IAR逆転トラブル その2



以前、IARのローラーが破損してハンドルが逆回転するようになったトラブルを紹介しましたが、今回のトラブルは少し違っていて、

なんと、新品状態のIARが逆転するというものです。

これを見てください。

スプールも同じく逆回転をしております。

初めての症状で、他のC4はどうかというと、程度の違いこそあれ、逆転しております。

ロケットも同様に、程度は低いですが、逆転しております。

で、このアブですが、アブの整備マニュアル通り、

ローラー部は粘性の高いオイル。ローラーベアリングの両端にオイルが漏れないようにグリス。

のメンテナンスをしております。

やっぱりオイルがいけんのかなと思い、バラして、脱脂し、

今度はグリスオンリーで塗りたくって見ました。

しかし、症状変わらず。

これは、IARのハズレなのか???

全くわかりません。

http://blog.goo.ne.jp/shoya_0303/e/43a801d77262953f337b318b6f16c5b6

調べてみると、シリコングリスで直った!というレポートもあるため、ちょっとシリコングリスでもメンテナンスしてみることにします。


原因特定
IAR逆転トラブルは引き続き起きていましたが、釣りが出来ないというわけではないので、そのまま使っていたら、両手でフッキング入れたときに微妙にスプールが逆回転してしまい、フッキングでドラグが滑るような感じになってしまい、これではいかんと思い、色々調べてみました。

すると、なぜIARが逆転するのか、その理由がやっと分かりました。ベストタックルに相談した時に教えてもらったんですが、そもそもIARの逆転防止のメカニズムというのは、

このニードル部に接触する白いPOMのツメ、これが逆転防止のツメになっているわけです。

断面図で言うとこんな感じ。矢印方向へニードルが回転する際は、ツメが引っかかることはないけども、

逆転する時はそのツメが抵抗となり、ニードルの反転を止める。とこういうわけです。

ここでグリスの話になってくるのですが、世の中には、潤滑油の中に、「金属トリートメント配合」といわれるものがあります。

例えば、モリブデングリスというのは、二硫化モリブデンという粒子が、金属の表面に入り込み、平坦にし、抵抗なく滑るようにしてくれます。

マイクロロンみたいなテフロン系のグリスは、テフロンの粒子が金属の表面に入り込んで、抵抗なく滑るようにしてくれます。

ZPIのF−0オイルはダイヤクラスターがその役割を担います。IOSオイルもアルケミーオイルもそうですが、最近のリール用オイルはほぼすべてが金属トリートメント剤配合になっています。このような金属トリートメント剤を、その世界では「極圧添加剤」と呼び、金属同士の擦り合わせ時に、金属表面に残り、潤滑を促す役割を担います。

ベアリングやウォームシャフトなんかの稼動部だったら、滑らかなほうがいいため、金属トリートメント剤配合のオイルのほうが好まれるのですが、一方で、IARはそうはいきません。

ニードルからPOMのツメに負荷がかかった際、潤滑が切れてくれないと、逆転してしまうからです。つまり、金属トリートメント剤が滑りの原因になってしまうわけです。

つまり、IARのメンテナンスで使う潤滑油は、非極圧添加剤のオイルかグリスです。

で、グリスについて色々調べてみましたが、極圧添加剤の含まれないグリスというのがなかなか見つかりません。一般的なグリスはリチウムグリスと呼ばれ、リチウムが極圧添加剤になっているらしく、ほぼすべてが使えません。

一方、オイルは添加されていないものも多く、一般的なIARメンテナンスで使うのは、安いミシンオイルが最適みたいです。

アブの技術部に電話してメンテナンス法を聞いてみたら、純正オイルには金属トリートメント剤は配合されていないらしく、IARのメンテナンスは純正オイル推奨とのことでした。で、アブのオイルはシャバシャバなため、そのオイルが流れたらいけないので、シーリングとして、ハンドルカラーのところにオイルの流れ止めとして、純正グリスを使用するのが良いとのことでした。ところが、純正グリスは、金属トリートメント剤として、テフロンが配合されており、今まで述べてきたことに逆行してしまいます。

そんなわけで、完全脱脂し、

グリスなしで、アブの純正オイルのみでメンテナンスしてみることにします。

そうして組んでみた結果、ビックリ!

逆転トラブル、直りました(驚)

IARのメンテナンスは純正オイルもしくは、クソ安い、金属トリートメント剤非配合のオイル!

気をつけなはれや!


※ZPIオイルの注意書き!
先日購入したZPIのF0オイルの説明書きを見てみても、

ローラークラッチ(IAR)使用は滑るからやめてと書かれています。

IARのメンテナンスはなるべく安いオイルでやるべし!です!


新品状態のグリス状態と代替品
コレ、購入直後の純正品ですが、

ニードル部にオイル、オメコワッシャ側にグリスベッタリ。反対側は少しグリスといった具合です。

ちなみに、今はもう見かけませんが、昔かったグリスがあったので、これを使ってメンテナンスすることにしています。ノンブランドのリールオイルですw
※ちなみに現在では同じようなグリスが明邦から発売されているようです。明邦マルチグリスゴールドです。
http://www.meihokagaku.co.jp/products/detail.php?product_id=158

なお、調べてみると、通常のグリスの中でも、リチウムグリスよりも粘性が柔らかく、耐熱性が悪い、ワンランク下のカルシウム石鹸のグリスが、IARにはバッチリらしく、現行では、「シャーシーグリス」という名前で、AZやトラスコに取り扱いがあります。そのためこれを使ってメンテナンスするのが一番じゃないでしょうか。アブの純正リールグリス(リールルブ)はテフロン配合らしく、すべりそうで怪しいです。


IAR再び破損&シャーシーグリスのメンテナンス
先日、メインC4のIARがわずか2,3回の釣行でダメになりました。

ニードルの逆転防止のためのPOMがポッキリ逝ってます。どうも巻き心地が硬くなったと思ってみてみたらコレですわ〜。

原因は何なんだ?と頭をひねったんですが、ひょっとしてオイルかな?と思いました。イチバン負荷がかかるところに、しゃばいオイルを塗っているのだから、いくらメーカー推奨はオイルとはいえ、グリスを塗りたいのがホンネ。もしくは初期不良か。以前、新品状態でバラしたらIARのニードルが抜けているときもあったし。

アブには電話して2,3回で壊れたといったら、無償交換に対応してくれました。前回は修理日数は2ヶ月かかりましたが、今回はわずか2週間。修理に出す時にあらかじめ修理センターに相談して、「急ぎ」といっておけばかなり早く修理から上がってきます。

そんなわけで、グリスを塗ることにして、以前調べたシャーシーグリスを選定しました。

トラスコのシャーシーグリス。この量で300円。安い!

説明書きのところに「極圧」と書かれているのが気になりますが、とりあえずやってみます。

色は薄い白濁色。若干しゃばいです。

これをIARに塗りたくります。

それを組んで使用してみました。

見事に・・・・

滑ります。ダメこれ!

シャーシーグリス、クビ!


オリンポス製クリアオイルの選択
こうなると、グリスは全滅。次の手段はというと、オイル。それもグリスなみのネバさのオイルです。私の把握しているなかでは、ベストタックルオイルのヘビーが最もネバいですが、あれはテフロン配合のため、極圧タイプと思うので却下。ZPIのスピニングオイルもグリス配合ですが、あれもダイヤクラスターが極圧なのでダメ。で、考えたのが、コレ!

オリンポスのクリアーオイルです。

ニードルアジャスタのオイルアップで使われるオイルで、例えるなら水飴!むっちゃねばいオイルです!

釣り用ではないですが、これを使ってやろうと思いましたw釣り用じゃないから極圧じゃなさそうだしw

これをニードル部に塗りたくり、

しかし、所詮オイルなんで、使っていくうちに落ちても困るので、

ボロのリールグリスを使用。ノンブランドですが、色からしておそらくリチウムグリスですが、かなり硬いので、オイル流出防止のシーリングとして使おうと思います。

これをこんな感じに塗りたくり、元通り組み上げました。

で、テスト。IARの滑りチェックは垂直にロッドを立てて、フロッグを吊るした状態で、フロッグが落ちなければOKw落ちませんでしたw

ハンドル逆転はなくなりましたwこのまま使って様子を見ようと思いますw


オリンポス クリアーオイル結果
テスト結果ですが、わずかにですが、逆回転しますね。ただバンバン空回りと言うわけではなく、実釣できるレベルだと思います。ひどいのはシェイクするたびにハンドルが逆回転し、フッキングでドラグギチギチなのにスプールが逆回転して止まらないますから、クリアーオイルでのメンテナンスは実釣に支障が出ないメンテナンスと言えます。

ただし、完全に逆回転が止まったわけではなく、フロッグをガイドに引っ掛けて移動していたら、じんわりと逆回転し、ラインテンションが緩んでフロッグが落ちるので、カンペキなメンテナンスではないと思います。

京商 ワンウェイベアリンググリス
うーん。なんか良いケミカルはないかねぇ?って思ってたら、掲示板からナイス情報が舞い込んできて、ラジコン用のケミカルで、「ワンウェイクラッチ用グリス」があるとのこと。

願ったり叶ったりのケミカルなんで、早速取り寄せてみました。京商のケミカルで値段は800円ほどでした。

ワンウェイベアリンググリスというものです。

モノを確認してみると、プリンのような光沢があり、しかし、質感はクッキーみたいな感じです。今までのグリスと比べるとヌルヌル感が全くなくて、ザラザラと粉っぽいペーストのような感じで、潤滑できるの?って感じです。こんなグリスは見たことがなかったので、少しカルチャーショックです。

早速OHがてら、IARに塗りたくってみました。

そんで、いつものようにフロッグを吊るして滑りチェックをしてみたところ、問題なかったんで、このまま使ってみて様子を見てみようと思います。

なかなかIARというのはめんどいパーツですね。



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