スプールブランキング その2


あまり縦長になりすぎてもいかんやろと思うので、ブランキング第二段。

ブランキングスプールのインプレ
この、ブランキングスプールですが、使えば使うほど、その威力を思い知ると言うか、すごいんですよ。

まず、バックラが驚くほど減ったとうのが一つ。

普通、回転が良くなると、バックラが起きやすくなると言うのが通説ですが、このチューニングは逆。バックラってのは、スプールの回転がラインの出る速度を上回ったときに起こる現象です。

しかし、スプールの軽量化によって、慣性の力が弱くなり、スプールの惰性が減っています(スプールブランキングその1レベル往復テストを参照)。これによって、キャスト時に初速で付いた勢いが減速しやすくなっているため、ラインが出る力とスプールが回転する力が一致しやすくなっています。

すなわち、バックラがホントに起きにくい。ノーブレーキでもです。

加えて、スプールが軽いので、回転自体が軽い。ブランキング前のものでキャストした時は、フロッグを飛ばしたときに、スプールがすこーし前に持っていかれるようなフィーリングがありましたが、ブランキング後では、このフィーリングがゼロになりました。

フロッグの飛んでいく力に合わせてスプールが頑張っているような感じではなく、フロッグの飛んでいく力がそのままスプールをストレスなく回してくれると言うか、分かり易く言うと、

キャストでラインがぶち切れてルアーだけ飛んでいく時のような、アレに近い感じ

です。

カッ飛び仕様で使うならば、スプールブランキングに勝るものはないと思います。

しかし、いいことばかりではなく、当然悪いこともある。

それがキャストアキュラシー(正確さ)です。キャストする時って、クラッチフリーにして、ロッドを振りぬいて、ラインを止めている指を離して、するとフロッグが飛んで行き、フロッグが前に向かって進む力がスプールに力をかけ、スプールが回りはじめ、ラインが出る。

これが一連の工程ですよね。この工程の中で、「ラインを止めている指を離して、そこから、フロッグが飛んで行き、フロッグが前に向いて進む力がスプールに力をかけ、スプールが回りはじめ、ラインが出る。」この部分に注目です。

キャストした時にフロッグが飛んでいく方向ってのは、指を離すタイミングもありますが、おおかた、ティップの向いているほうに向かって飛んで行きます。

このとき、指を離してから、実際にスプールが回り始めるまでの時間が遅ければ遅いほど、スプールが初めて回り始めるタイミングが、振りぬいたティップが最後に静止するポイントに近づくことになります。

つまり、ティップの向いている方向へフロッグが飛びやすいということを意味しており、これがキャストアキュラシーにつながっていきます。つまり、物理的に考えると、スプールは重いほど、正確なキャストが出来るのです。

反面、スプールが軽いと、ラインを止めている指を離してからスプールが回転し始めるまでの時間が短くなるため、振りぬいたときにスプールが回り始めるタイミングと、ティップの向きにズレが生じ易くなるため、キャストアキュラシーは失われる。従って、スプールが軽いと、キャスト精度にアラが出やすいというわけです。

ゆえに、スプールブランキングというヤツは、遠投性能をアップさせる代わりに正確さを殺す。こういうチューニングだと思います。

さらに、ブランキングの弱点はこれだけに留まらず、もう一つあり、それが着水音です。ブランキングが施されたスプールでキャストすると一発で分かるんですが、まず、フロッグが飛んでいくスピードが速い!

雷魚釣りなんて、極太PE+比重1以下の空気抵抗の大きいフロッグを使う釣りですから、キャストした時は、フワワァ〜〜ンという感じで飛んでいきます。

んが、ブランキングをしていると、兎に角、回転が軽くなりますから、スプールがエライ勢いでフロッグに追従するため、キャストフィーリングは、フワワワ〜〜〜〜ン!ではなく、キィィィーーーーーーーン!!!という感じでカッ飛んで行きます。

そのため、飛んで行ってから着水するまでが短い。気を抜くと、サミングを止めるタイミングが掴めず、おまけに、フロッグの失速も小さいので、着水音がボッチャーン!となります。

遠投目的のオーバーヘッドキャストとか、サイドキャストなんかでは、ある程度着水するまでの時間がありますから、ナンボかマシですが、問題はピッチング。

上記の弱点の一つである、キャストアキュラシーを殺しているために、飛距離よりも正確性を重視する、ピッチングなんかのキャストが、もともとが向いていないのに加えて、ピッチングで狙うのって近距離ですよね。それで飛んでいくスピードが早いわけですから、着水までの時間ががいに早い。

そのため気を抜くとラインを止めるのが間に合わず、ボッチャン!着水音が大きくなり、近くに居た雷魚が逃げちゃったwww

なんてことが起こりやすくなります。さらにピッチングで、ライナーが飛ばせればいいんですが、ループで飛んだ場合、頂点のところでスプールの回転がよすぎてバックラになることが多いです。そんなこんなで、スプールブランキングを進めると近距離が苦手となります。

雷魚釣りってのは、遠投攻撃半分、近距離攻撃半分くらいで、どちらもウェイトを置くべき釣りですよね。

こう考えると、双方バランスの取れたスプールはというと・・・・純正が一番じゃないか!?なんて思います。

もともと、バランスの取れていたものを、遠投性能を引き出す代わりに、正確性を殺す。スプールブランキングってのはこういうチューニングだと思います。だもんで、私がやっているみたいに、どれだけ軽量化が出来るのかみたいな、徹底的なブランキングよりは、中途半端なブランキングのほうが総合的な性能はいいと思います(^^;)

じゃぁ、ブランキングはこれで終わりなんか・・・というと、そんなわけにはいかんやろの一言。もともと、私はオールラウンド選手は好かんのです。好きなんはスペシャリストです。何かに特化した道具を状況に応じて使い分ける。道具にこだわる人ってのは、こうあるべきです。各々の道具の得意技を、フィールドにあわせて、雷魚にあわせて、使い分ける。同じ魚を釣るにしても、状況に応じて多種多様な道具を駆使し、仕留めるのが道具にこだわる楽しみの一つです。

近距離は、むしろオモリを付けて重くしたスプールを。遠投用は、これでもかというくらい軽いスプールを使う。これで使い分け、雷魚にアプローチしようと思います。

前回ブランキングをやったときは、初めてだったので手探りでやっていたこともあり、改善点もたくさん見つかりましたし、どれくらい削ったらどれくらいの軽量化になるのかという点に関しても大まかな目安が付きました。

前回のやり方では、6gの軽量化が限界。今度は前のようにはいきません。

目標は、重量半減。10g台を目指し、再チャレンジします。

まず目を付けたのが、スプールの両エッジ。

アブのスプールは真ん中がへこんでおり、両サイドに向かって肉厚になっています。そのため、両サイドの軽量化は、むちゃくちゃ穴を掘らないと貫通しないし、肉厚な分、ここを削ると効率よく軽量化出来ます。しかし、エッジにはスプールベアリングのセットが隠されており、あまりエッジは掘れない。だったら、スプールのテーパーを平坦にして軽量化を図ろうというわけで、両サイドのテーパーを鉄鋼用平ヤスリで削り倒すことにしました。つまり、図で言うと、赤丸のところを削り倒すということです。

今回は丁寧にやったろうと思って、スプールのエッジをマスキングテープで保護しました。

ほいでもって、鉄工ヤスリでハジを削って削って削り倒す!

片側終わり。あっという間!?冗談じゃない。1時間くらいかかりましたヨ。

両面やってハイ2時間経過〜〜〜♪

ところが、平ヤスリで削った関係で、湾曲しているところはボコッと出ている。これがかっこ悪いので修正。

百均のダイヤモンド丸ヤスリで削って、角を追い込みます。

とはいえ、これも限界があるのだけども、ちょっとはマシになったので、まぁ、いっか!

この時点で重量計測。すでに18.3g。2g以上の軽量化に成功しています!これはスゴイ!10g台が見えてきた!?

さぁ、続いて、穴あけ作業。ピットを色々買い足していくうちに、こんなに集まりました!!!

まずは、プロクソンでだいたいのアタリをつけたポイントに穴を開け、

ハンドドリルで削り倒す。

C4スプールにあるクボミは、ギリギリまで広げました。

こういう削りカスが、軽量化の証。たまりませんw

前回は、この時点ででかい穴を空けまくっていたので、穴と穴がぶつかって2個1になるトラブルが続出。この部分は、小さい穴を数多く空けたほうが効率がいいと思いました。

次は穴を増やせれそうなところにルーターで穴を空けて行き、ハンドドリルで穴を広げる。

穴と穴の隙間に穴を追加する作業。当然、入るドリルと入らないドリルがあるので、逐次ドリルピットを選定しながら穴を増やしていきます。

穴も真っ直ぐあいている穴は珍しく、大抵が斜めに入っています。だから、ドリルで穴を掘る時に、隣の穴に干渉しないように、斜めに研削していく必要もあり、ここらが微調整が必要です。

もうこれが限界。これ以上はホンマ無理!

この時点で重量は14.7g!前回の全部の穴あけ後重量に迫るものがあります!やはり、シャフトが通る肉厚部分の軽量化が効きますwww

そして、続いて両サイドの研削作業。これも、中心にむかってテーパーがかかっているデザインなので、スプールシャフトに近づけば近づくほど効果的な軽量化が期待できます。

前回は適当に空けまくっていたけど今回はそうはいかん。シャフトに近いところに大きな穴をたくさん開けるようにマジックでポイントを打ってアタリをつけることにしました。

ルーターでアタリを付けます。貫通してないですが、もうこれくらいマーキングしていればドリルが固定できるので、これでいいです。

そして穴を空けまくっていき、中心部分はこんな感じ。

重量は13.5g!やはり、シャフトに近い部分の軽量化は効きます!!!

あと2.6g!

ゴールが見えてきた!

もう、両サイドをガンガン削り、穴を広げまくって、

ホントに隙間がなくなってしもた!!!

この時点で・・・・11.9g・・・・。ゴールが・・・・遠い!

両サイドの研削なんて気休めくらいの軽量化にしかならんき!こりゃ、大変。

もう穴を空ける隙間がない!

新たに穴を追加しようとすると、赤丸のところみたいに、横の穴に干渉してスコン!とドリルピットが落ちてしまうので削れないんです。

それでも最小ドリルピットで穴を追加していって、11.8g。ここらに限界が見えます。

しかし、目標は50%オフ。10g台です。

ここまできたら、後先考えずに、やるやる。どんなことをしてでもやるしかない。

そこで、シャフトが通る部分を、今一度削って薄くすることにしました。

これ、限界ちゃうか!?と思うくらい薄くして、11.4g。ここから後が出ない。

かくなる上は、もうぶっ壊すつもりで、穴を広げます。

こんな感じに壊して、

ヤスリの手作業で、空けた穴を自然な感じにして・・・・

面取りして終わり。

こんな感じで、できるところはガンガンやって・・・・

11.0g!

限界の向こう側が見えた!!!

もう、薄すぎるシャフト部分を、さらにさらに削っていき、












ついに・・・・















パンパカパ〜〜〜ン!10.9gちや〜〜〜!











ついにやってしもた!!!夢の10g台(^^)b

強度、大丈夫かこれ!?しかし、強度がウニウニ言ってたら、ブランキングなんて出来るかっw毎度のことながら、トラブルが起こったら次の対応を考えることにしますwww

で、サイドの穴ぼこがラインの出をさえぎったらいかんので、ペーパー(600番)で整えて終了。

長いことかかったブランキングもようやく終了。なんと作業時間3日かかっています。

コグホイールも穴だらけなので、これもあいまって、すごい光景ですwww

本体にセット!毎度のコトながら、この瞬間がたまらんとです!

夢の10g台スプール搭載のメインC4。大活躍予定!?

インプレ

後日







今回、身をもって体験した失敗談

ベアリング収納部の穴
ベアリング収納部に、穴が・・・。

犯人はコイツです。

ノギスで測ったら、1.0mm。つまり、C4スプールの丸型クボミから1mm以内を研削場所としなければなりません。まぁ、ゴム砥石で穴が開いたところの面取りをしたので大丈夫だとは思いますが。


足に穴開いた
この姿勢で足をチャックにしてハンドドリル。

勢い余って、足に2,3個穴が開きました。痛かった。だけどプロクソンでツメに穴空けたときよりはマシです。


ルーターのチャックのキズ
スプールエッジに近い部分に穴を開ける際に、勢い余って、一気に突き抜けた時にルーターのチャックの部分が、

スプールエッジに激突。ゆえに、エッジの穴の回りはキズだらけです。まぁ、実用上は支障はないと思いますが。




2011年からのメッセージ
強度についてです。全く問題ありません。フルドラグかけて、雷魚相手にしたって、C4の10kgドラグのほうが先に出てくれます。回転のブレも全くありません。一番飛ぶスプールです。

こんくらい穴あけたって、強度は全く問題ないので、試してみたい方、どんどんチャレンジしてください〜!

こーゆー部品こそ、カーボンブランキングで作って欲しいですね(^^)5g台のカーボンスプール・・・・あったら買うなワシw

アブさん、出してくださいw


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