スレッドの選定

スレッド=ガイド固定用の伸びるポリエステルの糸のことです。ポリエステルは紫外線に強いので使われる所以かもしれません。

スレッドの太さの表記
基本中の基本。スレッドは、太さがA,C,Dとあり、Aが一番細く、Dが一番太い。メジャーなのは、Aスレッドで、それ以上のスレッドになると、専門店に行かないと、まず手に入らない。Bスレッドは見たことがありません。

ブライトスレッドとNCPスレッド
まず、スレッドの基本中の基本。ブライトスレッド、NCPスレッドとは何ぞやということを覚えておきましょう。
オレンジがゼニスのブライトスレッド(A)、水色もゼニスのNCPスレッド(A)。ブライトスレッドは色が透けてブランクの色がうっすらと見えます。半透明に仕上げたければ、Nスレッドです。つまり、Nスレッドは透けるけど、NCPスレッドは透けない。というわけです。

昔は全部Nスレッドだったようです。透けさせたくないときは、
「カラープリザーバー」という色素保持剤(※フレックスコートホームページより)をフデヌリして、その後エポキシコーティングに入っていたようです。

ほんでも、このNスレッドですが、抜き糸がバッチリ見えちゅうがや!というわけなので、透けたまま使おうって人がほぼいません。

そんなこんなで、基本はカラープリザーバーを塗ってからコーティングが一般的だったようです。

その手間がめんどいわ!というわけで、カラープリザーバーなしでも色が透けないスレッドが登場。

それがO OLOR RESERVERスレッドです。ノーカラーブリザーバースレッドの頭文字をとってNCPスレッドという名前になっています。

これはカラープリザーバー使わなくても透けません。

ワタシもオススメしますが、NCPスレッドつかいまい!ちゅうこっちゃ!

今や、NCPだらけで、カラープリザーバーがおいとらんの!ナガシマとフレックスコートから出ているようだけども、ナガシマのは見たことがありません。通販でも見んですね〜。フレックスコートなら、おいてあるところもあるけれど、売れないので無茶苦茶古いのが多くて、カラープリザーバーの溶剤でフタがやられていてクラックが入っているようなものもあるので要注意。(香川では坂出タイガーにフレックスコートのカラープリザーバーが置いてありますが、見事にフタが割れています)使わなくても良いものなら使わないで良いスレッドを使ったほうが無難です。なので、NCPスレッドで組むことをオススメします。


スレッド選定方法
白いところがCスレッド。下の赤いのが化粧巻き。化粧巻きは響かせたいため、通常はメタリックスレッドを使います。ただ、ダイワの最高峰、ソルティガなんかはNCPのCを使っていて、これが逆に新鮮だったりもします。

ダブルラッピングをするときなんかは、下巻きにAスレッド、上巻きにCスレッドが一般的です。別にCスレッドの上にCスレッドでもいいですが、なんとなく、下巻きは密のほうがかっこいいです。

市販ロッドがだいたいこのパターンです。

ただし、スレッドも太さを考えてセッティングしないと・・・・・

例えば、Aスレッドなんかでは、スレッド自体が細いので密巻きが出来て、きれいなんですが、密巻きが出来る反面、スレッドとスレッドの間にミクロの隙間が出来ます。

んで、これはDスレッドですが、Dだと太いので、スレッドとスレッドのミクロの隙間は埋まりやすいですが、反面、スレッド自体の糸が目だってしまいます。

あと、スレッドの色についても色々深い世界があって、

暗い色のスレッドは、コーティングで糸目が消えて塗りつぶしたような色になりますが、

明るい色のスレッドは糸目がたいへん目立ち、また、下地が透けます。

これらのことを良く考えながらスレッドを選定していかないと、コーティング後に泣きを見ることになります。

コーティング入ったらもうどうにもならないですからね(汗)

市販ロッドのアラ探し
ココだけの話、市販ロッドだったら完璧なんか?というと、NON NON。

完璧なロッドは100%存在しません。まず、スプラインをちゃんと出しているロッドがないですね〜。店で手にとってスプラインを探してみてください。大抵45度くらいずれています。ネームのシール貼って、シールでスプライン出しているんでしょうか?

特に、スレッドなんて、完璧に巻けているロッドなんてまずありません。

これはリメイク待ちのバレヒルさんのオーシャンクエストエンデュランス86SJなのですが、

上は抜き糸の処理が甘くコーティングが凸になっちゅう。下側の矢印はガイドの足の部分にうまくスレッドが乗っていないままコーティングされています。

サーペントライジング。

エポキシの気泡抜き失敗。

などなど、ロッドビルディングをやってると、こういう市販ロッドのアラが見えてきます。

これはダイワさんの釣竿工場の様子を紹介したビデオですが、

http://sc-smn.jst.go.jp/flv1500/fB010601-083.swf

基本、手作業の仕事で、恐ろしく早いスピードでラッピングしたり、コーティングしているみたいなので、アラがないロッドなんて皆無に等しいと思います。ある程度やりこんだら、釣具屋行って観察してみてください。色々見えてきますよwwwなぜ黒い塗装に黒いスレッドが多いのかの理由なんかも分かりますw

話が飛んでしまいましたが、ワタシが持ってるスレッドの紹介です。

ジャストエース
ジャストエースのスレッドはAとCだけです。わりかし釣具屋に置いてあることも多くて出番の多いスレッドです。上のような不透明な色のスレッドはダルスレッド。

キラキラしているのがメタリックスレッドです。

香川ではホライズンと黒鱒屋、丸亀ビッグウェーブにわりかし置いています。ダルスレッドは300円、メタリックスレッドは600円といったところです。

ジャストエースには、Cのメタリックスレッドがありません。メタリックはA、Cはダルスレッドのみです。

強度で言うと、Dスレッドが最強なので、強さにこだわりたい人はDスレッドを選択することをオススメします・・・・が、結局、スレッドよりかは、強度はエポキシに関係しているように思います。だもんで、ワタシが作った雷魚ロッドは大体Cスレッド上巻きで作りましたが、強度的には全く問題ありません。市販雷魚ロッドは大抵Cスレッドです。

グデブロ
で、グデブロです。マタギが扱っている・・・いや、扱っていたのがグデブロで、アメリカのメーカーです。しかし、2010年潰れてしまいました。今は在庫のみだと思いますが、貴重なメタリックのCやD、トリマースレッドなんかもあって、かなり充実したラインナップだったんですけどね・・・・HTメタリックといって、無茶苦茶強度のあるスレッドなんかもありました。

ゼニス
んでもって、意外と出番の多いのがゼニスのスレッド。ワタシが知っているのはAだけですが、ボビンがかなり長くて、道具箱に入らず、横起きになっています(汗)香西釣具と黒鱒屋に置いていました。

基本、普通のAスレッドみたいなもんですが、

ゼニスにしかないスレッドがあり、これがダイヤモンドラップだの、多軸シェブロン、スパイラルラッピング等の高等技術に大変役立ちます。

それが、ホツレスレッド?勝手に命名しましたw

ゼニスさんのホツレスレッドは3本よりになっており、先っちょは3本よりがほどけています。

このホドケがミソです。

通常、ダイヤモンドラップやら、スパイラルラップやらは、斜めに重ねて巻いて行くので、必ず隙間ができるのです。
こういう隙間とか、

こういう隙間ですね。

スレッドが一本にまとまっていると、重ねてしまうと、ヨリが生まれるため、通常、重ねることは出来ません。結果、隙間の修正は難しくなります。

一方、ゼニスさんのほどけかけたスレッドだと、

隙間に重ねることができるんですよね。これを続けて行くと、

やがて、隙間はなくなり、斜めに重ねて行くラッピングできれいに巻くことが出来ます。これができるのは私の把握している限り、ゼニスさんのスレッドだけです。

こんな感じのラッピングが簡単に出来るのが特徴です。


平スレッド
これもダイヤモンドラップ系のラッピング時に大活躍します。
以前はグデブロだけだったのですが、グデブロ倒産後、ジャストエースさんからも発売されました。ジャストエースさんの平スレッドは600円です。

平スレッドなのでヨレることがなく、こういった螺旋だのクロスだののラッピングをする時に大活躍です。

ただし、平スレッドは、スレッドの終わりがまとまりすぎており、コーティング後に尖ったような凸になり、そこが使いにくいところでもあります。

尖ってしまうと、上巻きでラッピングの端をシーリングする時に下地が見えてしまうんですよね。

こんなもんですかね。また何かあったらアプしまつ。

あとがきついでの試行錯誤

PEをスレッドに出来るかの実験
左がオオノのPE6号。右側がサンヨーナイロンの雷魚8号。スレッドとスレッドの隙間が全く埋まらず、使い物にならない。でも、細いPEだったらいけるかもwww


ミシン糸
嫁さんの付き添いで手芸店に行ったときのこと。ボビンに巻かれたミシン糸がたくさんあって、コレ、スレッドとちゃうんな???と思いました。色は多種多様、細さはAスレッドと同等。値段はNCPスレッドの半額。これは、流用できるなら、ナイス!と思い、購入して実験。200円です。

とりあえず、巻いてみると、最悪。ポリスレッドみたいに伸びないので、ポリスレッドなら、ある程度巻いたら、手を離してもとまりますが、ミシン糸は手を離すと、一気に全部緩みます。そして、伸びないので、食いつきが悪く、隙間をなくすように巻くことが困難です。ポリスレッドにくらべると、むっちゃ巻きにくいです。

コーティング後。透けるし、毛羽立ちがよく分かるし、使い物になりません。そもそもミシン糸って綿ですよね?スレッドはポリエステルじゃないといけませんね〜。


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