コグホイールチューニングの最終結論



一時はコグホイールチューニングなんて目クソ鼻クソじゃ〜!とサジを投げましたが、SHINさんより、やる気の出る動画を紹介いただき、この際、やること全部やって、結論をだしたらい!と思いやってみることにしました。今まで色々とやってみましたが、紆余曲折あるので、参考になるのはコレだけと思ってくださいw

では行きます。

ベアリングの超音波洗浄について
これ、新品のバレヒル2BBコグです。

Eリングもつけない、純正そのまんまつけて回してみます。

回転はこんな感じ。おおかた2秒といったところ。

これにアルケミーオイルを1/2滴ほど滴下します。

すると、3秒くらい?ちょっと回転の止まり方が滑らかになったような感じです。

続いて、そのベアリングを外し、ラッカーシンナーを洗浄液に使用し、超音波洗浄を3分ほど行います。

洗浄後、キムワイプで溶剤を拭き取り、セットして先ほどと同じようにハジきます。

するとコレですわ〜(〃゜△゜〃)

エッ!?まじ!?って思うでしょ?超音波洗浄するだけ。たったそれだけで、回転時間は20秒に増えます。回転の持続力は雲泥の差。

ホントね、オイルチューニングじゃ絶対到達できないレベルの回転ップリでしょ?ほんとね、ベアリングの超音波洗浄だけはド肝を抜かれるくらいの回転アップなんよね。セラミックベアリング?超音波洗浄に比べたらチンポコですわ〜!!!

これ見たらよく分かったでしょ?コグホイールチューニングで回る回らないの鍵を握るのは超音波洗浄なんですわ。見ての通りですが、超音波洗浄は必須です。




ベアリング比較
続いてはコグホイールには何のベアリングが最も適しているのか?その比較を行います。

ここにARBとミネベアのシールドベアリングを用意し、超音波洗浄を3分ほど施しました。




ARBの回転
これにARBを2個セットします。ただし、ARBは何度か使ったものなので新品ではありません。

回転はこんな感じ。19秒といったところ。回転性能はBtrapベアリングと大差ありません。



ミネベアDDL740ZZの回転
今度はミネベアの7-4-2.5のベアリングを2個セットしたものを使います。

結果、こんな感じ。回転の持続力は6秒といったところ。Btrap純正、ARBと比べると回転の悪さは否めません。

ひょっとしたら超音波脱脂が足りなかったのかも?と思い、超音波脱脂を3分追加。計6分間の脱脂にして回転させてみました。

ところが、回転は6秒といったところ。変わりません。

そこでシールドが脱脂の邪魔をしてるのかも?と思い、シールドを外してみました。

結果、12秒くらい。回転は良くなりましたが、Btrapベアリング、ARBと比べると、やや回転性能は劣ると思います。そのため、ベアリング自体の性能としては、BtrapとARBが同レベル。Btrap製は個別で売ってないので、キホン、Btrapを使い、ベアリング変更の際はARBをチョイスするのがベストだと思います。




内輪の供回り調査
続いて、ベアリングの違いによる内輪の供回りをチェックしていきます。



Btrapベアリングの供回り調査
マジックで内輪にマーキングを打ち、回転させてマジックの位置がどのように変わるのか見て行きます。

これがその結果なんですが、なんと、内輪が供回りしていません(驚)



ARBの供回り調査
今度はARBです。黒いので白いマジックをマーキングに使っています。

回してみると一目瞭然。内輪は供回りをしています。オープンベアリングのほうが供回りしやすいんでしょうか?次はその調査を行います。



Btrapベアリングをオープン化し、供回り調査
オープンベアリングは供回りするのかな?と思い、続いてBtrapベアリングをオープンにしました。そして供回り調査を行ってみたところ、

なんと先ほどまで回ってなかった内輪が供回りをしています。

オープンすることによって内輪へのテンションが緩くなるのか、内輪が供回りするようになるみたいです。回転もシールドありのときよりも落ちています!シールドがあったほうが内輪の固定力が良いからなんでしょうか?謎です。


なお、Btrapのベアリング、特殊で、シールドの取り付け方がミネベアと違い、ツメのついたシールドをカシメているだけです。一方、ミネベアはCリングでシールドを固定するタイプで、同じシールドベアリングでもメカニズムが全然違います。

このあたりが回転力の違いなのかもしれません。



5152か、1132195か?
続いてダブルベアリングコグの代表選手2人を用意し、優劣をつけたいと思います。5152はバレーヒル製。1132195はアブ純正。5152は5152ベース。1132195は24304がベースとなっており、ギア形状は5152のほうが浅く高速回転に向いていると感じます。詳しくは、

http://fukusukeraigyo.digi2.jp/kudougia/kudougia.html

を参照してください。

1132195の回転
さて、比較しますが、条件は、ミネベア4-7-2を超音波洗浄で3分。供回りも調査するために内輪にマジックでマーキングをしています。

これが実際の回転ですが、回転は5152に比べるとすこぶる悪く、せいぜい5秒程度。内輪は供回りしておりません。

この回転を見て分かる通り、回転は断然Btrapの5152のほうがよく、またギア形状も5152のほうが浅く回転に適していると考えられるため、1132195を使うメリットはありません。そのため、コグホイールはBtrap製5152の圧勝と考えていいと思います。




穴空け&内輪打ち抜きは必要か?
ブランキング効果の比較検証です。最近アベイルからも穴空きコグが発売されたこともあって、ブランキングが流行っております。で、私も過去にやっており、

また、コグのシャフトとコグの内輪が接触するのを嫌い、コグの内径を削って打ち抜いています。

さて、その効果のほどは?

これがその様子なんですが、まーすっごい回るね〜!35秒くらい回ってるんじゃないかしら???内輪の供回りもありません。

しかし、軽量化すれば慣性が悪くなるはずなんで、回転は落ちるはず・・・・ですが、これ見る限りかなり回っているので、???です。

Btrap純正に比べれば良いようにも思えますが、Btrap純正でも20秒くらい回っていて、実戦で滞空時間が20秒を越えるなんてことはありえませんから、あまり効果はないようにも思えますが、ブランキング&中央の穴打ち抜きは効果アリとさせていただきますw

なお、改めてシャフトに4-7-2.5のベアリングをセットしてみると、なんとベアリング上部はシャフトから分離されています。コグの内輪抜きは全く意味がありませんでした(汗)

一方で、4-7-2.0のベアリングをセットしてみると、接触してるようには見えませんが、プラスチックカラーが当たるか当たらないかのギリギリです。ひょっとしたら接触してて、それが5152よりも回転が悪い理由なのかもしれません。



固定方法について
別コンテンツでテーマを設けて実験をしてみましたが、コグホイールのシャフトへの連結方法をどうするかというテーマです。

シャフト径が3.8mmなので、それよりも小さいリングでの固定を考えています。

用意した材料は、純正Eリング、オチアイのクリセント型Cリング、NOKの1.5mm幅、内径2.5及び3.5のOリング、カクダイの内径2.8、幅1.9のOリングです。

テーマは供回りの防止です。

純正Eリング
まずは純正のEリングから。以前の実験で供回りしていましたが、

なんと供回りしていません!

前実験した時は、しっかりと供回りしていたのにどうして???シールドベアリングが良かったのか????謎です・・・


NOK−1.5×3.5 Oリング
続いてNOKの3.5mm径のOリングです。

回転は8秒程度。悪いです。




NOK−1.5×2.5 Oリング
続いて2.5のOリングで固定してみました。

回転は3秒程度。どうやら径が小さくなるほどテンションがかかりすぎてしまうのか、回転は悪くなる傾向にあります。




カクダイ 1.9×2.9 Oリング
続いてカクダイのぶっといOリング。

回転は5秒程度。悪いです。



オチアイ クリセント型Cリング
別コンテンツでもやりましたが、オチアイのクリセント型Cリングはかなり小さく、作業性が悪い(はめる時、ラジペンでシャフトがつぶれそうになる&ドライバで小突いて外す時に飛んでいってなくなりやすい)代わりに、コグホイール固定の水切りに対しキツキツなため、供回りはまずありません。

回転はこの通り。ビックリの42秒も回っております。この時点でブランキングコグ&内輪打ち抜きバージョンを抜いているため、前言撤回で、ブランキングの効果は期待できないに修正したいと思います。

左ハンドルみたいにコグを下向きにしても供回りしないため、コグの固定方法としては理想的だと思います。

以上の結果より、ゴム固定よりは金属固定。理想はオチアイのクリセント型Cリングだと思います。




下部ベアリングの非接触化について
今回、メインで使っているのが、バレーヒルの5152ギアですが、ベアリングサイズが4-7-2.5です。一方、1132195は4-7-2のベアリングです。そのため、バレーヒルの5152ギアに4-7-2サイズのベアリングを2個入れて両サイドに0.5mmのシムを使うことで、サイズがピッタリになり、コンバートが可能です。

アブの場合、シャフトの座金が広く、下部ベアリングの内輪と外輪はシャフトの座金に接触しているため、4-7-2ベアリングとシムを使うことで下部ベアリングの非接触化が実現できます。

用意したシムはラジコン用のイーグルの4-5-0.5mmのシムです。

ベアリングはミネベアの4-7-2を両サイドにセット。

外径が5mmなため、シムは内輪にしか干渉せず、ベアリングは宙に浮いたようにセットされますwセッティングとしては理想的です♪

結果はご覧の通り。5秒程度しか回りません。ベアリングが接触するかどうかは大したファクターではないということですね。回転からしたら4-7-2.5のベアリングを使ったほうがはるかに高回転なので、使うべきは4-7-2.5のベアリングだと判断します。





コグのグラツキ解消のためのシム調整
最後のツメです。コグホイールをそのままセットすると、

グラツキが出ます。回転には大して影響は出ないようにも思いますが、実戦で安定した回転を持続させようと思ったら回転に影響が出ないレベルでのグラツキ解消が効果的と考えます。

そこでシム調整でグラツキを解消しようと思います。使用するシムは同じくイーグルの4-5-0.1〜0.3mmのシムです。前回使った0.5mmのシムも使い、0.1〜0.6mmの間で調整します。

なお、純正でもポリワッシャが付属していますが、

コイツは内輪と外輪に接触してしまうため、理想的とはいえません。イーグルのシムのほうがベターだと考えます。

なお、シムの位置ですが、コグシャフト上部にセットした場合、水切りの位置の関係で安定してセンターに行きません。

そのためシム調整はコグホイール下部で行います。




調整幅0.6mm
まずは限界を見るために、0.3mm×2個セットした、0.6mmで設定してみました。

結果、キッツキツ。回りません。


調整幅0.5mm
続いて0.5mmでセットしてみました。

結果この通り。0.6mmよりはマシですが、サッパリです。まだ厚いですね。


調整幅0.4mm
0.2mmのシムを2枚入れ、0.4mmにしてセットしてみました。

回転はこの通り。バリバリ高回転を復活し、30秒といったところです♪


調整幅0.3mm
今度は0.3mmシムを1枚かましてみてやってみました。

結果はイマイチ。10秒といったところ。ダメです。


調整幅0.2mm
シム0.2mmを1枚。

すこぶる回る!40秒くらい逝ってます!が、ここまでくると、0.4mmと大して変わらず。弾いた時にクリティカルヒットが出るかどうかだと思います。効果で言うと0.4mmと同レベルと考えていいと思います。


調整幅0.1mm
0.1mmシムを1枚。

結果、30秒クラス。0.4mmシムと大して変わらずです。

シム無し
シムを全部取った状態でのテストです。

結果、35秒程度。0.4mmシムと同レベルです。

以上、0.6〜0.0mmまで調整してみましたが、0.6mm、0.5mmはキツすぎ。後はドングリの背比べといったところでしょうか。同じ回転ならば、グラツキが少ないほうがキャスト中に良い効果が期待できるため、理想のシム調整幅は4-5-0.2mm×2で0.4mm調整だと結論を出します。

がしかし、ここで言うのもアレなんですが、同じ条件で同じようにセットしても回る回らないがあります。不思議なことに内輪が供回りするときとしない時もあります。

0.3mmの回転が悪いけども0.4mm、0.2mmの回転が良いのが不思議でしょ?

おそらくコグホイールの座グリにベアリングをセットするときのわずかな角度だと思うんですが、

これはヒット!これはアウト!という具合にコロコロ変わるときがあり、はっきりと原因が分かりません。

曖昧で申し訳ないんですが、ただ、何度かやり直した中で、0.4mm以下のどの条件でも30秒近く回ることは確実です。そのため、良い回転を見せる条件の中ではグラツキが最も少ない0.4mmシムが良いという結論は正しいと思います。


オイルはつけるべき?
今まで実験したコグの回転比較動画はすべて超音波洗浄後、オイルなしでテストしたものです。ここでアルケミーオイルを2つのベアリングに1/2滴ほど滴下してみました。

結果これ。回転はむちゃくちゃ落ちています・・・・。

オイルは・・・・つけないほうが良い!と思います!

以上の検証からコグホイールのベストチューニングの結論を出します。



@バレーヒル製5152ダブルBBコグホイールを買う。
Aベアリングを抜き、超音波脱脂3分。
Bイーグルの4-5-0.2mmシムを2枚ほど下のシャフトに取り付ける。
Cコグホイールをセットし、オチアイのクリセント型Cリングで固定。
Dオイルはつけない!



これでキマリです!



トータルセッティング

オイルはロクなことないんで、コグ、スプールベアリング、レベルワインド、全部超音波脱脂しました。で、オイルなしにしてセットしたところ、ウォームシャフトがまともに動かず、ウォームシャフトのみアルケミーオイルを塗布。

コグは鬼のように回るようになったので楽しみにして

キャスティングテストに出かけてきました。






結果、何もかわっとらん・・・・・(;'o')









リールチューニングなんてそんなもの








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