UVコート導入への道


これ、エポキシのクラックです。1,2匹雷魚を釣っただけで、こんなクラックが入りました。なぜこんなクラックが入るのか?



それは、ブランクが硬いのにエポキシがやりこくないためである。



ブランクが固いから、曲がる時にガイドの足にすごい負担がかかります。その際、エポキシが硬いと、一番力がかかるフットから亀裂が入り、このようなクラックとして表れるのです。



雷魚ロッド=硬いから強力なハイビルドのエポキシが最適!といわれることも多々ありますが、あれは大間違いで、雷魚ロッドこそ、やりこいソフトなエポキシが必要なのです。



サーペントなんかはガチムチの硬さなので、スレッドのエポキシなんて、やりこいモンですわ。

ツメ立てたら簡単にキズ入ります。これくらいやりこくないと、一撃でクラックが入ってしまうんです。



というわけで、雷魚ロッドを作る時は、現状のエポキシの中でやりこいエポキシを使うのがベターで、それゆえ、私はライトフォーミラをチョイスしていました。



が、ライトフォーミラでもこれかいな!?



というのも理由があって、



そもそもがエポキシは硬化不良との戦いです。だもんで、配合時に硬化剤を少なめに配合するのはどのロッドビルダーも知ることです。



が、しかし、それをすると、困るのがエポキシのカピカピ化です。一般的に2液接着剤は硬化剤が少なくなると硬くなり、粘りがなくなります。そのため、割れやすくなり、これがクラックへと繋がっていっています。



がしかし、硬化剤を少なくすると、硬化不良のリスクがコンニチハ。だから、硬化剤を多くするわけにはいかない。



こーゆー理由があって、ビルディングで使うエポキシなんかは、2液混合という特性状、「100%の力を発揮できない」わけです。




そしてもう一つの弱点は黄変。多くの場合、多くのロッドビルディング用エポキシは硬化剤が黄色です。そのため、できる樹脂も黄色。そのため、スレッドの色が黄色く変色して見えてしまいます。結果、白や銀のスレッドでは巻いたときとは違ったテイストで出来上がってしまいます。だもんで、スレッドの色が限定されるというデメリットがあります。

←これは銀メタのラッピングですが、これにライトフォーミラをコーティングすると、

こんなふうになります。明らかに黄ばんだ銀色になっているでしょう?これがエポキシの黄変です。銀、白といった明るい色で顕著に現れます。

※ 東邦NT、クリスタルレジンなんかは硬化剤が透明で、黄変がありませんが、透明だったら透明で、混ざったかどうかの判断が使いにくく(硬化剤が黄色だったら、混ぜた後、樹脂全体が黄ばんでくれるから判断しやすい)、これまた2液混合の特性上、使いやすい接着剤とはいえません。また、上記2種のエポキシは粘性が低すぎて、これまた混ざったかどうかが分かりにくい(粘性が低すぎて混ぜるときスカスカ。マドラーに食いついてくれないから、混ぜにくい)。

そんなこんなで、現状のロッドビルディング用スレッドコーティングエポキシには、問題点があるというわけなんですが、



これを解決してくれるのが東邦産業のUVコートです。



UVコートの場合、一液透明なので、黄変なし!そのため、どんな色のスレッドでも使えます!



そして(ココ大事)・・・・



種類は2種類。ソフトとハードがあり、混ぜることが出来るため、任意の硬さ・任意のやりこさの樹脂を、作ることが出来るんです。



さらに、硬化不良がないから、その樹脂の持つ能力の100%を出すことが可能。



また、エポキシみたいに、粘性が上がったので、余ったエポは廃棄という効率の悪いことはしなくてよいので歩留まりが良い。



しかも樹脂の値段が100g3000円くらいだもんで、ライトフォーミラとあんまし変わらん。


作業性の良さについて
また、UVレジンの特性は、紫外線を照射させた瞬間、それこそ5秒とかそれくらいの時間で、固まります。2液エポキシで例えると、半日乾燥とかそれくらいのレベルの硬化がわずか5秒で出来ます。で、固まった後、照射し続けると、5分くらいで完全硬化。エポキシに例えると、3日おいたくらいの硬化度合いになります。

だもんで、例えばラッピング後にフデでひとぬりして、照射機1秒くらい当て、半硬化させた状態で、抜き跡の凸を切り、さらにフデでひと塗りして照射1秒。さらにフデでひと塗りして照射1秒。希望のモッチリ具合になったら、そのまま照射してしまえば、5分後には完全硬化。

水路の鉄人で実証済みですが、ウスウスの状態の樹脂を薄く塗り重ねていくことはなかなか樹脂が盛ってくれないため難しかったのですが、UVコートだと薄く塗って硬化。薄く塗って硬化がものの1分くらいで出来るため、モッチリコーティングにするときのリスクが減ります。

変に粘性が高い状態だと、丸くなりすぎて変になっちまうんですよね〜。

また、エポキシだったら、撹拌後、大体5分で粘性が上がって塗りにくくなります。撹拌後、どんどん硬化して、ねばくなっていくので、同じように塗っても、最初のほうは薄塗り、後になるほど厚塗りになってしまうのです。だもんで、安定してきれいに塗ることが難しいんです。がしかし、UVコートだったら、1液だから、いつも同じ粘性。そのため安定して厚み調整が出来ます。

また、エポキシの場合、だいたいガイド10個塗る時は、粘性対策のため、エポキシを4回作り直します。そうなると、4×2=8回検量して、4回混ぜての繰り返し。大変な手間です。それがUVコートだったら、1液なんで、

検量する手間が要らない。

混ぜる手間が要らない。カップも用意する必要なし。容器から直接スレッドに樹脂を落とせばそれで事足りるわけです。

歩留りについて
また、歩留まりのよさも圧巻。エポキシだったら、大体、撹拌後5分で粘性が上がって塗れなくなってゴミ箱行きです。私の場合、1回にレジン2g+硬化剤1.5g配合の3.5gで配合しますが、実際使うのは、1gくらいのもんで、2.5gは捨てます。おまけに、ガイド10個塗るのに大体4回仕込みますから、1回のコーティングで、14g作って、10g捨ててるわけです。これがUVコートだったら、1液だもんで、捨てる樹脂がない。また、混ぜる手間もなし。


気泡について
それと、エポキシは気泡が完全に抜けません。黒いスレッドコーティングをすればよく分かるんですが、アルコールランプであぶっても、消えるのは大型の気泡のみで、ミクロの気泡は抜けずに残ります。その気泡を消そうと思ってむやみにランプを近づけると、エポキシが沸騰してまた新たな気泡が生まれ、気泡の堂々巡りです。これはエポキシの粘性と、撹拌のためと思いますが、2液である以上、どうしようもない問題点です。がしかし、UVコートだったらば、気泡が全く入りません。混ぜる手間がないし、粘性は低いからです。

外気温について
また、外気温に左右されることもありません。エポキシの場合、5℃以下になると反応が著しく低下し、固まらない不具合が出てきます。そのため、真冬のコーティングではある程度ガンガンにエアコンをかけながらの作業が必要ですが、紫外線を当てるだけなので、気温が関係ありません。また、冬になると指触乾燥→完全硬化が非常に遅くなり、3日くらいたたないと次の作業にいけないので、2度目3度目のコーティングが無茶苦茶時間がかかります。この点から見ても、外気温に影響されることのないUVコートはエポキシよりも優れた接着剤といえます。



そしてなんと・・・・ドライモーター要りません。



そりゃそうです。だって5秒で半硬化までいっちゃうもん。手で回しながら硬化させたらそれでタレずに終わりですわ〜。



これ、スケルターワークスのハウツービデオですが、どうですか?この作業性!もうサイッコウ!

もうね、エポキシと比べると、作業性&仕上がり&性能は雲泥の差でございます。



まとめると、




作業性で見ても、エポキシよりもUVコート。
性能で見ても、エポキシよりもUVコート。
歩留まりで見ても、エポキシよりもUVコート。
美しさで見ても、エポキシよりもUVコート。




ロッドビルディングでは、ガイドコーティングはエポキシが一般的ですが、「エポキシしかないからそれを使っているだけで、実際はUVコートに勝てる点は何一つない」んです。

というわけで、UVコートの導入を真剣に考えました。

なお、同じ、東邦産業から、ノットの結束用のUVレジンが出ていますが、こいつでガイドコーティングをしたこともありましたが、

対ブランクへの付着はイマイチで、一撃でガイドのフットが剥離しました。そのため、やはりモチはモチ屋。UVコートの分野です。

詳しくは
http://fukusukeraigyo.digi2.jp/uvjusinokanousei/uvjusinokanousei.html
参照です。



だったら、UVコートとっとと導入だろ?



と思いでしょうが、一つだけ難点がある。



UV照射機がバカ高いんだコレが・・・・・



心臓悪い人は今すぐブラウザの「戻る」ボタンを押してお帰り願います。


















9マソ5セソエソでございます((((;゜Д゜))))



すごいでしょこの値段・・・・



素人のロッドビルダーで、これを使っている人は、ネットを見る限り一人もいませんね。



が、欲しい。どうしても欲しい。



というのも、いきつけのホライズンがこれを使っていて、その良さをアッピールされているからなんです。



UVコートで作ったデモ樹脂?を触ったところ、ま〜やりこくて透明できれいなこと。作業性の良さも最高〜!なんていわれているもんだから、欲しい!どうしても欲しい!



そこで、照射機を自作できないか考えたわけです。



ようは、ランプの入ったハコでしょ?んなもん、アルミケースをホールソーで打ち抜いて中にランプ入れたら終わりじゃろ!?って思ったわけ。



で、ランプのスペックが載っていて、100W365nmですね。365nmは波長。100Wはランプのパワー。



そこで、そのスペックに合うランプを探してみました



が、



ないねどこにも。



あるのはペンライトとか、前このホームページでも紹介したようなネイル用照射機みたいなものしかないけど、あれは365nmでも、ワット数が5Wとかのハナクソみたいなパワーしかないわけ。



産業用になるとあるこたあるけど、10万を超えるので意味ナシ。1000円とか2000円とかの捨て値で365nm100Wランプが転がってないっつーわけ。



そんなわけで、じゃぁ、純正ランプだけ購入して、ライトの接続は自作ようと思って、東邦に問い合わせてみました。



結果、驚きの29400エソっすわ!!!電球1個よ!?((((;゜Д゜))))



ロットロットから購入すると、値引きされて、24108円になるらしいけど、ランプだけでその値段だったら、果たして自作流用が成功するかどうかも分からないし、もういっそ純正品買いますわって話。



かくして、完全に暗礁に乗り上げたわけですが、そういえば、家のネイル照射機でも固まるかどうか実験する価値はあるなと思い、やってみました。




流用実験
UVコートが純正の照射機を使わずして硬化できるかどうかの実験。


まずは、これがそのUVコートです。遮光の低密度PE容器に入れられており、チューブを押すとポタポタと樹脂が落ちてくれます。ラインナップは3種類あり、ソフトとハード、それとSOLVENTといって、溶剤です。いわゆる薄め液。

最大の特徴は硬化不良がないこと。それと混ぜることが可能であること。説明書でもあるように、求めるやりこさの樹脂を自分で調合できる。これがエポキシにはない性能です。

値段は、1つ800円ほど。作ってもほとんど捨てる無駄だらけのエポキシに比べると決して高いわけではありません。むしろ、全部有効な接着剤として使えるので安いといえます。

ただし、注意書きにあるように、「専用照射機の使用を強く勧める」ということで、9万円の照射機の使用を促しています。また、横着をする人間をあらかじめ撃退しようとしているのか、「太陽光ではベタツキが残る」ことも強調しています。
だもんで、これから実験してみます。

ネイル用UV照射機を使って実験
まずは、フロッグチューニングの時に使っているUV照射機。これでUVコートが硬化するかの実験です。まずは、アクリル板に1滴ほどハードを落とし、

それを照射機の中に入れて硬化するかどうかの実験をしました。

結果、ものの10秒くらいで硬化。中膿み状態にもなっておらず、

爪楊枝でつついても凹んだりしません。

が、表面のベタつきは見事に残り、爪楊枝の先でつつくと、跡が残ります。

そこで、タイマーを使って、5分ほど照射し続けました。

結果、これも完全硬化せず。もう5分照射しても結果は一緒でした。

実験は失敗。市販UV照射機(安いやつ)の流用は失敗に終わりました。



太陽光で実験
続いて、説明書ではNGと言われている太陽光での実験です。ここでもハードを1滴ほどたらし、それを日当たりの良い場所に置きました。1分ほど経った頃でしょうか。

表面を観察してみたら、ベタつきあり。

また、中膿み状態で、状況は流用照射機よりも悪いです。

そこで今度はこのまま車のダッシュボードの日当たりの良い場所に置くことにしました。高温&強紫外線直撃の環境でどうなるか?

6時間ほど置きっぱなしにしましたが、

結果、見事にベタツキが残ります。

割って確認もしてみましたが、中膿み状態にはなっていません。やはり、説明書どおり、表面のベタツキがネックになっている模様で、つまり、紫外線不足に伴う硬化不良。こいつの処理にクソ高いハードナーが必要なんじゃないかと思います。

というわけで、太陽光で硬化させる実験も失敗。

かくして完全に暗礁に乗り上げましたが、エポキシよりもUVコートのほうが数段優れていることは紛れもない事実であり、

要するにこのページで何が言いたかったかっつーと・・・・




































バカと呼んでくれ(゚Д゚;)っつーことぢゃ!



次回、UVコートの検証です。


※照射機導入に際して思い切ったホントウの理由
嫁さんが二人目を妊娠したからです(^^)
子育てビルダーなら、絶対経験したと思います。子育てしながらのロッドビルディングは本当に困難を極めます。釣りみたいに、完全に家庭から抜け出している状況であれば、呼び出しコールがかかることはありません。

が、居間ビルダーのロッドビルディングはそうは行かない!

寝ているわが子がいつ起きるか?これにいつも振り回されます。いつお呼びがかかるかわからない状態での作業は本当に進みません。子どもが起きている状況でのロッドビルディングはほぼ不可能です。チェックやら、EVAやら触りまくって、5秒とじっとしてないですからね(汗)

もうね、

「よこせよこせ!」ですわ〜

スレッドラッピングは、日に1つ1つでも前進できる。グリップ加工も同様。塗装は、仕事帰りにでも出来る(バッテリーコンプレッサの応用)。

どうにもならんのが、エポキシコーティング。必ず居間でやらないといけない。それも一度作業に入ると雷魚ロッドみたいなダブルフット10個とかになると、どう短く見積もっても1時間は覚悟しておかないといけません。

一言だけかまんかな?

エポキシ混ぜ終わった直後に、「ウギャー!」で何べんエポキシ捨てたかわからんで!!!(゚Д゚;)

これがあると、作業時間は2時間とか余裕で越えますからね。

1人でコレです。2人おったら、もう無理じゃろ!?

UVハードナー・・・・こいつがあれば、今日は1箇所だけが出来るってわけ。UVコート導入の本当の目的はここにあります!!!


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