アブのハンドル&IARトラブル原因推理






予備知識
これから出てくる用語の解説。
ラジアル荷重とアキシアル荷重
ベアリング用語なんですが、円筒状の輪に対して、上下方向にかかる負荷をラジアル荷重。左右方向へかかる負荷をアキシアル荷重といいます。

では始まり。

ハンドル曲がりトラブル編
雷魚マンの悩みの種。アブのトラブル。トラブルの代表格の一つが、ハンドル曲がりトラブルです。スラッグを何よりも嫌う雷魚釣りは、スラッグを絶対出さないようにゴリ巻き派が数多くいらっしゃいます。DVDで見る限り、大久保幸三様もゴリ巻き派ですよね。しかし、ゴリ巻きすると、負荷がかかった状態でリーリングすることになります。これでは結構な負荷がハンドル部へかかって当たり前。ヘッドシェイク食らったときも、ハンドルをしっかり握ったまま耐えて、なんてこともダメージでかいです。

こんなファイトを続けていくと、やがてはハンドルノブシャフトが曲がったり、プレートが曲がったりすることが予想されます。私も、ZPIさんのカーボンハンドルでハンドル根元から思いっきり斜めに曲がるトラブルを経験しています。そこで、ライギョマンは曲がらないハンドルを求めてチタンに行き、そこでサーペントバイトハンドルを見つけるも、サーペントバイトハンドルはクラッチ戻りトラブルが出るので、ハネクラさんのチタンに・・・。しかし、ハネクラさんのチタンはノブピッチが80mmなので、私的には巻き上げがしんどいと思います。

まぁ、ハンドルをメインにやり取りをするのではなく、ヘッドシェイクはロッドを使っていなして、藻団子を引っ張る時はロッドを持って引っ張って、その後、前にロッドを倒しながらリーリングしていくと、ハンドルの負荷が軽くなるのでこの手のトラブルは起きにくくなるように思います。

が、最近になって一つ思うことが出てきました。雷魚マンにありがちな、ハンドル曲がりトラブル。

これって、右使いのほうが出やすいんじゃないの?

ということです。

私みたいな左ハンドル派には、この手のトラブルは起きにくい傾向があるように思います。私は、ZPIさんのハンドルで一回経験しましたが、カーボン自体がホント弱い素材(なんせプラスチックですから)で、素材的な問題があったから起こったことで、その他のハンドルで、上記のトラブルになったことがありません。曲がる?感じは何度も経験しましたが、いわゆる、右ハン使いの雷魚マンが言うような大きなハンドルトラブルは皆無ですね。左派の6501Cさん、人生はスモウみたいだねさんも、この手のトラブルとは無縁。統計を取ったわけではないので気のせいかもしれませんが、

ハンドル曲がりトラブルは右使いに起きやすい。

そう思う理由です。

・ ロッドを支える手
右使いは、左でロッドを支えます。しかし、一般的には右利きの人がほとんど。ということは、利き手ではない、弱い手でロッドを支えることになります。すると、フッキングのときなんかに、利き手ではない左手でクソ重いロッドを跳ね上げれますか?それは絶対無理。ロッドが重過ぎます。そのため、右手をブランクに持って行き、両手でフッキング。もしくは、右手でノブを握ったままタックルごと一緒にフッキング。

すると、フックアップの瞬間、思いっきり握っている右手ノブに強烈な負荷がかかります。その後の、雷魚の強烈なヘッドシェイクを耐える時なんかは、ブランクを支えて踏ん張りますよね。すると、利き手ではない左手で力入りますか?入らないですよ。力が入るのは、圧倒的に利き手です。よって、右でも踏ん張らないといけません。その時、右はどこにいますか?もちろんハンドルノブ。強烈な力でハンドルノブを支える。そして、耐える。そして、ヘッドシェイクが終わったあと、巻く巻く巻く巻く。フッキングからヘッドシェイクを耐えるところまで、カナリ踏ん張っていますから、そのままの力でリーリング。

すると、強烈な負荷がハンドルノブ及び、ハンドルプレートにかかります。その力はどこに集中するかというと、もちろんメインシャフトとハンドルプレートの付け根。ここで、ハンドル曲がりトラブルが起きるんじゃないでしょうか。

さらに、藻団子とのやり取りをするときなんかも、利き手ではない左オンリーで安定して藻団子を綱引きで引っ張って来れないと思います。利き手ではない分、どうしてもぶれたり、フラフラしたりするはず。すると、持っているハンドルがフラフラと負荷がかかったままブレることになり、これがノブシャフト及びハンドルプレートに強烈な負荷をかけることにつながります。

これが、ハンドルトラブルの元凶な気がします。

一方、左は全く違います。利き手でロッドを支えているので、対雷魚とのやり取りで使うのは利き手の右手。利き手なのでしっかりとロッドをホールドできます。リールを持っている左手は補助的に支えている程度。だから、リールに負荷をかけようと思っても利き手ではないから、かけられないんですよね。藻団子を引きずる時だって、利き手でロッドを支えて引っ張りますから、右リールよりもブレは格段に少ないです。ブレが少ないということは、負荷の低減にもつながり、リールに与えるダメージは少ないというわけです。

ただ、リーリングをする力は利き手ではないほうでやるわけですので、巻く力でいうと、右巻きに分があります。

ですが、雷魚って、10忍耐の1ファイトみたいな釣りですから、負荷がかかった巻きって、かなり短いんですよね。

雷魚自体、スタミナがある魚ではないので、だいたいフッキング後、10秒くらいのヘッドシェイクで藻団子になって動かなくなりますから。あとは、藻団子をロッドで引いてくるだけ。この時は鬼巻きは必要ありません。

ジギングとかみたいに、オニ巻きしっぱなし、ファイト中は負荷かかりっぱなしだったらば、利き手の右でリーリングするほうにメリットがあるように思いますが、雷魚は違います。釣行でのリーリング時のほとんどは負荷はかかっていません。強烈な負荷がかかるのは一瞬です。だもんで、右巻きを使うことのメリットは雷魚にはあんましないように思います。

よって、ハンドルが曲がるトラブルの元凶は右巻きによるリーリングと、左で支えるロッドワークにあると思います。


IARトラブルの出る原因 その1
ベアリングには大きく分けて二種類あり、玉軸受けとコロ軸受けです。

玉軸受けは、コレ。(NSKホームページより)

コロ軸受けはコレ。(日本トムソンHPより)

玉軸受けは摩擦を軽減させるために使われる転動体が球。コロ軸受けは丸棒です。これらを外輪・内輪間の保持器によって支えることでベアリングになっています。ちなみにIARはシェル型針状コロ軸受け(ニードルローラーベアリング)という分類です。玉軸受けは外輪・内輪に接している部分が点であるのに対し、コロ軸受けは線です。アキシアル加重を支えるのは玉軸受は点なのに対し、コロ軸受けは円筒形の面です。そのため、設置面の大きいコロ軸受けのほうがラジアル・アキシアル加重共に抵抗が強く、従って負荷の強い部分ではコロ軸受け。逆に高回転が要求させる場所では、より摩擦の少ない玉軸受を使い分けされています。

IARは一方方向にしか回転しない、ワンウェイクラッチシステムの搭載により、ハンドルを一方方向へしか回転させることが出来なくなり、従って、オールドアブのように、メインギアプレートのツメで引っかかるような、カッチンカッチンなる逆転防止システムではなく、止めたいときにスグに止められる機能として働いています。

しかし、ライギョの場合、負荷が大きすぎるのか、針状コロが外れたり、サイドカップからIARのアッセンブリごとゆがんでぐらつくことがよくあるそうです。

これは、ロケットで出た上記のIARぐらつきとらぶるです。IARのアッセンブリが丸ごとグラつき、つなぎ目からグリスがにじみ出ています。

しかし、これは中古で買ったので、状態がよく分かりません。

新品から使っているものはC4がありますが、おおかた500本釣っていますが、このトラブルは起きていません。サイドカップを見る限り、トラブルが起こりそうにはなっていますが、アブのライギョユーザーでありがちな、1ヶ月でぶっ壊れただの、これで3回目だなど、そんな頻度とは別次元の世界です。ドヘビーカバー酷使の捨てリール。ハイスピードウィンチでもこのトラブルは起きてないです。
これも、やはり右ゆえのトラブル頻度ではないでしょうか。


IARアッセンブリゆるみトラブルの原因 その2
アブのIARがゆるんでしまうトラブルの原因の一つは、右効きの人が右ハンドルを使うことではないかということを上で書きました。ただ、私はもう一つ原因があるように思います。

それは、IARの組み付け方法。

アブの場合、サイドカップにカシメています。これでは、サイドプレートとIARの接点は円状の線ほどの面積しかないので、最も負荷のかかるIARを支えるには力不足です。特に弱いのが、アキシアル方向への加重であり、しかもサイドカップの材質はアルミ。曲がって当然。ゆるんで当然。

そのため、ロケットクロムみたいにサイドカップを真鍮にしたほうがナンボかマシな気がします。しかし、実際、ロケットクロムを持ってみると、重すぎ。500gを軽く超えるようなリールを500gクラスのロッドにつけたら、重すぎて使えません。そのため、いっそ、ステンにしたほうがいいような気がします。

さらに、根本的な原因と思うのが、IARの設置方法。サイドカップのプレートにカートリッジを挟み込むようにカシメるのではなく、サイドカップをIARの形状に凸を作ってやって、そこにはめ込む形にすれば、IARを支えるのは、3面になり、ハンドルを回したときにかかるラジアル荷重、アキシアル荷重、共に耐久度が増すはずです。

シマノさんはこのアタリのことを熟知しており、コンクエなんかは、3面で支える形になってますよね。

アブさんも、レボではコンクエの構造を真似して、3面で支える形になっています。実際、レボ61をライギョに投入して酷使しましたが、IARトラブルは起きていません。コンクエと同じ方式のため、これからも起きないと思われます。

その説明
トラブルの原因のラウンドプロファイルアブのIAR設置場所。アルミのサイドカップにカシめている。このときIARを支えるのはアルミプレートとの接点。面積は線状1面です。

コンクエのIAR(ローラーベアリング)。ピンクの囲いにスポン!とはめ込むような設置方法。円筒状のベアリングなので何面とは言いにくいけど、ラジアル2方向、アキシアル1方向の合計3面でIARを支えています。このタイプだと、IARをしっかりと固定できて、ブレによってIARが動きにくいので、耐久性はいいと思います。

レボもコンクエと同じ形式。ただし、コンクエがカートリッジなのに対して、レボはカシメタイプ。そのため、コンクエみたいに、修理交換が出来ない。

もしアブでIARのアッセンブリが丸ごとやられてしもたら、サイドカップ丸ごと交換。お値段9000円です(涙)。ちなみに、C4は新品で12000円(輸入)ですからね(爆)。コンクエのように、脱着式にしてメンテナンス費用を抑えてほしいです。

アブで最も人気のあるラウンドプロファイルシリーズもこの手の構造を導入して欲しいと節に願う今日この頃です。

長くなりましたが、だもんで、IARに悩んでいる雷魚マンは試しに左を使ってみてはいかがでしょうか???


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