いです。

調べたスペックは太さ1.6φ、全長13.7cm、テーパー長0.8cm、先端部は1段鋭角です。
スプレーガンにつき、ニードルの太さは1.6φ。

先端部の拡大写真はこんな感じ。

同じようなニードルでアリーズのニードルがありますが、比べてみると、若干アリーズのほうがテーパー長が長く、鋭いです。写真では下がアリーズ。若干鋭利でしょ?当たり前ですが、ニードルの太さが同じでテーパー長が長ければ長いほど先端は細くなります。

RS508N(0.6mm)
上のニードルの鈍角バージョンです。値段は同じく735円。
スペックは、太さ1.6φ、全長13.7cm、テーパー長0.7cm、先端部は二段鈍角以下の通りです。値段はRS507Nと同じく、735円です。

ニードル先端は2段の鈍角になっており、舐める心配はなさそうです。

Eノズル径0.8mmモデルのスペック比較
HP−PC−WIDE 308(0.8mm)
クリア、パール塗装にもってこいで、サイドカップのため、上下の吹きつけも可能。ただし、カップに塗料を入れることで、大きく右にバランスが崩れる。さらにPCシリーズはレグブロックが付いている関係でグリップがないため、そのバランスの悪さがあだとなる。どちらかというと、センターカップのPCジャンボのほうが完成度は上だと思います。

ニードルのスペックは太さ1.6φ、全長13cm、テーパー長0.4cm、先端部形状:円錐台(特殊形状)。

形状を見ると、PCジャンボ206のニードルと同径の円錐台タイプ。

PC206に非常に良く似ているが並べて比べてみると若干違います。曲がることはまずないくらいごついし、鈍角なので、スペアの心配をする必要はなし。むしろ、ノズルのスペアがあったほうがいいかもしれん。PC308のほうがテーパーが短くて急ですね。ペンキが、よりたくさん、一気に出る感じがしますね。

とりあえず、これで全部出揃いました。

以上、データ比較したものを一覧にまとめてみました。

ニードル比較表



こんな感じです。ちなみに、エアブラシかスプレーガンかの違いですが、接続カプラが1分か2分かで分類しています。

さて、これらのデータから本研究の核心に迫っていきます。

で、本研究の目的はというと、クソ高いオリンポスニードルの流用です。その可能性について、やるべき実験を探っていきます。

まず、流用実験をやるべき機種ですが、HP100B、HP102B、PCジャンボ203、アリーズSGA6104の流用ニードルです。これらは全て1段鋭角ニードルで、先ッチョが鋭いため、なめるリスクがあります。その時にクソ高いニードル修理代がかかってくるためです。オリンポスは他に、PC206やPC308といった機種もありますが、あれらは極太鈍角ニードルで、なめるリスクが少ないため、実験をやる必要がありません。

というわけで、以上の機種から、データを元に流用実験が出来るニードルを絞りこんでいきます。

T.ニードル径について
まず、流用を考えた際に、必ず必要なのが、径が同じであることです。調査した結果、エアブラシのニードルは1.2φ、1.4φ、1.6φとあります。おおむね、0.2mmエアブラシノズルが1.2φ、0.3、0.4mmエアブラシノズルが1.4φ、スプレーガンノズルが1.6φです。ちなみに、何がエアブラシで何がスプレーガンかですが、

1分ネジ接続がエアブラシ

2分ネジ接続がスプレーガンとしています。

以上のことを踏まえた上で機種別ニードル径を表にまとめると、

機種 ニードル径
HP100B 1.2Φ
HP102B 1.4Φ
PC203 1.6Φ
SGA6104 1.6Φ

となっています。

んで、ニードルの流用ですが、まずは、ニードルチャックにはまらないとハナシにならないため、
例えば、MP3(ニードル径1.4Φ)にPC203のニードル(1.6Φ)をはめようとしても、1.4φのニードルチャックに1.6φのニードルが入るはずがなく、当然流用は不可となります。

反面、1.6φのニードルチャックに1.4φのニードルをはめることは・・・・出来ます。結局、ニードル径はノズル径よりも大きいのでノズルをふさぐことが出来るため、ノズルのシーリングさえ出来れば、塗料の出し入れが出来ますから吹きつけは可能です。1.4φニードルのMP3に1.2φのERBニードルをはめても使えたくらいですから・・・・。ただし、ニードルチャックはスカスカとなるため、ペンキが漏れるリスクがあり、さらにニードルのセンターはズレます。そのズレは少なからず、霧の方向及びノズル寿命に悪影響を与えることは確実で、やるべき流用ではありません。

つまり、まとめると、「流用は、同径のニードルでやるべし」となります。また、HPG6やKX3のように真鍮ブッシュがカシメられているようなモデルでは、ニードルが分離できませんから却下。オリンポスのように、ステンレスのニードル単体で取り出せるもの限定です。

これらの条件を満たすものは、以下の通りです。

機種 ニードル径 適合機種
HP100B 1.2φ ERB、HG−SF
HP102B 1.4φ HP−TR1、MP3、HGトリガーワークス、HP−BC2P、GP−2、プロコンボーイSQ、プロコンボーイFWA
PC203 1.6φ PC206、PC308、SGA6104、RS507N、RS508N
SGA6104 1.6φ PC206、PC308、SGA6104、RS507N、RS508N


U−1先端部の形状について
ここではニードルの先端部の選ぶやり方について薀蓄をタレていきたいと思います。調査した結果、一般的なエアブラシのニードル先端は2種類あります。1段鋭角ニードルと2段鈍角ニードルです。HPG6のところで薀蓄をタレていますが、1段鋭角ニードルは、薄い塗料を微調整しながら吹き付けるのが得意。2段鈍角ニードルは、粘性の濃い塗料をドバーと出すのが得意な形状です。

で、エアブラシの目的ですが、絵を描くのが目的ならば、1段鋭角のほうがグラデーションの調節幅が大きくなるため、適しています。
一方で、目的がベタ塗りならば、ウレタン自体がねばい塗料なので、濃い塗料をドバッと出せる2段鈍角ニードルのほうが適しているといえます。

で、今回のHP100B、HP102B、PCジャンボ203、アリーズSGA6104、4機種で、吹き付けの目的を洗い出してみると、HP100B、HP102Bは絵を描くのが目的。PC203、SGA6104はリールシートベタ塗りが目的です。つまり、前者は1段鋭角ニードル。後者は鈍角ニードルが適しているといえます。

Uー2先端部の形状について(鈍角ニードルが小径ノズルにはまるのか?)
U-1により、PC203とSGA6104の流用は、鈍角ニードルが適しているとしました。が、一つ問題があって、ノズル自体が非常に小さいので、ニードル先端部がノズルを通るのか?という問題があります。いわずもがな、小径ノズルは、ノズルを突き出たニードル先端でペンキをシーリングしております。そんなわけで、ニードルがノズルを抜けてくれないことには液漏れを起こす可能性があるのです。

そんなわけで、実験してみました。

PC206ニードル(円錐台鈍角ニードル)→PC203
PC206の円錐台ニードルをPC203に入れてみました。案の定、通りません。

ニードルは完全に途中で止まります。

RS508Nニードル(鈍角)→PC203
続いて、RS508Nの2段鈍角ニードルをPC203に入れてみました。案の定、通りません。

PC206ニードル→SGA6104
続いて、PC206のニードルをSGA6104に入れてみました。案の定、通りません。

RS508Nニードル(鈍角)→SGA6104
続いて、RS508NのニードルをSGA6104に入れてみました。案の定、通りません。

以上の実験より、「スプレーガンでも0.4mm以下のノズルには鈍角ニードルは通らない」ことが分かりました。

そんなわけで流用計画を絞り込んでいき、高いオリンポスニードルを外すと、

機種 ニードル径 適合機種
HP100B 1.2φ ERB、HG−SF
HP102B 1.4φ HP−TR1、MP3、HGトリガーワークス、HP−BC2P、GP−2、プロコンボーイSQ、プロコンボーイFWA
PC203 1.6φ RS507N
SGA6104 1.6φ RS507N


オリンポススプレーガンの流用はRS507Nしかないということになります。

じゃぁ、RS507Nの鋭角ニードルは流用できるんか?というと、

RS507Nニードル(鋭角)→PC203
いけましたw

がしかし、そもそもの長さが、違う(PC203ニードル全長:13cmなのに対し、RS507Nは13.7cm)上に、ノズルからの飛び出し具合が少ないため、少なくとも、1cmはカットしたほうが無難だと思います。

RS507Nニードル(鈍角)→SGA6104
アリーズにもいけましたwww

ただし、アリーズとRS507Nも絞り方が違うので、(下がアリーズ)ノズルからの飛び出方が短くなるため、コイツもニードルはナンボかカットしたほうが無難だと思います。※ただし、カットしなくてもフィッティングは出来ました。


V ベストマッチのニードルの選定

機種 ニードル径 適合機種
HP100B 1.2φ ERB、HG−SF
HP102B 1.4φ HP−TR1、MP3、HGトリガーワークス、HP−BC2P、GP−2、プロコンボーイSQ、プロコンボーイFWA
PC203 1.6φ RS507N
SGA6104 1.6φ RS507N

さて、後は0.2mmと0.3mmニードルの選定です。

上記ノズルの流用先ニードルとしては、最も良いのが、タミヤだと思います。まず、なんといっても製造元が扶桑精機ということ。またどこのおもちゃ屋でも手に入る上にクレオスより安い。

でもって、見た感じも、尖り方もスペックも似ているし、そう考えると、HP100BはHG−SF、HP102BはHGトリガーワークスです。

機種 ニードル径 流用ニードル
HP100B 1.2φ HG−SF
HP102B 1.4φ HGトリガーワークス
PC203 1.6φ RS507N
SGA6104 1.6φ RS507N

コレで決まりましたw↑流用ニードルは以上の通りです。さぁ、これでうまいこと吹けるかどうかは「後編」に続くです。

ちなみに、

HG−SFニードル→HP100B
HG−SFニードルをHP100Bに入れたのがコレ。

純正がコレ。若干純正のほうが飛び出方が短いような気もしますが、ほとんどおんなじような感じです。

ニードルもほぼ見た目に違いはありません。

トリガーワークスHGニードル→HP102B
トリガーワークスHGのニードルをHP102Bに入れたのがコレ。

純正がコレ。ほぼ一緒に見えます。

ニードル比較の写真がコレ。見た目に違いはほぼ見えません。


RS507Nニードル→PC203
RS507Nニードル:13.7cm、PC203:13cm。もともとが0.7cm短い上に、尖り方がPC203に比べて甘いので、ノズルから飛び出る長さが短いため、カットの必要があります。で、1cmほどカットすることにします。

ダイヤモンドカッターを用意して、

削っていき、

ラストはニッパーで切断w

ダイヤモンドヤスリで面取りして完成wしかし、めんどいんで、もっとごついニッパで一撃で切断したほうが良いと思います。

長さはPC203純正のニードルよりも若干短くなります。

フィッティングは良好w

ニードルアジャスタも無事入りました。

操作も出来ますw

←純正

←RS507N

純正に比べると飛び出方が甘くなるんで、吹き付けのテイストはドバッと出そうですが、そもそもがリールシート塗装が目的なので問題なしの予想ですw


RS507Nニードル(カットなし)→SGA6104
SGA6104の純正ニードルと長さが一緒なんで、若干のノズル飛び出しが短くなったとはいえ、そのまんま移植できます。

カット後のRS507Nニードル→SGA6104
カットしたPC203ニードルはおよそ13cmになったので、アリーズニードルに比べると約1cm近く短くなっています。

その関係で、カッティングしたニードルをアリーズにセットすると、ニードルチャックからの出方がかなり短くなります。

だもんで、ニードルアジャスタはまず使えません。

が、センターナットは問題なく入り、

ニードル操作も問題なくいけます。

そもそも、このニードルスプリングは、引かれたニードルチャックを戻すためのスプリングなので、ニードルがはまってなくても問題ないんじゃないでしょうか。

←純正

←RS507N


ノズルの出方もPCジャンボ同様、出方が短くなっていますが、これもそもそもが絵を書くような用途で使わないのでドバッと出てもいいんじゃないでしょうか。

とりあえず、コレで全フィッティングが可能というのが分かりました。

続いて、吹き付けチェックを行います。


吹き付けテスト

HG−SFニードルをHP100Bへ流用
まずはフィッティング。テールキャップに干渉することなくフィッティング出来ています。

吹きつけは問題なく吹けています。プッシュボタンの後退によるミスト量の変化も大きいので、調節幅もあります。これはグラデーションのやりやすさを表しており、まずまずの流用ではないでしょうか。

HGトリガーワークスニードルをHP102Bに流用
これもテールキャップに干渉することなく、フィッティングは問題なし。

問題なく吹けています。これもHP102B同様、トリガーの引きシロによるミストの濃淡の違いがクッキリと出るのでグラデーションはしやすいと思います。これもまずまずの流用ではないでしょうか。

RS507NニードルをSGA6104に流用
PC203へのフィッティングでニードルのケツを切った関係でフンヅマリになっていますが、ニードルチャックにはしっかりと固定されておりセンターナットも問題なく締まります。

がしかし、欲を言えば、カットしないほうが、ニードルスプリングのセンターの穴にニードルがおさまり、安定するはずなので、なるべくならPC203と共用で使うのではなく、SGA6104専用として、無加工で取り付けたほうがいいと思います。

で、吹きつけテストですが、問題なく吹けています。がしかし、ちょっと気になるところは、トリガーをちょっと後退させただけでミストが全開になっているところです。

ニードルから突出している長さが短いので、こればかりはどうしようもないのですが、これはON→全開のシングルアクションに近づいていることを表していて、決してグラデーションをしやすい条件とはいえません。ゆえに、ベタ塗りでは問題なくいけるけども、絵を描いたり、グラデーションをやったりするのはスゴクやりにくいと思います。

流用情報としては50点かな。1.6Φで小口径ノズルという特殊なニードルなので仕方がないです。

RS507NニードルをPC203に流用。
これはカットの必要がある要加工流用なのですが、センターナットは問題なくフィッティング出来ています。

吹きつけテストなのですが、これはアリーズよりももういっちょシングルアクションに近づいていると思います。ほんのちょっとトリガーを後退させただけで、ミストは全開。塗料量を調節できることは出来るんですが、ほんのわずかしかなくて、これでグラデーションをやるにはちょっと難易度高すぎん?て思います。

これもやっぱり、ノズル突出幅の短さが祟ったか・・・・

ま、ベタ塗りなら問題ないと思うけど・・・・。だもんで、流用情報としては30点くらいかな。これもアリーズと同じで1.6Φで小口径用のニードルが特殊すぎてないもんで難しいです。

以上、吹き付けテストは無事終了。

RS507Nニードルの出方が若干、ドバッと出る感はありますが、とりあえず、流用先としては確保できています。

この、一気にドバッと出るメカニズムですが、この際なんで、説明しますが、

トリガー引く前

トリガー引いた後。ノズルに穴が開いているのが分かるかと思います。

図解すると、
トリガーを引くことでニードルとノズルのスキマは広くなり、そのスキマからペンキが出ます。Cの状態になったら全開です。そのため、RS507NのニードルをPC203に移植した時みたいに、ニードル先端のノズル突出距離が短いと、トリガーをちょっと引いただけで@→Cの状態になり、全開状態になります。ゆえに、ゼロ→全開になるレンジが短くなるため、グラデーションはやりにくくなります。これがPC203やらSGA6104の流用ニードルでトリガーを少し引いただけで全開になる理由です。

総括
今回、種種のニードルを見て思った感想です。一般的にエアブラシのニードルは径が同じでテーパー長、ニードル先端形状が似ていれば、流用できる可能性は高いと思います。
というのも、どのニードルも、いわゆるステンの針金を先端に向かって削り込んで作られているからです。太さが同じ、テーパー長が同じ、先端形状が同じであれば、おおむね、外観が同じです。
理屈でいうと、ノズルからペンキが漏れないようにシーリング出来れば、後はニードル後退によりノズル間の隙間からペンキが出てくるだけなので、圧縮空気と共に霧となったペンキで吹きつけが可能です。そりゃ、メーカーが純正のノズル、純正のニードルで開発している関係上、本来持っている力を100%発揮できないかもしれません。しかし、そんな違いは凄腕のエアブラシペインターのみぞ知ることであり、ワタシくらいの素人には、その違いはまず分からないと思います。いわんや、小物塗装のベタ塗り用途であれば、その程度の違いは全く関係ない範疇であり、流用したところで全く問題なく使えると思いました。

で、今回の実験で面白いなと思った機種について薀蓄をタレてみたいと思います。

ERBはなぜに1.2φニードル?
実際使ったことはないんですが、まず、扶桑精機のERB。こいつは0.3mmノズルのエアブラシなのに、ニードルが0.2mmサイズの1.2φでした。その上、微妙なさじ加減が苦手といわれる二段鈍角の先端形状です。このERBは、イージー機能といって、レバープッシュメタルの向き変更により、ボタンを押しただけで塗料が少量出るメカニズムを取っているらしいのですが、その、少量出せるようにしているのが二段鈍角???と思ったりもしました。しかし、鈍角形状を取ると、ドバッと塗料が出てしまって、微妙なさじ加減が苦手になるので、ニードル径を細くしてグラデーションの幅を持たせているのかな?(ニードルを細くすることでノズルから突出する長さが長くなるため、グラデーションの調整幅は広くなる)とも思ったりして、そんなに高いエアブラシではないし、使ってみたいなとも思いました。まっ、もうちょっとエアブラシを使いこなせるようになってからですけどね(汗)

プロコンボーイFWAはなぜ1.4φニードル?
それから、クレオスのプロコンボーイFWAです。クレオスのダブルアクションエアブラシは、プロコンボーイWA(0.3)とFWA(0.2)とあるんですが、見た目はほとんど一緒です。で、今回、0.2mmモデルのFWAのニードルを調査したんですが、結果、太さは驚きの1.4φでした。通常、1.4φは0.3mmサイズで使われやすいニードルです。そのため、0.3のWAと0.2のFWAは同一ニードルで、ノズルだけが違うのかな?とも思ったりしました。値段もほぼ一緒だし、となると、違いは刻印とノズルだけかも!?
これは、ノズルを0.3mmから0.2mmに変更しただけで、あとはまんま一緒で、新商品として発売するけれど、開発費を抑える下心があるのかも!?なんて思いました(ニードルまで細くすると、ニードルパッキン、ニードルチャック&ナット、センターナットまで変更する必要があるのでコストがかかる)。しかし、同一ニードルでノズル口径を落とすと、ノズルからのニードル突出距離が短くなるため、塗料はドバッと出る傾向となり、微妙な塗料の出具合の調整はやりにくくなるはずです。でもって、クレオスの最上機種で、「Mrエアブラシカスタム0.18」というのがありますが、あれが1.2Φニードルを使っていたら、FWA0.2に比べてノズル突出距離は長くなるため、グラデーションはやりやすくなり、同メーカーのハイエンドモデルとの差別化にもつながりますしね!?
ま、全部推論ですが、0.2mmサイズなのに、ニードル径が1.4φというのが意外でした。
ついでにですが、タミヤは0.2mmサイズのエアブラシはHG−SFがあります。あれはニードル径は1.2Φです。ということは、同じ0.2mmノズルなのに、タミヤは1.2Φニードルを使っているのにクレオスは1.4Φニードルというわけで、物理的にタミヤのほうが性能が上ということになります。同じプラモメーカーで比較されることも多いと思うので、調べてみるとこんな違いがあったというのが意外でした。

スプレーガンサイズなのにエアブラシサイズのノズル口径。
今回の実験で一番手ごわいなと思ったのが、PC203、SGA6104です。というのも、この2機種はニードルは完全にスプレーガンサイズなのに、ノズル口径が完全にエアブラシサイズだからです。
今回の実験では、エアブラシとスプレーガンの違いは、エアホース接続が1分か2分かで分類しました。PC203、SGA6104はボディがスプレーガンサイズで、ニードル径は1.6φです。で、通常、ボディがスプレーガンサイズになると、ノズルが大型化するため、一般的にはニードルは鈍角ニードルを使用しております。しかし、ノズルが0.3だの、0.4だののエアブラシサイズだったら、1.6φの鈍角ニードルが入らないんです。そうなると、1.6φニードルで鋭角ニードルが必要となります。が、これがホントに種類がない。頼みの綱の扶桑精機のリッチエイトシリーズでも差別化を測るためか、0.6、0.9、1.1と、微妙にオリンポスサイズを外しています。そのため、選択肢としてはRS507Nしかなく、それを0.3,0.4ノズルにフィッティングさせると、ノズルのニードル突出距離が短くなります。結果、ドバッと出るテイストになってしまいます。本来のエアブラシサイズの1.4φのニードルだったらば、ナンボでも流用できるのですが、ニードルチャックが1.6φなので、流用が出来ない。また、スライドカムなんかもすべて1.6φで作っているため、例えば、簡単に作れそうなニードルチャックを1.4φでワンオフで作ったとしても、スライドカムの穴がフィットしないため、これも難しい。ニードルパッキンも同様。

逆に、エアブラシサイズでもスプレーガンサイズの口径があります。例えば、HP−TR2なんかは、小型スプレーガンの範疇である0.5mmノズルですし、リッチにもES−6という0.6mmサイズのガンがあります。しかし、見たところ、HP−TR2なんかは、HP−TR、HP−TR1と一緒、ES−6はガンピスシリーズと一緒に見えます。となると、ボディが一緒ですから、ニードルチャック、ニードルパッキンも同じでしょう。ニードルチャックが同じだと、ニードル径が同じため、0.5mmだの0.6mmだのの大型ノズルでも、ニードル径はエアブラシサイズの1.4φであることが予想されます。ノズルが大きくなると、ニードルのノズル突出距離は長くなり、ニードル保護カバーを飛び出るリスクが出てきますから、今回の実験で測った、「テーパー長」は短くなることが予想されます。つまり、同一ボディでノズルが大きくなると、ニードルのテーパー長は短くなる関係にあるはずです。

例えば、HP−TR(0.2)、HP−TR1(0.3)、HP−TR2(0.5)だと、ニードル全長は全部一緒で、テーパー長は

HP―TR>HP−TR1>HP−TR2

になっているはずです。

これについては、後々、HP−TR、HP−TR2のニードルを購入して検証してみようと思います。

話を戻しますが、PC203やSGA6104についてですが、ノズルはエアブラシ口径なのに、ボディがスプレーガンなので、ニードルはスプレーガン仕様の1.6Φ。かなり特殊。今回はやっていませんが、ノズルの流用を考えた時でも、流用できるものはないような気がします。

口径が0.3だの0.4だのの2分ネジスプレーガンは本当に特殊なガンと言えるのではないでしょうか。

以上、考察を終わります。しかし、色んなニードルを測定しただけでしたが、分かったことも多かったですし、疑問点もたくさん増えました。面白いですねコレwまたさらに深くやりたいなw


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