アブのアタリハズレ@コグホイール


#1132195。最悪の品質のダブルベアリングコグホイール

前のネタで紹介した通り、年間通して、私は結構な量のアブ純正パーツの検品をしておりますが、中でも取り上げて「悪い品質」のパーツを1つ紹介します。


それはダントツでこれだと思います。純正のダブルベアリングコグ。ファクトリーチューンの純正コグで、品番は1132195。安けりゃOK!って人もいるので、裏でコソコソと販売していたりもするのですが、こないだ30個ほど出荷した際検品しました。

ベアリングはISCの鉄BBです。当店の20639BBブッシュに搭載しているBBで回転は良好です。


このコグ、不思議なことに、下側の大径ギア側の穴は、成形時に付けていると思われ、成形時の金型の跡がついております。


で、不思議なのは上側の小径ギア側。こちら、察するに、切削で座繰り穴加工していると考えられます。ドアップで見てみると、切削跡があるんですよね。


おそらくですが、1bbコグの小径ギア側を切削加工して座繰り穴を追加工しているのではないかと思います。

この切削時の精度なのでしょうか、兎に角、精度が悪すぎて、センターが全く出ていないわけです。


30個検品してみると、まともに芯が出ていて、回転も軽いのが3個。ブレまくりで、回転も「中の下」といったところで、まぁ、使えるかな?レベルが25個。手ではじくとガリッって感じで一瞬で止まる、ハネ品が2個といったレベル。


動画で紹介するとこんな感じ。

過去合わせると数百個出荷していますが、確率はだいたい10%がOK品、10%が全く回らないボツ品、80%がB品という感じのクオリティ。

いやはや、アブのパーツは数あれど、これだけ品質の悪いパーツも珍しいと思います。僕の扱った中ではダントツです。

こういうのは、ボツ品を集めて、ある程度数がまとまってきたら、芝浦のPFJに送って交換してもらっています。

安くて良い回転でしたら、

純正の1BBコグ。
これがかなりいいと思いますのでオススメです〜^^
が、これはこれで、デポチンをのけないと、シム調整ができない。あと、ビス止めオールドも加工必要。

となると、やっぱこれかね!

23404の追加工コグ!

よろしくです〜^^

1132195コグのツッコミ入れたついでに込み入ったネタを一発。

アブはよく「アタリハズレ」があるといわれるリールですが、その理由を少々。

こーゆーのを公開すると、僕の商売にとってあまりよくないところもあるので、全部は申し上げませんが、アブはアタリハズレは大いにあるリールです。

アブのコグホイールは、射出成形というプラスチック成型によって作られており、これは、メス型を2枚重ねて、その隙間に溶けたジュラコンのコンパウンドを注入していき、冷却固形した後、メス型を外して離型し、成形品を取り出すといった流れで作られています。

この際、メス型を重ねる時に、金型のロッドの跡が付いています。


これは1132195ですが、この矢印で示した点がロッドの当たるところです。

成形時に、コンパウンドを注入した後、シッカリとカタを冷まして離型すると樹脂は歪まないのですが、そうではなく、冷えるのを待たずして離型すると、ロッドに引っ張られて、樹脂には歪みが入ります。


これは23404ですが、これも作り方同じなんで、やはりロッドの跡が付いております。

ここまでいうともうお分かりだと思いますが、冷却が甘い状態で抜かれたギアは歪みがはいっており、ハズレです。


チェック方法は、携帯の画面みたいに平たいところにギアを置き、両サイドを押してみてください。

カチカチとなったギアは、歪んでいるんで、外れです。


僕はよくわからない世界ですが、カスタムを売りにしているショップは、同じパーツを何個もとって組み上げるらしいです。これは、アタリのパーツを選りすぐりして仕上げるからではないのかな?と思ったりもします。

今回はコグの1部分を紹介しましたが、フレームや、ウォームシャフト、などなど、アタリハズレの原因となるネタはたくさんあります。

そーゆーのを含めてアブは面白味のあるリールと言えます^^


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