スプールブランキング
腰下1kgの軽量化は全体の10kgぶんの軽量化に値する。
これはバイクだの車だのの改造の世界で引用される銘文であります。要するに、ホイールの軽量化が一番効くということです。これは人間の世界でも当てはまることで、例えば、ナガグツを履いているのと、ナイキのフリースニーカーを履くのとでは疲労感、軽快感が全然違います。当然、軽いスニーカーのほうが、早く走れますし、ミズノがカールルイスの金メダルゲットの裏側でスーパー軽量スニーカーを開発していたのは有名な話。
リールの世界に当てはめると、これらの例えは、ずばりスプールの軽量化ということになります。
スプールを軽くしたら、回転が軽くなる。これはごくごく当然のことで、リールによっては、最初から穴をあけて軽量化しているものもあるし、Btrapの「飛ぶスプール」なんかは、穴が開きまくりです。
これら、スプールに穴を開けて軽量化を図ることは、通称「ブランキング」と呼ばれているもので、やってみました。
逝ったれ!スプールブランキング!!!
使うのはC4スプール。重量は20.5g
兎に角穴をあけよう!
情報元のS68プロデューサーさんに指示を請うと、電動ドリルは絶対に歪む。所詮アルミ。チャック、バイスも厳禁!基本手作業!ということなのでミニ四駆の穴あけで使う手動ドリルを使って穴あけに兆戦。
全然穴あかん!
滑って全く中に入らん!
こりゃ、無理無理!
早くも暗雲立ち込めです。
電動ドリルがあかんのならば、ルーター。これで穴があくかどうかチャレンジ!
所詮アルミ!穴があいたちや〜!
ひとたび開いたら、ハンドドリルで穴を広げて・・・って、全く削れん。ハンドドリル、無理です。無駄です。
で、気分転換に、新しい穴を開けることに。今度は精度が必要なので、ルーターをプロクソンに変えてダイヤモンドピットをつけて、
穴を空けたいポイントに、アンカーを打っていきます。
こんな感じにアンカーを打ちました。
さぁ、穴を開けよう
って、
( ;゜Д゜)痛〜〜〜〜〜〜!
い、勢い余って、ツメに穴が開いてしもたっヽ(`Дヽ(`Дヽ(`Д´)ノ Д´)ノД´)ノ
血が・・・止まらん。かなり深いところまで逝ってもうとる。穴空ける反対側の手は要注意や〜〜〜!
んで、プロクソンにこんまいドリルをつけて作業して、そんで、こんな感じに穴開け完了!
これから穴を広げていきます!基本的に段階的にドリルの径を広げて穴をひろげまっす。
若干広がったの分かります?
ルーターが熱くなってきたので、2つのルーターを変わりばんこに使います。定格使用時間が15分なので、それ以上使うとモーターが焼きついて回らなくなるそうです。要注意です。
※2011年からのメッセージ
今思えば、電動のルーターがいかんのんす。電動だからモーターを介しているから焼きつくんです。歯医者のスピンドルを思い出してください。あれは焼きつきません。なぜか?エアツールだからです。エアツールならば、空圧でドリルを回すため、焼きつくことがない。そのため、ブランキングに用いるルーターは、電動ルーターではなく、空圧ルーターのほうが優れていると思います。せっかく、コンプレッサがあるんだし、空圧ルーターの導入を考え中です。
穴はさらに広がりました。
しかしココからが限界。
これ以上の太さのドリルピットは、ルーターに入りません。
で、次なる電動ドリル以外の研削道具。
ハンドドリルの登場です。
しかし、チャックに固定できんから、すんごくやりにくいのよね。チンポのところにテンションをかけて何とか動かないようにしてもツルツル滑る。
そして、
ポイッ!
と力余って飛んでしまって、
コロコロコロ〜〜
ちょま!
で、掴んだ時にずっこけて、
エッジが凹んでしもたっ(;´д`)
そんなこんなで、色々とやりながら、
一番削りやすい体勢を発見。
ドリルを下に。スプールを上にして、左手でスプールを固定。右手でドリルの回すところを持って、回す。この時、スプールを持つ手の力が強すぎるとドリルが動きません。落ちない程度に支えてやると、スルスルとドリルが回り、効率よく研削できます。
失敗第一弾。このドリル作業ですが、なんせ、チャックに固定できない手作業なので、グラグラ動きます。その関係で、真っ直ぐドリルの歯が入ることは稀で、大抵斜めに入ります。すると、あんまり穴が近すぎると、こんな風に、ドリル同士の穴がくっつきます。大型のドリルを使うと、このパターンになりやすいので、大型の穴を少数開けるのではなく、径のこんまいドリルピットを使って、数開けるほうが失敗がないと思いました。
さらにもいっちょ失敗談。実は、このスプールは両端にベアリングが来るんですよ。それを考えずに、適当に穴を開けると、こんな風に、おおかたベアリングの固定場所にまで穴が開くところでした(汗)。
だもんで、この位置にはベアリングが入るんだぞ!ってことを考えて穴をあけないけません。つまり、両サイドを攻めると、泣きを見るぞということです。
そんなこんなで、研削は半分くらい終わり、とりあえず、マトモに回るのかチェックをすることにしました。
現時点で、ブランキングスプールの重量は16.6g。最初に比べると、20.5gから、3.9g軽量化に成功しています。さぁ、回り方は???
これは、ブランキング前の回転。レベル13往復・・・。なんか回転が落ちてないか!?うーむ。レベルの研削をしくじったか、クロスギアのベアリング小型化がまずかったか、それとも糸をなくしたほうが回転が少ないのか。
で、これがブランキング後。レベル8往復しかしてないで!?5往復目で急に失速。ブランキングで回転が落ちてしもた。なんでぇ???
そこで、S68プロデューサーさんに、質問してみると、
当然です。スプールが軽くなるぶん、惰性の力が弱くなるわけなので、フリー状態のレベル往復数は落ちます。
な、なるほど( ;゜Д゜)
言われてみると、その通りで、この実験では、スプールに動力を伝えているのは、ハンドルですから、同条件でベアリングの比較をする時には有効な判断基準かもしれませんが、どれだけ滑らかにスプールが動くんやという実験には使えません。
勉強になりました。
それを確かめる実験。
左がロケットスプール。右がC4スプール。ベアリング等は同条件です。ロケットスプールのほうは、C4よりも10g重く、50gです。このスプールを付けて、レベル往復数をチェックします。
これはC4スプールを使ったレベル往復テスト。19往復です。
これはロケットスプールを使ったレベル往復テスト。24往復。
全く同条件なのに、スプールが重いロケットスプールのほうがよく往復しています。でも、実際は、C4スプールのほうが軽いので飛距離は出るでしょうね。
つまり、
スプールが重いほうが、レベル往復数は多く出る
というわけです。安易にレベル往復数でリールの回転比較はするべきではないです。
で、話はそれましたが、
ブランキングはさらに続き・・・・
さらにいい穴掘り方法を発見!
足をバイスにして、上から両手でハンドドリル。これで一撃ですwww
中央のシャフトが見えるところは、足で片側のスプールエッジを押さえてバイス代わりにしてハンドドリル。これが効率いいです。
そしてもいっちょルーターテク。テコの原理です。
ルーターは力が弱いので、こんな風に、ドリルが長く出ていると、負荷がかかったときにすぐに止まります。
なのでこんな風に、ドリルがあまり出ないようにすると、研削力が増して、効率よく削れます。また、貫通した時に、手を怪我することが少ないので安全でもあります。
なので、カナノコでドリルのケツをぶった切って短くしようかと思って切ろうとしましたが、全くダメダメ。歯が立ちません。多分、両軸グラインダーでやるといいと思います。
そしてさらにガンガン掘っていき、
重量は15.7gに。主に両サイドに穴を追加していったんですが、軽量化はサッパリです。
やはり、真ん中の肉厚部分の穴掘りが効きますwww
そして、どんどん穴を掘っていき、
最終的にはこんな感じに。もうほんとに穴を開ける隙間がない!気が狂いそうになりますw
現時点での重量は14.3g。20.5→14.3ですから、6.2gの軽量化に成功!というわけです!
が、穴を開けたとは言っても面取りしてないので、バリだらけ。
だもんで、ゴム砥石リーマーをつけて面取り。これも穴数が穴数なので、むちゃくちゃ時間がかかります。
そして、シャフトの内部にもバリが出ているので、長細いゴム砥石に付け替え、一気にバリ取り。
最終的には、100均ダイヤモンドヤスリの手作業でバリ取り。
きれいになりました♪
リールにセット!毎度毎度、この瞬間がたまらんとですw
穴が開いていてこれが引っかかるのでナイロン下巻きをする必要は全くありませんが、ラインをケチるため下巻きを巻いてますw
完成!
で、早速キャストテスト!もう少しで完成というタコロッドをリメイクしたヤツで投げにいきましたw
インプレ
こ、これは飛びます!明らかに回転が軽くなって、後半の失速が全くなかとです!目立つのは、フルキャストよりもピッチングで、この飛距離がべらぼうに伸びたというか、ノンブランキングのリールに比べると、ピッチング距離が1.3倍くらいになったように思います。そして、糸が出た時に、スプールの穴がたくさん見えるので、苦労して空けた穴にウットリw
クソめんどくさいチューニングではありますが、やったほうがええのんか悪いのんかと聞かれると、
絶対やるべし!
オススメのチューニングです!
このチューニングをするに当たって、親切に教えてくださったS68プロデューサーさん、本当にありがとうございました!感謝感謝です(
・∀・)=b
produced by fukusuke