塗装概論2012
いい加減、塗装も数こなしてきたので、まだまだ未熟なウデではありますが、ウンチクでも一発タレてみようと思います。
フト、前回の塗装概論2010を見てみると、まぁ、甘いちゅうか、ダメダメなウンチクで、2年でこんなに変わるの?という感じですw
で、塗装で一番やっかいなのは、リメイクなんで、今回はリメイク前提で話をさせていただきます。
また、ロッドビルディングの塗装は、ブランク塗装とリールシート塗装の2つがあるので、2つに分けてウンチクたれますね!
ではいきますよ!
ブランク塗装編
リメイク前の塗膜剥がしについて
まず塗装の前段階としては、ガイド全部外して、スレッド全部外した、この状態からスタートです。
んで、前に塗っていたペンキですが、ほぼ間違いなくウレタン塗料です。
そのため、ウレタン塗料の剥離剤というのが必要になってきます。ウレタン塗料の剥離剤は、車用のウレタン塗料を売っているお店に置いてあります。ホームセンターでも見かけることはありますが、使ったことがないのでどんなものか分かりません。
ワタシが使っているのはロックペイントのロックリムーバーというものです。400gで700円ほどです。水色でドロドロの液体で、ハケにつけて、ブランクに塗りたくります。
そのまま30分くらい置いておくと、塗膜がミミズ腫れのようになります。
そこでカッターの裏を当てて、ガリガリと削っていくと、塗膜が削れるように落ちていき、カーボンの地肌が見え始めます。
最終的には、スコッチブライトというスポンジ研磨剤を使って水研ぎしていくと、サクサクと作業が出来ます。
なお、一般的には耐水ペーパーの水研ぎで塗装を落とす方法が推奨されていますが、耐水ペーパーは、目が均一すぎて、スグに目詰まりしてスゴク効率が悪いです。
ウレタン剥離剤を使うと、ブランクまで溶かすと心配される方もいますが、私がやっている限り、そんな現象は見たことがありません。強度的にも全く問題ないですし、ペーパーでしんどい思いしてやるよりは剥離剤を選択したほうが良いと思います。ペーパーでやると、どうしても人間の作業なので、最初のほうが力強くてたくさん削れ、後のほうが薄く削れてしまい、厚みのバラツキになると思います。
また、耐水ペーパーは、ペーパー自体がまっすぐの紙なので、曲面に対しての追従性が悪く、研磨が局所的(まっすぐ当てた部分がたくさん削れる)ので、よくありません。
同じスコッチブライトでも、スポンジ研磨剤も特徴はペーパーとほぼ同じ。
ナイロンタワシと呼ばれるスポンジ研磨剤(スコッチブライト)がベストです。
で、粗い目から細かい目に水研ぎしていくと終了です。
これで塗装の前段階が終了しました。
ただし、完璧には行きません。ブランクの表面は傷だらけ。特に、最初の塗装前にブランクにしていた足付けの削れ部分に塗料が残っていることがありますが、もうこーなったら、まずはがれません。そのままで次の塗装に行っちゃってください。ベストは完璧に前の塗膜をのけることですが、塗装は、前段階で足付けという作業がある以上、完璧にするのは不可能だと思って下さい。
ちなみに、以上の前塗装剥離工程のことを「ケレン」と呼んでいます。
しごき塗装か吹き付け塗装か?
ロッドビルディングの塗装で、塗装といえばコレ!という具合に紹介されているものが、シゴキ塗装です。
昔から不思議だったんですが、なぜに、このシゴキ塗装がビルディングで指南されているのかが疑問です。
そもそも、このしごき塗装、すごーくめんどくさく、技術が入り、そして出来栄えが悪く、使えるペンキが限定されるという欠点があります。
しごき塗装で必要なのは、カップ。このカップ、出来合いのものがありませんので、適当なプラカップを買ってきて加工して作らなければなりません。
でもって、ブランクは先が細くて根元が太いモンですから、1つの生ゴムでできるはずがなく、ブランクをいくつかのセクションに区切って、ポンチで穴を空け、
1つ引き抜いて塗ったら乾くまで待って残りの部分をしごくという、手間がかかるものです。
おまけに、ポンチできれいに穴があけばいいんですけど、多くは、ポンチの切断が甘くて、スジが入ることが多いです。
んでもって、塗料だって、かなりネバイ塗料じゃないとタレる上に、重ね塗りが出来ないので、隠蔽性の悪い黄色や白とかだったらムラになります。んでもって、しごきの塗料というものが一般的に売ってない。
大量生産で、何本も作るのであれば、歩留まりもいいし、同じ径の生ゴムで何本も塗れるし、効率がいいのかもしれないですけど、オリジナルロッド製作の上で、1本だけ塗るのに、生ゴムを何枚もポンチで穴開けて、1回使って、捨てて、乾いてから反対側からしごいて・・・・重ね塗りは完全硬化後なんて、クソめんどいことをですね、やってられるかって感じです。
リールシートの塗装も出来ませんし、ロッドビルディングでオリジナルロッドを1本だけ作るのであれば、スプレー塗装を選択するのが正解です。
というわけで、以下の文言はスプレーによる吹き付け塗装を前提としてウンチクをたれます。
下塗り編
塗装前のケレンが終わったら、次はいよいよ塗りに入ります。いわゆる、下塗りというヤツです。
下塗りの役目は3つ。「ケレンの跡を整えること」、「中塗り塗料の密着性を良くすること」、「中塗りの発色を良くすること」です。まず前者ですが、
ケレン後はブランク表面は傷だらけです。
そのため、この上にイキナリ色を乗せてしまうと、
こんな感じに、ケレンの跡がデコボコに表現されてしまうのです。
そのため、まずはケレンの跡を消すような塗料を使って、傷を隠す必要があります。そのための塗料はサーフェイサーと呼ばれるもので、いってみれば「スプレーパテ」です。
通常のペンキよりも顔料(色のついた粉)が多く配合されており、引けが少ない。ネバイ塗料。
これを分厚くぬることで、ケレンで付いたペーパー跡の傷をパテ埋めしてくれて、表面が滑らかになります。
表面が滑らかになることで次に塗る塗料がキレイに見えるってわけです。
んで、このサーフェイサー、粉が多いことから下地の隠蔽力が高い塗料と言えます。
例えば、ブランクは黒ですが、黒い上に明るい色を塗った場合、明るい色は隠蔽力が弱い塗料ですので、「下地が透ける」現象がおきます。
例えば、同じインドオレンジコンクでも、下地が黒か白かで、こんなに色合いが変わります。下地に白のプラサフ塗っているのが左。
そんなわけで、暗い色はあまり気にしなくても良いんですが、明るい色を塗装する時は必ず、白い色を塗ってから明るい色を塗る必要があります。
この時役立つのが、粉が多くて隠蔽性の高いサーフェイサーです。
※ちなみに「はじめに塗る白」のことをベースホワイトとも言い、中塗り用の白を塗る方法がありますが、中塗り用の白は粉が少ないので隠蔽性が悪く、やるなら、サーフェイサーのほうがベターです。
プライマーについて
下塗りには先ほど説明したサーフェイサーのほかに、プライマーというものもあります。プライマーというのは、中塗り塗料の食いつきを良くするための塗料で、例えば、アルミにアクリルペンキを塗るとしましょう。
アルミとアクリルは相性が悪く、スグにはがれてしまいます。
がしかし、エポキシはアルミと相性が良く、ガッツリくっついてくれる上に、アクリルとも相性がヨロシク、キチンと塗れます。
そんなわけで、
アルミ〜アクリルは×でも、アルミ〜エポキシ〜アクリルだったら○なわけです。
この「エポキシ」のような下地の素材と中塗り塗料の橋渡しをする役割のペンキをプライマーと呼びます。
同じ塗料を塗るにしても、プライマーを塗ったほうが確実にはがれにくくなるわけであり、塗るか塗らないかだったら、絶対塗っておいたほうが良い塗料です。
そんなわけで、下塗り用塗料には、サーフェイサーとプライマー二つがあるんですが、この二つが合体した、「プライマーサーフェイサー」という塗料があります。
ワタシが愛用しているのが、ロックのミラクルプラサフHBで、粉が多く、ねばい塗料です。それでいて塗料の食いつき、大変よろしくて、塗ると塗らないとでは、剥離剤付けた時のハガレ方は雲泥の差。
これで下地のケレン傷はキチンと消せますし、中塗り塗料の発色もグッド。便利なんで、派手な色を塗装する時は必ずコレを使っております。
※ プラサフをチョイスする色について
ロックのミラクルプラサフはラインナップが3つあって、白、黒、グレーです。このうち、グレーについては、白と黒を混ぜれば良いんで、買う必要はありません。
さらに全く使わないのが黒のプラサフで、そもそも、黒のプラサフを塗る時の条件って、暗い色を中塗りで使うときなんですよね。だけど、暗い色を塗るんだったら、下地のプラサフは明るい白を塗ったって影響がないわけなんですよ。
さらに、仮に黒を塗るにしたって、ブランク→黒→黒でしょ。黒の上塗りで黒ぬると、下地と上塗りが一緒なんで、上塗りした時に、色が付いているかどうかが分かりにくいんですよね。
やるなら、ブランク→白→黒のほうが塗りやすいです。
そんなわけで、黒のプラサフは全くといっていいほど使っていません。隠蔽性がいいんで、下地が白でも十分発色します。
プラサフ買うなら、白だけで良いです。
プラサフを吹く上での注意点
ズバリ言って、なるべくシンナーを少なくして濃いペンキを口径の大きなガンで吹くことです。プラサフの目的には、「パテ」としての役割があるので、シンナーで薄めすぎたら、引けてしまって、あんまし意味がなくなるんですよね。やるんならモッチリ厚塗りです。
さらに、プラサフ、恐ろしく乾燥が速い塗料なので、ガン口径の小さいガンでやると、被塗物行き着く前に固形化してしまい、粒状のソボロがついてしまいます。
そんなわけで、ガン口径は0.8mm以上がベスト。シンナー希釈は30%(メーカー指定は30%)くらいにして、それだと、小さいガン口径だと、ミストの微細化が甘くなって、発射するときの音が、ブブブッとなって、シューっとならないので、そこはレギュレーターで微細化を調節するのがいいと思います。
中塗り編
今まで下塗りについて話をしてきましたが、その釣竿の色を決めるのが中塗りと呼ばれる工程で、いわゆる、「色づけ工程」と思ってください。例えば、黄色について話をさせてもらいますが、
下塗りで白塗って、そこから黄色。これで初めて竿に塗りたい色、黄色が表現できますよね。
こーゆー色塗りを「中塗り」若しくは、「ベースコート」と呼びます。
ベースコートで使われる塗料はたくさんあります。アクリル塗料、ニトロセルロース塗料、アルキッド塗料、アクリルシリコン、カシュー、1液ウレタン、1液ポリエステル、2液エポキシ、2液ウレタンなどなどです。
ベースコート用塗料は、ホームセンターでも缶スプレーとして売られている関係で、スゴイたくさんの種類があります。
これらを分類すると1液と2液に分けられます。
1液:アクリル塗料、ニトロセルロース塗料、アルキッド塗料、アクリルシリコン、カシュー、1液ウレタン、1液ポリエステル、
2液:2液エポキシ、2液ウレタン
といった具合です。
1液と2液の特徴を簡単に説明すると以下の通りです。
1液:はがれやすく、傷が付きやすい、簡単に使える、シンナーを入れたら何度でも使える、安い。
2液:はがれにくく、傷つきにくい代わりに、配合が面倒で、一度使うと固まってしまい、二度と使えない。
といった具合です。
釣竿はガードレールに立てかけて置いたり、ヤブコギしたり、また魚をかけたりして、結構過酷な条件で使われる塗料のため、絶対に2液のほうが良いです。
一液塗料はどんな塗料でも、ツメで傷が簡単に入ったり、
負荷がかかるところで割れます。
となると、2液エポキシと2液ウレタンの選択肢になってくるんですが、エポキシは建築用塗料なんで、ハケの厚塗りが一般的で、ネバさが無茶苦茶ねばく、スプレー塗装には向いてないと思います。また、エポキシをガンで吹くと、中で固まってあとあと掃除でエライことになります。また、色の自由度が少ないのも難点です。家にどぎつい紫だの黄色だの塗る人はいないですからね。
一方、ウレタン塗料は車の塗装で使われる塗料なんで、色がたくさんあり、調合も楽。パールやらメタリックやら種類もたくさんあって、そんでもって、スプレーでの吹き付けが前提なんで、釣竿への応用が楽とういわけで、一般的に釣竿で使う塗料といえば、2液ウレタンです。
1液ベースコート用スプレーで中塗りをして、2液でトップコートをすることで、外界に露出した部分を保護するという方法もありますが、弱い塗料を実用品で使うこと自体、無理があって、特に負荷がかかるガイド周辺で塗膜のクラックが起きたり、穴が空いたりなどのトラブル多発で、やるなら、絶対に2液のほうがベターです。
これが如実に分かるのがリメイク時の塗料剥離剤なんですが、1液と2液だったらハガレ方が全く違います。
1液は一瞬でカサブタになって、ボロボロになるんですが、
2液の場合、カッターで剥がそうとしてもガリガリと食いツキを見せます。
そんなわけで、釣竿で使う中塗りは、2液ウレタンのスプレー塗装です。メーカーは、ロックペイントのパナロックです。というか、ワタシ、ペンキはほぼロックです。
車で使われるベースコート用2液ウレタンは、ロックのパナロック、カンペのレタンPG、ニッペのナックススペリオ、イサムのAU21などなどがありますが、厄介なのは釣竿の塗装で使うペンキなんてちょっとで良いということなんです。1kgあったって、全然使い切れませんからね。1回の塗装で使うペンキはおおよそ50gほど。200gを買い足し買い足しで使っていくほうが無難です。
そんなわけで、小売しているペンキ業者が必要になってきますが、それをやっているのが「ぺいんとわーくす」しかないんです。ペイントワークスが取り扱っているのがロックのぺンキなんで、必然的に、釣竿塗装マンはロックのペンキしか選択肢がありません。
ただ、ぺいんとわーくす、ペンキのハウツー関係も分かり易く説明してるし、質問に対する回答も早い。特に、「パール塗装してみたいんやけど、何を選べばいいの?」って感じの回答は迅速ですw
ペンキは40gからハカリ売りしてくれるし、安い!あと、後払い決済が可能なんで、注文した次の日には届くというわけで、かなり便利なペンキ屋です。
プラモや釣竿みたいな小物塗装を目的とする人は、ペイントワークスを選ぶのがベストだと思います。そしてペイントワークスが扱っているのがロックのペンキだもんで、必然的にロックを選択するしかないというわけです。
だもんで、釣竿塗装は、ぺいんとわーくすでペンキを揃えること!
ま、つまるところ、釣竿のベースコートで使うべき塗料は、ロックペイントのパナロックってわけですなw
ペンキの色による難易度の違い
また、ペンキは色によって難易度に大きな違いがあることを知っておいたほうがいいです。ベースコートでは色塗り工程とも言われますが、何色の上に塗るかで難しさが変わってきます。
まず、一番簡単なのは、圧倒的に黒です。黒は隠蔽性が高い色で、少々ムラがあっても、分かりません。濃くても黒。薄くても黒です。
ところがそうはいかないのが隠蔽性が悪い塗料。代表的なのが白・オレンジ・黄色です。吹き付けが甘く、薄い部分は、下地がうっすらと露呈し、濃い部分はちゃんと発色しているというわけで、ムラが分かり易いです。
また、後述でもありますが、シンナー希釈による引けで、乾いてからムラに気づくことも多々あります。吹き付けたときはモッチリと厚塗りできたと思ったら、乾いてシンナーが飛んで薄くなったら、下地が露出していたなんてこともあります。
隠蔽性が高いペンキと低いペンキだったら、高いペンキのほうが簡単です。
また、ツヤの確認しやすさというのも関係してきます。
スプレー塗装はミストを吹き付けていき、まだら模様からユズ肌模様、最終的にのっぺりとモッチリ肌模様へと変化していきます。その瞬間にスプレーを止めないとタレてしまうので、モッチリ肌を目視できるかどうかが、良い塗膜悪い塗膜の分かれ道です。
それを確認するには、光の反射しかありません。光の反射はいわずもがな、白です。
隠蔽性の高い塗料の場合、光の反射の白色が分かり易いですが、白だのはもともとが光と同じ色ですから、モッチリ肌になったかなってないかの確認が分かりにくいのです。
これはムラにも繋がります。
そんなわけで、ここでも明るい色と暗い色の難易度の差が表れます。最悪なのが白い下塗りの中塗りで白を塗ることで、下地も白、中塗りも白、光の反射も白というわけで、全部白なので、塗ったかぬれてないか、ムラなくぬれているかぬれていないかの判断がサッパリ付きません。
これについては、太陽がカンカン照りになっている時にやる以外に対策がないんで、アレなんですけど、最初は黒で練習したほうがいいように思います。
だけどロッドビルディングでやっぱり映えるのは、白とか黄色、オレンジなんかの派手な色です。黒メインの市販ロッドでは見られない鮮やかさがそこにあるので、いつかはオレンジとかに挑戦したほうがいいと思います^^
上塗り編
ベースコートが終わって、最後にやるのが上塗りです。上塗りで使うのはクリアオンリーです。透明な塗膜を一番上に乗せて、傷が付いても分かりにくく、またツヤを出して見栄えをよくして、さらに、中塗りで出る硬度のバラツキ補正(ベースコートは色によってやりこい硬いがある)を行うのが目的です。
ただし、必ずやらなければならないか?といわれると、そんなことはなくて、ベースコートの時点で2液を選択しているため、耐久性に関しては問題はなく、やってもやらなくても良い塗装です。私はJraidenでトップコートをしておらず、2液ウレタンのベースコートでフィニッシュしていますが、問題はありません。
さらに、クリアを加えることでテカリが加わるため、色は若干薄くなります。ドギツイ原色を表現したい時は、クリアは塗らないほうが良い色になります。
ですが、私的には、クリアは塗ったほうが良いと思います。
というのも、ベースコート用2液ウレタンはシンナーを多く入れてガンの通りをよくして、失敗なく吹きつける目的があるため、高い希釈率を元に設計しています。だもんで、ペンキ自体がもともとネバイんです。
シンナーをたくさん入れると、たしかにガン吹きしやすくなることは事実なんですが、そのかわりに、吹き付けた後に「引け」が起こります。そりゃ当然です。シンナーが揮発するんですもの。
※引けに関して
小型スプレーガンを使う以上、シンナー希釈は大目にしないといけないわけで、ここで、「引け」についてしっかりと把握しておく必要があります。
通常、吹き付けた時は、シンナーがまだペンキの中に入っている状態です。そのため、
吹き付け直後はモッチリツヤツヤの美しい塗膜と勘違いしてしまいますが、実際は、時間と共にそのシンナーが揮発し、収縮が起こります。
結果、こんな感じに、ツヤは引いてしまいます。つまり、シンナー希釈する以上、吹き付けたときと乾燥した時の塗膜の状態にズレが出来ます。
ブランク塗装なんかでも顕著に見られる現象で、吹き付け直後はモッチリなのに、
乾いたら、下地が浮いてしまった!なんて失敗もあります。
中塗り用のパナロックは希釈率が高く、さらに口径の小さいガンで吹くため、引けがバカになりません。
結果、色は付いているけど、すごい薄い塗膜であるということです。
傷が行くと一瞬で下地が見えます。
足付けで下地が出ることもしばしばあります。
そのため、ベースコートは薄々塗膜になりがちで、その保護のためにも、トップコートはしていたほうが良いと思います。
トップコート用クリアというのは、吹き付けた後、モッチモチに仕上げるのが目的なため、引け対策が取られています。シンナー希釈率は最初から少なめに設定しており、ペンキ自体がサラサラ。希釈は10%程度で吹き付けが出来るようにしています。
シンナーが少ないから引けが少なく、モッチモチな仕上がりになりますw
上塗り専用クリアは仕上がりが良いというのはこのためです。
ただし、吹き付けるときには注意が必要です。クリアはシンナーが少ないですから、下塗り、中塗りにくらべると、乾燥が遅い塗料です。だもんで、吹き付ける量や間隔を長めにして若干の途切れ途切れに塗り重ねる手法で塗装したほうが良いです。
一発厚塗りを目指すと必ずタレて、さらにタレたところは乾燥が遅いため、空気中の水分を噛んでカブリます(白化)。
無希釈クリア塗装について
前述の「引け」に関して、引けが出ると、重ね塗りの回数を増やさなければならないので手間なため、いっそ無希釈で吹いてみては?と思う方も多いと思います。
そもそもが、トップコート用ウレタンは「引け」」を嫌い、極端にシンナー希釈を少ない配合で使うのがキホンとなっております(ベース用クリヤは60%標準なのに対し、トップコート用クリアは10%程度)。圧を高めにすればミストの微細化は問題なく、吹き付けも可能です。
実際、シンナーなしの無希釈でもこの粘性ですから、いけることはいけます。圧をあげれば、ミストの微細化は可能です。
ところが、無希釈で吹くのにも問題があり、乾燥が速すぎるという欠点があります。
結果どうなるかというと、ピンホールが出現するんです。
吹きつけた直後はなんともなさそうなんですが、ちょっと時間が経つと、
ポツッ!
と、クレーターが現れるのです。
いたるところに。
原因は、塗料がねばいこととレベリングの不具合です。
塗料がネバイと塗料カップの中で気泡が消えずに残ってしまい、吹きつけたミストの中にミクロの気泡が存在したままノズルから霧状化され、被塗物に付着して、引いた直後に気泡が破裂。クレーターが出現するということ。
もう一つはレべリング。レベリングとは「平滑化」のことで、このサイトではユズ→ナミツヤという言葉で説明しています。
通常、ノズルから発射されたミストは粒状で被塗物に付着。それが乾燥する前に次に吹きつけられたミストが付着。前のミストが乾燥する前に付着するので、「同化」が起こります。
↓
↓
↓
これが繰り返されて、被塗物の塗面は滑らかになる。これがレベリングです。
もし、使う塗料がねばく、乾燥が速い場合、レベリングが甘くなり、同化が阻害されます。結果、ピンホールが生まれることがあるようで、
無希釈が良い!わけではなく、やはり適度なシンナー希釈は必要です。失敗しながら、各ペンキに最適な希釈率を感覚でつかんでいくしかなさそうです。
トップコート用クリアの選定について
ロックペイントの場合、下塗り用2液ウレタンは1種類、中塗り用2液ウレタンは1種類しかないんで、それを選ぶだけなんですが、そうはいかないのがトップコート用クリア。
マルチトップハイクリアにハイパークリアーS、マルチトップクリアSHに、QRと、4種類もあります。
この中で使ったことがあるのがマルチトップクリアSHとQRです。
QRが一番安い廉価版。SHが標準型。その他が仕上がり最高の上級モデルです。
んがしかし、QRよりもSHのほうが仕上がりが良いはずなんですが、その差は全く分かりません。
SHのほうがシャバシャバなんで、引けが少なく、モッチリとなることは分かるんですが、QRも結構シャバシャバなんで、その差は果たして?という感じです。
QRは硬化剤が1種類しかありませんが、SHは3種類(速攻型、標準型、遅効型)とあり、使い分けが出来るようになっていますが、結局、スピードは夏用シンナー、標準型シンナー、冬用シンナーで使い分ければ良いことなんで、その意義というのがイマイチ理解できません。
硬化後の硬さという点では、メーカー説明ではQRよりもSHが良いとなっていますが、完全硬化後は二つともツメによる傷が付かず、その差は全くもって分かりません。釣竿等の小物ではその違いは取るに足らないものと思います。
さらに、マルチトップクリアのSHは硬化剤が2:1の割合ですが、QRの場合は10:1で、この硬化剤はベースコート用塗料のパナロックと共用することが出来ます。HFハードナーです。
そんなわけで、総合的に見て、釣竿塗装の上塗りクリヤはマルチトップクリアQRだと思います。
まとめると、
ケレンをロックリムーバー。下塗りをミラクルプラサフHB。中塗りをパナロック。上塗りをマルチトップクリアQR。
これが釣竿塗装のベスト構成だと思います。