駆動系ギアの比較検証
先日、リンクを貼らせて頂いている、「水面どうでしょう」のハリィさんが面白い実験・検証をされてまして、簡単に言うと、
「コグホイールを5152ギアにした時、なぜスプールピニオン23403を19373にしなければならないのか?」
です。
私も昔、23403のまま組んでダメで、19373に入れ替えましたが、普通に使えるようになったから良いや!って思って、その理由まで考えたことがなかったので、大変興味深く、こっちでもやってみようと思いまして、検証を行うことにしました。
ネタ元の水面どうでしょうと同じような感じになりますが、パクリ許可を頂いたため、やってみますww
まずは、該当パーツ、ウォームシャフト、スプールピニオン、コグホイールを取り出し、ギアのサイズをノギスで測っていきます。
そして、ギアの数も数えます。数えにくいので一旦印刷して、それをマーキングしながら数えていきました。
ちなみに、駆動系ギアはコグホイールに関係するギアがスプールピニオン、ウォームシャフト、ウォームギアがあるため、周辺ギアについても比較検証してみます。
まずは、ウォームシャフトから行きます。
測定結果はこの通り。ウォームシャフトから行きますが、C4のはNo.23943ですが、これとバレーヒル製クロスギアと比較しています。
結果、ギアの直径、歯数、形状、ほぼ一緒。
バレーヒル製のウォームシャフトのレールについても、ラインキャリエッジがC4と同一のNo.51765で駆動するため、一緒。つまり、C4とBtrap製ウォームシャフトは全くの同等品であることが分かります。違うのは、ベアリングと、プラスチックブッシュのカラーの違いくらい。
続いて、コグホイールです。
コグホイールはC4純正がNo.23404なんですが、5152とは外側ギアのサイズは一緒で、直径29mm。ただし、外ギアの形状が違います。
23404は、深く、尖がっている感じですが、5152は浅く、短い感じです。青いほうが23404です。
また、内側ギアについて言うと、サイズと形状が違います。サイズは、23404のほうが0.35mm大きく、形状は、5152に比べ、深く、尖っています。青いほうが23404です。ちなみに5152ギアはアブでいうと代表的なモデルで、雷魚用スタンダード、CSロケットに組まれているヤツです。
形状を見る限り、ギアとのかみあいが浅いほうが摩擦が少なく、高回転型といえるため、23404と5152だったら、径が小さく、歯も浅い5152のほうが高回転向きといえます。巻き取りパワーが大きいのは引っかかりの多い23404ですが、コグホイールはスプールの回転をレベルワインドに伝えるためのギアのため、負荷がかかるギアではなく、5152ギアのほうが効率が良いといえます。
続いてスプールピニオンですが、
計測データは上の通りです。
スプールピニオンは外ギアも内際も若干違います。外ギアはどのギアにもかからない、ブッシュとしての役割を担うパーツなので、比較に意味はありませんが、C4純正の23403のほうが大きいです。
歯数・形状、歯の深さなんかはほぼ一緒。若干、23403が大きいくらい。回転とかマッチングには関係ありません。しいて言うなら、23403のほうが径が大きいので、スプールにはめたときに抜けにくいくらいです。
違うのは内ギア。C4の23403のほうが0.5mm大きく、ギア数は同じですが、ギア形状は全く違います。
見た目は19373は浅い丸いギアですが、23403は深く、尖っているギアです。青いほうが23403です。
いわずもがな、径が小さく、浅いギアのほうが摩擦が少ないため、高回転型です。
だんだん見えてきましたwいうなれば、浅いコグホイールには浅いスプールピニオンじゃないと、回転についていかないといったところでしょうか。
つまり、コグホイール23404ギアを5152ギアにコンバートした場合、5152ギアの浅ギアにあわせて、スプールピニオンも浅ギアに変更する。
23403→19373への換装の理由はこんなところじゃないでしょうか。
なお、ハリィさんの検証ですが、コグホイール23404を入れた状態で、スプールピニオンを19373にチェンジさせても動作には問題なく、むしろハンドルが軽くなったという性能アップが報告されていますwつまり、回転抵抗が減る方向へのチェンジはいけるけども、逆は不可!というわけなんでしょうね〜。
そのため、
19373+23404はOKですが、
23403+5152はNG。
ってわけです。
今回の実験、私もスッキリしましたwハリィさん、ありがとうございますw
ファクトリーチューンの謎
これもハリィさんのところで出たネタなんですが、一つ不可解なことがあるんです。先日、ファクトリーチューンのアブが登場し、組まれていたダブルベアリングコグホイール、1132195が登場しましたが、これ、5152ギアと互換性があるので、浅いギアのコグホイールのはずなんです。
ところが、パーツリストを見てみると、スプールピニオンは、23403です。
となると、C4に5152をつけたときのような、マトモに回らないトラブルが起きるはずです。しかし、ファクトリーチューンは23403+1132195の組み合わせで設計されてますよね。これが謎です。今回の検証の通りならば、スプールピニオンは23403ではなく、19373でないといけません。
そんなわけで、今度は1132195ギアの形状を調べてみました。
ついでに、同等品として発売されている、バレーヒルの5152ダブルベアリングギアとの比較もしてみました。すると、驚くべき真実が分かったのです。まとめるために、旧バレヒル1BBギアとC4純正ギアとの比較も載せています。
そのデータがこれなんですが、まず、ファクトリーチューンの1132195ギアについては、ギア形状、ギアサイズは、5152ギアとは全く違います。むしろ、C4純正である23404と同等品でした。
形状の比較写真です。23404と1132195の比較をしていますが、ギア形状はほぼ一緒です。左の青いやつが23404、右が1132195.ギア形状はまったく一緒です。
ということは、アブ純正の1132195ギアは、23404をベースに作られており、だから、スプールピニオンに23403が使われていたようです。
なるほど納得w
ただし、スプールピニオンは23403よりは、19373のほうが高回転型で、さらに23403→19373へのコンバートが可能なんで、19373を使ったほうがベターでしょうね。
一方の、Btrapのダブルベアリングコグは、サイズ、形状共に、5152と同等。5152をベースに開発されたギアといえます。
1132195と5152でギア形状を比較してみると、1132195ギアにくらべ、ギアが浅く、丸みを帯びているため、高回転型といえます。
となるとですね、ファクトリーチューンのスプールピニオン23403+バレーヒルの2BBで使用した場合、
やはり、このように、不具合が発生しています。
いったい、23403ギアの意義ってなんでしょ?19373に比べると径が大きいため、スプールに入る時にきつく、抜けにくいくらいしかメリットがありません。
兎に角意外でしたが、バレーヒルのダブルベアリングコグと、アブ純正ダブルベアリングコグ、似ているようで、全然違うモノなんですね〜。
となると、実感できるかどうかは別にして、1132195とバレヒルダブルベアリング5152ギアでいうと、5152ギアのほうが高回転型といえます。
※ただ、1132195+19373の組み合わせで使用していたこともありますが、使用上の飛ぶ飛ばないの違いは全く分かりませんでした。
結論としたら、
バレーヒルの2BBコグ+19373、この組み合わせがベストです。
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