塗装概論2012


いい加減、塗装も数こなしてきたので、まだまだ未熟なウデではありますが、ウンチクでも一発タレてみようと思います。

フト、前回の塗装概論2010を見てみると、まぁ、甘いちゅうか、ダメダメなウンチクで、2年でこんなに変わるの?という感じですw

で、塗装で一番やっかいなのは、リメイクなんで、今回はリメイク前提で話をさせていただきます。

また、ロッドビルディングの塗装は、ブランク塗装とリールシート塗装の2つがあるので、2つに分けてウンチクたれますね!

ではいきますよ!

ブランク塗装編

リメイク前の塗膜剥がしについて
まず塗装の前段階としては、ガイド全部外して、スレッド全部外した、この状態からスタートです。

んで、前に塗っていたペンキですが、ほぼ間違いなくウレタン塗料です。

そのため、ウレタン塗料の剥離剤というのが必要になってきます。ウレタン塗料の剥離剤は、車用のウレタン塗料を売っているお店に置いてあります。ホームセンターでも見かけることはありますが、使ったことがないのでどんなものか分かりません。

ワタシが使っているのはロックペイントのロックリムーバーというものです。400gで700円ほどです。水色でドロドロの液体で、ハケにつけて、ブランクに塗りたくります。

そのまま30分くらい置いておくと、塗膜がミミズ腫れのようになります。

そこでカッターの裏を当てて、ガリガリと削っていくと、塗膜が削れるように落ちていき、カーボンの地肌が見え始めます。

最終的には、スコッチブライトというスポンジ研磨剤を使って水研ぎしていくと、サクサクと作業が出来ます。

なお、一般的には耐水ペーパーの水研ぎで塗装を落とす方法が推奨されていますが、耐水ペーパーは、目が均一すぎて、スグに目詰まりしてスゴク効率が悪いです。

ウレタン剥離剤を使うと、ブランクまで溶かすと心配される方もいますが、私がやっている限り、そんな現象は見たことがありません。強度的にも全く問題ないですし、ペーパーでしんどい思いしてやるよりは剥離剤を選択したほうが良いと思います。ペーパーでやると、どうしても人間の作業なので、最初のほうが力強くてたくさん削れ、後のほうが薄く削れてしまい、厚みのバラツキになると思います。

また、耐水ペーパーは、ペーパー自体がまっすぐの紙なので、曲面に対しての追従性が悪く、研磨が局所的(まっすぐ当てた部分がたくさん削れる)ので、よくありません。

同じスコッチブライトでも、スポンジ研磨剤も特徴はペーパーとほぼ同じ。

ナイロンタワシと呼ばれるスポンジ研磨剤(スコッチブライト)がベストです。

で、粗い目から細かい目に水研ぎしていくと終了です。

これで塗装の前段階が終了しました。

ただし、完璧には行きません。ブランクの表面は傷だらけ。特に、最初の塗装前にブランクにしていた足付けの削れ部分に塗料が残っていることがありますが、もうこーなったら、まずはがれません。そのままで次の塗装に行っちゃってください。ベストは完璧に前の塗膜をのけることですが、塗装は、前段階で足付けという作業がある以上、完璧にするのは不可能だと思って下さい。

ちなみに、以上の前塗装剥離工程のことを「ケレン」と呼んでいます。


しごき塗装か吹き付け塗装か?
ロッドビルディングの塗装で、塗装といえばコレ!という具合に紹介されているものが、シゴキ塗装です。

昔から不思議だったんですが、なぜに、このシゴキ塗装がビルディングで指南されているのかが疑問です。

そもそも、このしごき塗装、すごーくめんどくさく、技術が入り、そして出来栄えが悪く、使えるペンキが限定されるという欠点があります。

しごき塗装で必要なのは、カップ。このカップ、出来合いのものがありませんので、適当なプラカップを買ってきて加工して作らなければなりません。

でもって、ブランクは先が細くて根元が太いモンですから、1つの生ゴムでできるはずがなく、ブランクをいくつかのセクションに区切って、ポンチで穴を空け、

1つ引き抜いて塗ったら乾くまで待って残りの部分をしごくという、手間がかかるものです。

おまけに、ポンチできれいに穴があけばいいんですけど、多くは、ポンチの切断が甘くて、スジが入ることが多いです。

んでもって、塗料だって、かなりネバイ塗料じゃないとタレる上に、重ね塗りが出来ないので、隠蔽性の悪い黄色や白とかだったらムラになります。んでもって、しごきの塗料というものが一般的に売ってない。

大量生産で、何本も作るのであれば、歩留まりもいいし、同じ径の生ゴムで何本も塗れるし、効率がいいのかもしれないですけど、オリジナルロッド製作の上で、1本だけ塗るのに、生ゴムを何枚もポンチで穴開けて、1回使って、捨てて、乾いてから反対側からしごいて・・・・重ね塗りは完全硬化後なんて、クソめんどいことをですね、やってられるかって感じです。

リールシートの塗装も出来ませんし、ロッドビルディングでオリジナルロッドを1本だけ作るのであれば、スプレー塗装を選択するのが正解です。

というわけで、以下の文言はスプレーによる吹き付け塗装を前提としてウンチクをたれます。






下塗り編
塗装前のケレンが終わったら、次はいよいよ塗りに入ります。いわゆる、下塗りというヤツです。

下塗りの役目は3つ。「ケレンの跡を整えること」、「中塗り塗料の密着性を良くすること」、「中塗りの発色を良くすること」です。まず前者ですが、

ケレン後はブランク表面は傷だらけです。

そのため、この上にイキナリ色を乗せてしまうと、

こんな感じに、ケレンの跡がデコボコに表現されてしまうのです。

そのため、まずはケレンの跡を消すような塗料を使って、傷を隠す必要があります。そのための塗料はサーフェイサーと呼ばれるもので、いってみれば「スプレーパテ」です。

通常のペンキよりも顔料(色のついた粉)が多く配合されており、引けが少ない。ネバイ塗料。

これを分厚くぬることで、ケレンで付いたペーパー跡の傷をパテ埋めしてくれて、表面が滑らかになります。

表面が滑らかになることで次に塗る塗料がキレイに見えるってわけです。

んで、このサーフェイサー、粉が多いことから下地の隠蔽力が高い塗料と言えます。

例えば、ブランクは黒ですが、黒い上に明るい色を塗った場合、明るい色は隠蔽力が弱い塗料ですので、「下地が透ける」現象がおきます。

例えば、同じインドオレンジコンクでも、下地が黒か白かで、こんなに色合いが変わります。下地に白のプラサフ塗っているのが左。

そんなわけで、暗い色はあまり気にしなくても良いんですが、明るい色を塗装する時は必ず、白い色を塗ってから明るい色を塗る必要があります。

この時役立つのが、粉が多くて隠蔽性の高いサーフェイサーです。

※ちなみに「はじめに塗る白」のことをベースホワイトとも言い、中塗り用の白を塗る方法がありますが、中塗り用の白は粉が少ないので隠蔽性が悪く、やるなら、サーフェイサーのほうがベターです。



プライマーについて
下塗りには先ほど説明したサーフェイサーのほかに、プライマーというものもあります。プライマーというのは、中塗り塗料の食いつきを良くするための塗料で、例えば、アルミにアクリルペンキを塗るとしましょう。

アルミとアクリルは相性が悪く、スグにはがれてしまいます。

がしかし、エポキシはアルミと相性が良く、ガッツリくっついてくれる上に、アクリルとも相性がヨロシク、キチンと塗れます。

そんなわけで、

アルミ〜アクリルは×でも、アルミ〜エポキシ〜アクリルだったら○なわけです。

この「エポキシ」のような下地の素材と中塗り塗料の橋渡しをする役割のペンキをプライマーと呼びます。

同じ塗料を塗るにしても、プライマーを塗ったほうが確実にはがれにくくなるわけであり、塗るか塗らないかだったら、絶対塗っておいたほうが良い塗料です。

そんなわけで、下塗り用塗料には、サーフェイサーとプライマー二つがあるんですが、この二つが合体した、「プライマーサーフェイサー」という塗料があります。

ワタシが愛用しているのが、ロックのミラクルプラサフHBで、粉が多く、ねばい塗料です。それでいて塗料の食いつき、大変よろしくて、塗ると塗らないとでは、剥離剤付けた時のハガレ方は雲泥の差。

これで下地のケレン傷はキチンと消せますし、中塗り塗料の発色もグッド。便利なんで、派手な色を塗装する時は必ずコレを使っております。

※ プラサフをチョイスする色について
ロックのミラクルプラサフはラインナップが3つあって、白、黒、グレーです。このうち、グレーについては、白と黒を混ぜれば良いんで、買う必要はありません。

さらに全く使わないのが黒のプラサフで、そもそも、黒のプラサフを塗る時の条件って、暗い色を中塗りで使うときなんですよね。だけど、暗い色を塗るんだったら、下地のプラサフは明るい白を塗ったって影響がないわけなんですよ。

さらに、仮に黒を塗るにしたって、ブランク→黒→黒でしょ。黒の上塗りで黒ぬると、下地と上塗りが一緒なんで、上塗りした時に、色が付いているかどうかが分かりにくいんですよね。

やるなら、ブランク→白→黒のほうが塗りやすいです。

そんなわけで、黒のプラサフは全くといっていいほど使っていません。隠蔽性がいいんで、下地が白でも十分発色します。

プラサフ買うなら、白だけで良いです。


プラサフを吹く上での注意点
ズバリ言って、なるべくシンナーを少なくして濃いペンキを口径の大きなガンで吹くことです。プラサフの目的には、「パテ」としての役割があるので、シンナーで薄めすぎたら、引けてしまって、あんまし意味がなくなるんですよね。やるんならモッチリ厚塗りです。

さらに、プラサフ、恐ろしく乾燥が速い塗料なので、ガン口径の小さいガンでやると、被塗物行き着く前に固形化してしまい、粒状のソボロがついてしまいます。

そんなわけで、ガン口径は0.8mm以上がベスト。シンナー希釈は30%(メーカー指定は30%)くらいにして、それだと、小さいガン口径だと、ミストの微細化が甘くなって、発射するときの音が、ブブブッとなって、シューっとならないので、そこはレギュレーターで微細化を調節するのがいいと思います。



中塗り編
今まで下塗りについて話をしてきましたが、その釣竿の色を決めるのが中塗りと呼ばれる工程で、いわゆる、「色づけ工程」と思ってください。例えば、黄色について話をさせてもらいますが、

下塗りで白塗って、そこから黄色。これで初めて竿に塗りたい色、黄色が表現できますよね。

こーゆー色塗りを「中塗り」若しくは、「ベースコート」と呼びます。

ベースコートで使われる塗料はたくさんあります。アクリル塗料、ニトロセルロース塗料、アルキッド塗料、アクリルシリコン、カシュー、1液ウレタン、1液ポリエステル、2液エポキシ、2液ウレタンなどなどです。

ベースコート用塗料は、ホームセンターでも缶スプレーとして売られている関係で、スゴイたくさんの種類があります。

これらを分類すると1液と2液に分けられます。

1液:アクリル塗料、ニトロセルロース塗料、アルキッド塗料、アクリルシリコン、カシュー、1液ウレタン、1液ポリエステル、

2液:2液エポキシ、2液ウレタン

といった具合です。

1液と2液の特徴を簡単に説明すると以下の通りです。

1液:はがれやすく、傷が付きやすい、簡単に使える、シンナーを入れたら何度でも使える、安い。

2液:はがれにくく、傷つきにくい代わりに、配合が面倒で、一度使うと固まってしまい、二度と使えない。

といった具合です。

釣竿はガードレールに立てかけて置いたり、ヤブコギしたり、また魚をかけたりして、結構過酷な条件で使われる塗料のため、絶対に2液のほうが良いです。

一液塗料はどんな塗料でも、ツメで傷が簡単に入ったり、

負荷がかかるところで割れます。

となると、2液エポキシと2液ウレタンの選択肢になってくるんですが、エポキシは建築用塗料なんで、ハケの厚塗りが一般的で、ネバさが無茶苦茶ねばく、スプレー塗装には向いてないと思います。また、エポキシをガンで吹くと、中で固まってあとあと掃除でエライことになります。また、色の自由度が少ないのも難点です。家にどぎつい紫だの黄色だの塗る人はいないですからね。

一方、ウレタン塗料は車の塗装で使われる塗料なんで、色がたくさんあり、調合も楽。パールやらメタリックやら種類もたくさんあって、そんでもって、スプレーでの吹き付けが前提なんで、釣竿への応用が楽とういわけで、一般的に釣竿で使う塗料といえば、2液ウレタンです。

1液ベースコート用スプレーで中塗りをして、2液でトップコートをすることで、外界に露出した部分を保護するという方法もありますが、弱い塗料を実用品で使うこと自体、無理があって、特に負荷がかかるガイド周辺で塗膜のクラックが起きたり、穴が空いたりなどのトラブル多発で、やるなら、絶対に2液のほうがベターです。

これが如実に分かるのがリメイク時の塗料剥離剤なんですが、1液と2液だったらハガレ方が全く違います。

1液は一瞬でカサブタになって、ボロボロになるんですが、

2液の場合、カッターで剥がそうとしてもガリガリと食いツキを見せます。

そんなわけで、釣竿で使う中塗りは、2液ウレタンのスプレー塗装です。メーカーは、ロックペイントのパナロックです。というか、ワタシ、ペンキはほぼロックです。

車で使われるベースコート用2液ウレタンは、ロックのパナロック、カンペのレタンPG、ニッペのナックススペリオ、イサムのAU21などなどがありますが、厄介なのは釣竿の塗装で使うペンキなんてちょっとで良いということなんです。1kgあったって、全然使い切れませんからね。1回の塗装で使うペンキはおおよそ50gほど。200gを買い足し買い足しで使っていくほうが無難です。

そんなわけで、小売しているペンキ業者が必要になってきますが、それをやっているのが「ぺいんとわーくす」しかないんです。ペイントワークスが取り扱っているのがロックのぺンキなんで、必然的に、釣竿塗装マンはロックのペンキしか選択肢がありません。

ただ、ぺいんとわーくす、ペンキのハウツー関係も分かり易く説明してるし、質問に対する回答も早い。特に、「パール塗装してみたいんやけど、何を選べばいいの?」って感じの回答は迅速ですw

ペンキは40gからハカリ売りしてくれるし、安い!あと、後払い決済が可能なんで、注文した次の日には届くというわけで、かなり便利なペンキ屋です。

プラモや釣竿みたいな小物塗装を目的とする人は、ペイントワークスを選ぶのがベストだと思います。そしてペイントワークスが扱っているのがロックのペンキだもんで、必然的にロックを選択するしかないというわけです。

だもんで、釣竿塗装は、ぺいんとわーくすでペンキを揃えること!

ま、つまるところ、釣竿のベースコートで使うべき塗料は、ロックペイントのパナロックってわけですなw



ペンキの色による難易度の違い
また、ペンキは色によって難易度に大きな違いがあることを知っておいたほうがいいです。ベースコートでは色塗り工程とも言われますが、何色の上に塗るかで難しさが変わってきます。

まず、一番簡単なのは、圧倒的に黒です。黒は隠蔽性が高い色で、少々ムラがあっても、分かりません。濃くても黒。薄くても黒です。

ところがそうはいかないのが隠蔽性が悪い塗料。代表的なのが白・オレンジ・黄色です。吹き付けが甘く、薄い部分は、下地がうっすらと露呈し、濃い部分はちゃんと発色しているというわけで、ムラが分かり易いです。

また、後述でもありますが、シンナー希釈による引けで、乾いてからムラに気づくことも多々あります。吹き付けたときはモッチリと厚塗りできたと思ったら、乾いてシンナーが飛んで薄くなったら、下地が露出していたなんてこともあります。

隠蔽性が高いペンキと低いペンキだったら、高いペンキのほうが簡単です。

また、ツヤの確認しやすさというのも関係してきます。

スプレー塗装はミストを吹き付けていき、まだら模様からユズ肌模様、最終的にのっぺりとモッチリ肌模様へと変化していきます。その瞬間にスプレーを止めないとタレてしまうので、モッチリ肌を目視できるかどうかが、良い塗膜悪い塗膜の分かれ道です。

それを確認するには、光の反射しかありません。光の反射はいわずもがな、白です。

隠蔽性の高い塗料の場合、光の反射の白色が分かり易いですが、白だのはもともとが光と同じ色ですから、モッチリ肌になったかなってないかの確認が分かりにくいのです。

これはムラにも繋がります。

そんなわけで、ここでも明るい色と暗い色の難易度の差が表れます。最悪なのが白い下塗りの中塗りで白を塗ることで、下地も白、中塗りも白、光の反射も白というわけで、全部白なので、塗ったかぬれてないか、ムラなくぬれているかぬれていないかの判断がサッパリ付きません。

これについては、太陽がカンカン照りになっている時にやる以外に対策がないんで、アレなんですけど、最初は黒で練習したほうがいいように思います。

だけどロッドビルディングでやっぱり映えるのは、白とか黄色、オレンジなんかの派手な色です。黒メインの市販ロッドでは見られない鮮やかさがそこにあるので、いつかはオレンジとかに挑戦したほうがいいと思います^^






上塗り編
ベースコートが終わって、最後にやるのが上塗りです。上塗りで使うのはクリアオンリーです。透明な塗膜を一番上に乗せて、傷が付いても分かりにくく、またツヤを出して見栄えをよくして、さらに、中塗りで出る硬度のバラツキ補正(ベースコートは色によってやりこい硬いがある)を行うのが目的です。

ただし、必ずやらなければならないか?といわれると、そんなことはなくて、ベースコートの時点で2液を選択しているため、耐久性に関しては問題はなく、やってもやらなくても良い塗装です。私はJraidenでトップコートをしておらず、2液ウレタンのベースコートでフィニッシュしていますが、問題はありません。

さらに、クリアを加えることでテカリが加わるため、色は若干薄くなります。ドギツイ原色を表現したい時は、クリアは塗らないほうが良い色になります。

ですが、私的には、クリアは塗ったほうが良いと思います。

というのも、ベースコート用2液ウレタンはシンナーを多く入れてガンの通りをよくして、失敗なく吹きつける目的があるため、高い希釈率を元に設計しています。だもんで、ペンキ自体がもともとネバイんです。

シンナーをたくさん入れると、たしかにガン吹きしやすくなることは事実なんですが、そのかわりに、吹き付けた後に「引け」が起こります。そりゃ当然です。シンナーが揮発するんですもの。

※引けに関して
小型スプレーガンを使う以上、シンナー希釈は大目にしないといけないわけで、ここで、「引け」についてしっかりと把握しておく必要があります。

通常、吹き付けた時は、シンナーがまだペンキの中に入っている状態です。そのため、

吹き付け直後はモッチリツヤツヤの美しい塗膜と勘違いしてしまいますが、実際は、時間と共にそのシンナーが揮発し、収縮が起こります。

結果、こんな感じに、ツヤは引いてしまいます。つまり、シンナー希釈する以上、吹き付けたときと乾燥した時の塗膜の状態にズレが出来ます。

ブランク塗装なんかでも顕著に見られる現象で、吹き付け直後はモッチリなのに、

乾いたら、下地が浮いてしまった!なんて失敗もあります。

中塗り用のパナロックは希釈率が高く、さらに口径の小さいガンで吹くため、引けがバカになりません。

結果、色は付いているけど、すごい薄い塗膜であるということです。

傷が行くと一瞬で下地が見えます。

足付けで下地が出ることもしばしばあります。

そのため、ベースコートは薄々塗膜になりがちで、その保護のためにも、トップコートはしていたほうが良いと思います。

トップコート用クリアというのは、吹き付けた後、モッチモチに仕上げるのが目的なため、引け対策が取られています。シンナー希釈率は最初から少なめに設定しており、ペンキ自体がサラサラ。希釈は10%程度で吹き付けが出来るようにしています。

シンナーが少ないから引けが少なく、モッチモチな仕上がりになりますw

上塗り専用クリアは仕上がりが良いというのはこのためです。

ただし、吹き付けるときには注意が必要です。クリアはシンナーが少ないですから、下塗り、中塗りにくらべると、乾燥が遅い塗料です。だもんで、吹き付ける量や間隔を長めにして若干の途切れ途切れに塗り重ねる手法で塗装したほうが良いです。

一発厚塗りを目指すと必ずタレて、さらにタレたところは乾燥が遅いため、空気中の水分を噛んでカブリます(白化)。



無希釈クリア塗装について
前述の「引け」に関して、引けが出ると、重ね塗りの回数を増やさなければならないので手間なため、いっそ無希釈で吹いてみては?と思う方も多いと思います。

そもそもが、トップコート用ウレタンは「引け」」を嫌い、極端にシンナー希釈を少ない配合で使うのがキホンとなっております(ベース用クリヤは60%標準なのに対し、トップコート用クリアは10%程度)。圧を高めにすればミストの微細化は問題なく、吹き付けも可能です。

実際、シンナーなしの無希釈でもこの粘性ですから、いけることはいけます。圧をあげれば、ミストの微細化は可能です。

ところが、無希釈で吹くのにも問題があり、乾燥が速すぎるという欠点があります。

結果どうなるかというと、ピンホールが出現するんです。

吹きつけた直後はなんともなさそうなんですが、ちょっと時間が経つと、

ポツッ!

と、クレーターが現れるのです。

いたるところに。

原因は、塗料がねばいこととレベリングの不具合です。

塗料がネバイと塗料カップの中で気泡が消えずに残ってしまい、吹きつけたミストの中にミクロの気泡が存在したままノズルから霧状化され、被塗物に付着して、引いた直後に気泡が破裂。クレーターが出現するということ。

もう一つはレべリング。レベリングとは「平滑化」のことで、このサイトではユズ→ナミツヤという言葉で説明しています。

通常、ノズルから発射されたミストは粒状で被塗物に付着。それが乾燥する前に次に吹きつけられたミストが付着。前のミストが乾燥する前に付着するので、「同化」が起こります。







これが繰り返されて、被塗物の塗面は滑らかになる。これがレベリングです。

もし、使う塗料がねばく、乾燥が速い場合、レベリングが甘くなり、同化が阻害されます。結果、ピンホールが生まれることがあるようで、

無希釈が良い!わけではなく、やはり適度なシンナー希釈は必要です。失敗しながら、各ペンキに最適な希釈率を感覚でつかんでいくしかなさそうです。






トップコート用クリアの選定について
ロックペイントの場合、下塗り用2液ウレタンは1種類、中塗り用2液ウレタンは1種類しかないんで、それを選ぶだけなんですが、そうはいかないのがトップコート用クリア。

マルチトップハイクリアにハイパークリアーS、マルチトップクリアSHに、QRと、4種類もあります。

この中で使ったことがあるのがマルチトップクリアSHとQRです。

QRが一番安い廉価版。SHが標準型。その他が仕上がり最高の上級モデルです。

んがしかし、QRよりもSHのほうが仕上がりが良いはずなんですが、その差は全く分かりません。

SHのほうがシャバシャバなんで、引けが少なく、モッチリとなることは分かるんですが、QRも結構シャバシャバなんで、その差は果たして?という感じです。

QRは硬化剤が1種類しかありませんが、SHは3種類(速攻型、標準型、遅効型)とあり、使い分けが出来るようになっていますが、結局、スピードは夏用シンナー、標準型シンナー、冬用シンナーで使い分ければ良いことなんで、その意義というのがイマイチ理解できません。

硬化後の硬さという点では、メーカー説明ではQRよりもSHが良いとなっていますが、完全硬化後は二つともツメによる傷が付かず、その差は全くもって分かりません。釣竿等の小物ではその違いは取るに足らないものと思います。

さらに、マルチトップクリアのSHは硬化剤が2:1の割合ですが、QRの場合は10:1で、この硬化剤はベースコート用塗料のパナロックと共用することが出来ます。HFハードナーです。

そんなわけで、総合的に見て、釣竿塗装の上塗りクリヤはマルチトップクリアQRだと思います。

まとめると、

ケレンをロックリムーバー。下塗りをミラクルプラサフHB。中塗りをパナロック。上塗りをマルチトップクリアQR。

これが釣竿塗装のベスト構成だと思います。


パール塗装について
釣竿の塗装でよく使われるのがパール塗装です。そのパール塗装についてのウンチクです。

パール塗装はパールの粉をペンキに混ぜて吹き付けることの応用で、2種類ほどやり方があります。

1つは、ベースコートにパール粉を混ぜて吹き付ける2コートパール。

もう一つは、ベースコートの上にクリア+パールを混ぜて吹き付ける3コートパールです。

この中で前者はベースコートの顔料に、パール粉がまぎれてしまって、パールの輝きが失われるため、あまり良くありません。

これを例に取ると、同じ、インドオレンジコンクのパール塗装なんですが、左側の鮮やかな色のパール塗装が3コートパールです。

そのため、やるなら、クリアにパールを混ぜてベースコートの上から吹き付ける3コートパールです。

パール粉はペイントワークスで安く手に入れることが出来ます。ロッドビルディングで使うなら、ほとんど量はいりませんので、7gで十分です。

んで、塗料の選定ですが、パールを混ぜるときに使うクリアのことを「パールベース」と言いますが、これはベースコート用クリヤで、トップコート用クリアじゃないのでお間違えのないようにお願いします。

2つとも同じクリアなのですが、ベースコート用クリアは「オートクリア」、トップコート用クリアが「マルチトップクリア」という名前が付いています。

トップコート用クリアは引けを回避するために、シンナーをほとんどいれなくていいくらいのシャバシャバで、乾燥が遅く、塗ったそばからパール粉がタレて見るも無残な姿になってしまうリスクが高いです。

やるなら、ベースコート用クリアのパナロックオートクリアのほうが断然良いです。

そして、トップコートはマルチトップクリアで、もっちりと厚塗りで、パールベースの粉のデコボコを修正するのがグッドです。

ただし、ベースコートの色とパールの粉の種類は良く考えたほうが良いです。パールの場合、同色のパールを使った場合、ベースコートの色にパールの輝きが消されてしまって、粉が響きません。

例えば、ホワイトの上塗りで銀のパールを塗ったところで、明るい色の上に明るい色のパールを乗せるので、「これ、パールしてんの?」状態になっちゃうのです。

同じ理由で、暗い色に暗いパール粉も同様。意味がないので、例えば黒の上塗りでパールをかましたい時は銀とか青とかのパールを選定してください。

これなんかは、白の上塗りで青パールをかけていますが、全く分かりません。

一方、黒い色に同じ青パールをかけたら、輝いています。

もし、パールをやるなら、ベースコートとは逆の色を使ったほうが良いです。

原色の上塗りでパールをかける場合
ロッドビルディングは、「人とは違う」ことへの満足感が大きいですから、市販ロッドはまず使わない色を使うことに楽しみがあります。

その最たるものが、原色塗りです。

市販ロッドはキホン黒です。だもんで、水色とか、オレンジとか黄色とか、とにかく奇抜な色にすることがステイタスみたいなところがあって、ワタシもそのタイプです。

ところが、そーゆー原色を塗る場合、原色がイチバン派手でいられるのはソリッドの時なんです。パールをつけることで変なテカリが生まれてしまい、原色が地味になってしまったなんて失敗談も多いので、もし、派手な色で仕上げるなら、パールは回避したほうが良いです。

原色は原色のままが一番派手なんです。

パールの本来の使うシチュエーションは、黒の塗装にアクセントをかけたい時だと思います。



塗装機器について

ガンについて
塗装をする上で必ず必要になるのがスプレーガンです。

フデで塗れないこともないけども、フデでやると、ハケ目が残ってしまうので、出来栄えは最低です。

また、缶スプレーという手もあり、イサムからエアーウレタンといった2液ウレタンの缶スプレーが出ていますが、1つ2000円もして、さらに、2液は混ぜると固まってしまうので、1回しか使えません。そのため、1回スプレーするごとに2000円支払わなきゃいけないし、結果割高になってしまい、結局、スプレーガンを使った塗装のほうが安いという結果になります。

ここで何のガンを選べば良いかという迷いが出てきますが、これはもう一つしかありません。

オリンポスのPCジャンボ208です。

なぜPC208なのかというと、理由があります。釣竿で使う塗料は2液ウレタンで、ロッドビルディングではリメイクをすることがあるので、ペーパーの研ぎ跡を消す必要があり、そのため、プラサフを吹き付けるからです。

プラサフというのはかなりねばくて顔料の粉が多くて隠蔽性が高く、固まるのが恐ろしく早い塗料です。そのため、ガン口径が大きくないと、ブランクだのリールシートだのの被塗物に当たる前にスプレーが固結してしまい、

このようなブツ飛びが起こってしまうのです。

ワタシがやったテストでは、このブツが出てこないのは、ガン口径が0.8のガンだけでした。PC203の0.3、SGA6104の0.4、PC206の0.6mm、全滅です。口径が大きくなるにつれてブツ飛びは少なくなる傾向にあります。0.6はほとんどないですが、それでも皆無ではありませんでした。

で、同じ0.8mm口径ならばPC308もあるんですが、PC208にしろというのは理由があって、

それはカップが50mlのものがあるからです。ブランク塗装のみならば、150mlカップのつけられるガンで問題ないのですが、

ロッドビルディングの場合、リールシートを塗ることもあるため、カップの選択肢に50mlがあったほうが都合がいいわけです。

そして、販売しているところが良い。オリンポスのガンは現在トータルTの竹島さんからしか買うことが出来ません。

このトータルTはアフターがしっかりしていて、困った時の駆け込み寺になってくれます。今現在、スプレーガンを扱っている業者はたくさんありますが、そのほとんどが販売メインの代理店で、実際に売っている道具を使って仕事をしているわけではありません。そのため、売ってるものの知識が疎いんです。

例えば、西村ジョイとかダイキとかにもスプレーガンは売っていますが、店員に、

「ガンのメンテナンスしたいんやけど、どうやったらええん?」

って聞いても、チンプンカンプンでしょう?

他の通販業者も一緒。結局はメーカーに丸投げ。結局、売ってるモンがどーゆーものか分かってないんですよ。

トータルTの場合、売ってるものを仕事で使っているから、その知識が凄まじいんです。メンテナンスはもちろん、塗装のトラブル、どーゆー塗装がしたいときはどーゆー練習をしたら良いか?ってところまで相談できます。

はっきりいって、こーゆー業者は他にいません。

色の道というのは、果てしなく奥が深いモノで、素人が自家塗装をするにあたって、いろいろな形で「トラブル」が襲ってきます。

その時、周りに相談できる人はいません。ウレタンの自家塗装している人なんて、そーそーいないですヨ。

トータルTだと、その時に助かるんです。自家塗装のツールは買うことよりも、買った後が大事です。


なお、性能面でいうと、オリンポスのスプレーガンは素晴らしいの一言で、エアブラシと全く同じメカニズムで作っているため、スプレーガンの吹き付けレンジでありながら、ミストはエアブラシ並みです。一般的なアルミスプレーガンと違い、真鍮の削り出しで造られるスプレーガンだからこそ出来る技のようで、メンテナンス性も良く、アルミスプレーガンとは塗料の出方、ミストの微細化が全く違います。

欠点は、平吹き調節機能がない点(丸吹きオンリーか全開の平吹きオンリー)と、

スライドカムがむき出しになっているため、シンナーで洗浄時にグリスの落ちがひどいことくらいだと思います。

ロッドビルディングで使用するガンは、オリンポスのPCジャンボ208の選択が間違いないです。

なお、ベースコートなんかは、霧が、より細かいほうが失敗が少ないので、PCジャンボの206があったほうがベター。

さらに、技巧を凝らした吹き付けなんかは、0.3mmに軍配があがるところで、ここはPCジャンボ203があればバッチリ。

チョット前まで、PCジャンボは4万近くするスーパー高級ガンでしたが、現在は2万円くらいに値下がりしているのでチャンスです。


コンプレッサについて
ガンがあってもコンプレッサがないと吹き付けることが出来ません。そんなわけで、コンプレッサのウンチクでも一発。

コンプレッサは空気を圧縮する機械で、「吸気→圧縮→サブタンクに充填」をモーターの力で行う機械です。

選定で見る点はたった2つ。最高圧と空気排出(吐出)量の2点です。最高圧はそのコンプレッサがマックス何キロか?空気排出量は1分間に何L排出できるのか?です。

ガンはノズル口径が大きければ大きいほど必要な空気排出量が大きくなってきます。出てくる塗料が多くなるので当然なのですが、また、使う塗料がネバければネバいほど、必要な圧が高くなってきます。

そんなわけで、でかい口径のガンを使おうと思ったら、高圧の空気を大量に必要とするわけです。

コンプレッサはそのガンが要求するスペックよりも大きな空気を送り続けられないと、ガンが途中で息切れしてしまって、塗装することが出来なくなります。大は小を兼ねますが、小は大を兼ねません。より高出力のコンプレッサーがあったほうが間違いないです。

そんなわけで、まずコンプレッサを選ぶ時は、ガンの説明書を見るわけなんですが、ガンの説明書のスペック、アテになりません。

大げさに書いてあることが多いからです。

例えば、キンキのKX3は3キロ90Lとかかいてますが、実際は2キロ30Lくらいのもの。

0.5口径前後の空気接続ネジが2分のスプレーガンは、おおむね、2キロ25Lといったところじゃないでしょうか。

1分ネジのエアブラシは3キロ20Lあれば十分です。

スペックでいうと、アドコン4004なんかの、3キロ30L以上のコンプレッサだったら何の問題なく使うことが出来ます。扶桑精機のKS707と一緒です。



継ぎ手とエアホースについて
コンプレッサとガンが揃ったら、継ぎ手とホースです。まず、ホースですが、このホースがなかなか曲者で、使いにくいホースを使った時のストレスはすごいです。

まず、硬いホースですが、硬いヤツはクセが強くて、まるで、ゴクブトリーダーみたいにハネっかえりが激しくて、ビヨンビヨンなります。で、ヨレもはげしくて、丸めて置いていたら、次使うとき、絡まってワヤ!

もーね、硬いホースはダメ!

じゃ、反対にやりこいホースだったらいいんか?といわれるとコレもダメ。

やりこいホースは曲がった時に、「く」の字になっちゃって、空気が通らなくなるのよね。

ほんだきん、やりこすぎず、かたすぎず、の中途半端なホースがグッドなん!

良いのはね、

コレ!キンキのKUH65。これ、ベストバランスで、すっごい使いやすいです!


継ぎ手について
ホースを使う以上、継ぎ手がいります。継ぎ手ってのは、ホースとホース、ホースとガンをつなぐ接続金具のこと。

金属製とプラ製があって、金属は高圧で使用しても抜けにくい代わりに、重いのと、ホースへの接続には工具が必要。

プラ製は、安くて、軽いけども圧が高いと抜け易い点。値段はどちらかというと金属製のほうが高いです。

選ぶべきは、ずばりプラ。理由は高圧で使わないから。ロッドビルディングの塗装は小型スプレーガンを使うので、2キロくらいの圧しかかけません。そんなわけで、継ぎ手はプラで十分。オリンポスのガンは真鍮製で重いので、継ぎ手も重かったら、手が痛くなるので、プラがオススメです。

ワタシが愛用しているのが、ジョプラックスの樹脂継ぎ手で、値段も500円くらいで安いし、オススメです♪

ただし、コンプレッサー側は注意が必要です。アドコンみたいにマックス3キロのコンプレッサだったら問題ないんですけど、8キロ充填とかのコンプレッサを使う場合、根元のカプラは安全を取って、金属カプラにしたほうがいいです。レギュレーターで減圧された部分以降はプラでも構いませんが、それまでは金属カプラのほうが無難です。

ちなみに、継ぎ手には、おネジに、テーパーおネジと平行おネジとありますが、高圧タイプは平行おネジです。シールまいて接続します。



エアフィルター、レギュレーターについて
はっきりいってね、エアフィルタとレギュレーターはどのメーカーも全部一緒です。

エアフィルターはユニットに入ってきたエアがユニット上部のハネによって、洗濯機のようにクルクルと回り、エアに含まれている水分が遠心力ではじき出される、「遠心分離」によってユニットの側面に張り付き、下にたまるメカニズムになっています。

そんなわけで、「フィルター」とはいうけれど、スポンジみたいなフィルターが水分を吸収するわけではないため、完全ではありません。

どのユニットにも上にハネが生えているので構造的には一緒。中途半端な水抜き機構だと思ってください。

ただ、小型のものだと、使っていると水が抜け切らずにホースの中に入ってきて、塗料と一緒に出て来て、トラブルになります。

その対策としては、サブタンクの設置が有効です。

コンプレッサからきた水を大型のタンクに入れることで、水は重力によって下に落ちます。タンクの上からエアを排出することで、水の対策が出来ますので、アドコンみたいにサブタンクがないコンプレッサについては、大型のサブタンクの設置が有効です。

レギュレーターは、別名、減圧弁とも言うんですが、圧を一定にするためのバルブです。圧が高い時は閉じているけども、低くなると、スプリングでダイヤフラムバルブが開いてきて、空気を放出してくれる構造だったと思います。

これについてもどのメーカーも一緒。特に、OOのメーカーのレギュレーターは素晴らしいとかの品質の違いはありません。

屋内にコンプレッサを設置し、屋外で吹き付ける環境の人は、レギュレーターが外にないと、吹きつけ圧の調整が出来ないので、継ぎ手に付けるコンパクトなレギュレーターが便利です。

一般的には、フィルターと一体になった、フィルターレギュレーターをコンプレッサ直後につけるのが一般的です。ワタシが使っているのがモノタローオリジナルのフィルターレギュレーター。安さ炸裂で3500円ほどですが、特に問題ナシですw



塗装環境について
理想を言えば、塗装ブースで屋内塗装がイチバンなんでしょうけども、素人の自家塗装はそうは行きません。自動車補修用ウレタン塗料というのは、ニオイが凄まじく、さらに線上で使うのがラッカーシンナーというわけで、とてもじゃないですが、室内で吹き付けを行うことは出来ないと思ったほうがいいです。

そうなると外でやるんですが、家の外でやってると、異臭は漂うし、また毒ガスマスクがないとやってられないくらい臭いため、毒ガスマスクに、保護メガネ付けて怪しい霧を吹き付けている姿は異様そのもので、確実に近所迷惑になります。

そんなわけで、設備を持たないビルダーむけには、屋外移動塗装が便利です。車で人気のないところに移動し、そこで塗装をして、持って帰る。

すると、コンプレッサをどうやって使うかがキーポイントになってきます。発電機を使う方法もありますが、発電機自体がクソ重く、値段も高いし、オススメできません。

バッテリーからインバーターを接続して、DC→AC変換し、100Vコンセントからコンプレッサを動かす方法もありますが、これはモーターが回転する初期電流が大きすぎて、100W程度のコンプレッサですら動きません。

そんなわけで、やや大型のDCコンプレッサーを使う方法が便利です。

バッテリーに直結し、動くタイプのコンプレッサが便利で、これだと問題なく使うことが出来ます。

なお、ブランクの塗装では、どうやってブランクを固定するかがキモになってきます。色々やり方はあるんですが、オススメは、塩ビ配管で作る組み立て式の固定台です。





テクニックについて
塗装は何よりもウデがいります。シンナーの希釈調整、調整した塗料とそれに伴うレギュレーターの圧調整、ガンのトリガー操作に吹き付けミストと被塗物との距離。吹き付ける勢いと、止めるタイミング。

全部、一筋縄では行きません。一つ一つ経験して、失敗しながら成長する万里の長城です。

また、ワタシ自身、ヘタクソなので、えらそうなことは言えないのですが、失敗の中から得たいくつかのポイントを紹介したいと思います。

塗装する時間帯について
ずばりいって、よく晴れた休みの日の昼です。まず、なぜ「休みの日」なのか、ですが、それは落ち着いて作業が出来るからです。その気になれば平日の仕事の前後とかにもやれます。

が、「日暮れが近い〜〜〜」とか、「もうすぐ仕事にいかなければ〜」となるので、どうしても気持ちが焦ります。塗装で禁物なのは焦ること。
焦りは少なからず作品を悪いほうへ持って行きます。悪いことは言わないですから、休みの日にやりんちゃい!

そんで、昼というのは、第一に、光量が多いから。

吹き付け塗装は、ミストが被塗物にかかったら、

粉→ザラザラ→ツヤ

へと変化していきます。

この、「ツヤに変化した時に止める」ことがなかなか難しくて、ツヤになる前にやめると、ユズ肌といって、修復のしようのないダメダメの塗膜になってしまいます。

逆に、ツヤになっているのに引き続き吹き付けていくと、今度はタレがコンニチハです。

ユズ以上、タレ以下のところで塗装をやめなきゃいけなくて、それを確認するには、ずばり言って、光しかないんです。

だもんで、塗装ブースなんかは、四方八方からガンガンに光を当てて塗装しやすい環境を作り出しています。

屋外塗装限定の素人スプレーマンにはもう天然の光しかないため、よく晴れた休みの日にやる以外にないのです。

特に気をつけるべきは己の影です。

ブランク表面を見ながらの塗装になるため、太陽の位置と自分の位置を考えて、今塗っている自分の影がブランクにかからないような位置にセッティングすること。コレが大事です。

つまり、こーゆーんはダメ。

太陽がバット側からティップに向かって照るような角度にブランクをセットすることが大事です。



シンナー希釈について
塗りやすいようにするのも塗りにくいようにするのも、シンナーの希釈次第。なかなかにシビアなセッティングです。

キホン、2液ウレタンなんで、主剤と硬化剤を混ぜた後の液にシンナーを入れますが、メーカー推奨の希釈レンジというのがあります。

例えば、パナロックだったらば、希釈率は40〜60%となっております。

主剤+硬化剤を100としたとき、どれだけ入れるかなんですが、気をつけておかなければいけないのが、ガン口径。

1.2〜1.4って書いてあるでしょ?これは車の板金補修塗装をする際に、車用のでかいガンで吹き付けるときの推奨希釈率なんです。

釣竿の塗装で使うのは、ガン口径が0.5mm程度の小型スプレーガンなんで、メーカー希釈率を忠実に守っていると、希釈が甘いんです。

そんなわけで、メーカー推奨の希釈率よりも多目のシンナー配合を行うのがベターです。

じゃ、どれくらいなのか?といわれると、ワタシはわずかに多いくらいですね。80%希釈くらいです。

でも、これはあくまで目安であり、そのレンジから出てはいけないわけではありません。

例えば、クリアを行わない、ソリッド仕上げの場合は、塗装後の引けがうっとーしーですから、わざと希釈率を下げて、40%とかでやることもあります。

また、パテとして使うプラサフなんかは、1.5mm口径で20%となっているのに、0.8mmで20%希釈でやることもあります。

実際に使ってみて、「あ、この塗料だったら、シンナーは何%でやると引けがどのくらい出て」とか、「何%希釈だったらミストはどうなる」とか、感覚で覚えていって調節するしかありません。経験するしかないんです。

そんなわけで、ペンキは一度使うと、なるべく他のを使わないほうがいいです。

ペンキを変えると、シンナー希釈の感覚とか、タレる限度とか、そーゆー情報がゼロからやり直しですから。

また、季節によるシンナーの使い分けも大事です。

ロックでは、シンナーは4種類あり、夏用、冬用、標準型、盛夏型です。シクロヘキサンを主体とした有機溶媒で、揮発が早いのが冬用、遅いのが夏用です。

気温によって使い分けなければマトモに塗ることが出来ず、例えば、夏に冬用シンナーを使って希釈した場合、ガンからミストが出た瞬間に固形化してしまい、被塗物はユズ肌まっしぐらになってしまい、マトモに塗装できません。

反対に、冬に乾燥の遅い夏用シンナーを使ってしまうと、乾燥が遅くなりすぎて、タレのリスクは増え、また、表面が固まるまで時間がかかるので、その間に空気中の水蒸気と反応してしまい、その部分が白くなる現象、

「カブリ」が出てきます。タレた時も同様です。

主に30度行くか行かないかを堺にシンナーを使い分け、25度くらいだったら標準シンナー。15度くらいになると冬型シンナーといった具合に使い分けましょう。盛夏型は35度以上とのことですが、そんな時に塗装したことがないので、いまだ使ったことはありません。

なお、ロックだったら、マルチトップクリアQRに硬化剤で遅効型・速乾型・標準型とありますが、シンナーで調節するのが一般的です。

なお、色によってもシンナー希釈というのは変わってきて、例えば、隠蔽性の悪い白とかオレンジ、黄色なんかを希釈しすぎると、一回のスプレーで塗っても、下地が透けて見えるから、何度も塗り重ねて・・・・すると、塗り重ね回数が多くなりすぎて、タレちゃったりとか、ムラになりましたとか、塗った直後はちゃんと発色していたのに、乾いて引けが出た後は、薄くなりすぎて、下地が見えちゃっていますとか、そーゆートラブルが起こったりもするんで、かなり濃い目に調合したほうが良かったりもします。

こんなこともやはり経験です。痛い目を見ながら一歩一歩前進するしかありません。



スプレーの方法について


ブランク塗装編

スクワット塗装について
ロッドビルディングの塗装ハウツー関係で紹介されがちなのが、垂直に立ててスクワットしながら塗装するスクワット塗装というのがありますが、

これは、太陽が後ろにあると、己の影が邪魔して塗膜が見えず、反対側に太陽があれば、今度は逆光で見えないとなるので、論外です。

スクワット塗装は、自分の影が邪魔になって、塗ってるところが見えん!

以上!




真横固定のスプレー塗装
そんなわけで、ブランク塗装は、ブランクを真横に固定する方法じゃないと塗れません。先にも紹介しましたが、塩ビ配管を組み立てて、ブランクをブッ刺してクルクル回しながら塗装することです。

で、この時の具体的な方法ですが、ブランクをいくつかのセクションに区切って、ティップからバットに向かって、吹き付けながら移動すること。





吹き付けるときは、往復で吹き付けていき、ツヤが出たら、クルッとまわして、ぬれてないところに追い討ちをかける。

これが一番うまく行きます。

テイスト的にはこんな感じですなw

ま、ヘタクソなんで、これでうまくいくこともあれば、失敗することもありますが、それも楽しみながらやるのがキモですね♪

※空き缶での事前チェックについて
なお、塗装は一度吹き付けを始めたら、後戻りできませんから、ミストの事前チェックは必須事項です。

空き缶を使って、ミストの調整&トラブル確認をシッカリ行いましょう。

ハジキがないこと、レギュレーターの圧はこれでいいのか?(高いと跳ね返りが多くて付着が甘くなる、低いとミストの微細化が甘くなり、キレイな霧が出ない)、シンナー希釈は薄すぎないか?濃すぎないか?などなどを確認することで、失敗が少なくなります。


リールシート塗装編
以上は、ブランク塗装についてです。ロッドビルディングでは、リールシート塗装もあるので、そのウンチクでもかまします。

リールシートといえば、もうフジのリールシート以外に選択肢はないと思います。このリールシート、強化ナイロンで出来ており、塗料との相性もバツグン!ベリーグッドなマテリアルです。

で、このリールシートですが、ブランク塗装との決定的な違いは、「ネジ山の有無」だと思います。

リールシートはフードナットを締める必要があるため、ネジ山が付いており、これがあるおかげで、厚塗りが厳禁なんです。

ネジ山部をあまりに厚く塗ってしまうと、ナットが動かないか、締めた時に塗膜がパキッと逝ってしまいます。

で、このネジヤマ、塗装をかける上ではかなりの厄介者で、少々の食いつきでは、しめた時にネジ山の上の塗膜がはがれます。プラサフを塗るか塗らないかで、割れる率が全然変わってくるので、リールシートの塗装をする上で、プラサフは必ず塗ってください。

プラサフ塗らずに、いきなりベースコートのウレタンを塗ると、容易にハガレます。


また、ネジ山がある関係で、一方方向から塗っただけでは、

ネジ山の反対部分が塗れません。


そんなわけで、リールシートの塗装をする際は、長い棒につっこんで、下から塗り終わったら、上に持ち替えてねじ山を攻撃すること。コレ大事です。

また、具体的な塗りテクニックですが、リールシートはトリガー周辺が一番塗りにくいです。

他の部分は容易に塗れますから、順序としたら、まず、トリガーを塗った後に、他の部分を塗るようにしましょう。

特に、トリガーは裏表があるので、棒を持ち替えて、反対側から攻撃するのも有効です。

塗料とガンの選択としては、下塗りをミラクルプラサフHB。プラサフを使う時点で、ガン口径は0.8mm以上がいいため、これはPCジャンボの208がいいです。PC208は50mlカップをつけることが出来るので、リールシートみたいな、小物の塗装にもうってつけです。

プラサフが終わったら、ベースコート。これは何度も書いてありますが、パナロックでキマリです。

ブランク塗装だったら、このあと、クリアを塗ったほうがいいのですが、リールシートの場合、塗膜が厚くなることを嫌うので、なるべくならクリアを塗らずに、ソリッドで仕上げたほうがトラブルが少ないです。

塗膜も薄いほうがいいので、ガン口径は小さいほうがベター。私的には、0.3mmでも問題なくぬれますが、0.3はどちらかというと、吹き付けのパターン幅が小さく、遠くから全体に吹き付けることが出来なくて、ムラが出来易いです。

こーゆーファインなグラデーション塗装をする時には0.3のほうがパターン幅が狭くていいんですけど、ベタ塗りだったら一回で多くの面を吹き付けることが出来る0.6mm程度のガンのほうが良いと思います。

0.8mmだとボテッとしたミストが出てしまうんですが、0.6mmだったら、0.3mmガンとさほど変わらないミストです。だもんで、リールシートのベースコート塗装は0.6mmのPCジャンボ206が良いと思います。これも50mlカップが取り付けられるので、小さいものを塗る時でも重宝するガンです。

で、最後にクリアを塗るかどうかなんですが、出来るなら塗らないほうがトラブルが少なくて良いんですけど、

デカール貼ったら最後、やらなしゃーないですよね。

あと、グラデーションラインを入れて、表面がザラザラになったときとか、そーゆーときはクリアを塗りましょう。

クリアは乾燥が遅くて、一気に吹き付けるとタレるので、何度も塗り重ねるほうがよく、そうなると、ミストが荒いほうがナミツヤになりやすいので、0.8mmのPCジャンボ208がグッドです。

ただし、結局は、リールシートのフットがあたる部分、ネジ山では、少なからず、クラックが入るリスクがあります。いくらプラサフを塗ったところでです。

最終的な結論としては、性能面で考えた場合、リールシートは無塗装が一番良いと思います。

以上、ワタシが持っている塗装に関するウンチクをケツの穴まで吐き出しました。

でも結局は、経験でまた変わってくるので、また何年か経ったらまとめてみますね♪