千鳥屋ギアの不具合調査




メインで使っている白いC4は千鳥屋フルチューニングのリールなのですが、チューン直後はホント、めちゃくちゃ良くて、ノイズがほぼ無音で、フワ〜〜と伸びが続くし、バックラも全然ないし、最高のフィーリングで、使って使って使い倒したのですが、年々、ノイズが大きくなってきて、ビビリや振動も増えてきて、それに伴いバックラが多発。チューニング後3年経った今、かなり悪くなっていて、ブーン!と大きなノイズを出しながら振動がリールシートから伝わってくるようになりました。

この原因を探るべく、調べてみることにしました。



コグホイルの調査
まず疑ったのはコグホイル。

顕微鏡があると、詳しく調べられるので、イイですよ!

大径ギア表面。これはキレイ。ほとんど無傷です。

続いて、小径ギア。大きなささくれこそないものの、表面は微細なささくれだらけ。特に小径ギアの上面の表面は、ガリキズでいっぱいですわ!

続いて側面も見てみました。

小径ギアの側面。キレイです。

大径ギアの側面。これもキレイ。

以上、調べた結果、小径ギアの表面にささくれが目立つものの、それほど問題はないように思いました。

アブは、コグホイル側カップをフレームに取り付ける際、「ガリッ」っていって、ウォームギアと接触します。この際、ウォームギアが真鍮で、コグホイルがPOMなため、POM側が負けて微細なささくれが発生します。このササクレが多くなると、ノイズが大きくなったりしてしまって飛距離に影響するため、ある意味、消耗品パーツと言えます。
この点、オールドの機種の中には、小径ギアを真鍮で作っている5152もあるので、よく考えられているなと感じました。


ウォームシャフトの調査
続いてウォームシャフトの調査をしました。




すると、異常が一発で分かりました。ウォームシャフトのミゾの側面がガリガリに削られていて、メッキが完全にはがれていました。

で、ミゾの底も削られた跡があり、ウォームギアのすべてのミゾがボロボロです。


続いて、チェックメイトパイロットガイドの調査もしてみました。これは2代目だったか、3代目だったか、超超ジュラルミン製のアルマイトガイドだったと思います。

ナットに接触する筒の部分は、若干スレた跡がありますが、純正でもスレるので、問題なしだと思います。

ただ、カナメとなるVの字の根元の部分の磨耗がほとんど見られませんでした。

通常だと、ウォームギアとパイロットガイドでいうと、消耗品はパイロットガイド側で、パイロットガイドのVの字の根元が磨耗して細くなっていくのですが、この場合、パイロットガイドがウォームシャフトを磨耗させているという感じです。

千鳥屋ウォームシャフトは、純正シャフトにギア側ベアリングとハウジングを組み込み、ワンオフのラインガードにややきつめのベアリングハウジングが施されているものなので、シャフト自体は純正です。

純正シャフトの素材は、砲金にニッケルメッキだかクロムメッキだかをかけているのですが、この材質に対して、チェックメイトガイドが強すぎるのが原因じゃないのかなと思います。



純正シャフトの調査
他のコンテンツでも調査しているのですが、純正の場合の磨耗の特徴を紹介します。
サンプルとして持ってきたのは、6001C。ダイブふるい機種で、中古で手に入れ、改造もしていないので、おそらく一番磨耗していると思われます。

こいつのシャフトを見てみます。


純正の場合、ウォームシャフトの磨耗はほとんど見られません。

続いてパイロットガイドを見てみました。パイロットガイドの材質も、ウォームシャフト同様、砲金です。

Vの字の根元がウォームシャフトのミゾと接触して、パイロットガイド側が磨耗していきます。

こんな感じに移動していくんで、

パイロットガイドが磨耗していくと、だんだん細くなっていくんで、ガタが大きくなってくるわけです。使用に伴い、やせ細っていって、最後にはターンできずに、無限ループ→交換。という消耗品パーツです。正直、新品のパイロットガイドはかなり動きがいいんで、飛距離を出そうと思ったときは、パイロットガイドを新品にするのもひとつの方法ですw


2台目の千鳥屋フルチューンリール調査

メインで使っている白いC4の調査に続いて、サブの千鳥屋C4の駆動系ギアも調査をすることにしました。

白いC4はこれでもかってくらい使い倒したんですけど、サブのコチラは、使用頻度が少なく、目下、週1回、朝練で出勤することが多かったので、あんまし比較にならないかもしれませんが、何らかの調査はできるかなと思います。

キャストフィーリングは、チューニング直後に比べると、バックラや振動は多くなってきた感がありますが、無音キャストの余韻は残っており、白いC4に比べると格段にいいと思います。

白青、共に千鳥屋フルチューニングで組んでおり、白いC4との違いは、チェックメイトのパイロットガイドのみ。白いのは超超ジュラルミンアルマイト仕様で、今回調べる青いC4は、初代のジュラルミン仕様です。

早速外してみて、パーツクリーナーできれいにして、

顕微鏡で観察してみました。

すると、ウォームシャフトの溝の状況は、白いC4とは全然違っていて、きれいです。純正とそう変わらないくらい。

ただ、よーーーく見てみると、ウォームシャフトの鋭角ツノの先端部両サイドがスレて、メッキの剥がれた跡がありました。鈍角ツノにはみられないのですが、鋭角ツノすべてにこのスレハガレが見られました。

続いて、初代のジュラルミン仕様のチェックメイトガイドを見てみました。

すると、超超ジュラルミンでは見られなかった、摩耗跡が観察できました。

筒部分のスレは、超超ジュラルミンのものに比べると、使用頻度が少ないながら、スレて磨耗した跡があります。

Vの字の部分も、シッカリとスレて磨耗しています。おそらく、このタイプのものだったら、ウォームギアよりも、パイロットガイド側が磨耗してくれるのかなと思います。

横から見た画像です。もともとどれくらいの肉があったのか分からないですけど、摩耗しているってことは、正常だと思います。

純正とチェックメイトを比べると、先っちょが違うかなという感じです。

純正パイロットガイドって、Vの字の先端部にスレの跡がなくて、摩耗が観察できないんですけど、※とはいっても、パイロットガイドのVの字根元が減ってくるとここも接触するはずなんで、減ります。

チェックメイトはVの字の先端まで、スレた跡があります。あと、純正に比べると、先っぽがとんがっているような感じがしますし。

このあたりがウォームシャフトの鋭角ツノ接触メッキハガレの原因なのかなぁとも思ったりします。

しょせん、僕も素人なんで、突っ込んだことは分からないですけど、千鳥屋のウォームシャフトは、純正流用品で、アブの弱点である、「レベルが左右に動くと、シャフトごと左右に動く」点を改良するためのラインガード&ギア側ベアリング保持POMを入れている部品だと思うので、そもそも純正品である、ウォームギア側に問題はないと思います。

問題があるとすれば、パイロットガイド側のチェックメイトだと思います。

白いC4の検証では、パイロットガイドの素材が強すぎて、ウォームギアの溝を削っていき、ガタ&ノイズが増え、飛距離が落ちました。

青いC4の検証では、ウォームシャフトの鋭角ツノに接触跡があり、メッキがはがれているので、これが悪影響を及ぼしているんじゃないかと思います。

もう一点、可能性があるとすれば、軽量レベルだと思います。

千鳥屋製軽量レベルは、軽量化のためにキャップをねじ込み式ではなく、ハメ込式にしており、ねじ込み式ほどしっかりと固定できません。そのため、釣りをしていると、しばしば、キャップが緩んで外れかけて無限ループになることがあります。特にファイト中や、バックラになった直後に良く起こります。

この際、チェックメイトが落ちかけた状態で動き、それがウォームシャフトの溝にダメージを与えたのかもしれません。

私的には、チェックメイトに問題があるような気がしますが、僕が使っていた時代のチェックメイトは、カナリ前の時代のもので、現在は何回か改良を重ねて新型になっていますし、参考程度に見てもらえたらなと思います。

改めて、アブの難しさを知った感がありますが、千鳥屋パーツは大好きですし、次回のパーツ製作を楽しみにしています!


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