雷魚ロッドとガイドについて
讃岐の夢、水路の鉄人、タコGT2、バーニング釜玉、ハリコタイガー、シャドウライズ2ND、Jraiden2ND、シャドウライズ3ND、ニッカリ青江、ブッシュトレーサー、シャドウライズ4TH、Jraiden3ND。
今まで作った雷魚ロッドは12本。ここで色々と試行錯誤したのがガイドセッティングです。その中で感じたことのまとめです。
雷魚ロッドのガイド変遷
一昔前の雷魚ロッドはおおむね、Nガイドを装着しており、NガイドというのはNシリーズ最強のガイドで、ごついんですが、フレームが太すぎて見た目が悪く、シャープな雷魚ロッドにはMNガイドが装着されることもありました。
ガンガンやサーペント、ウィードフリーカー、オフトの雷魚なんかがNガイド。
Jraiden、マグナムハスキー、フォーナインなんかはMNガイドです。
さらにシャープなベンディングを目標としたロッドなんかは、シャドウライズのLNガイドがありますが、あれはバスロッドのハードなやつで使われるガイドで、雷魚ロッドで使うには強度が足りない感じています。友人のシャドウライズは1番ガイドのフレームがポッキリ折れたこともありました。
私が感じたところでは、雷魚使用ならば強度的にはNレベルの強度は必要なく、LNガイドは弱すぎ。NシリーズではMNガイドがベストだと感じています。MNガイドはフット間が短く、ロッド本来のベンディングを活かせるフレームだと思います。
ただ、Nシリーズの欠点があって、それはカッコ悪いことです。あまりにもフツーすぎる形状のため、奇抜さが足りないのです。
そして糸がらみ。雷魚はPEを使う釣りで、しかもロッドが硬いので、アクションはPEをガイドにたたきつけるような感じでアクションをつけます。結果、アクションのたびにガイド間で糸ふけが出ることもあり、しばしばPEがガイドに巻きつくことがあります。
PE絡み対策として当時出ていたガイドは、シングルフットのLDBガイドで、ダブルフットの傾斜ガイドというのはありませんでした。
LDBガイドは傾斜を付けることで、リングにPEが巻きつかないようにしたものですが、シングルフットのため、ヘビーユーズには対応しきれませんでした。
しかし、PE巻きつきをガイドリングの傾斜ではなく、フレームでやってしまおうというものがあり、
それがLCガイドと呼ばれるものです。LCガイドはもともとは投げ釣り用のガイドですが、リングではなく、下部フレームに緩やかな傾斜が付いており、LDBなんかの傾斜ガイドはリング上側で絡みが抜けるような設計ですが、LCガイドはPEが絡む際に下側に引っかからないようにする設計になっています。
LCガイドはオールダブルフットで、強度的にはMNガイドよりもゴツく、ヘビーユーズに対応できるモデルです。リング径のラインナップは5から20まであり、雷魚使用のセッティングにも流用が可能となっています。
このLCガイドを初めて導入したのがノリーズのサンダーシャフトで、オールダブルラッピングの豪華仕様となっており、理にかなったガイドセッティングといえます。
ところがLCガイドには致命的な欠点があり、値段が高いことです。MNガイドにくらべると、10サイズで、MNガイドが568円なのに対し、LCは851円となっており、およそ1.5倍のコストがかかります。リング径が大きくなると、この差はさらに広がり、最も口径の大きい16サイズで言うと、MNSG16が757円なのに対しLCSG16Mなんかは1512円となっており、およそ倍かかります。
そんな時、フジから「Nガイド廃盤」のニュースが飛び込み、雷魚ロッドのスタンダードはMNガイドへと移行していきました。
糸がらみ対策のLCガイドは昔から存在していたんですが、やはりコストの問題があったのか、LCガイドを導入したのはサンダーシャフトぐらいで、他の雷魚ロッドはMNガイドを選択していました。
しかし、Nガイド廃盤となった後、Kシリーズが発表され、その中でダブルフットのKWガイドがラインナップされました。
KWガイドはLDBガイドとLCガイドを足して2で割ったようなガイドで、LDBガイドのように、リング自体が傾斜しており、リング上側にラインが巻きつかない形状をしつつ、LCガイドのようにフレーム下部を傾斜させ、フレーム下部にもラインが巻きつかないような形状をしたものでした。
値段はMNガイドと一緒。MNSG16が757円なのに対し、KWSG16も757円となっております。フレームの太さはMNガイドもKWガイドもほぼ一緒なんで、剛性も同じようなモンだと思います。
そんなわけで、値段同じ・剛性同じなら、直立ガイドよりは傾斜ガイドやろ!と思ったのか、MNガイドを選択していた雷魚ロッドは昨今、KWガイドへと移行していっています。サーペントもWBMもみなKWガイドへと移行していきました。
一般的には、雷魚ロッドで採用されたガイドはN,MN,LN,KW,LCですが、他にも
シャドウライズのバットガイドでHVガイドが採用されたり、
S68でNガイドよりもさらにゴツいHBガイドが採用されたこともありますが、
HVガイドは糸がらみビシバシで、フレームに隙間がないので、フロッグがひっかけられないので不便。
HBガイドはナンボなんでもゴツすぎで、そもそも雷魚ロッドにMNガイド以上の強度がいらないと判断したのか、S68以外採用なし。
時代はKWガイド一色といった感じです。
また、トップガイドも同じく、変遷があり、
大昔のモデルのガンガン、WBMなんかはPSTという傾斜+肉厚リングのガイドが付いていました。しかし、時代の流れとともに廃盤。
リングやフレームが薄くシャープになり、トップガイドはFガイドに移行していくこととなります。
シャドウライズ、フォーナイン、オフト、WBMなんかはFガイドです。ところが、Fガイドはフレームが細いので、剛性が弱く、またフレーム傾斜が甘いのでトップガイドに糸が絡むことが結構ありました。
一方、既に傾斜フレームつきのMNトップガイドも登場しています。MNトップガイドは通称、「オーシャンガイド」と呼ばれるものです。
左がFトップ。右がMNトップです。Fトップガイドはパイプの後ろ側でフレームを絞っているのに対し、MNトップガイドはパイプの前側で絞っています。そのため、絞りの角度がMNトップのほうが緩やかで、糸がらみは皆無です。雷魚マンに人気なのは断然MNトップガイドです。
フレーム自体もFガイドよりもごつく強度があり、またFガイドにはついてない足があるのでスレッド巻いてエポキシでガッツリと固定できます。
※ただし、Fトップと違い、フレームの根元を溶接してないため、スレッドを巻く前に天井に当ててしまったらフットが離れてしまい、スレッドを巻きにくくなる等のトラブルがあります。
雷魚ロッドはFトップとMNトップを採用している雷魚ロッドが半々といったところでしょうか。シャドウライズなんかはいまだにFトップを採用しており、ブーブー言うオーナーもたくさんおり、金しょさんやアッガイさんなんかはMNトップガイドに変えています。
Jraiden、サーペントライジング、マグナムハスキーなんかはMNトップガイドです。
個人的には、FガイドはNGで、MNガイドのほうが良いと思うのですが、不思議といまだにFガイドを装着している雷魚ロッドも開発されていたりします。
また性能で言うと、MNガイドはフットがついており、Fガイドはフットが付いていないので、トップガイドのブランクへの追従性はFトップのほうが上です。そのため、ベンディング優先のセッティングならFガイドに軍配が上がるからなのかな?とも思いますが、MNトップでもガンガン食い込んでくれるし、フットの有無によるベンディングの差なんて取るに足らないと思うので、個人的にはすべてMNトップガイドにするべきだと思います。
また、あまり一般的ではありませんが、フットがないオーシャンガイドのMGSTなんかもあります。リング径が8があるので、フットを嫌うならばFよりもMGトップのほうが合理的だと思います。
雷魚ロッドのガイドセッティングについて
雷魚ロッドはハネクラのヘミスティック以外は基本的にはフジのガイドを装着しており、フジのガイドは、リングの大きさによってサイズがあります。番手が大きくなるほどリング径も大きくなり、雷魚ロッドで使われるのは、8から16です。
番手が大きくなると、フレームも太くなるため、剛性も上がります。
一般的にはティップに小さい径のガイドを、バットにいくほど大きいガイドをつけていきます。これはブランクの曲がり易さにあわせたカタチでセッティングするためで、一般的にブランクは先が細く、バットが太くなっております。
そのため、曲げて見るとティップは軽い力でも曲がりますが、バット付近が曲がる時はバット部に相当な力がかかっています。そのためガイド自体も下に行くほどゴツくしないと、フットが細くてフレームが割れたり、エポキシが割れて浮いてしまうためです。
※一昔前、サーペントがNガイドを装着していたとき、
ユートピアンブラスターでティップの1番〜3番でLCガイドを装着していたことがありました。
ところが、4番以降はNガイドです。NガイドとLCだったらLCのほうが剛性が大きく、フット幅も広いため、ティップにゴツいガイド、バットに弱いガイドのセッティングといえます。これはガイドセッティングのセオリーに逆行することで、糸がらみ回避目的とはいえ、やるなら全部LCガイドにするべきではなかったのか?と思ったりもしました。
また、個数については、
ガンガン、ウィードフリーカー、オフト雷魚なんかの古いロッドは8個。
シャドウライズやサーペントライジングなど、最近のモデルでは、10個になっているロッドが多いです。当然ロッドの全長が長ければガイド数も多くなります。
その際のセッティングに関しては、
10個ガイドだと
8(T)−8−8−8−10−10−10−12−12−16
といった具合にセッティングされていることが多いです。T=トップガイド
8個セッティングだと、
8(T)−8−8−8−10−10−12−16
です。
中には、昔のガンガンみたいに、トップガイドに10をセットし、1番ガイドから8に落とすセッティングなんかもあり、これはハワイフックを使いやすいようにすることと、先端はぶつけやすいので、壊れにくいようにゴツいガイドをセットするとか聞いたことがありますが、トップに行くほどリング径を絞っていかないとラインのトレースがブランク先端で暴れてしまい、キャストのコントロールがしにくくなるため、トップガイドに一回り大きいガイドをセットする手法はワタシには理解できません。トップにいくほどガイド径は絞るべきだと思います。
なお、ガイドに関するセッティングは私は色々と試したことがあり、その時に取ったデータとインプレを紹介します。
ガイド数を増やすことと落とすこと
シャドウライズのリメイクで、10個あったガイドを9個に落としたことがありました。
純正がLNガイド。
換装で使ったのがKWガイドで、KWガイドのほうが剛性があるので、いける!と思ったんですが、実際はサッパリだめで、1枚ヒシの綱引きでギッシギッシときしむような感じで、ベンディングも極端な弧を描くといったところでしょうか、「耐える」感が全くなくなってしまい、ダメダメでした。
一方、Jraidenでは純正で8個ガイドのところを11個セッティングでやったことがありますが、メンディングがやりやすくなり、キャスト後の撃ち込み位置の微調整が非常にやりやすくなりました。フックアップ後のやり取りについては、純正のMNガイドから剛性の高いLCガイドにコンバートしたせいもあると思うのですが、若干硬くなったように思います。
がしかし、再塗装で硬くなっている可能性も無視できないため、ガイドを増やすことで大幅な使い勝手の違いは出ないと思いました。雷魚ロッドの場合、若干硬くなったところで、影響はありませんから、問題はないと思います。
この時の経験から、ガイドを多くするのは良い方向へ変わることが多いけども、少なくすることはダメになりやすいと思いました。
フジが打ち出したガイドニューコンセプトは、ガイドを多くすればするほど良いという理屈でしたが、なるほど、あながち間違ってはいないなと感じます。
ただし、ガイドを増やしすぎるとガイドラッピングの際に困ることもあることを忘れてはいけません。
シングルフットのシングルラッピングの場合はそうでもないのですが、
ダブルフットのダブルラッピングをやる上でガイド数を多くすることは、ガイド間が狭くなりすぎて、ブランクの塗装面の大部分が隠れてしまい、見てくれが悪くなります。
だもんでラッピング後のスレッド幅とガイドの間隔を考えながらセッティングを行ったほうがいいと思います。
ガイド数を増やしすぎるとトップガイド付近でガイドを近づけようにもフットが長すぎてガイド間が異様に狭くなってしまうトラブルがあり、結局ガイド数を減らさなければならなくなるため、要注意です。
私がやった中では、ガイド数は8個では少なく、11個は多い。やっぱし、メーカーと同じ10個が適正かと思います。
ガイドのリング径について
一般的な雷魚ロッドはトップガイドが8、バットガイドが16です。このセッティングをずらしてロッドを組んで使ってみて、その時感じたことをまとめてみます。
まず、シャドウライズ3RDでガイド径をワンサイズ小さくしてみました。セッティングは
6(T)−7−7−7−8−8−8−10−10−12
です。
純正のセッティングは、
8(T)−8−8−8−10−10−10−12−12−16
ですので、かなり絞った感じです。目的は、ガイドの小口径化によるキャスト精度の向上です。
昨今流行のマイクロガイドシステムですが、ガイド径を絞ることでガイド間のバタつきが減り、ブランクの方向とライン放出の方向が一定になりやすいという理論に基づいて訴えられていることで、これを雷魚ロッドに応用してみようというのが作戦でした。
組んでみてビックリ!まことその通りになっていて、キャストがすっごいやりやすく、また正確に投げれるようになりました。
特に近距離〜中距離は思ったところにピューンと飛んでいってくれて、さらにラインがブランクにそって一直線になってくれやすく、メンディングの微調整もキビキビと軌道修正できるため、8→16のセッティングとは別物と思いました。飛距離も全く持って問題なく、実測してないので確実ではないのですが、8→16セッティングよりも飛んでいると思います。
その後、さらにブッシュトレーサーで1〜3番ガイドを7から6に落とし、
6(T)−6−6−6−8−8−8−10−10−12
で組んでみました。
結果、キャスト精度はさらに上がったと思います。KWガイドは珍しく、リングサイズ7のフレームがあるのですが、一般的には6と8しかありません。だもんで、やるなら、素直にトップガイドと同サイズの6を1番〜3番ガイドで使ったほうがいいと思います。
一方、ニッカリ青江でワンサイズ上のガイドを装着しました。トップガイドが10、バットガイドが20です。
セッティングは
10(T)−10−10−10−12−12−12−16−16−20
となっております。
ところが、このセッティングがダメダメでした。セッティング的には、ショアジギングロッドと同レベルのガイドセッティングです。しかし、雷魚ロッドにしてはリングがでかすぎ。ショアジギングはスピニングリールが前提で、スピニングではこれでいけるかもしれませんが、ベイトで使うにはリング径が大きすぎ。バタつきが大きくなりすぎて、キャスト精度がさっぱり出ません。ベイトを使うなら大口径のガイドは厳禁です。
強度で言うと一般的な雷魚ロッドよりもハイパワーなんでしょうけども、雷魚のカバーゲームでは8→16でも十分ですから、オーバーパワーのキャスト精度落ちって感じでサッパリダメでした。そのため、雷魚ロッドのガイドセッティングは、8→16もしくは、6→12です。
6以下でもダブルフットガイドがありますが、リング径が6を下回ると、8号大久保ノットが入りにくくなるため、最小ガイドは6にしていたほうが無難です。リング径5でも大久保ノットのチチワが抜けることは抜けるんですがかなりギリギリでコブの出来方によっては抜けなくなる可能性もあります。
これはFSTの5ですが、リング径5のガイドは8号大久保ノットがギリギリ通りますが、
リング6ならわりかしスンナリ通ります。
ンデ、肝心の強度ですが、ライトカバーの綱引きではギシギシとなることもなく、トラブルなく使うことが出来ました。ライトカバーのクリーク戦では、8→16セッティングよりも6→12セッティングのほうが良いと思います。
ただ、ヘビーカバーでの使用はちょっとガイドが心細すぎ。野池ヘビーカバー遠投では従来の8→16セッティングがベターだと思います。
また、ガイドの小口径化については、最近、雷魚ロッドのメーカーでも導入し始めており、ラッティの新型、ライムカントリーのL7.4STDSでは、トップガイドが6スタートのバットガイドが12のセッティングでリリースされています。
目的がライトカバーの攻略とのことで、ライトカバーの近距離戦では8→16サイズのゴツいガイドは必要なく、6→12で得られるキャスト性の恩恵が大きいというわけなんでしょうね。
また、ガイドセッティングとメンディングの関係ですが、当然、ガイド間が短いほうが得られる恩恵が大きく、ブランク中腹よりもティップ側の、ラインが急激に絞られるガイド間を狭くすることが大事です。
一発目に作った雷魚ロッド、讃岐の夢はオールLC、ティップ付近のガイド間が11cm前後でやりましたが、
同じブランクを使って作ったブッシュトレーサーではティップのガイド間は8cm前後でセッティングしています。結果、8cm前後で組んだロッドのほうがメンディングの微調整がかなりやりやすかったです。
ガイド間を狭くするには、LCガイドとKWガイドだったら、フットが狭いKWガイドのほうがより合理的といえます。そのため、小口径ガイドを活用する際には、KWガイド選択のほうがメリットが大きいと思います。
ただ、一方で、バットガイドのリング位置はなるべく高くし、リールのスプール位置に近い高さにしたほうがライン放出の際、ラインが一発目に接触するバットガイドでスピードが落ちないため、バックラになりにくく、飛距離も出るというメリットがあります。
シャドウライズがバットガイドにリング位置の高いHVガイドを採用している理由がまさにそれで、バットガイドを高い位置に持っていくことはキャストの際に大きなアドバンテージになります。
ここで活躍するのがLCガイドのMです。LCガイドはリング位置が低い下部傾斜ガイドですが、Mというモデルはバットガイド専用。ガイド位置をかなり高いところに持っていっているガイドです。
これは右がLC12、左がLC12Mです。同じ12サイズのガイドですが、Mのほうがリング位置が高いです。
HVガイドは背は高いですが、傾斜がついておらず、PEが巻きつくトラブルが少なからずあります。さらにフレームに隙間がないため、フロッグを引っ掛けることが出来ず、移動の際にフロッグが固定できないというデメリットがあります。
ちょうど同じサイズで16のガイドが転がっていたので、LC16M、HV16、KW16を並べてみると、
LC>HV>KWという具合に高さが高くなっています。
ところが、横に6601c4を並べてみると、リールのスプールのライン位置はもっと高いところにあるため、バットガイドに持ってくるのは、リング位置が最も高いところにあるLC−Mガイドが最適ということになります。
以上の考察から、バットガイドにLC−12Mを使った場合、糸がらみはないし、ごつくて剛性が高いし、フロッグは引っ掛けられるし、いいこと尽くめです。
値段が高いのがアレですが、バットガイドはLC12Mがベストだと思います。
中腹までKWで組み、そこからバットはLCにチェンジする。もしくは、バット手前までKWで組み、バットにLC12Mにする等のセッティングがベストだと思います。
8ftクラスの長いロッドだと、LCを間に入れる等の小技が出来ますが、7ftクラスの短いロッドだとLCを入れる隙間がないので、短いのはほとんどKWで組んでバットをLC12M、長いのは中腹からLCチェンジにしたほうがいいと思います。
シャドウライズ4thジェネレーションがバットだけLC−Mで、残りはKWというセッティングです。
また、キホン、小口径ガイドとはいえ、ダブルラッピングは必須だと思います。ライトカバーとかオープンカバーとかで曲げ重視のガイドセッティングはダブルラッピングにしたら硬くなってダメ!とか言われることもありますが、そもそも雷魚ロッドで使われるエポキシはやりこいエポキシなので、少々塗ったところでやりこさは維持できます。
例えばシャドウライズはもともとがシングルラッピングでしたが、ダブルラッピングにしたところで弾きにくく、柔軟性も維持しており、使いやすさに不具合は出ませんでした。
また、抜き上げるときにはかなりの負荷がガイドにかかるわけで、ダブルラッピングにするにこしたことはないと思います。
シングルで組んでギッシギッシなったこともありますし、いけるかいけないか?で選定するのではなく、安心してやり取りしたいからダブルラッピングを選ぶという選択が正解だと思います。
市販品の雷魚ロッドは5万クラスのロッドでもシングルラッピングばかりで、ここらの煮詰めが全く足りないと思います。雷魚はダブルラッピングが間違いなくベターです。
何のガイドが雷魚に適しているのか?
雷魚ロッドにはどのガイドが良いのか?ですが、ずばりいって、LCガイドです。理由はゴツくて糸がらみがないから。その検証をします。雷魚ロッドのガイドとして可能性があるのは、LDB,N,MN,LN,KW,LCです。これらのガイドを比較しながら検証してみます。
まずLDBガイドからいきますが、LDBガイドはシングルフットなので雷魚ロッドにはそもそもマッチしません。水路の鉄人で使ったこともありますが、全くもってバス用ガイドであり、カバーゲームには到底使えるシロモノではないと感じました。
LN、MN、Nガイドに関しては糸がらみが多いからダメです。
KWガイドに関してはフジが言うには糸がらみ自動解除フレームとのことですが、これもガンガン引っかかります。
http://www.fujitackle.com/new/k.html
フジの検証を見る限り、ガイド側から高速でラインを巻き取り、その際引っかかる糸がらみを意識した対策となっております。
ところが、実際に釣りをやっていると、フジの再現実験のように、キャスト後にフケたラインがガイドを1周してひっかかったことは一度もありません。
そもそも、キャストというものは振りぬいた直後からガイドの抵抗がかかり、失速していくモノですので、糸ふけが出た時点で動力がなくなります。そのため、フケたラインがガイド1周できるほどの動力がないのです。
一方、フジの検証では動力を使ってリールからラインを引き抜いてますから、ガイドでフケが出たところで、動力は持続しています。それに加えて横から扇風機をガンガンに吹き付けて絡むように誘導しています。あれじゃ、わざとラインをガイドに絡ませているようにしか見えません。とても実戦に近い検証とはいえないと思います。
では、いつPEがガイドに巻きつくかというと、それはキャストした後です。
カバーに中途半端に引っかかったフロッグをティップで弾いて回収した時です。
ルアーが引っかかったら、外すために、ブランクを跳ね上げて無理矢理引き抜きます。
そして、フロッグが抜けた瞬間、勢いがついていますからこちらに飛んできます。糸フケが出るのはこの瞬間です。
そのフケがガイド前後でたるみ、フロッグの重力でPEが下に引っ張られた時、ガイドを1周したPEがガイドに引っかかった形になります。
つまり、
障害物を抜けたフロッグが勢いあまってこっちに飛んできて、
その瞬間出たラインスラッグがガイドをまたぎ、こーなってガイドに絡まった状態になり、
こーなります。
抜けた時、糸フケが出るのは、ルアーに近いティップ付近のガイドで、なおかつティップ付近のガイドは小さいので上下のフット間が狭く、PEが引っかかりやすいです。
ティップ付近のガイドに糸がらみが多いのはこのためです。
なお、シャドウライズのバットガイド、HVSGも結構な確率で糸がらみがありますが、HVガイドは上下のフットの幅が極端に短いのと、ガイド自体の背が高く、ラインがガイド上下で引っかかりやすいからだと思います。
この時、PEの巻きつきやすさをフジ風の表現で説明するならば、
@ガイドの背が高いほど、
Aフット幅が狭いほど、
Bフレームの傾斜が急なほど、
ガイドにラインが絡みやすいといえます。
まずは、@ガイドの背の高さについてですが、
ガイドにラインが巻き込まれる原因はラインの糸ふけ=たるみなので、ガイドのリングが上にあるほど、たるみがガイドのリングを拾う確率が高くなるため、当然、背が高いガイドのほうが巻き込まれ易いです。
続いて、Aフット幅についてですが、
フット幅が広いと、スラッグがガイドを拾ったところでフロッグの重力で抜けてくれるので、ライン絡みになるリスクは少なくなります。
Bフレームの傾斜についてですが、
フレームの傾斜が緩やかな場合、PEが巻きついたところで、引っかかるところがなく、巻き込まれて固定されることがありません。もし、傾斜が急だと、巻きついた後にフロッグの重量でテンションがかかり、この時巻きついて固定されてしまいます。そのため、フレームが緩やかなほど絡まりトラブルというのは少なくなります。
以上、3つの特徴を各ガイドで測定値を取り、比較してみることにします。
@ガイドの背の高さを比較
サンプルは雷魚でよく使われるMNガイド、KWガイド、LCガイドです。すべてリング径が12で比較します。
測定する高さはラインの当たるリング下端とフットまでの距離です。
MNガイド、KWガイド、LCガイド真正面からみたところ、大した違いはありません。いうならば、KWガイドだけが傾斜しているため、ガイドの背の高さでいうところのアドバンテージはKWガイドにあります。
が、実際にフット〜リングのラインが当たる部分を比べてみると、すべて5.5mm程度でほぼ一緒。ガイドの高さによるスペックの違いはありませんでした。そのため、雷魚用ガイドにおいては、同一リング径のフレームは高さによる絡まりにくさの違いはないと思います。
Aフット幅について
フット幅は、フットの根元から根元の隙間とします。
実測データは以下の通り。
ガイド名 | フット幅 |
MN12 | 11mm |
KW12 | 15mm |
LC12 | 23mm |
これを見る限りフット幅が一番長いのはLCガイドとなっているため、フット幅とライントラブルのアドバンテージはLCガイドにあります。
Bフレームの傾斜具合のスペック比較
これが一番ややこしいです。
まず、フレームの傾斜についてはダブルフットガイドにつき、フレーム角度は上と下、2種類存在し、このデータを取りたいと思います。
この角度を分度器で測定してみたところ、
ガイド | 角度A | 角度B | A+B |
MN12 | 90 | 60 | 150 |
KW12 | 30 | 50 | 80 |
LC12 | 90 | 25 | 115 |
となっておりました。
この表を見る限り、スペック上は、KWガイドがナンバーワンですが、実際使ってみると、KWガイドだろうがライントラブルはガンガンおきます。もっともライントラブルが少ないのはLCガイドです。
スペック比較ランキングと実戦インプレが異なります。なぜなんでしょうか?そこを考えてみることにしました。
糸がらみ解除のメカニズムについて
まずは雷魚釣りにおけるライン絡みトラブルの起きる原因を考えてみました。
KWガイドの糸がらみと抜けについて
これはシャドウライズのKWバージョンです。
糸がらみが起こる瞬間ですが、先でも説明したとおり、ひっかかったフロッグを抜いた時、スラッグがティップを超えてしまい、
1〜3番ガイドあたりに巻きつき、フロッグの重力でガイドの下足に絡まった状態で固定されます。
この状態でリーリングをするとどうなるか?
リーリングの代わりに、ラインを引っ張ってみますが、 フレームを伝ってくるだけで、絡まったラインは抜けません。そこでロッドをまわして抜こうとしますが、逆に回したりなんかするとさらに絡まり、結局、ティップまで移動して絡まりを抜く。
これが雷魚釣りにおけるPEのガイド&ライントラブルです。すごいストレスです。
では、
LCならどうなるか?
全く同じ条件で実験をします。
3番ガイドで絡ませます。
絡み方も一緒です。
ラインを引っ張ります。
ビックリでしょ???www少し引っ張っただけで3番ガイドの絡みは抜け、その惰性で、2番ガイド、1番ガイドも抜け、ティップに戻る。
この動画で分かったと思います。
結局のところ、ラインの絡みトラブルは、ルアーのもたらす重力によってダブルフットの下側フレームに引っかかることが原因なんです。
つまり、ライントラブルを考えた時、絡まりにくさというのは、下側フレームの傾斜が緩やかかどうか?この1点に集約されます。
これを加味した上で改めて表を見てみると、
ガイド | 角度A | 角度B | A+B |
MN12 | 90 | 60 | 150 |
KW12 | 30 | 50 | 80 |
LC12 | 90 | 25 | 115 |
となっております。
下側フレームの傾斜、つまり、角度Bのスペックは
1位 LC
2位 KW
3位 MN
となっております。実戦でもこのランキングになると思うのでスッキリしましたw
以上の考察より、雷魚用ガイドの中で最もライントラブルが少ないのは最も下側フレームが緩やかなLCガイドです。
雷魚はPEを使う釣りです。PEはコシがないため、スラッグがガイドを拾うと高確率で
こうなります。
このストレスをリーリング一発で解除できるガイドはLCガイドのほかにありません。
※ KWガイドが絡む理由
絡みやすさを別の視点からも考えて見ます。焦点は傾斜のクセによく絡むKWガイドを題材にしてみます。それはKWガイドのそもそもの使用方法が違っているのではないか?という可能性です。
まず、そもそもがKガイドコンセプトというのは、「スピニング用」です。
スピニングの場合、ガイドが下を向きますから、リーリングをすることで、下方向へ力が働き、ラインをリングから抜けさせることが出来ます。
ところが、ベイトの場合、下方向へ力が働くと、下にはブランクがあり、ガイドのフットとブランクの接着ポイントでラインが引っかかって固定されてしまいます。
つまり、スピニングでは問題ないガイドなんですが、ベイトで使うことに問題があるのではないか?というわけです。
Kガイドのコンセプトが打ち立てられ、メーカーが使い始めたのは2010年だったと思います。
今でこそ、フジカタログのKWガイドのところにはベイトの図がありますが、2010年当初、カタログではスピニング専用と歌われており、雷魚ロッドへの適合は疑問があったのですが、真っ先に導入したのは、ウィプラッシュファクトリーのサーペントライジング701スペルバウンドだったと思います。
このスペルバウンドの登場以降、ウィードベッドモンスターやライムカンツリーでもKWガイドが採用され、以後、雷魚ロッドの主流となりましたが、そもそもKWガイドをベイトで使うことってどうなの?と思います。
ま、MNガイドよりカッコイイからいいんですけどねw
剛性比較
スペック比較ついでにゴツさも比較しておきます。雷魚ロッドは一言でいってガイドに強度が求められます。フレームが折れることもあるので、兎に角ごついガイドが必要です。
雷魚ロッドでは、MNガイド、KWガイド、LCガイドが使われることが多く、実際、フジの営業に質問してみても、一番強度があるのはLCガイドで、雷魚ロッドはLCがイチバン!と回答を頂いたので、LCが良いだろうというのは確実なのですが、受け売りは好かんので、フレームの太さを比較したいと思います。
単純にノギスを使ってフレームの太さを計測してみました。
以下がそのデータです。リングサイズが12で下部フレームの幅で比較しています。
結果、以下の通りです。
ガイド名 | フレーム幅 |
N12 | 1.5mm |
MN12 | 1.4mm |
KW12 | 1.4mm |
LC12 | 2.0mm |
ついでにNガイドも測定してみましたが、LC以外はほぼ一緒。LCだけが特筆してゴツイです。
続いてダブルフットの上側も比較してみましたが、左からMN,KW,LCですが、LCがあからさまにごついでしょwww
以上、やはりイチバンごついのもLCガイドです。
そのため、ヘビーカバー用の最適ガイドというのは糸がらみが少ない上に強度も強いLCガイドです。
フレームが折れるようなトラブルは一切ないし、絡まったラインがリーリング一発で自動的に解けるガイドはLCガイドのほかにありません。
値段が高いためか、雷魚ロッドに搭載されることはほとんどありませんが、メーカーも是非是非、LCガイドの採用を広げて欲しいと思う今日この頃です。
以上長くなりましたが、上記理由により、雷魚ロッドの理想的なガイドセッティングというのは、
7ft前後の短いクリーク用ロッド
MNST6.0−KWSG6.0×3−KWSG8.0×3−KWSG10×2−LCSG12M
8ftクラスのライトロッド
MNST6.0−KWSG6.0×3−KWSG8.0×3−(KWSG10 or LCSG10)×2−LCSG12M
8ftクラスのガチムチロッド
MNST8.0−LCSG8×3−LCSG10×3−LCSG12×2−LCSG16M
このセッティングがベストだと思います。
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